抗HIV療法

 多数の優秀な薬剤の登場により、HIV感染症は「死の病」から「コントロール可能な慢性感染症」と再定義されるようになった。ただその表現は、個体からウイルスを完全排除するまでには至ってないという不十分さも意味する。

?    HAART療法
RTIs(逆転写酵素阻害剤)とPIs(プロテアーゼ阻害剤)の組み合わせた治療が基本。副作用は不可逆的なものもあり、PIsでの脂質代謝異常→虚血性心疾患・急性膵炎、NRTIs(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤)での乳酸アシドーシスが代表例。このため副作用が出現したと思われた場合は速やかに他の薬剤に変更すべきである。その際、ウイルスの薬剤感受性検査の結果を参考に選択することになる。

?    開発中の抗HIV薬剤

●    NRTIs
  最初の製剤であるAZTをはじめ9種類あるが、初期開発のものほど乳酸アシドーシスなどの副作用が出やすく、耐性株も出てきたこともあり使用頻度は減っている。現在はamdoxovir(DAPD)、Racivir(RCV)が新薬として期待されている。

●    NNRTIs
 耐性の問題で効果が弱かった初期段階の製剤は別として、efavirenzは高い抗ウイルス活性を有する。開発中のcapravirineは耐性を導入しにくいとして期待される。このほかTMC-125(DAPY)も耐性株への高い活性を発揮する。

●    PIs
 2006年6月に米国承認(日本未承認)のTipranavir(TPV)はPI耐性株に強力な高ウイルス活性を発揮する。Darunavirは多剤耐性など含めた広範囲のHIVに有効。DRVも多剤耐性に有効。

●    侵入阻害剤
 標的がウイルスでなく宿主側であり、その受容体・コンポーネントに接続する。なので耐性を獲得しにくいため抗ウイルス薬が無効なときでも効果を期待できる。TAK-652は安全性が確認されている。Vicriviroc/SCH-D、Maraviroc/UK-427は第3相臨床試験の段階。

●    インテグラーゼ阻害剤
 プロウイルスDNAの宿主細胞への組み込みに関与する、ウイルス由来のインテグラーゼを阻害。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索