国家試験直前特集 ? びまん性肺疾患最近の話題 (参照:内科学会雑誌)
2007年2月19日? 肺胞微石症
・ 肺胞の表面は、リン脂質を主成分とする表面活性物質に覆われている。古い表面活性物質は肺胞マクロファージによる消化される。
・ この疾患の<微石>はリン酸カルシウムからなり、肺胞に広範に蓄積し肺胞壁に炎症さらには線維化させる。しかも病態は進行性。小児期に発見され、中年以降に呼吸不全に。
・ 常染色体劣性遺伝であるものの遺伝子同定が行われていなかったが、最近になって責任遺伝子<SLC34A2>が同定された。これは?型肺胞上皮細胞に発現するリンの運搬蛋白をコードしていた。
・ この遺伝子はつまり肺胞腔内のイオン除去の役目があり、この遺伝子機能が障害されることで微石が生じる。
・ 確立された治療はないが、本態がリンの代謝異常であることから、肺胞内のリンイオン濃度低下をターゲットに治療を開発すべき。
・ 以前はカルシウムの代謝異常と言われていた。つまりそれ!間違いです!
? 肺胞蛋白症=PAP
・ 肺胞・呼吸細気管支内にサーファクタント(?型肺胞上皮細胞・クララ細胞で産生、9割がリン脂質)が貯留する。9割が特発性(I-PAP)で、原因物質は抗GM-CSF自己抗体である(つまり自己免疫疾患)。この抗体が血清中で陽性ならI-PAPと診断できる。
・ サーファクタントの量調節は?型肺胞上皮細胞と肺胞マクロファージとで行われているが、その代謝の均衡が崩れると(肺胞マクロファージの代謝能低下によって)大量のサーファクタントが蓄積する。
・ そもそも肺胞マクロファージの機能はGM-CSFで制御されている。これによる刺激が欠損すると肺胞マクロファージは十分に成熟できない。
・ I-PAPについて。30-50代で男女比2:1、症状は労作時呼吸困難・咳・痰・微熱。レントゲンは初期スリガラス、進行では融合影。CTでは初期スリガラス、進行例で多角形線状影も加わりメロン皮様の<crazy paving sign>を呈する。当然、感染症・癌など二次性の除外が必要。気管支鏡ではBALFで乳白色の外観・好酸性でPAS染色陽性の無構造物質蓄積など認め、TBLBでは肺胞腔内に好酸性でPAS染色陽性の無構造物質を認める。
・ I-PAPの治療としてGM-CSF療法があり皮下注入と吸入があるが本邦では吸入が試みられている。
? リンパ脈管筋腫症=LAM
・ 平滑筋細胞様の形態を示すLAM細胞が体軸リンパ系・肺に不連続病変を形成。
・ 妊娠可能年齢の女性に認め、肺病変が進行すれば肺移植を要する。
・ TSC(結節性硬化症:全身臓器に過誤腫を発生)の部分病変として認めるタイプ=TSC-LAMと、そうでないタイプ(TSCの基準満たさず=Sporadic LAM)に分かれる。
・ そもそもTSC遺伝子は癌抑制遺伝子でありTSC-1とTSC-2の2つある。LAMはいずれかの機能不全によるものと考えられ、癌抑制遺伝子症候群の1つに数えられる。
・ 本疾患ではLAM細胞の集塊=LAM細胞クラスター=LCCが形成され、リンパ管新生も手伝ってリンパ流⇔静脈系との往来が起こり、体軸リンパ系・肺内に病変を不連続に形成する。
? びまん性汎細気管支炎=DPB
・ 両側びまん性の呼吸細気管支の慢性炎症。男≒女で発症年齢様々で40-50歳代ピーク。
・ 症状は労作時呼吸困難・咳・膿痰+高率に副鼻腔炎合併。閉塞性呼吸機能障害。
・ 治療はマクロライド療法=エリスロマイシン少量長期療法で改善。
・ 多因子疾患と呼ばれ、何らかの環境要因とそれに感受性の遺伝子要因との相互作用で発症すると考えられている。最近疾患の頻度は減少しており、環境要因の変化との関連が考えられている。
・ 発症には人種特異性があり東アジア系に集積。日本人ではHLA-B54抗原との関連、韓国人ではHLA-A11抗原との関連が強い。これよりHLA-AとHLA-B遺伝子座の間に疾患感受性を規定している遺伝子が存在すると考えられている。
? 特発性肺線維症=IPFの新治療薬
・ IFN-r ・・ 活性化Th1細胞により産生される、細胞性免疫の活性化因子。線維芽細胞の増殖を抑制しコラーゲン産生を抑制。IPFではIFN-rが欠乏しTGF-β1の発現が増加していることから治療の応用が考えられた。しかし悪化例も存在することもあり、安全性についても確立すべきである。欧米ではこれを踏まえて軽・中等症例で臨床試験中。
・ Nアセチルシステイン=NAC ・・ 喘息・慢性気管支炎で使用している吸入薬。97年に抗酸化作用が注目され、高容量使用にて肺線維症での血・気道内のグルタチオンが増加し、症状・呼吸機能も改善した(欧州)。補助的治療として有効性が期待。本邦では臨床試験が実施中。
・ ピルフェニドン ・・ ピリドン構造を有する低分子化合物。抗線維化作用があり本邦で臨床試験中。副作用が軽度との評判。
・ 肺胞の表面は、リン脂質を主成分とする表面活性物質に覆われている。古い表面活性物質は肺胞マクロファージによる消化される。
・ この疾患の<微石>はリン酸カルシウムからなり、肺胞に広範に蓄積し肺胞壁に炎症さらには線維化させる。しかも病態は進行性。小児期に発見され、中年以降に呼吸不全に。
・ 常染色体劣性遺伝であるものの遺伝子同定が行われていなかったが、最近になって責任遺伝子<SLC34A2>が同定された。これは?型肺胞上皮細胞に発現するリンの運搬蛋白をコードしていた。
・ この遺伝子はつまり肺胞腔内のイオン除去の役目があり、この遺伝子機能が障害されることで微石が生じる。
・ 確立された治療はないが、本態がリンの代謝異常であることから、肺胞内のリンイオン濃度低下をターゲットに治療を開発すべき。
・ 以前はカルシウムの代謝異常と言われていた。つまりそれ!間違いです!
? 肺胞蛋白症=PAP
・ 肺胞・呼吸細気管支内にサーファクタント(?型肺胞上皮細胞・クララ細胞で産生、9割がリン脂質)が貯留する。9割が特発性(I-PAP)で、原因物質は抗GM-CSF自己抗体である(つまり自己免疫疾患)。この抗体が血清中で陽性ならI-PAPと診断できる。
・ サーファクタントの量調節は?型肺胞上皮細胞と肺胞マクロファージとで行われているが、その代謝の均衡が崩れると(肺胞マクロファージの代謝能低下によって)大量のサーファクタントが蓄積する。
・ そもそも肺胞マクロファージの機能はGM-CSFで制御されている。これによる刺激が欠損すると肺胞マクロファージは十分に成熟できない。
・ I-PAPについて。30-50代で男女比2:1、症状は労作時呼吸困難・咳・痰・微熱。レントゲンは初期スリガラス、進行では融合影。CTでは初期スリガラス、進行例で多角形線状影も加わりメロン皮様の<crazy paving sign>を呈する。当然、感染症・癌など二次性の除外が必要。気管支鏡ではBALFで乳白色の外観・好酸性でPAS染色陽性の無構造物質蓄積など認め、TBLBでは肺胞腔内に好酸性でPAS染色陽性の無構造物質を認める。
・ I-PAPの治療としてGM-CSF療法があり皮下注入と吸入があるが本邦では吸入が試みられている。
? リンパ脈管筋腫症=LAM
・ 平滑筋細胞様の形態を示すLAM細胞が体軸リンパ系・肺に不連続病変を形成。
・ 妊娠可能年齢の女性に認め、肺病変が進行すれば肺移植を要する。
・ TSC(結節性硬化症:全身臓器に過誤腫を発生)の部分病変として認めるタイプ=TSC-LAMと、そうでないタイプ(TSCの基準満たさず=Sporadic LAM)に分かれる。
・ そもそもTSC遺伝子は癌抑制遺伝子でありTSC-1とTSC-2の2つある。LAMはいずれかの機能不全によるものと考えられ、癌抑制遺伝子症候群の1つに数えられる。
・ 本疾患ではLAM細胞の集塊=LAM細胞クラスター=LCCが形成され、リンパ管新生も手伝ってリンパ流⇔静脈系との往来が起こり、体軸リンパ系・肺内に病変を不連続に形成する。
? びまん性汎細気管支炎=DPB
・ 両側びまん性の呼吸細気管支の慢性炎症。男≒女で発症年齢様々で40-50歳代ピーク。
・ 症状は労作時呼吸困難・咳・膿痰+高率に副鼻腔炎合併。閉塞性呼吸機能障害。
・ 治療はマクロライド療法=エリスロマイシン少量長期療法で改善。
・ 多因子疾患と呼ばれ、何らかの環境要因とそれに感受性の遺伝子要因との相互作用で発症すると考えられている。最近疾患の頻度は減少しており、環境要因の変化との関連が考えられている。
・ 発症には人種特異性があり東アジア系に集積。日本人ではHLA-B54抗原との関連、韓国人ではHLA-A11抗原との関連が強い。これよりHLA-AとHLA-B遺伝子座の間に疾患感受性を規定している遺伝子が存在すると考えられている。
? 特発性肺線維症=IPFの新治療薬
・ IFN-r ・・ 活性化Th1細胞により産生される、細胞性免疫の活性化因子。線維芽細胞の増殖を抑制しコラーゲン産生を抑制。IPFではIFN-rが欠乏しTGF-β1の発現が増加していることから治療の応用が考えられた。しかし悪化例も存在することもあり、安全性についても確立すべきである。欧米ではこれを踏まえて軽・中等症例で臨床試験中。
・ Nアセチルシステイン=NAC ・・ 喘息・慢性気管支炎で使用している吸入薬。97年に抗酸化作用が注目され、高容量使用にて肺線維症での血・気道内のグルタチオンが増加し、症状・呼吸機能も改善した(欧州)。補助的治療として有効性が期待。本邦では臨床試験が実施中。
・ ピルフェニドン ・・ ピリドン構造を有する低分子化合物。抗線維化作用があり本邦で臨床試験中。副作用が軽度との評判。
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