□    マクロライド系
 抗菌作用だけでなく免疫調節機構もあることは、DPBの治療効果からも明確である。本剤は呼吸器組織への移行が極めて良く、投与4時間後には肺濃度が著明に上昇する。起炎菌不明の場合βラクタム+本剤の使用がよく行われるが、それはマクロライドが非定型肺炎の病原体をカバーできるという意味だけではなく、実際併用のほうが(肺炎球菌性肺炎の)予後が良かったというエビデンスからでもある。データ上は、肺炎球菌の8割はマクロライド耐性(培養での感受性試験上)とはいうものの、実際の臨床効果とは事情が異なるようだ。

□    キノロン系
 キノロン系で特に肺炎球菌に活性を高めたのがレスピラトリーキノロンという。キノロン系は濃度依存性であり、1回投与量の多さがものをいう。内服の消化管吸収が良く、また抗菌スペクトルが広いのはメリットだが、耐性菌出現避けるためにも頻用は慎むべきである。また本剤には抗結核作用もあり、培養提出前の治療だと(結核患者の場合)結果がマスクされてしまう可能性もある。

□    βラクタム系
 時間依存性であり、つまり菌のMICを超える血中濃度の持続が長いほど有効である(時間依存性)。

□    グリコペプチド系
 MRSA治療薬(バンコマイシン、テイコプラニン)があり、時間依存性だが呼吸器系への移行は必ずしもよくなく、バンコマイシンでは1/5~1/3程度。血中濃度のモニタリングは重要で、テイコプラニンは安全域が広いのが特徴。

□    オキサゾリジノン系
 2006年4月から<リゾネリド>が認可。従来はVREに対しての使用だったがMRSAへの適応も認可。従来の抗MRSA剤に比べて呼吸器への組織移行性が非常に良好で腎障害への投与量の配慮が不要。

□    リンコマイシン系
 代表例のクリンダマイシンはなにも嫌気性菌だけでなく肺炎球菌・ブドウ球菌などにも効果はある。しかしインフルエンザ桿菌・モラクセラカタラーリスには効果ない。意外だがMRSAで感受性を示すことがあり有用なこともある。

□    アミノグリコシド系
 主に院内肺炎の際、緑膿菌などグラム陰性桿菌をターゲットにしてβラクタム系との併用で使用される。単剤での組織移行性は良くないので、単独での使用は推奨されない。

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