□    病原性大腸菌性腸炎 

・    腸管出血性大腸菌(EHEC)=O-157、腸管病原性大腸菌(EPEC)、腸管侵入性大腸菌(EIEC)、毒素原性大腸菌(ETEC)腸管付着性大腸菌(EAEC)による腸炎の総称。
・    症状の典型は下痢・腹痛・血便であるが重症化した場合は溶血性尿毒症症候群=HUSとなり死亡する例もある。
・    HUSの特徴としては血小板減少、溶血性貧血、尿量減少、血尿、蛋白尿、意識障害がある。確定診断は便(培養・PCR・ELISA)、分離、VeroToxin(VT)遺伝子、VT抗原、血清中のLPSに対するIgM抗体の検出など。
・    EHECの1割がHUSに移行し、そのうち3%が死亡する。
・    治療は抗生剤の経口投与で、小児ではFOM・NFLX・KM、成人ではニューキノロン・FOM。通常3-5日で菌消失。症状安定2-3日後でも悪化あり注意。

□    サルモネラ腸炎

・    家畜の腸管内で常在菌として存在すること多い。鶏卵関連食品の関与が増加。本腸炎はSalmonella Enteritidisによる経口感染。潜伏期8-72時間で発症ピーク12-24時間。
・    症状は悪心・嘔吐で初発→数時間後に腹痛・下痢(水様〜粘血便)。発熱は中等度〜高度。脱水・菌血症などに重症化しやすい。検査では白血球の程度に比しCRP高度。
・    抗菌剤はABPC・FOM・3代セフェム・ニューキノロンが有効。ただし症状が改善しても排菌が続くことあり(平均4-5週間)。

□    ビブリオ性腸炎

・    グラム陰性桿菌(海水細菌)で増殖が速い。生鮮魚介類の摂取から発症し、潜伏期12時間程度が多いが潜伏期短いほど症状は重篤。
・    症状は激しい腹痛、水様下痢ときに粘血便、発熱。
・    抗菌剤はニューキノロンが第一選択で、次にFOMあるいはDOXYを使用。

□    エルシニア腸炎

・    通性嫌気性グラム陰性桿菌で、Y.Ent(豚肉。まれにペット) = Yersinia enterocolitica , Y.Pstb(井戸水) = Yersinia pseudotuberculosisによる感染。
・    小児での症状は発熱・嘔気・嘔吐・腹痛・下痢など、まれに川崎病症状。自然傾向強い。
・    成人での症状は右下腹部痛が特徴(回盲部病変)。つまり虫垂炎との鑑別要する。
・    診断は菌の分離(便・生検・血液・リンパ節)、培養、血清抗体価。
・    軽症は対症療法、重症ではニューキノロンかアミノグリコシド。

□    キャンピロバクター腸炎

・    グラム陰性桿菌おもにCampylobacter jejuniによる感染。牛・豚・鶏・犬・猫などに保菌されていて、中でも汚染水・鶏肉の経口摂取によることが多い。
・    潜伏期は2-5日が多く長め。
・    先行症状として発熱・頭痛・背部痛・めまい・悪寒があるほか、下痢(腐敗臭・胆汁色)、2-3日で解熱する発熱、腹痛、血便、嘔吐、まれにギランバレー合併。
・    中等症以上ではマクロライド系かFOM投与。ペニシリン・セフェム系は無効。

□    偽膜性腸炎

・    Clostridium difficileの産生する毒素(toxinA と toxinB)による感染。
・    これまで原因としては広域スペクトラム抗生物質による腸内細菌叢の撹乱とされていたが、抗生剤使用なしでも発症があったりで再燃例もあり不明瞭な点もある。
・    好発部位は直腸〜S状結腸であり症状は下痢・腹痛・発熱。
・    治療はバンコマイシン経口投与が行われるがMTZ使用されることもあり。

□    アメーバ性腸炎

・    Entamoeba histolyticaの成熟嚢子の経口摂取で感染。
・    症状は下痢・腹痛・イチゴゼリー状粘血便・しぶり腹。数日・数週間間隔で寛解と増悪を繰り返す。
・    成人男性に多く、必ずしも海外渡航・居住歴あるとは限らない(同性愛者・AIDSで増加)。
・    好発部位は直腸〜S状結腸主体。
・    診断は顕微鏡検査と大腸組織検査で栄養型虫体を証明する。
・    治療の第一選択はMTZ。治癒後も嚢子の検出ありうる。補助的にTC併用することもあり。

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