だるいやつら ? 大激突!交通渋滞波高し!
2007年2月28日ブウウ・・・と走っていた車は、やがて渋滞に引っかかった。大阪全般でいえることだが、渋滞に巻き込まれたら逃げ道などたいてい、ない。
「どあるる・・・君ら、メシは食ったのか?」
「ええ!僕は、済みました!事務長差し入れの分は、多少残ってますが!」
「おにぎりは何が残って・・げげ!シーチキンマヨネーズか!オレの嫌いな!」
おにぎり2個、ソーセージを食う。お茶。そんで、終わり。あとは<各自>とのことらしい。こういう仕事をして、コンビニに依存することが多くなった。いつでも空いてるし、何が欲しいか分かりやすい。うまいかどうかは、二の次だ。そのせいか味が単調になってしまって、濃いもの+水分+早食いで腹いっぱいになればいいという、妙な依存症ができてしまった。組み合わせとしてはたいてい、<売れ残った弁当>+<2リットルお茶>+<ナースらへの差し入れ菓子2つほど>+<(エロでない)雑誌>+<朝用の細長パン>+<レジ近くのおでん・コロッケ:差し入れ用>がお約束となる。
とても、患者に指導できる食生活ではない。
「ふう〜食った食った。事務長に報告するか」
オンフックで連絡。
『はい品川です!』
「おい事務長!3件目はちょっと困ったこ・・」
『ただいま留守にしております。ご用のある方・・』
「どある。紛らわしい留守電しやがって!」
切る。
「ふんが〜ぐおお〜」だんだん大きくなる、ナースのいびき。呼吸がときに止まりかける。
「ん?ひょっとしてサス(SAS=睡眠時無呼吸)か?」
「ぐおおお〜・・・・(無音)・・・がっ!ごお〜」
「蝶のように舞い・・」右手を蝶のように羽ばたかせる。
「ぐがあ〜」
「ハチのように・・・」尖った手を、肩めがける。「サス!」
「ぐがっ!ふわあ!びっくらこいた!」やっと起きた。
「次の患者の予習。せんでもいいのか?」
「次の?はいはいはい」
カルテを出す。今日の朝、依頼があった患者。高齢男性。当院には2回ほど入院歴があるものの、詳細が分からない。かなり昔の話で、カルテは5年前以上のは破棄されている。せめてメモ1枚でもいいから申し送り事項を残して欲しいものだ。
「なんで入院したんかは分からんけど、おなかの調子が悪いって」
「こういう人を、早めに診るべきだよな・・・もうちょっとかかるなら、いったん電話してみるか?田中くん!」
「ん〜!」彼は冷や汗をかいていた。
「どした?トイレか?」
「あれそうだよな。そうだよな・・・!」
バックミラーを気にしている。
「何?」後ろを見るが、分からない。
「見えたんですよ。早く進まないと」3車線の真ん中、両側に隙あらばと追い越しにかかる。
「おいおい。あちこち車線、かえんなよ?」
「ちょっと!気になって!あ、今見えた!後ろ!」
「なにが?なにがだよ?」
「三輪車!」
「三輪車?どっかの子供が紛れたか?」
振り向いた。すると・・・
「あの車!」思わず叫んだ。
「でしょ先生!」
「また三輪トラックだ!同じか?」
「しし、知りません!」
トラックが、ぐいぐいと車間を詰めてくる。そして・・・
ファアアアアアアアン!とホーンのような汽笛が鳴る。
「うわ!うるさあ!おい窓!」
「閉めます閉めます!」事務員はドアを下にスライド。
「来た来た来た!」トラックは、ぶつかり必至の形相だ。
「くそ!どけよ!おいどけ!」田中君は無理に突っ込もうと慌てていた。
「なんやもう?うるさいでアンタら」ナースは寝そべったまま答えた。
「中野さん!ベルトしとったほうがいいぞ!」
もう1回、電話。
『はい品川です!』
「事務長!早口で言うぞ!トラックに追われている!渋滞してる国道だ!ぶつけられる!」
『ただいま留守に・・』
「くそっ!貴様はどこに行ってんだ!」
おばさんナースは、くわあっと伸びをした。
「ホンマにアホなお二人さんやねえ!ふげふげ」
「何が!脅迫の電話の通りだ!」僕は空いてる空間を左右探した。
「サイレン出したらええやないんけ?」
「う?」
確かに、な・・・!
「田中くん!」
「そうでしたね!あまりに単純すぎて、分からなかった!」
頭上のボタンを、ポチっと押す。航空機の気分だ。
サイレンスイッチ押して、サイレン強弱スイッチに、赤色灯・マイクスイッチ・・などを調節!
イイ〜ポ〜イイイイポオオオ!イイ〜ポ〜イイイイイポオオオ!
反響音伴い、高らかに鳴るサイレン音。同時にビビッたように、横の車が斜め外側に離れていく。
「よしよし!」田中君はローのままアクセルをふかした。
「げっ!追ってくる!」
「いけいけ!」
「前は大交差点だ!見てるよな?まだ青だ青!」
「だれがアホですか!」
彼は過換気を押し殺しつつ、速度を上げた。しかし、敵はピタッとひっついている。
パアアアポオオオオオパアアポオオ、というサイレンが鼓動をよりハイにする。
田中君はギアを一気に切り替えた。
「いきますよ!」
「ああ!早く行ってくれ!」
「うっ!」彼は我慢したように、いきなりブレーキを押した。
「うがあ!」「ふげえ!」
車の中の点滴類、棒や弁当など、あらゆるものが崩れ落ちた。
「た!田中くん!何やってんだよ!もしくはナニか?」
「・・・・・」
「つつ!追突される!」
「イエア!」グオオオン、と車は引っ張られるようにダッシュした。
「うわ!なんだ?」両側、勢いよく横から向かってくる車両ら。
なんとかぶつからず、僕らは脱出できた。
あまりの脱力で、点滴の山の上に寝そべる。
「ふうう。ひいい。なんてムチャクチャな運転なんだ?」
「やった!まいた!やったぞ!」事務員は片手を挙げた。
「何が起こったのか。さっぱり・・」
「赤信号の手前で飛び出す!ビバリーヒルズ青春なんちゃらですよ!」
「どある。それは<ビバリーヒルズ・コップ>だろ?」
しかし、なぜ俺たちの行き先が・・やっぱり行程メモを取られたせいなのだろう。
いったい、どんな恨みがあるというのだ・・・。
「どあるる・・・君ら、メシは食ったのか?」
「ええ!僕は、済みました!事務長差し入れの分は、多少残ってますが!」
「おにぎりは何が残って・・げげ!シーチキンマヨネーズか!オレの嫌いな!」
おにぎり2個、ソーセージを食う。お茶。そんで、終わり。あとは<各自>とのことらしい。こういう仕事をして、コンビニに依存することが多くなった。いつでも空いてるし、何が欲しいか分かりやすい。うまいかどうかは、二の次だ。そのせいか味が単調になってしまって、濃いもの+水分+早食いで腹いっぱいになればいいという、妙な依存症ができてしまった。組み合わせとしてはたいてい、<売れ残った弁当>+<2リットルお茶>+<ナースらへの差し入れ菓子2つほど>+<(エロでない)雑誌>+<朝用の細長パン>+<レジ近くのおでん・コロッケ:差し入れ用>がお約束となる。
とても、患者に指導できる食生活ではない。
「ふう〜食った食った。事務長に報告するか」
オンフックで連絡。
『はい品川です!』
「おい事務長!3件目はちょっと困ったこ・・」
『ただいま留守にしております。ご用のある方・・』
「どある。紛らわしい留守電しやがって!」
切る。
「ふんが〜ぐおお〜」だんだん大きくなる、ナースのいびき。呼吸がときに止まりかける。
「ん?ひょっとしてサス(SAS=睡眠時無呼吸)か?」
「ぐおおお〜・・・・(無音)・・・がっ!ごお〜」
「蝶のように舞い・・」右手を蝶のように羽ばたかせる。
「ぐがあ〜」
「ハチのように・・・」尖った手を、肩めがける。「サス!」
「ぐがっ!ふわあ!びっくらこいた!」やっと起きた。
「次の患者の予習。せんでもいいのか?」
「次の?はいはいはい」
カルテを出す。今日の朝、依頼があった患者。高齢男性。当院には2回ほど入院歴があるものの、詳細が分からない。かなり昔の話で、カルテは5年前以上のは破棄されている。せめてメモ1枚でもいいから申し送り事項を残して欲しいものだ。
「なんで入院したんかは分からんけど、おなかの調子が悪いって」
「こういう人を、早めに診るべきだよな・・・もうちょっとかかるなら、いったん電話してみるか?田中くん!」
「ん〜!」彼は冷や汗をかいていた。
「どした?トイレか?」
「あれそうだよな。そうだよな・・・!」
バックミラーを気にしている。
「何?」後ろを見るが、分からない。
「見えたんですよ。早く進まないと」3車線の真ん中、両側に隙あらばと追い越しにかかる。
「おいおい。あちこち車線、かえんなよ?」
「ちょっと!気になって!あ、今見えた!後ろ!」
「なにが?なにがだよ?」
「三輪車!」
「三輪車?どっかの子供が紛れたか?」
振り向いた。すると・・・
「あの車!」思わず叫んだ。
「でしょ先生!」
「また三輪トラックだ!同じか?」
「しし、知りません!」
トラックが、ぐいぐいと車間を詰めてくる。そして・・・
ファアアアアアアアン!とホーンのような汽笛が鳴る。
「うわ!うるさあ!おい窓!」
「閉めます閉めます!」事務員はドアを下にスライド。
「来た来た来た!」トラックは、ぶつかり必至の形相だ。
「くそ!どけよ!おいどけ!」田中君は無理に突っ込もうと慌てていた。
「なんやもう?うるさいでアンタら」ナースは寝そべったまま答えた。
「中野さん!ベルトしとったほうがいいぞ!」
もう1回、電話。
『はい品川です!』
「事務長!早口で言うぞ!トラックに追われている!渋滞してる国道だ!ぶつけられる!」
『ただいま留守に・・』
「くそっ!貴様はどこに行ってんだ!」
おばさんナースは、くわあっと伸びをした。
「ホンマにアホなお二人さんやねえ!ふげふげ」
「何が!脅迫の電話の通りだ!」僕は空いてる空間を左右探した。
「サイレン出したらええやないんけ?」
「う?」
確かに、な・・・!
「田中くん!」
「そうでしたね!あまりに単純すぎて、分からなかった!」
頭上のボタンを、ポチっと押す。航空機の気分だ。
サイレンスイッチ押して、サイレン強弱スイッチに、赤色灯・マイクスイッチ・・などを調節!
イイ〜ポ〜イイイイポオオオ!イイ〜ポ〜イイイイイポオオオ!
反響音伴い、高らかに鳴るサイレン音。同時にビビッたように、横の車が斜め外側に離れていく。
「よしよし!」田中君はローのままアクセルをふかした。
「げっ!追ってくる!」
「いけいけ!」
「前は大交差点だ!見てるよな?まだ青だ青!」
「だれがアホですか!」
彼は過換気を押し殺しつつ、速度を上げた。しかし、敵はピタッとひっついている。
パアアアポオオオオオパアアポオオ、というサイレンが鼓動をよりハイにする。
田中君はギアを一気に切り替えた。
「いきますよ!」
「ああ!早く行ってくれ!」
「うっ!」彼は我慢したように、いきなりブレーキを押した。
「うがあ!」「ふげえ!」
車の中の点滴類、棒や弁当など、あらゆるものが崩れ落ちた。
「た!田中くん!何やってんだよ!もしくはナニか?」
「・・・・・」
「つつ!追突される!」
「イエア!」グオオオン、と車は引っ張られるようにダッシュした。
「うわ!なんだ?」両側、勢いよく横から向かってくる車両ら。
なんとかぶつからず、僕らは脱出できた。
あまりの脱力で、点滴の山の上に寝そべる。
「ふうう。ひいい。なんてムチャクチャな運転なんだ?」
「やった!まいた!やったぞ!」事務員は片手を挙げた。
「何が起こったのか。さっぱり・・」
「赤信号の手前で飛び出す!ビバリーヒルズ青春なんちゃらですよ!」
「どある。それは<ビバリーヒルズ・コップ>だろ?」
しかし、なぜ俺たちの行き先が・・やっぱり行程メモを取られたせいなのだろう。
いったい、どんな恨みがあるというのだ・・・。
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