だるいやつら ? スタンド・バイ・ミー
2007年3月26日 国道沿いのエネオスで、給油。ナースはトイレ、僕は待合室で病棟へ問い合わせ。
「・・そっか。医長がしてくれたか。わかったわかった。じゃね」
電話を切り、腕時計を確認。
「5時か・・・」
本来なら5時が終了となっていたが、人手が少ない中でもあり不満など言える状況ではなかった。少ないというか・・人手というのは、増えると必ずシステムへの足手まといが出る。これは必ず個人(サボリ魔)を指すのではなく、何かこう・・・変な仲間内ができたり陰謀・分裂・格差・極端にはいじめなどがでてきたり・・・そういったシステムへの支障が出てくる。
人間関係というのは1つの化学反応だ。接触というのは生産的なものではあるが、その過程でストレスという副産物を生むこともある。医療関係では特に、この化学反応が命令系統から始まることに関連する。ストレスは自然には解消されることはなく、人間の本能的な解消で自然と置き換えられる。しかしこういった職場ではなかなか置き換えが難しい。そのため思わぬ形でシステムに害(故意のミス・いじめなど)を及ぼすことがある。その害はたいてい過労あるいは人間関係の破綻がきっかけになっている。
不思議とそれは忙しいときでなく、歯車に<遊び>が生じたときに起こりやすい。忙しいときでもそのストレスは<達成感>で解消されるが、遊びがあればどこかに惰性が生じ、それが未消化なストレスを生んでしまう。
いまさら思うが、うちの事務長はそこをよく分かっていた。限界の1歩手前で各システムを制御し、少人数で成果(達成感)をあげていた。やはりアイツは<孔明>だ。
なのでこういった職場は、「あと1人いたらちょうど」のほうが戦果をあげられる。
窓の外、田中君がドクターカーの横で何か貼り付けている。
「なにやってんの?」
「あ。事務長の命令で」
「紙?」
彼は不器用にノートをバリバリ破り、数枚ずつ車の横にガムテープで貼り付けていた。
どうやら<真田病院>の字を消しているようだ。
「おいおい。カッコ悪いことすんなよ?」
「だって。隠すにはこうするしか」
「隠すのは。なんで?」
「事務長の命令で・・」
「病院名を知られたら、まずいのか?」
スタンドの職員が割り込み、料金計算。
外は夕焼けとなり、FMラジオが呑気に鳴る。
僕はちょっとだけ歌をなぞった。
「♪あなたを、おもうままっ、う〜ぅう!」
「はい!はい!」田中君は空を見上げて電話に出ていた。
「♪かぜのね、が!きこえるうぅうううう!」
「マジですか?」
「?」
彼は頼りなく、電話をたたんだ。
「先生。ナースはここまででいいって」
「?オレと君で行くのか?」
「ええ」
「訪問診療だぞ?ナースがいなかったら点数が」
「点数より、安全が大事です」
「じゃ、オレはいいのか・・・」
「女性はね」
その女性が、カバのような大きな口を開けて出てきた。
「ふんがあぁぁぁぁ!ふわい!ああねむ!」
田中君は彼女に駆け寄り、事情を耳打ちした。
「・・・でして」
「ほおお!そっか。へえ!なんて?」
「ちゃんと聞いてよ!・・・」
「ふんふん。じゃ、帰ってええんやね?」
「お疲れ様でした」
僕はうらめしそうに、助手席に乗り込んだ。
「あのオバサンの笑顔。今日初めて見た・・・」
「タクシーは呼びましたんで。行きましょうか」田中君はクラッチを踏んだ。
うれしそうに、ナースは手を振っていた。
僕は窓を開け・・・
「おい!これ!」
缶コーヒーを差し出した。
「うわあ!いる!いる!」
手を振っていたナースは中断、即座に走ってきた。おかげで近くの車が急ブレーキをかけた。だがものともしない。
「いるいる!」
ドクターカーは国道スレスレ前で立ち止まった。
息切れして追いついたナースに僕は・・・
「すまんが。捨てといて」
「から?」
ブウーン、と車は合流に入った。
渋滞を、サイレンで蹴散らしていく。
「田中くん。いいのか?」
「特権です。それに急ぐ必要が」
「なんだよ。言えよ・・・」
「私はあくまでも、上の指示に従っているわけでして」
「上?じゃあオレは・・どこ?」
「は?」
「こんなこと聞きたくないけど。オレはどの位置?」
「え?先生・・?」
「そうだよ。オレの命令はダメってことか?」
「そうだな。先生は・・・」
しばらく沈黙が続いた。
何かひらめいたように、彼は数センチ背伸びした。
「上でもないし、かといって下でないともいえます」
「どおおある!つまり<中>かよ?」
「チュウ・・」
「♪ト〜ムトムトムニャア〜ゴ!ジェリー!ジェリー!アライチュウ!(わき腹へ地獄突き)」
「いたっ!やめてくださいよ!」
「♪医者に事務員噛み付いた〜アベコベ、だ肩たたき!」
「縁起悪いことを!」
「♪イーシャだって生きものさ!ジームだって連邦さ!」
「ジム?」
「♪イーシャ、とジム!なっかよっくテンカ(転嫁)しな!サム!」
チャーチャーチャーチャー(極寒)!
「・・そっか。医長がしてくれたか。わかったわかった。じゃね」
電話を切り、腕時計を確認。
「5時か・・・」
本来なら5時が終了となっていたが、人手が少ない中でもあり不満など言える状況ではなかった。少ないというか・・人手というのは、増えると必ずシステムへの足手まといが出る。これは必ず個人(サボリ魔)を指すのではなく、何かこう・・・変な仲間内ができたり陰謀・分裂・格差・極端にはいじめなどがでてきたり・・・そういったシステムへの支障が出てくる。
人間関係というのは1つの化学反応だ。接触というのは生産的なものではあるが、その過程でストレスという副産物を生むこともある。医療関係では特に、この化学反応が命令系統から始まることに関連する。ストレスは自然には解消されることはなく、人間の本能的な解消で自然と置き換えられる。しかしこういった職場ではなかなか置き換えが難しい。そのため思わぬ形でシステムに害(故意のミス・いじめなど)を及ぼすことがある。その害はたいてい過労あるいは人間関係の破綻がきっかけになっている。
不思議とそれは忙しいときでなく、歯車に<遊び>が生じたときに起こりやすい。忙しいときでもそのストレスは<達成感>で解消されるが、遊びがあればどこかに惰性が生じ、それが未消化なストレスを生んでしまう。
いまさら思うが、うちの事務長はそこをよく分かっていた。限界の1歩手前で各システムを制御し、少人数で成果(達成感)をあげていた。やはりアイツは<孔明>だ。
なのでこういった職場は、「あと1人いたらちょうど」のほうが戦果をあげられる。
窓の外、田中君がドクターカーの横で何か貼り付けている。
「なにやってんの?」
「あ。事務長の命令で」
「紙?」
彼は不器用にノートをバリバリ破り、数枚ずつ車の横にガムテープで貼り付けていた。
どうやら<真田病院>の字を消しているようだ。
「おいおい。カッコ悪いことすんなよ?」
「だって。隠すにはこうするしか」
「隠すのは。なんで?」
「事務長の命令で・・」
「病院名を知られたら、まずいのか?」
スタンドの職員が割り込み、料金計算。
外は夕焼けとなり、FMラジオが呑気に鳴る。
僕はちょっとだけ歌をなぞった。
「♪あなたを、おもうままっ、う〜ぅう!」
「はい!はい!」田中君は空を見上げて電話に出ていた。
「♪かぜのね、が!きこえるうぅうううう!」
「マジですか?」
「?」
彼は頼りなく、電話をたたんだ。
「先生。ナースはここまででいいって」
「?オレと君で行くのか?」
「ええ」
「訪問診療だぞ?ナースがいなかったら点数が」
「点数より、安全が大事です」
「じゃ、オレはいいのか・・・」
「女性はね」
その女性が、カバのような大きな口を開けて出てきた。
「ふんがあぁぁぁぁ!ふわい!ああねむ!」
田中君は彼女に駆け寄り、事情を耳打ちした。
「・・・でして」
「ほおお!そっか。へえ!なんて?」
「ちゃんと聞いてよ!・・・」
「ふんふん。じゃ、帰ってええんやね?」
「お疲れ様でした」
僕はうらめしそうに、助手席に乗り込んだ。
「あのオバサンの笑顔。今日初めて見た・・・」
「タクシーは呼びましたんで。行きましょうか」田中君はクラッチを踏んだ。
うれしそうに、ナースは手を振っていた。
僕は窓を開け・・・
「おい!これ!」
缶コーヒーを差し出した。
「うわあ!いる!いる!」
手を振っていたナースは中断、即座に走ってきた。おかげで近くの車が急ブレーキをかけた。だがものともしない。
「いるいる!」
ドクターカーは国道スレスレ前で立ち止まった。
息切れして追いついたナースに僕は・・・
「すまんが。捨てといて」
「から?」
ブウーン、と車は合流に入った。
渋滞を、サイレンで蹴散らしていく。
「田中くん。いいのか?」
「特権です。それに急ぐ必要が」
「なんだよ。言えよ・・・」
「私はあくまでも、上の指示に従っているわけでして」
「上?じゃあオレは・・どこ?」
「は?」
「こんなこと聞きたくないけど。オレはどの位置?」
「え?先生・・?」
「そうだよ。オレの命令はダメってことか?」
「そうだな。先生は・・・」
しばらく沈黙が続いた。
何かひらめいたように、彼は数センチ背伸びした。
「上でもないし、かといって下でないともいえます」
「どおおある!つまり<中>かよ?」
「チュウ・・」
「♪ト〜ムトムトムニャア〜ゴ!ジェリー!ジェリー!アライチュウ!(わき腹へ地獄突き)」
「いたっ!やめてくださいよ!」
「♪医者に事務員噛み付いた〜アベコベ、だ肩たたき!」
「縁起悪いことを!」
「♪イーシャだって生きものさ!ジームだって連邦さ!」
「ジム?」
「♪イーシャ、とジム!なっかよっくテンカ(転嫁)しな!サム!」
チャーチャーチャーチャー(極寒)!
コメント