だるいやつら ? RUN
2007年5月2日 <弟>を寝かせ、モニター越しに僕は外の夜景を見た。といっても明るさは全くない。
うちの病院は、一体何をしているのか。家の電話を拝借したが、病院は当直じいさんだけで、事務長や他の医師にもつながらない。
「うっ?」
モニターで時々、連発の不整脈が出る。点滴ルートだけは確保し、もしもに備えた。
「あれは・・・」
真っ暗な市街地、回りながら反射している赤い光。巡回のパトカーの可能性もあるが。
「来たか!」
モニターをキョロキョロ振り向きながら、窓をいっぱいに開けて下の道路を覗き込んだ。
「こっち来いよこっち来いよ・・よし!」
やはりドクターカーだった。天井が無残にへこんでおり、両サイドのランプだけが張り切って光っている。
「田中!お〜い田中!」
「あ!はい!」開けっぱなしの窓から、彼が叫んだ。家の前で停車。
「るさいぞボケ!」などと近所からいくつか聞こえたが、どうでもよかった。
「どこ行ってた!まいいや。急いで運ぼう!」
「みんな来てますよ先生!あっちに!」
「?ここまで来てくれないのか?」
「い、いや。僕が先生と患者さんを乗せてからと思って」
「今さら手柄なんか・・・!上がってくれ!」
僕と事務員はタンカをかかえ、眠ってる息子をゆっくりと乗せた。
母親は部屋の中の道を開けるため、部屋の荷物を片寄せた。
「あんた。ネクタイしとるな。事務員か!そうやな!」
「え?あはい。そうですが」
「覚えとるか5年前!冷たくわしらをゴミのようにあしらって!」
「5年前・・・?いや、そのときは私はまだ」
「いいや!確か、あんたや!ネクタイしとった!」
「ネクタイ事務員は、他にも何人かいますし・・・!」
おそろおそる、ゆっくり階段を降りる。足で頼りなく段をさぐる。
冷やかな空気の中、やっとこさストレッチャーに乗せれた。
僕は真横につき、事務員は運転席に座った。
母親は、まだ乗ろうとしない。
「ふむ。じゃ、毛布とか用意せんとな!」
「そんなヒマ、ないです!」僕はモニターなどセットしながら叫んだ。
背後にまぶしい光を感じ、振り向いた。
「あ?」
ドルルルル・・・と獰猛なエンジン音が、気合い一杯かかった。
「しまった!まだいた!田中!出せ!」
言うまでもなく、彼はギギギ!とギアを切り替えて急発進した。
背後から殺気がよぎった。
田中君は手当たりしだいで、角という角を曲がり始めた。
「揺れますよ!患者さんの脈は!」
「速めだが・・・これ以上速くならなけり・・!」
揺れたとたん、大きな道具木箱が患者の胸の上に直撃した。
「たあっ!」
「うわっおい!ごめん!」思わず謝った。
彼は手で払いのけたが、かなりの激痛だったはずだ。
モニターの脈が増えだす。期外収縮が増えてきた。
「いかん。いったん止めてくれ田中くん!注射を追加せんと!」
「やられますよ!朝のスタッフらみたいに!」
「殺しはせんだろう?」
狭い四つ角を右折、案の定右の放置自転車が車と電柱の間でドカンと大破した。近くの棒立ち住人が散らばった。
思わず腹で、ベッドを壁に押し付ける。
「マジで止まれ!」
「もうすぐ、まっすぐになりますから!」
何度かハンドルを切りかえると、左折後に直線の一車線道路に出た。
うちの病院は、一体何をしているのか。家の電話を拝借したが、病院は当直じいさんだけで、事務長や他の医師にもつながらない。
「うっ?」
モニターで時々、連発の不整脈が出る。点滴ルートだけは確保し、もしもに備えた。
「あれは・・・」
真っ暗な市街地、回りながら反射している赤い光。巡回のパトカーの可能性もあるが。
「来たか!」
モニターをキョロキョロ振り向きながら、窓をいっぱいに開けて下の道路を覗き込んだ。
「こっち来いよこっち来いよ・・よし!」
やはりドクターカーだった。天井が無残にへこんでおり、両サイドのランプだけが張り切って光っている。
「田中!お〜い田中!」
「あ!はい!」開けっぱなしの窓から、彼が叫んだ。家の前で停車。
「るさいぞボケ!」などと近所からいくつか聞こえたが、どうでもよかった。
「どこ行ってた!まいいや。急いで運ぼう!」
「みんな来てますよ先生!あっちに!」
「?ここまで来てくれないのか?」
「い、いや。僕が先生と患者さんを乗せてからと思って」
「今さら手柄なんか・・・!上がってくれ!」
僕と事務員はタンカをかかえ、眠ってる息子をゆっくりと乗せた。
母親は部屋の中の道を開けるため、部屋の荷物を片寄せた。
「あんた。ネクタイしとるな。事務員か!そうやな!」
「え?あはい。そうですが」
「覚えとるか5年前!冷たくわしらをゴミのようにあしらって!」
「5年前・・・?いや、そのときは私はまだ」
「いいや!確か、あんたや!ネクタイしとった!」
「ネクタイ事務員は、他にも何人かいますし・・・!」
おそろおそる、ゆっくり階段を降りる。足で頼りなく段をさぐる。
冷やかな空気の中、やっとこさストレッチャーに乗せれた。
僕は真横につき、事務員は運転席に座った。
母親は、まだ乗ろうとしない。
「ふむ。じゃ、毛布とか用意せんとな!」
「そんなヒマ、ないです!」僕はモニターなどセットしながら叫んだ。
背後にまぶしい光を感じ、振り向いた。
「あ?」
ドルルルル・・・と獰猛なエンジン音が、気合い一杯かかった。
「しまった!まだいた!田中!出せ!」
言うまでもなく、彼はギギギ!とギアを切り替えて急発進した。
背後から殺気がよぎった。
田中君は手当たりしだいで、角という角を曲がり始めた。
「揺れますよ!患者さんの脈は!」
「速めだが・・・これ以上速くならなけり・・!」
揺れたとたん、大きな道具木箱が患者の胸の上に直撃した。
「たあっ!」
「うわっおい!ごめん!」思わず謝った。
彼は手で払いのけたが、かなりの激痛だったはずだ。
モニターの脈が増えだす。期外収縮が増えてきた。
「いかん。いったん止めてくれ田中くん!注射を追加せんと!」
「やられますよ!朝のスタッフらみたいに!」
「殺しはせんだろう?」
狭い四つ角を右折、案の定右の放置自転車が車と電柱の間でドカンと大破した。近くの棒立ち住人が散らばった。
思わず腹で、ベッドを壁に押し付ける。
「マジで止まれ!」
「もうすぐ、まっすぐになりますから!」
何度かハンドルを切りかえると、左折後に直線の一車線道路に出た。
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