「自分がこのストーリーを開始したのが、約3年前・・・・この間に医療制度が大きく変化した」

<「ユウキと申します。よろしくお願いします」>

「病院を取り巻く側の制度としては、療養病棟の縮小・閉鎖への方向性、在宅医療への移行・・・国は医療費を抑制するため強硬な手段に出る」

<「国は、俺たちに何をさせようというのか・・?」>

「そのツケというか負担は、医療関係者へと回される。ちょうど役人の無駄遣いが・・国民に税金として回されるように」

ナレーション
≪作者の希望により、ニュース特番を編成。対話形式で進みます≫

『病院を取り巻く環境の変化。患者への負担もある。そして医療スタッフの負担。それが病院内部まで変えていくと?』
「イエス。主にはマスコミの責任もあるが、患者側、つまり国民側にも問題がある」
『国民の?それってモラルの低下?』
「そうだな。道徳的な問題が大いに関係する。国もいろいろ努力はしてきたようだ。生活習慣病や介護への取り組み・・」
『で、結果は?』
「身近なことから始めるはずが、まれにみる医療事故・ミスばかりが話題になってしまって、過剰な警戒心を植え付けてしまった。そもそも先行き見えない不景気で、国民が病気を予防したいとか長生きしたいとかいう、積極的な意思が生まれるはずがない」
『いい土台あってこそ、人間らしいQOLがある』
「そうだ。だがこれら行き場のない怒りは、実際には身近なものへと向かっている。身近な医療への不信、学校、家族・・・当然、モラル・士気は低下する。熱くなったな。水」

(2人、水を飲み数秒間をおく)

『では始めましょうか。<サンダル先生2部作>。これは・・』
「正確には間に<ナースサイド>を挟んだ3部作だ。最初に描かれていたストーリーは今となっては古い制度のもとのもので」
『臨床研修制度?』
「イエス。ご存知のように研修医は最初に各科をローテーションし、希望の科を選んでいく。だからといって、話の焼き直しはできない。そこで・・いっそのこと、研修医にこだわらない、ある程度の年数を経た現状での話にしたわけだ」
『ある程度経験のあるドクターの、生活そのものを描いてる?』
「そうだ。結果的にはドクターのかなりの割合を占める、民間病院での話になった」
『国公立は含まない?』
「ああ」
『ただ先生の場合、大学派遣ではない』
「そうだな。それは割合としては少ないかも。しかし今大学からのドロップアウトが増えている分参考になるんじゃないかな」
『大学を辞めていく人間が増える原因は・・』
「一方的な人事配置だろう。それは以前からあって当たり前のものではあった。たいていは意見の相違で辞めていく」
『最近は、研修医が病院を選べるから・・』
「そうだ。大学離れが簡単にできるようになった。とりあえず大学に籍を置く必要がなくなったからね」
『研修先の病院から大学病院へ戻るとしたら・・・覚悟が必要なの?』
「というか、おそらく研修医らはその研修先とやらで・・もう吹き込まれてる」
『オーマイ。その手があったか』
「ジーザス。僕のセリフを取るな!」

『まず<サンダル先生>を』
「車が変わってる。マーク?からGTRに変えた。まだ数年しか乗ってなかったが、車検を前に買い替えた。ローンでな」
『ローンだとしても、余裕が?』
「医者も民間に落ち着けば、給料は安定してくる。ただし最初の交渉が肝心だ。大学からの派遣なら文句はいえず<定額制>だが」
『交渉?』
「イエス。言えば長くなる。年俸にするか月額か・・交通費はどうか住居費は・・などなど。弱気で人がいいと、すぐつけこまれるので注意だ。チューイ!うおお〜ん」
『医師の給料の是非も問題になるね』
「マスコミは好きだな。だがこの職業、退職金の保証がほとんどないんだ。毎日リスクを背負ってる。並の神経ではやってられない背景がある。一生リスク・介入がついてまわる仕事だ。もちろんスタッフも、それなりにお返しはしないといけない」

『研修生がいきなり来てたね』
「<北野>か。今どきの学生だ。といっても学生ではなかったが」
『民間には研修生がよく?』
「研修生と呼ぶべきかどうか・・ま、とりあえず見学させてくれっていう。こちらとしては歓迎だ。当院のアピールにもなる」
『医療行為はさせず、共同生活を?』
「そうだ。だがあまりホントの現状は見せたくないのが本音だ」
『しかし、学生はそれを見たくて・・』
「これから試験が控えているような人間に、暗い姿は見せられんだろ?」
『暗い姿というのは・・・』
「壁だ、壁。受験勉強は、意図的に作られた壁を乗り越えるように出来ている。乗り越えた充実感がある」
『現実の壁は乗り越えられない?』
「・・ものが多い。具体的にはそうだな・・・(意味もなく見回す)」
「(客)イエア!」
「イエア!人間関係。あるいは治療の限界、その臨界点。自分そのものの限界」
『<サンダル先生>は、その人間関係を強調した描写を?』
「そうだ。君、今うまく繋げたな。医者スタッフの間、他の科の人間、放射線の医者の話とかあっただろ?医師会の人間や開業医」
『同じ人間なのに・・』
「同じ人間だからさ。同じものは・・絶えず確認しようとする。相手が自分より強いか、弱いかをね」
『人間の本能?』
「社会的生存本能というか。医者だけじゃない。今は世の中すべてがそうなってしまって、力関係が極端に目に見える。上が下を押し付けて押し付けて・・・これって格差社会そのもののことだろ?」
『なるほど!』

(会場;拍手)

『医療の世界の中は、格差が明瞭?』
「何段階にも分かれる。なので命令系統はしっかりしてはいるが、いざネジが狂ったときの対処ができない。結果的に事故、誤診が増える」
『誤診まで?』
「間違った医師、指摘されるはずの問題点までがそのまま生きて、間違った機構・慣習を下にそのまま伝授するわけだ。今になってメッキがハゲてきた。そこでだが・・<サーガ>の目的そのものは、その慣習の絶滅そのものにある」
『内容がよく分らないが・・・』
「いいんだよ。分かってない人間がちょっと分かればそれが収穫だ。上に立つ人間が1人変わるだけで、何百人も変えられる。ちょっと分かれば。微分積分」
『ちょっと分かった・・?』
「わかった、つもり。ではジーザス!いけないぞ!」

≪CM≫

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