バブル期にできた中古マンションは別として、今になってどんどんメッキがはがれている今日。当時は新品でも、管理は人間。コースター、建築物、果ては年金の管理までほったらかしにされている。次は何だ?

 歴史の教科書を読むと、立派な建築物・資料は頑なに守られてはいるものの、大多数の民衆の主張らしき内容はほとんど残されていない。

「・・・は○○に即位し、○○を授けられた」(当時の市民ウケが不明)
「・・・各地で食物不足となり、百姓一揆が起こって何万人もの死者を出した」(役人どもはどうしてたのか?)

 「ブレイブ・ハート」の一節にあるが、
<歴史は常に葬った側の記録で作られる>。

 過去は過去として、未来はどうなるのか。医療は進歩、長寿は達成できているようだが・・・。国がこうもあれこれ強引政策・不祥事を出してきては、未来が不安になる。

 私の予想する、しかしありえない未来はこうだ。

 205X年。格差社会は進行するもメディアが取り上げず、ニュースの関心は北との戦争ばかりだった。戦争特需のため企業の景気は上向いたものの、若者たちは国による交換条件(生活保障)のもと、次々と戦場に送り出されていた。

 そんな戦争中ではあるが、私ジェームズ・ボン先生(50代)はその役職・持病(成人病)から兵役から逃れ、市民からは冷ややかな目でみられていた。

 しかし妙な事件が続いてた。クリニック単独勤務の医者が、次々と謎の死を遂げていた。内視鏡検査担当の医者がだ。患者もいなかったという。

 さて今日も、クリニックで<内視鏡>の検査だ。鉄筋2階クリニックの雇われドクターである。指紋認証で中へ。入ると音声が天井から聞こえる。

<おはようございます。ジェームズ・ボン先生>
「おはよう、Q。で、今日の内視鏡は・・」
<今日は1件だけです>

「1件?少ないですね?」
<開始まであと5分。席についてください>
「おいおい焦るな。患者はまだ来てない」

診察室に入ると、周囲4方向にドスン、ドスンと上から下へシャッターが降りた。

「密閉するのか?」
<ボン先生。やっぱり先生はボンボンですね>
「辞めても?」

<ボン先生。今日の患者は(あなた)です>
「僕のワイフのつもりか?」
<本日予定の、血管内・内視鏡カプセル検査。患者はボン先生>
「なにい?」

 たちまち状況を理解し、ボン先生はゲームセンター用のような座席(静脈用)を見下ろす。右にもう1つ(動脈用)ある。

<昨日、健康診断の際に・・覚えてませんかボン先生>
「いや・・・」

<静脈採血をたしか足から>
「ああ。腕は採取しにくいって、足から血を採られた」

<ボン先生の静脈内に、カプセルを注入しました>
太ももを思わず両方触るが、感触を感じるわけがない。

クリニックのレントゲン室で、自分を透視。右脚・・膝上のあたりに何か小さく見える。

「くそ!何をしたんだQ!」
<ボン先生。こうしてる間にも、カプセルはじわじわと心臓へ向かいます。助かる方法は1つ。いつものようにコントロールマシンに乗り、カプセルを安全なところへ運ぶこと>

「しかし!私の体は動脈硬化でいっぱいだ!いつもやってる患者は健康体で、それであってこその内視鏡カプセル・ツアーなのに!(男塾的、説明文)」

 ジェームズ・ボンは酒の飲みすぎ・煙草の吸いすぎで検診で引っ掛かりまくっていた。

<モタモタしてると爆弾が爆発しますよ。ボン先生>
「なんだと?」
<急いでください。ボン先生。ブチッ>

慌ててさきほどの椅子にまたがり、正面・両サイドのディスプレイをつける。
「なあに。いつも通りに操縦してればいい!」

 画面、ゆっくりとした静脈内の流れ。別画面では、腸骨静脈合流部の直前。
 流れに押され、壁にぶつかった。
「しまった!ここは以前、交通事故で手術したところだが・・・!」

『ケツエキノ、モレハナシ』アナウンスが入る。

途中迷い、行き止まり。腎静脈にいる。超音波ビームでスキャン。
「なるほど結石か。時々痛いと思った。センキュー!」
超音波で粉砕。
「こんなことしてる暇はない!」

 肝臓へ。いきなり大食細胞という巨大細胞に行く手を阻まれる。サイトカイン様物質を放射し、シールドで固めて寄せ付けず。

『カンサイボウセイケン、エンショウショケンチョメイ』
「どうせアルコール性肝炎だよ・・」

 次々とぶつかってくる大食細胞。カプセルを敵とみなして襲ってくる。

「くそ!お前も自分のくせに!」
なんとか追撃をかわし、下大静脈へ。

「心臓の入り口か!うっ?」

『コウホウヨリ、ケッセン、タシュウ、ライシュウ』

 血栓が下肢方面より多数、飛んでくる。前兆のような乱流に巻き込まれ、カプセルはバランスを失った。

「くそっ!死ぬな俺!もう!ライアライア!信じられナイヤ!」

地球だって、マワラア!

(つづく)

コメント

nophoto
ゲームずき
2007年6月15日11:57

 その昔、ミクロの決死圏と言う映画を題材にしたAPPLE II という器械に、ゆうき先生が上でかかれているのとそっくりな展開のゲームがありました。腎臓(副腎)では免疫寛容物質を取り、襲って来る細菌には貯蔵庫から抗生剤を放出し、ヘルペスにアシクロビルを、心臓を通る際には電気ショックを通信士が外部に連絡して停止と再開を。迷路の肺ではO2の補給をして内頚動脈から頭蓋内に入って腫瘍組織をレーザーで焼ききり、涙腺動脈から涙になって脱出。 血管内を足から頭までパドルを操作して進みながら、さまざまな障害と戦い乗り越える医学生向けのゲームでした。半年ぐらいかかってクリヤした時はおもわず ゲッチュー!の雄たけびが…

ゆうき
ゆうき
2007年6月15日18:08

ええっ?なんか真似してるようでイヤだなあ・・。というか、考えそうなことは同じなんでしょうか。あと2話くらいを用意してますが(月曜日を予定)、独創的であることを祈ります。

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索