? スタッフを甘やかした開業医の一例 (中編)
2007年8月11日北新地の料亭。4人がけのテーブルに、院長と若ナース、老若事務員(医者以外女性)。
いつものように、お手ふきで顔を拭く院長。
「な。ま、本音でいこうや!本音で!わはは!」
「何か、あったのですか・・・?」老事務員が少しのけぞる。
「いやいや。うちの業績が最近、ふるわんのはむしろワシのほうにも問題があるのかもと・・そういう指摘を受けてな」
「先生のほうには、何も落ち度はございません」
「(よく言うわ、サノバビッチ・・・)」
酒が運ばれ乾杯。みな、少しずつ酔ってくる。
若いナースの表情が少し緩くなる。
「ねえ先生。今のホントですか?」
「うむ?」
「本音で話しても、ええの?給料引かれたり、クビにしたり・・」
「あ、それはないない!シックスティーン!」
「そっか。うーん・・・」
ナースは、院長をまるで品定めするように見つめた。
「患者さんから苦情があるんですけど」
「ほ、ほお・・・い、いきなりだな」
「検査のあと、ろくに説明しないって」
「く。ま、そんなときもあるかな」
「みんな言うてるよ。50人くらいかな」
「わ、わしは説明してると思うぞ?」
「つもり、だけなんちゃう?」
(沈黙)
ナースは淡々と続ける。
「ああそんでな。20くらいのパートの子が来たときな。可愛い子」
「う、うむ。今も時々は来てるが」
「先生、セクハラしたやろ?タバコ吸っていい?」
「う、むあ・・・」
事実を否定できない院長。3人はためらいもなくタバコに火。
ナースは携帯をチェックしながら続けた。
「あたし知ってるよ。その子がDSやってるって言ってたら先生、その子にこっそりDSソフトをプレゼントしてたよな?あたしが点滴に行ってて何も知らんと思ったら大きな間違いやで」
「ぐうう・・・」図星だった。
「そこら通る患者さんらも見てるんやで。先生には何も言わんけど」
「くう・・」
「で、先生その子にアタックしとるやろ最近。食事誘ったりメールしたり。あの子、彼氏おるんやで元ホストの。目と目の間、ちょっと離れてるけど」
「ほ、ほすと・・・」
「先生がいつも言うてる、感染しやすいホストとは違うで」
「それはコンプロマイズド・ホストだろうが」
「あ、でも性病もちやろうから感染しやすいか。しょうもな!あーあ」
「しかし君はよく・・」
「辞められたらこっちが困るんで、ちょっかい出さんといてな。ジャニーズのコンサート行けなくなるし。あーそんでな」女の話はキョロキョロ変わる。
2人の事務員は、淡々と食べてはいるがアンテナはフルで伸ばしている。
「そんでな・・・出るの?ボーナス」
「いや、それは今後の業績次第で」
「どうせ寸志やろ?でも先生、この前、あたしが辞めるって騒いだ時言うたよな。そのうちボーナス出すから、頼むから辞めんといてくれって。事務員より給料出すからって」
事務員の2人のドンブリに、噛まれたばかりの麺がドドッと落ちた。
院長は青ざめた。
「こ、ここで言うなよ君ぃ・・」
「先生。どういうことでしょうか」老事務員が下を見つめていた。
「あわわ」
「先生。あたしらにもそうおっしゃってたと思うんですが」
(沈黙)
ナースは料理をあちこち中途半端に食い漁り、追加の注文を。
「舟盛り。デザート。酒の追加。みんな、何かいる?」
ブスッとしていた事務員も、なんだかんだ頼む。
老事務員は若いほうに耳打ち。そして・・
「あたしたち、明日はもう来れないかも・・」
開業医スタッフの殺し文句だ。
「はは・・・いやいや。そ、そうだな・・」
院長はポケットをまさぐった。
「臨時ボーナスだそっか。今な、今!」
テーブルに、しわくちゃ万札が数枚。
3人は、凝視。
「す、寸志やけど、とっとけい!ワハハ。今日はここで許して・・」
若い事務員は、数を数えた。
「ひい、ふう、みい・・・」
ご丁寧に、重複してないか札を1枚1枚こする。
「全部で8枚?」
「うあ?寸志だからこれで勘弁をば!」
「困ります・・・」
「なぬ?」
3人は、往年のNHKクイズ番組のように一斉に叫んだ。
「(3人)均等にしてもらわないと!困ります!」
拍手は起きなかった。
1枚足して、1人3万円。
ゲップしたナースは後ろに倒れた。
「あ〜あ!今度は肉、食べたくなった〜肉!」
「おいまだ、料理は残ってるだろうが。舟盛りも残っておる」
「あ。魚はもういい。あたし、もともと魚系好きじゃないし」
「ぬう・・・!肉とは!」
院長は財布を見た。カラだ。その上、肉ときたもんだ。
「肉・・・肉・・・肉!」
「どしたの?先生。ヒック。靴下破れてんでいつもそうやけど」老事務員が酒をグビグビ飲み干した。
院長はテーブルをガシッとつかんだ。
「にく・・・にく!たいた!にーく!」
ドカン、と星一徹ライクにテーブルをひっくり返した。
「(3人)きゃああああ!」
舟は・・・見事に沈没していた。
しかし、ナースはうまく交わして隅にいる。
「先生。この服高いんやで?弁償してもろたら廃業せないかんかもやで!」
「(事務2人)♪しーらんぞしーらんぞ!」
一夜にして、立場が逆転していた。
いつものように、お手ふきで顔を拭く院長。
「な。ま、本音でいこうや!本音で!わはは!」
「何か、あったのですか・・・?」老事務員が少しのけぞる。
「いやいや。うちの業績が最近、ふるわんのはむしろワシのほうにも問題があるのかもと・・そういう指摘を受けてな」
「先生のほうには、何も落ち度はございません」
「(よく言うわ、サノバビッチ・・・)」
酒が運ばれ乾杯。みな、少しずつ酔ってくる。
若いナースの表情が少し緩くなる。
「ねえ先生。今のホントですか?」
「うむ?」
「本音で話しても、ええの?給料引かれたり、クビにしたり・・」
「あ、それはないない!シックスティーン!」
「そっか。うーん・・・」
ナースは、院長をまるで品定めするように見つめた。
「患者さんから苦情があるんですけど」
「ほ、ほお・・・い、いきなりだな」
「検査のあと、ろくに説明しないって」
「く。ま、そんなときもあるかな」
「みんな言うてるよ。50人くらいかな」
「わ、わしは説明してると思うぞ?」
「つもり、だけなんちゃう?」
(沈黙)
ナースは淡々と続ける。
「ああそんでな。20くらいのパートの子が来たときな。可愛い子」
「う、うむ。今も時々は来てるが」
「先生、セクハラしたやろ?タバコ吸っていい?」
「う、むあ・・・」
事実を否定できない院長。3人はためらいもなくタバコに火。
ナースは携帯をチェックしながら続けた。
「あたし知ってるよ。その子がDSやってるって言ってたら先生、その子にこっそりDSソフトをプレゼントしてたよな?あたしが点滴に行ってて何も知らんと思ったら大きな間違いやで」
「ぐうう・・・」図星だった。
「そこら通る患者さんらも見てるんやで。先生には何も言わんけど」
「くう・・」
「で、先生その子にアタックしとるやろ最近。食事誘ったりメールしたり。あの子、彼氏おるんやで元ホストの。目と目の間、ちょっと離れてるけど」
「ほ、ほすと・・・」
「先生がいつも言うてる、感染しやすいホストとは違うで」
「それはコンプロマイズド・ホストだろうが」
「あ、でも性病もちやろうから感染しやすいか。しょうもな!あーあ」
「しかし君はよく・・」
「辞められたらこっちが困るんで、ちょっかい出さんといてな。ジャニーズのコンサート行けなくなるし。あーそんでな」女の話はキョロキョロ変わる。
2人の事務員は、淡々と食べてはいるがアンテナはフルで伸ばしている。
「そんでな・・・出るの?ボーナス」
「いや、それは今後の業績次第で」
「どうせ寸志やろ?でも先生、この前、あたしが辞めるって騒いだ時言うたよな。そのうちボーナス出すから、頼むから辞めんといてくれって。事務員より給料出すからって」
事務員の2人のドンブリに、噛まれたばかりの麺がドドッと落ちた。
院長は青ざめた。
「こ、ここで言うなよ君ぃ・・」
「先生。どういうことでしょうか」老事務員が下を見つめていた。
「あわわ」
「先生。あたしらにもそうおっしゃってたと思うんですが」
(沈黙)
ナースは料理をあちこち中途半端に食い漁り、追加の注文を。
「舟盛り。デザート。酒の追加。みんな、何かいる?」
ブスッとしていた事務員も、なんだかんだ頼む。
老事務員は若いほうに耳打ち。そして・・
「あたしたち、明日はもう来れないかも・・」
開業医スタッフの殺し文句だ。
「はは・・・いやいや。そ、そうだな・・」
院長はポケットをまさぐった。
「臨時ボーナスだそっか。今な、今!」
テーブルに、しわくちゃ万札が数枚。
3人は、凝視。
「す、寸志やけど、とっとけい!ワハハ。今日はここで許して・・」
若い事務員は、数を数えた。
「ひい、ふう、みい・・・」
ご丁寧に、重複してないか札を1枚1枚こする。
「全部で8枚?」
「うあ?寸志だからこれで勘弁をば!」
「困ります・・・」
「なぬ?」
3人は、往年のNHKクイズ番組のように一斉に叫んだ。
「(3人)均等にしてもらわないと!困ります!」
拍手は起きなかった。
1枚足して、1人3万円。
ゲップしたナースは後ろに倒れた。
「あ〜あ!今度は肉、食べたくなった〜肉!」
「おいまだ、料理は残ってるだろうが。舟盛りも残っておる」
「あ。魚はもういい。あたし、もともと魚系好きじゃないし」
「ぬう・・・!肉とは!」
院長は財布を見た。カラだ。その上、肉ときたもんだ。
「肉・・・肉・・・肉!」
「どしたの?先生。ヒック。靴下破れてんでいつもそうやけど」老事務員が酒をグビグビ飲み干した。
院長はテーブルをガシッとつかんだ。
「にく・・・にく!たいた!にーく!」
ドカン、と星一徹ライクにテーブルをひっくり返した。
「(3人)きゃああああ!」
舟は・・・見事に沈没していた。
しかし、ナースはうまく交わして隅にいる。
「先生。この服高いんやで?弁償してもろたら廃業せないかんかもやで!」
「(事務2人)♪しーらんぞしーらんぞ!」
一夜にして、立場が逆転していた。
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