ES-MEN 8

2007年8月29日
 早朝。のどかな僻地。

 真田第二病院(予定)の事務室。異様な雰囲気。

 童顔の医者が、白衣で机の上に座り込み。
 床に座っている事務員たち。そして相撲取りのような白衣の医者。

 横綱と呼ばれている医者は、ここの生き残りだ。
「・・・あの救急車はなんでごわすか?」

 病院玄関の前、救急車が3台見える。今、到着したようだ。
玄関から見ると、駐車場奥正面と、左側面に車の出入り口がある。

 しかしその出入り口は予算の関係で長い木をツギハギでつなぎ合わせたもので、お粗末なものだった。鍵もなく、ドア感覚で開けられた。でも今は、真珠会スタッフが内側からせっせとテープでとめている。

 呆然としているうち、救急隊員・・ではなく、白衣の医者がやってきた。スーパーマン風の男。
「ここには一応、医者いるんでしょ。早く対応しないと患者さんが死にますよー」

 無言でダッシュした横綱を、<キタノ>はヒョイと交わした。
「頑張ってよ!お医者さん!」
「お前も医者だろがバアかめが!」ミリタリー服のサングラス男が立ち上がった。

 さきほどの暴力医者・・<スミ>。

 体格のいいメガネのスーパーマン、サングラス軍医者、それにキタノ。異様な雰囲気だった。

 横綱は横の救急室でパニックを起こしていた。救急に慣れてない。1人残った医者は、単に逃げ遅れただけだった。

<キタノ>は高齢の事務長に迫った。

「もうな。応援は来ねえんだよ!」
「いや、連絡ではその・・・」事務長は大汗で見上げた。
「今、救急送っただろ。あれで済むと思うなよ。もっと送ったらここ対応できねえだろ?」
「・・・・・くく」
「医師会の許可で救急受付になったのなら、それ相応の働きをしてもらおうじゃねえか!」
「きゅ、救急の受け入れは随時です!」
「そーゆーとこは、たいていいつも断ってんだよ!」

 キタノの蹴りで、机の上の色鉛筆が吹き飛んだ。
「なあいい加減ギブしろよギブ!ギブギブメルギブ!あ〜あ!ユーキ何やってんだろな〜?来ねえじゃん!来たらコテン!パンにしてやるんだけどさあ〜!」

書類を手渡し、ハンコの欄を見せた。
「うちの院長をよこすまでもない!今すぐここにハンしろハン!」

キタノは、チャッキーの如くいかつい童顔で圧倒した。事務員は大汗。
「で、でも・・・」
「おいスミ!」

サングラスをした医者、スミは・・・ポキポキ腕を鳴らした。

「手荒なことはしたくないんだただ我々はこの病院が欲しい目的はそれではない目的のための第一歩にすぎないその一歩を我々が背負ってる特にこの私は親が軍人その誇りもある」

「は、早口なのでよく・・?」事務長は狼狽した。

「わたしは院長の旧友でもとは軍医で働いているいわゆる医官というものだいざというときは出動するだがこの病院を譲らないのが誠に遺憾だまるで北朝鮮に逆らえんこの国みたいにな!」

スミは事務長の腕をつかみ、指を念書に押印させようとした。

 「うわあああああ!」

そのとき!

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