ES-MEN 9

2007年8月29日
 
 玄関から見て正面奥の木扉が突然ドカン、とさく裂した。手前のスタッフらが驚いて分散した。

 職員らは反射で一斉に釘付いた。

 引き続き、ヴオオン・・・と聞こえたと思ったら、向って左の閉鎖扉もドカーン、と吹き飛ばされた。

「うげ!バクダンだ!」
 思わず叫んだ職員だが、飛び込んできたのは車だと皆、即気づいた。

 1台、また1台と着地。長い木の板を1枚ずつ跳ね除けながら、2台とも正面玄関へと走った。

 スミはサングラスを上にずらした。
「ほお尻尾を巻いて逃げたと思ったら真珠湾か!奇襲とは考えたしかし私が再びいや三度マタタビここにいるのを知るまいそれが計算外だ!おい事務員!ここの玄関をロック!」

「は・・はい!」事務員は言われるままに玄関を手動でロックした。

 僕らはすでに車から降りて、超音波の機械を車輪から地面に下ろした。

「高い機械をそんな荒っぽくそんな!もう買いませんよ!」事務長が剣幕変えて怒った。

「慎吾!行くぞ!」
「ああ!」
 僕らは物すごい勢いで、機械を後ろから押していった。正面玄関前、段差があるのを見落としていた。

「はっ!はっ!慎吾!速いぞちょっと!ぎゃ!」
つまずいて、後ろへと残された。
「うわ!おいユウキ!」
 慎吾は左手を引っ張られるように、足で懸命にブレーキをかけつづけた。

 僕は中腰からゆっくり起き上った。
「止まらないのか!」
「お前のせいだろが!」
「<お前>はやめてください!」

 腕を振りほどき、機械はとうとう手元を離れた。

「うわっ!ぶつかるぞ!」
思わず目を伏せた。

 案の定、超音波はそのまま段差のところでぶち当たり、そのままドカンと上にスローで舞い上がった。砂煙まで大きく巻き上がる。慎吾は頭を抱えるようにうずくまった。

「うわあっまさか!」

 出ていこうとしたスミは振り向き、逃げようとしたが・・遅かった。バン!と大きな亀裂が走った。

 ガラス張りの玄関は予兆もなく高音で叫ぶように、大破した。そのまま斜めに突っ込んでくる大型機械。スミはそのまま機械に飛ばされ、5メートルほどのところで倒れた。キタノは呆然としたままだ。

「(一同)おわわわ!」

 スーパーマンが、超音波マシンをそのまま受け止めた。
指に、ガラスで付いた血。
「・・・・・」
ペロリと舐めた。

 巨体の慎吾が、続いて突入。
「失礼します!真田病院!いたっ!」
僕は後ろからどかした。
「引き続き!院長代理のユウキ先生!これにて閉廷!」
「(2人)以下同文!」
あらかじめ打ち合わせたセリフだ。

 スーパーマンは傍観した。
「バカが2人か・・・経過観察としましょうか」

 キタノはにやっと笑った。
「おひさし!サンダル先生!どあるう〜ひっ!ひっ!」
「何?だれお前?」僕は判らなかった。
「えっ?うっ?あっ?あはは!」
「そっか!このやろ!」

 視野に入ったのは、正面に<キタノ>、倒れてる白衣1名(スミ)。
 隅っこで立って本を読んでるスーパーマン男。

 透明ごしに見える横の救急室は・・・
ベッドが3体。おじけづいてる医者らしき肥満1名。

「そこ・・どうなってんだ?」
僕が叫ぶ間もなく、慎吾は救急室患者ベッドに回った。

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