ES-MEN 11
2007年8月29日「あっははははは!バーカ!相変わらずだね!」
キタノの腕組み笑いが聞こえ、僕ら2人は振り向いた。
「全く、何を好き好んでこんな田舎の病院に・・・かつて田舎の病院を乗っ取られたのが、そこまで悔しいのですか事務長さん?おっ?えっ?」
事務長は逆光で顔が暗くなっていた。
「みなさん。ああいうのは無視です。あ。慎吾先生。今、不整脈見逃しましたよ」
「え?うっ。しし、知ってるさ!」
「大丈夫なんですか?これから死ぬほど忙しいですよ!」
「プレッシャーやめてよ。おいユウキ!いけるかー!」慎吾の大きな声が廊下へ届く。
「あー!そっちはー?」
「OK。よかったら病棟へあげてくれ!」
ふだんは色々あってもこういうときスムーズなのが、僕らのいいとこだった。
物足りなさそうな<キタノ>をものともせず、慎吾はナースらと病棟エレベーターへと向かった。
僕は放射線部を出た。
「重症で?」事務長がやってきた。
「ザーだ。クモ膜下出血。かなりひどい。高齢でオペどころではない。時間の問題だよ。家族は?」
ここの老事務員が出てきた。
「はあ。なんか、仕事が終わってからこちらに向かうそうで」
「バカ!救急車で来てんだぞ!すぐ来るように言え!」
「はあ・・・」
「何がハアだ。どけ!ダルいんだよアンタは!ハッキリ申しますと!」
事務室に割り込み、電話。
事務長は次々と職員評価。事務員の名前がどんどん消されていく。リストラ候補を意味する。
『もしもし?』娘らしき声。
「お父さんはかなり重体のようです。今すぐに来てください!」
『どうなってるんですか?今』
「来てください!」
ガチャンと切り、バイタルを再確認。
「モニター監視を。止血剤は続けるが、家族が間に合わなければ呼吸管理を始める」
指示の表に記入。
「・・・この条件になったら、コールして」
するとちょうどポケットに院内PHSを入れられた。
脱水患者は頭部CTに所見なく、同じく病棟へ。
慎吾の携帯へ。
「残り2人も頼むわ。1人は家族呼んでる。ザーだ。だがオペどころでないだろ。呼吸状態注意してくれ・・・うん。うん。ああ」
電話を切りながら、あちこち見まわす。
中年受付嬢が見上げる中、黄色い冊子を取り上げる。
「これ!借りる!」
割れた扉をゆっくりくぐる。
「あれか・・・!」
黄色いスポーツカーが右端に止まってる。
車の中、<キタノ>は助手席の美女の顔を覗き込んでいた。
舐めるように・・まるで字をなぞるかのようだ。
「ミエちゃん・・・うちでゆっくりしようよ。まったりと」
「キャッキャッキャッ!くすぐったいったらぁ〜!ね〜ホントにラルクのチケットとってくれんの〜?」
「俺に任せとけって!もうすぐビッグになるんだし!」
モデル級の美女は、長い脚を無造作にダッシュボードに投げ出していた。
「ミエちゃんにまた、ヨシヨシしてもらいたいな〜」
「イヤ!浮気者!また他のナースと!」
「前のナースとはもう切れたってのに〜」
「よおし!じゃあ浮気してないか確かめたる!」
にやけた<北野>のジッパーに手がかかった。
「がっ!」一瞬火花が散ったように、<キタノ>はその場で倒れた。
キタノの腕組み笑いが聞こえ、僕ら2人は振り向いた。
「全く、何を好き好んでこんな田舎の病院に・・・かつて田舎の病院を乗っ取られたのが、そこまで悔しいのですか事務長さん?おっ?えっ?」
事務長は逆光で顔が暗くなっていた。
「みなさん。ああいうのは無視です。あ。慎吾先生。今、不整脈見逃しましたよ」
「え?うっ。しし、知ってるさ!」
「大丈夫なんですか?これから死ぬほど忙しいですよ!」
「プレッシャーやめてよ。おいユウキ!いけるかー!」慎吾の大きな声が廊下へ届く。
「あー!そっちはー?」
「OK。よかったら病棟へあげてくれ!」
ふだんは色々あってもこういうときスムーズなのが、僕らのいいとこだった。
物足りなさそうな<キタノ>をものともせず、慎吾はナースらと病棟エレベーターへと向かった。
僕は放射線部を出た。
「重症で?」事務長がやってきた。
「ザーだ。クモ膜下出血。かなりひどい。高齢でオペどころではない。時間の問題だよ。家族は?」
ここの老事務員が出てきた。
「はあ。なんか、仕事が終わってからこちらに向かうそうで」
「バカ!救急車で来てんだぞ!すぐ来るように言え!」
「はあ・・・」
「何がハアだ。どけ!ダルいんだよアンタは!ハッキリ申しますと!」
事務室に割り込み、電話。
事務長は次々と職員評価。事務員の名前がどんどん消されていく。リストラ候補を意味する。
『もしもし?』娘らしき声。
「お父さんはかなり重体のようです。今すぐに来てください!」
『どうなってるんですか?今』
「来てください!」
ガチャンと切り、バイタルを再確認。
「モニター監視を。止血剤は続けるが、家族が間に合わなければ呼吸管理を始める」
指示の表に記入。
「・・・この条件になったら、コールして」
するとちょうどポケットに院内PHSを入れられた。
脱水患者は頭部CTに所見なく、同じく病棟へ。
慎吾の携帯へ。
「残り2人も頼むわ。1人は家族呼んでる。ザーだ。だがオペどころでないだろ。呼吸状態注意してくれ・・・うん。うん。ああ」
電話を切りながら、あちこち見まわす。
中年受付嬢が見上げる中、黄色い冊子を取り上げる。
「これ!借りる!」
割れた扉をゆっくりくぐる。
「あれか・・・!」
黄色いスポーツカーが右端に止まってる。
車の中、<キタノ>は助手席の美女の顔を覗き込んでいた。
舐めるように・・まるで字をなぞるかのようだ。
「ミエちゃん・・・うちでゆっくりしようよ。まったりと」
「キャッキャッキャッ!くすぐったいったらぁ〜!ね〜ホントにラルクのチケットとってくれんの〜?」
「俺に任せとけって!もうすぐビッグになるんだし!」
モデル級の美女は、長い脚を無造作にダッシュボードに投げ出していた。
「ミエちゃんにまた、ヨシヨシしてもらいたいな〜」
「イヤ!浮気者!また他のナースと!」
「前のナースとはもう切れたってのに〜」
「よおし!じゃあ浮気してないか確かめたる!」
にやけた<北野>のジッパーに手がかかった。
「がっ!」一瞬火花が散ったように、<キタノ>はその場で倒れた。
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