ES-MEN 26
2007年8月30日田中君が何か入電を受けた。
「倒産した民間ヤマトから・・・行政の計らいで、真珠会を経由せずにこちらに向かうとのこと!事務長!」
「ラッキーだ!たぶん、全部真珠会に送りたくないんだろう!当院のいい噂が功をなしたか!」
「そっかな・・・」
「数は?」
「ざっと30!電話の主は救急隊だったと・・妙に早口だったけど。どっかで聞いた声だな」
僕は事務所をダッシュで出た。
病棟で、申し送りを中断。
「はあはあ。すまんが、何か申し送りを?」
ナースらの視線はいつになく、冷やかだった。
「なんだ?悪いことしたか?」
「あとにしてください!」中年リーダーがキッパリ。
「患者の大移動があるので、病棟を極力あけておく!」
「大移動?」
「これからやってくる、多数の搬送に備えてだよ!ヌーの大群並みだ!忙しくなるぞ!さて今のうちに回診!」
連絡簿のようなものを舐めるように見まわす。
「とりあえず、急ぐ人はこれだけだな・・・!」
いくつかの部屋にしぼり、ダッシュした。
呆れ顔の師長は、怒りかけの皆をなだめた。
「皆さんのお怒りはよく分ります。しかし事務長との取引が急務です。それに可能性がある限り私たちは・・・耐えるべきです」
しんみりと申し送りが始まった。
2階事務室では、田中君が対応に追われていた。
「慢性期患者を乗せた乗用車・・・家族のファミリーカー、およそ20台!」
「ゆっくり来させたらいい・・それで?急性期患者は?肝心な!」
事務長は皆より高めの椅子から叫んだ。
「現在の情報ですと、およそ12名分の救急車が向かっています!」
「12台か。よくそんな救急車があったもんだな。1台くれよ」
「こちらでは分かりかねますが!」
「どある!」
「ゲート、開きます!」
正面に1本化されたゲートが、左右に分割し開いた。鋼鉄のゲートといわれるくらい強固な素材を使用したという。
ファミリーカーと思われるワゴン車が、続々と難民のように訪れてくる。
手前、事務員が滑走路のように両手で指示。中央を開けるように、左右に車列が展開する。救急車が到着するのに合わせてだ。
事務長は見下ろし、次の指示をくだす。
「救急室は、救急診療体制!ライトなどべっぴん、いや物品確認せよ!失言!」
「ファックス紹介状、届きましたあ!」
別の事務員がファックス用紙を取り出す。女性が紙をさらに補給。
事務長が目を通し、救急室へ送るよう指示。
「紹介状なんて久しぶりだな。で・・・思ったより重症が多いようだ!ドクターは全部向かわせろ!3人しかいないけど!来るぞ!救急車引き続き!」
ヘッドフォンした中年女性事務員は耳を押さえ、マイクを見下ろした。
『ドクターは全員、救急室へ向かってください!ドクターは大至急!』
僕は聴診器をしまいながら、病室→詰所をかけぬけた。
「この指示、頼んだ!」
「倒産した民間ヤマトから・・・行政の計らいで、真珠会を経由せずにこちらに向かうとのこと!事務長!」
「ラッキーだ!たぶん、全部真珠会に送りたくないんだろう!当院のいい噂が功をなしたか!」
「そっかな・・・」
「数は?」
「ざっと30!電話の主は救急隊だったと・・妙に早口だったけど。どっかで聞いた声だな」
僕は事務所をダッシュで出た。
病棟で、申し送りを中断。
「はあはあ。すまんが、何か申し送りを?」
ナースらの視線はいつになく、冷やかだった。
「なんだ?悪いことしたか?」
「あとにしてください!」中年リーダーがキッパリ。
「患者の大移動があるので、病棟を極力あけておく!」
「大移動?」
「これからやってくる、多数の搬送に備えてだよ!ヌーの大群並みだ!忙しくなるぞ!さて今のうちに回診!」
連絡簿のようなものを舐めるように見まわす。
「とりあえず、急ぐ人はこれだけだな・・・!」
いくつかの部屋にしぼり、ダッシュした。
呆れ顔の師長は、怒りかけの皆をなだめた。
「皆さんのお怒りはよく分ります。しかし事務長との取引が急務です。それに可能性がある限り私たちは・・・耐えるべきです」
しんみりと申し送りが始まった。
2階事務室では、田中君が対応に追われていた。
「慢性期患者を乗せた乗用車・・・家族のファミリーカー、およそ20台!」
「ゆっくり来させたらいい・・それで?急性期患者は?肝心な!」
事務長は皆より高めの椅子から叫んだ。
「現在の情報ですと、およそ12名分の救急車が向かっています!」
「12台か。よくそんな救急車があったもんだな。1台くれよ」
「こちらでは分かりかねますが!」
「どある!」
「ゲート、開きます!」
正面に1本化されたゲートが、左右に分割し開いた。鋼鉄のゲートといわれるくらい強固な素材を使用したという。
ファミリーカーと思われるワゴン車が、続々と難民のように訪れてくる。
手前、事務員が滑走路のように両手で指示。中央を開けるように、左右に車列が展開する。救急車が到着するのに合わせてだ。
事務長は見下ろし、次の指示をくだす。
「救急室は、救急診療体制!ライトなどべっぴん、いや物品確認せよ!失言!」
「ファックス紹介状、届きましたあ!」
別の事務員がファックス用紙を取り出す。女性が紙をさらに補給。
事務長が目を通し、救急室へ送るよう指示。
「紹介状なんて久しぶりだな。で・・・思ったより重症が多いようだ!ドクターは全部向かわせろ!3人しかいないけど!来るぞ!救急車引き続き!」
ヘッドフォンした中年女性事務員は耳を押さえ、マイクを見下ろした。
『ドクターは全員、救急室へ向かってください!ドクターは大至急!』
僕は聴診器をしまいながら、病室→詰所をかけぬけた。
「この指示、頼んだ!」
コメント