ES-MEN 33
2007年8月30日 首の向きを予測なく変えられながら、僕は闇を見つめた。
「おじさん」
「あ?」
「頭のいい医者に診てもらいたいですか?やっぱ・・・」
「そらそうやろ。金に糸目はつけへん!そこらの小さい2流病院なんか御免やで!まずちゃんと博士号を取って!教授さんに太鼓判もらって!よしお前は一人前の医者だ!と言われてそれから初めて羽ばたけるんや!」
こういう考えの人間、まだいたのか・・・。
近くに別の客が来た。
「ダメ医者じゃ、金かかるだけやしね」
「いや。金は大丈夫や。カネは困らんうちは」
じいさんは、いきなり天狗になった。
「金はある。山の奴らよりはな」
「山って・・」
「あ、そっか。あそこにも病院があるわ。でも経営が変わったって」
「山の住人?」
「そや。ニュータウンのアンポン住民や。その病院の職員とかが、こぞって昔引っ越して・・・バブルのときやったかいな」
「へえ〜。僕らが就職した時は、バブルはとっくに」
「若者も金があったから、集団で引っ越してきよった。親元を離れて。今になってバチが当たったんや。親も大事にせんから・・・」
「で・・そのまま住みつかざるを得なくなった?」
「そうそう」
「・・・・ヒゲだけ剃ってください。髪がないんで」
横に、どこか聞いたような声が座っていた。
「ははは・・・」
「ど、どしたんで・・?」横を向くと、ハカセなのでびっくりした。確かに髪がない。
「知ってますよ。先生の聞き込み調査くらいは」
「うわ〜。こりゃまた偶然」
横を向いてると、じいさんが首を直した。
「まっすぐ、前向け、前!邪馬台国は九州やと言いおった!罰当りが!」
僕は仕方なく前を向いて喋った。
「ハカセ。俺の行動が分かるのか。そういや犬、ついてきてたな!」
「調べさせました。先生たちの行動はワンパターンで単純なんですよ」
「嫌な奴になったよ・・・スレッガーさん。ダルい。ダルいよ!」
耳が遠そうなばあさんが黙々と仕事をこなす。
「おい。でもハカセ・・・今回の件。あんまりじゃないか?」
「救急を送ったことが?あれは僕じゃないです。スミが勝手に」
「あいつ・・・!せめて送るなら、電話するとか挑戦状、いや紹介状をつけるとか!」
「(無視)当院は忙しいんです。人材充実のため準備の段階でもありますし。僕に全体の把握はとても」
「師匠が見たら、泣くぜ・・・」
少し間があった。
「ユウキ先生。今からでも遅くないですよ?」
「降伏か?誰がするか!」
「ほら、すぐ怒る。あなただって変わったじゃないですか。そうじゃないです。僕らの仲間に!」
「仲間?」
「先生と、トシキ先生が第一希望です。経歴をいろいろ持ってらっしゃる。近畿の医学雑誌にも出た。知名度が高い」
「ヤだよ。それに俺が出たページは<コーヒータイム>のコーナーだ!」
「2で、どうですか?」
「に?」
「2千ですよ。年収です。そちらより高い」
「いや。金の問題では・・・」
「医師の給料は将来的に減るといわれてる。今のうちに稼ぐべきです」
「ドクターバンクかお前は?」
「ドクターバンク・・思い出した。真田第二では流れ医者も抱えてますね?」
この男、どこまで調べて・・・。
「流れ医者?」
「慎吾先生です。ドクターバンクに身を任せるなど、医者の風上にも置けない。彼から潰そうかなあ」
「そう言うな。あいつだって、かなりマシになった。救急が来たら逃げるけど」
「養育費が大変らしいですね」
「はあ?」
遠くでテレビを見ているじいさんが、ちょっと反応した。
「養育費?あんた、よういくひ、払ってんのか?へえ〜。ばついち?」
「ちち、ちが!」
「奥さん、母子家庭なんやな。子供がたいへんや子供が!」
「ち、ちが・・・!」
ばあさんが何度も小刻みに頷いた。
「ホンマ、子供がたまらん!子供が・・・!何やと思とんのか!くっくく・・・(泣)」
慎吾が養育費・・・?家を買ったばかりのアイツが?幸せそうな家庭に見えたが・・・。
「おじさん」
「あ?」
「頭のいい医者に診てもらいたいですか?やっぱ・・・」
「そらそうやろ。金に糸目はつけへん!そこらの小さい2流病院なんか御免やで!まずちゃんと博士号を取って!教授さんに太鼓判もらって!よしお前は一人前の医者だ!と言われてそれから初めて羽ばたけるんや!」
こういう考えの人間、まだいたのか・・・。
近くに別の客が来た。
「ダメ医者じゃ、金かかるだけやしね」
「いや。金は大丈夫や。カネは困らんうちは」
じいさんは、いきなり天狗になった。
「金はある。山の奴らよりはな」
「山って・・」
「あ、そっか。あそこにも病院があるわ。でも経営が変わったって」
「山の住人?」
「そや。ニュータウンのアンポン住民や。その病院の職員とかが、こぞって昔引っ越して・・・バブルのときやったかいな」
「へえ〜。僕らが就職した時は、バブルはとっくに」
「若者も金があったから、集団で引っ越してきよった。親元を離れて。今になってバチが当たったんや。親も大事にせんから・・・」
「で・・そのまま住みつかざるを得なくなった?」
「そうそう」
「・・・・ヒゲだけ剃ってください。髪がないんで」
横に、どこか聞いたような声が座っていた。
「ははは・・・」
「ど、どしたんで・・?」横を向くと、ハカセなのでびっくりした。確かに髪がない。
「知ってますよ。先生の聞き込み調査くらいは」
「うわ〜。こりゃまた偶然」
横を向いてると、じいさんが首を直した。
「まっすぐ、前向け、前!邪馬台国は九州やと言いおった!罰当りが!」
僕は仕方なく前を向いて喋った。
「ハカセ。俺の行動が分かるのか。そういや犬、ついてきてたな!」
「調べさせました。先生たちの行動はワンパターンで単純なんですよ」
「嫌な奴になったよ・・・スレッガーさん。ダルい。ダルいよ!」
耳が遠そうなばあさんが黙々と仕事をこなす。
「おい。でもハカセ・・・今回の件。あんまりじゃないか?」
「救急を送ったことが?あれは僕じゃないです。スミが勝手に」
「あいつ・・・!せめて送るなら、電話するとか挑戦状、いや紹介状をつけるとか!」
「(無視)当院は忙しいんです。人材充実のため準備の段階でもありますし。僕に全体の把握はとても」
「師匠が見たら、泣くぜ・・・」
少し間があった。
「ユウキ先生。今からでも遅くないですよ?」
「降伏か?誰がするか!」
「ほら、すぐ怒る。あなただって変わったじゃないですか。そうじゃないです。僕らの仲間に!」
「仲間?」
「先生と、トシキ先生が第一希望です。経歴をいろいろ持ってらっしゃる。近畿の医学雑誌にも出た。知名度が高い」
「ヤだよ。それに俺が出たページは<コーヒータイム>のコーナーだ!」
「2で、どうですか?」
「に?」
「2千ですよ。年収です。そちらより高い」
「いや。金の問題では・・・」
「医師の給料は将来的に減るといわれてる。今のうちに稼ぐべきです」
「ドクターバンクかお前は?」
「ドクターバンク・・思い出した。真田第二では流れ医者も抱えてますね?」
この男、どこまで調べて・・・。
「流れ医者?」
「慎吾先生です。ドクターバンクに身を任せるなど、医者の風上にも置けない。彼から潰そうかなあ」
「そう言うな。あいつだって、かなりマシになった。救急が来たら逃げるけど」
「養育費が大変らしいですね」
「はあ?」
遠くでテレビを見ているじいさんが、ちょっと反応した。
「養育費?あんた、よういくひ、払ってんのか?へえ〜。ばついち?」
「ちち、ちが!」
「奥さん、母子家庭なんやな。子供がたいへんや子供が!」
「ち、ちが・・・!」
ばあさんが何度も小刻みに頷いた。
「ホンマ、子供がたまらん!子供が・・・!何やと思とんのか!くっくく・・・(泣)」
慎吾が養育費・・・?家を買ったばかりのアイツが?幸せそうな家庭に見えたが・・・。
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