ES-MEN 43
2007年8月30日 真珠会第二。
VIPルームの回診を終え、ハカセはベランダで待つ町議のもとへ。
若い女性が数人、近くで化粧している。
「わしに用か?」
「ええ。しかも急用です」
「治験ならもういい。今度は病気の奴にでもやれい」
「その治験もけっこう関係しているのですが」
「む?」
「資金面の調達です。議会で議題を通していただかないと」
「それはもっか、交渉中だ!」
「先日、それはお聞きしました」
「きみ。交渉事っていうのは1日にしてならずだよ・・・各部署の了解を経ていって、ようやく1つのパーツが出来上がるのだ」
「予算が組まれなければ、我々の計画が実行できません」
ボケっとした表情で、議員はこちらを向いた。
「さあ。そうだったかなあ・・・」
「議員。現生での恥事を隠ぺいするため、あなたはこちらに居を構えたんですよね」
近くの女性らは恐れをなし、道具をカタカタとハイペースで片付けた。
「復帰はするよ。その前の準備期間だ」
「復帰って。その前に、我々に協力していただかないと困ります!病院の再建設を。嘘だったんですか・・・こっちは官僚を受け入れる条件でせっかく」
「わかっとる、わかっとる。いちいちやかましい青二才どもが!」
後ろから事務長の西川がやってきた。
「ハカセ先生。議員にも議員の都合があるんですよ?」
「なに・・・?」ハカセは睨んだ。
「真珠会としましても、できればハカセ先生の都合はつけたいんですが」
「資金がなければ実験施設ができない。ただの病院になります。あなたのとこの資金じゃまだ足りない。僕らの抱えるスケールは半端なものじゃありません」
「先生。夢もいいですが」
「じゃあその夢を見て、はるばる遠国からやってきた医師たちはどうするんです?ここで修業をし、ここで骨を埋める誓いまで立てた医師たちを?」
「この病院が栄えれば、ゆくゆくこの地域はハカセ先生のものになるじゃないですか!」
「当然ですよ!だがそれには前もった金がいるんです!政治的な協力も!単なるぶら下がりは黙ってろ!」
西川はムッと不快になり、それ以上言葉が出なかった。
議員はヘッドフォンで周囲を遮断した。が、ぎょっとのけぞった。
線が切られたのだ。ハカセの側近<キタノ>が知らない間に、ハサミを持ってかがんでいる。
「きっちゃたよ〜・・・へっ!」
ハカセは腕組みした。
「議員さん。僕らを見捨てるってことなんですよね?」
「きさま!誰に向かって!」
「そうなんですね?そうなら返事してください」
「議会を通さんことには!」
「あなたには、力がないのがよくわかりました。よって今後は利益に有意差がでないものと断定いたします!」
何分か間があったのち、ハカセは振り向いた。
「今となっては、あなたはただのお荷物です。では・・・」
「ん?」町議は他人事のように顔を上げた。
「退院してもらいます」
素早い動作で、ハカセはメールを打ち続けた。
「バカめが。このわしを退院させるってことは・・・もしもの後ろ盾を失うぞ」議員は妙に勝ち誇った。西川は慌てた。
「ハカセ先生!そんな権限は先生には・・・あくまでも真珠会の理事が!」
「理事?理事だって?」馬鹿にするように議員はのけぞった。
「あのワケあり理事か!もう切れたも同じだ!」
ハカセは小刻みで首を縦に振った。
VIPルームの回診を終え、ハカセはベランダで待つ町議のもとへ。
若い女性が数人、近くで化粧している。
「わしに用か?」
「ええ。しかも急用です」
「治験ならもういい。今度は病気の奴にでもやれい」
「その治験もけっこう関係しているのですが」
「む?」
「資金面の調達です。議会で議題を通していただかないと」
「それはもっか、交渉中だ!」
「先日、それはお聞きしました」
「きみ。交渉事っていうのは1日にしてならずだよ・・・各部署の了解を経ていって、ようやく1つのパーツが出来上がるのだ」
「予算が組まれなければ、我々の計画が実行できません」
ボケっとした表情で、議員はこちらを向いた。
「さあ。そうだったかなあ・・・」
「議員。現生での恥事を隠ぺいするため、あなたはこちらに居を構えたんですよね」
近くの女性らは恐れをなし、道具をカタカタとハイペースで片付けた。
「復帰はするよ。その前の準備期間だ」
「復帰って。その前に、我々に協力していただかないと困ります!病院の再建設を。嘘だったんですか・・・こっちは官僚を受け入れる条件でせっかく」
「わかっとる、わかっとる。いちいちやかましい青二才どもが!」
後ろから事務長の西川がやってきた。
「ハカセ先生。議員にも議員の都合があるんですよ?」
「なに・・・?」ハカセは睨んだ。
「真珠会としましても、できればハカセ先生の都合はつけたいんですが」
「資金がなければ実験施設ができない。ただの病院になります。あなたのとこの資金じゃまだ足りない。僕らの抱えるスケールは半端なものじゃありません」
「先生。夢もいいですが」
「じゃあその夢を見て、はるばる遠国からやってきた医師たちはどうするんです?ここで修業をし、ここで骨を埋める誓いまで立てた医師たちを?」
「この病院が栄えれば、ゆくゆくこの地域はハカセ先生のものになるじゃないですか!」
「当然ですよ!だがそれには前もった金がいるんです!政治的な協力も!単なるぶら下がりは黙ってろ!」
西川はムッと不快になり、それ以上言葉が出なかった。
議員はヘッドフォンで周囲を遮断した。が、ぎょっとのけぞった。
線が切られたのだ。ハカセの側近<キタノ>が知らない間に、ハサミを持ってかがんでいる。
「きっちゃたよ〜・・・へっ!」
ハカセは腕組みした。
「議員さん。僕らを見捨てるってことなんですよね?」
「きさま!誰に向かって!」
「そうなんですね?そうなら返事してください」
「議会を通さんことには!」
「あなたには、力がないのがよくわかりました。よって今後は利益に有意差がでないものと断定いたします!」
何分か間があったのち、ハカセは振り向いた。
「今となっては、あなたはただのお荷物です。では・・・」
「ん?」町議は他人事のように顔を上げた。
「退院してもらいます」
素早い動作で、ハカセはメールを打ち続けた。
「バカめが。このわしを退院させるってことは・・・もしもの後ろ盾を失うぞ」議員は妙に勝ち誇った。西川は慌てた。
「ハカセ先生!そんな権限は先生には・・・あくまでも真珠会の理事が!」
「理事?理事だって?」馬鹿にするように議員はのけぞった。
「あのワケあり理事か!もう切れたも同じだ!」
ハカセは小刻みで首を縦に振った。
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