ES-MEN 56

2007年8月30日
 真珠会第二。

 軍服の医師3人が、いきなり町議の病室にはいってきた。

「失礼します!軍の命により参りました!」
「こら!起こすな今何時だと?」町議は顔が真っ赤で、あちこちクーリングしている。

「まだ昼です!ニューヨークでの話ですが!すみませんがこのベッドへ!」
「や!やめろ!やめろって!」

娘のレイカは兵の腕で邪魔されていた。

「お父様!お父様をどこへやるのよ!」
「入院日数が延びたので、転院させよとの命令で」
「ハカセ先生が?」
「スミ総長からはそうお聞きしました」
「自分らの利益にならないと思ったから?そうなのね!卑怯!」
「コメントは差し控えさせていただきます」

 あっという間に、ベッド上の父親は病衣のまま廊下に出された。

 うち兵1人が携帯を傍受した。
「空中衝突を避けるため、別機ヘリでの出撃は避けます」
「空中衝突?わしをどこへ運ぶ気だ!」顔真っ赤の議員は首を上げた。

兵は冷静に連絡。
「トレーラーは!トレーラーの用意を!」

 玄関前、赤いトレーラーが待っている。ついさっき西川が乗ってた分をすでに回収。

 後ろにコンテナ車両が2台。
 コンテナの横、幾つものハッチのうち1つがグイーン、と開いた。

 トレーラーの下から、真っ黒になったエンジニアが現れた。
「車体はほぼ入れ替えたが、浸水の影響で水を被ってるとこがある!もうちと点検して・・・」

 それは無視された。

 基盤の上にベッドが載せられ、再びハッチは閉じかけた。
議員は抑制されて動けない。

「くそ!こら!放せ!貴様らもう二度と医者できんようにしてやる!」
 ハッチは閉じ、その声は消えた。

 ピー!と兵のホイッスル。誘導でトレーラーは国道に面した。

 研修医らが乗り込んでいく。1人あぶれ、オーベンらしき医者が追いかけてきた。

「今日は見学程度だ!今度行け!」
「ああ!自分も行きたかったっすよ!」
「最終出撃のときでいい!」
「あのトレーラー、むちゃカッコいいですよお!」
「心配するな。将来、嫌ほど見ることになる」
「えっ?」

「あれは阪神大震災をきっかけにハカセが考案した救命トラックだ。連結がいくつもできて便利。まさしく<動く病棟>だ」
「嫌ほど見るっていうのは・・・」
「ハカセはビジネスも考えておられる。将来的に路上にあぶれる国民を、トレーラーに住まわせて、非・災害地へと移動させる」
「・・・・・」
「最終的には全国各地を周遊させネットワーク化し、僻地と都会の距離を減らすんだ!患者が取り残されることもない!俺も将来、運転手に志願する!」

 洗脳されたようなオーベンに、コベンはたじろいだ。

「彼は素晴らしい。将来を悲観せず、人類に永遠の延命をもたらす男だ!」

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索