ES-MEN 59
2007年8月31日慎吾はヘッドフォンで音楽聴きながら、バリアフリーの下で待ち続けた。
「くそ〜。どんなのが来るのかな・・・」
山の向こうを見つめるが、赤いサイレンは見えてこない。
「あ?あれは・・・」
トラックのようなハイビームが見えた。
「山からだな・・・あれじゃないか?1台・・1台なら大歓迎だ!」
慎吾はあっさり予感を的中させた。
玄関手前の緊急赤ボタンで、鋼鉄のゲートが横に開いた。
トレーラー運転の兵が片手双眼鏡で病院を眺めた。
「ゲートが開いた。向こうもやる気かな?用心して行くぞ」
「アイアイサー」助手席の兵がうなずく。
「これで、突入の手間は省けたわけだ」
ギヤの切り替えで、トレーラーはますます勢いを増した。
山は、雷が落ちたように常にあちこちが光っていた。それと爆音。
イノシシは疲れ知らずで、緩やかな斜面をひたすら下っていた。模擬弾のあおりで、病院という標的に向かっている。
スミは発射の手をゆるめた。
「もう充分だろう。病院手前で旋回し、引き返せ。ん?」
病院背後、瓦葺きの横に長い建造物。多人数の子供らがパジャマのまま走っている。事務長らによる誘導で2階に避難しているようだ。
託児所で寝かせていた、夜勤ナースらの子供たちだ。
「逃げとけ逃げとけ。私は弱いものは退治しないあちらの国とは違うだが・・・」
「総長。残念でしたね」操縦士は微笑んだ。
「むう?」
「模擬弾は底をつきました。実弾は人道に反する」
「つまり?」
「単なる脅しに終わりましたね」
「馬鹿が私を何だと思ってるさっさと瓦の上に行け!」
「な?なにを?」
苛立ったスミは、横から操縦桿を握った。
病院玄関からなるべく距離をとり、トレーラーは停車した。
慎吾は玄関前で、目を細めた。
「おいおい・・・」携帯が鳴った。
『事務長です!先生!やっぱ様子がおかしい!』
「みたいだな。もうあそこの患者は取らないぞ!」
『トレーラーの横からドアが・・・』
慎吾が気になったのは、遅れて到着したバイクのようなものだった。サイドカーのような車高の低いバイクは横向きトレーラーの後ろで待機した。
「ハッチ、開けよ!」
サイドバイクの兵は手招きし、ベッドの議員がゆっくり頭上から降ろされてきた。
「て!転院など誰が決めた!こっちから自分で歩くわ!はっ何!ここは真田・・・?」
吹き続ける風。暴れる体が一瞬、止まった。
降ろされたベッドの左側、バイクが横から軽くぶつかったように思えた。ガツンと接続したような音だ。
「おいお前!はやくこれをほどいてくれ!」
「・・・了解」連絡を受けた兵は、そのままハンドルを握った。「揺れますので、注意をば!」
「なに?うわ!」
ベッドはサイドバイクによって発進し、そのまま一路病院玄関へと目指していった。
兵は事務長に直通電話した。
「転院患者の引き取りを、お願いいたします」
『事務長だ。こちらが向こうから君らはいい!』
「そうはいかん。玄関までは私たちの役目だ!」
空で、スミはニヤついていた。
「戦争の世界に身を投じる前に国民に手本を示しておかねばならぬ・・・!もはや片時の平和も許せん!」
事務長は双眼鏡を外した。子供らを避難させ、大汗だ。事務室は子供らでごった返している。
「あのベッド。バイクごと突っ込んでくる・・・・慎吾先生!自転車自転車!」
『乗ろうとしてる!』慎吾は慌てて何度も足をペダルから落とした。
「向こうへ進んでUターンを!」
『行って戻る?』
「ベッドをつかまえるんです!」
『ベッドをか?俺が?誰か!』
事務長は飛び跳ねる子供らを、1人ずつつかまえる。
「あちこち触っちゃだめだよ!」
「(子供ら)ギャア!ギャア!」
「言うことをきけ!」
「(子供ら)いやや〜!」
「くそ〜。どんなのが来るのかな・・・」
山の向こうを見つめるが、赤いサイレンは見えてこない。
「あ?あれは・・・」
トラックのようなハイビームが見えた。
「山からだな・・・あれじゃないか?1台・・1台なら大歓迎だ!」
慎吾はあっさり予感を的中させた。
玄関手前の緊急赤ボタンで、鋼鉄のゲートが横に開いた。
トレーラー運転の兵が片手双眼鏡で病院を眺めた。
「ゲートが開いた。向こうもやる気かな?用心して行くぞ」
「アイアイサー」助手席の兵がうなずく。
「これで、突入の手間は省けたわけだ」
ギヤの切り替えで、トレーラーはますます勢いを増した。
山は、雷が落ちたように常にあちこちが光っていた。それと爆音。
イノシシは疲れ知らずで、緩やかな斜面をひたすら下っていた。模擬弾のあおりで、病院という標的に向かっている。
スミは発射の手をゆるめた。
「もう充分だろう。病院手前で旋回し、引き返せ。ん?」
病院背後、瓦葺きの横に長い建造物。多人数の子供らがパジャマのまま走っている。事務長らによる誘導で2階に避難しているようだ。
託児所で寝かせていた、夜勤ナースらの子供たちだ。
「逃げとけ逃げとけ。私は弱いものは退治しないあちらの国とは違うだが・・・」
「総長。残念でしたね」操縦士は微笑んだ。
「むう?」
「模擬弾は底をつきました。実弾は人道に反する」
「つまり?」
「単なる脅しに終わりましたね」
「馬鹿が私を何だと思ってるさっさと瓦の上に行け!」
「な?なにを?」
苛立ったスミは、横から操縦桿を握った。
病院玄関からなるべく距離をとり、トレーラーは停車した。
慎吾は玄関前で、目を細めた。
「おいおい・・・」携帯が鳴った。
『事務長です!先生!やっぱ様子がおかしい!』
「みたいだな。もうあそこの患者は取らないぞ!」
『トレーラーの横からドアが・・・』
慎吾が気になったのは、遅れて到着したバイクのようなものだった。サイドカーのような車高の低いバイクは横向きトレーラーの後ろで待機した。
「ハッチ、開けよ!」
サイドバイクの兵は手招きし、ベッドの議員がゆっくり頭上から降ろされてきた。
「て!転院など誰が決めた!こっちから自分で歩くわ!はっ何!ここは真田・・・?」
吹き続ける風。暴れる体が一瞬、止まった。
降ろされたベッドの左側、バイクが横から軽くぶつかったように思えた。ガツンと接続したような音だ。
「おいお前!はやくこれをほどいてくれ!」
「・・・了解」連絡を受けた兵は、そのままハンドルを握った。「揺れますので、注意をば!」
「なに?うわ!」
ベッドはサイドバイクによって発進し、そのまま一路病院玄関へと目指していった。
兵は事務長に直通電話した。
「転院患者の引き取りを、お願いいたします」
『事務長だ。こちらが向こうから君らはいい!』
「そうはいかん。玄関までは私たちの役目だ!」
空で、スミはニヤついていた。
「戦争の世界に身を投じる前に国民に手本を示しておかねばならぬ・・・!もはや片時の平和も許せん!」
事務長は双眼鏡を外した。子供らを避難させ、大汗だ。事務室は子供らでごった返している。
「あのベッド。バイクごと突っ込んでくる・・・・慎吾先生!自転車自転車!」
『乗ろうとしてる!』慎吾は慌てて何度も足をペダルから落とした。
「向こうへ進んでUターンを!」
『行って戻る?』
「ベッドをつかまえるんです!」
『ベッドをか?俺が?誰か!』
事務長は飛び跳ねる子供らを、1人ずつつかまえる。
「あちこち触っちゃだめだよ!」
「(子供ら)ギャア!ギャア!」
「言うことをきけ!」
「(子供ら)いやや〜!」
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