ES-MEN 66
2007年8月31日 早朝、いつものように子供の受診が受け付けられた。
風邪ひきと思われ、腹部触診のため横にさせてもらった。
「はい〜ねんねだよ〜」
「ふ・・ふんげえ!ふんげ!ふんげ!」
すぐ終わるから・・ね!お母さん!押さえて・・
「ちょっ・・」母親は頼りなく、日頃過保護っぽい気がした。
「ヒューヒューいってるな。でも喘息とはいえんな」
「ゲアア!ゲアア!」
1歳くらいのその子は、嵐のように泣き出した。
「ゲ・・・!」
「え・・・?」
その子供は・・みるみる顔色が悪くなってきた。紫色だ。間違いなく現実だ。
「え?なんで?」
「ぎ・・」
子供は人形のように萎れ、呼吸までなくなった。
「ああ!ああ!呼吸が!脈は?小児科医!」
さっきまでいたのに、いない。
「ささ、酸素!いい、いるだろ酸素!アンビューで!」
「どうした?」まだ包帯の多い慎吾が入ってきた。
「慎吾!急変だ!小児が!」
「えっお前何したんだ!」
僕はアンビューを受け取った。
「これは大き過ぎる!上から当てる!」
「挿管準備は?」
「ぶるぶるぶる・・痰の窒息なのか?」
「知らん!挿管は!」
「しょ、小児科医!」
その瞬間、タウンページで頭をしばかれた。反動で床に崩れた。
小児科医はアンビューを外した。
「何を?なにをした?あ、先生。これは・・・ははは」
「てえな、くそ・・・!」
「泣き入りひきつけだ・・・心配ない」
やがて、乳児の色が戻ってきた。
「それって・・・いいの?」
「君が泣かしたのが原因だ。原因は除去」
そのまま、診察室から追い出された。
「とんでもない処置を、するとこだった・・・」
またちょっと落ち込んだ。
「きゃああああ!」
受付から、女性の声だ。かけつけると・・・
人だかりができている。真ん中に縫いぐるみを持った1歳くらいの女の子。
「どうしたんです・・・?」
「は!針!針を!」
「針?」
女の子の手を見ると・・・確かに長い針が見える。
その針で、何度も縫いぐるみをキャッキャッと指している。
田中くんがおそるおそる手を差しのべた。
「ささ、危ないからおじょうちゃん・・・」
「ダー!」(振り回し)
「きえええ!」
僕は気づいた。
「あの子が持ってるのは、ディバイダーですよ!コンパスの、両方が針のやつ!」
「なんであの子が?」母親は狼狽した。
「あの子は確か、心臓超音波した子です。多分そのとき、エコー室から・・・」
僕は近づかず、声だけかけた。
「おおい!ジャンケンするぞ!ジャンケン!」
「・・・・・」
反応がない。
田中君はうなだれた。
「先生!1歳でジャンケンなんてできるんですか?医学書では?」
「知らんよそんなの!」
「しょうがない!私が縫いぐるみになります!母親に失礼なきように!」
運動会で使った着ぐるみを履きはじめた。
「そこまでせんと、いかんか?」
「事務員は常に身を張れと!事務長が言うもので!」
顔はかぶらず、田中くんは女の子に歩み寄った。
「はてはてうう〜!」
「・・・・・」
「さ!どこでも来い!」
女の子は上から下を眺めて・・・・結局、靴の上に刺した。
「ぎゃああああああ!」
「ヒヘッヒヘッヒヘッ!」
「いてえ!ほんとにいてえ!ガキが!このクソガキが!」
母親は慌ててディバイダーを抜いた。血をティッシュで拭き・・・
「どうも。助かりました」
と、僕の白衣の胸ポッケに入れた。
風邪ひきと思われ、腹部触診のため横にさせてもらった。
「はい〜ねんねだよ〜」
「ふ・・ふんげえ!ふんげ!ふんげ!」
すぐ終わるから・・ね!お母さん!押さえて・・
「ちょっ・・」母親は頼りなく、日頃過保護っぽい気がした。
「ヒューヒューいってるな。でも喘息とはいえんな」
「ゲアア!ゲアア!」
1歳くらいのその子は、嵐のように泣き出した。
「ゲ・・・!」
「え・・・?」
その子供は・・みるみる顔色が悪くなってきた。紫色だ。間違いなく現実だ。
「え?なんで?」
「ぎ・・」
子供は人形のように萎れ、呼吸までなくなった。
「ああ!ああ!呼吸が!脈は?小児科医!」
さっきまでいたのに、いない。
「ささ、酸素!いい、いるだろ酸素!アンビューで!」
「どうした?」まだ包帯の多い慎吾が入ってきた。
「慎吾!急変だ!小児が!」
「えっお前何したんだ!」
僕はアンビューを受け取った。
「これは大き過ぎる!上から当てる!」
「挿管準備は?」
「ぶるぶるぶる・・痰の窒息なのか?」
「知らん!挿管は!」
「しょ、小児科医!」
その瞬間、タウンページで頭をしばかれた。反動で床に崩れた。
小児科医はアンビューを外した。
「何を?なにをした?あ、先生。これは・・・ははは」
「てえな、くそ・・・!」
「泣き入りひきつけだ・・・心配ない」
やがて、乳児の色が戻ってきた。
「それって・・・いいの?」
「君が泣かしたのが原因だ。原因は除去」
そのまま、診察室から追い出された。
「とんでもない処置を、するとこだった・・・」
またちょっと落ち込んだ。
「きゃああああ!」
受付から、女性の声だ。かけつけると・・・
人だかりができている。真ん中に縫いぐるみを持った1歳くらいの女の子。
「どうしたんです・・・?」
「は!針!針を!」
「針?」
女の子の手を見ると・・・確かに長い針が見える。
その針で、何度も縫いぐるみをキャッキャッと指している。
田中くんがおそるおそる手を差しのべた。
「ささ、危ないからおじょうちゃん・・・」
「ダー!」(振り回し)
「きえええ!」
僕は気づいた。
「あの子が持ってるのは、ディバイダーですよ!コンパスの、両方が針のやつ!」
「なんであの子が?」母親は狼狽した。
「あの子は確か、心臓超音波した子です。多分そのとき、エコー室から・・・」
僕は近づかず、声だけかけた。
「おおい!ジャンケンするぞ!ジャンケン!」
「・・・・・」
反応がない。
田中君はうなだれた。
「先生!1歳でジャンケンなんてできるんですか?医学書では?」
「知らんよそんなの!」
「しょうがない!私が縫いぐるみになります!母親に失礼なきように!」
運動会で使った着ぐるみを履きはじめた。
「そこまでせんと、いかんか?」
「事務員は常に身を張れと!事務長が言うもので!」
顔はかぶらず、田中くんは女の子に歩み寄った。
「はてはてうう〜!」
「・・・・・」
「さ!どこでも来い!」
女の子は上から下を眺めて・・・・結局、靴の上に刺した。
「ぎゃああああああ!」
「ヒヘッヒヘッヒヘッ!」
「いてえ!ほんとにいてえ!ガキが!このクソガキが!」
母親は慌ててディバイダーを抜いた。血をティッシュで拭き・・・
「どうも。助かりました」
と、僕の白衣の胸ポッケに入れた。
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