ES-MEN 75

2007年9月1日
「スミ!」
「おお前らはいかに無駄な浪費をしているってことが分らんのか我々の第一歩を踏みにじるつもりか負けると分かってても!」

 スミは、ポケットからアンプルを数本取り出した。

「それは・・・?」
「これを賞品にしてやろう」
「なんて書いてあるんだ・・・?」
「最近、開発された坑VRE薬」

「リネゾリド・・・!」

 僕は手を伸ばした。当時は一部の大学病院にしかなく、民間では入手困難だったのだ。

「欲しいだろ〜それ欲しいか!」
「ぐぐ!」

 スミは、目に見えないほどの鋭い突きを胸に見舞った。
思わず両手で守ったがそれごと突かれた。

「いてっ!ちょっと!ちょお!」
「どうした暴力は違法か?暴力なしでテロがさばけるか?」
「くっそ〜!」

 スミの拳の間から、アンプルがカランカランとこぼれていく。

「我々は弱体化したこの国をテロから守るため立ち上がる!お前らのような者にこの日本は守らせん!たあ!」
「いてえ!ホントにいてえ!」

「む!わが同志が引き揚げているではないか?」

 グルグルと、駐車場のバイクや車を蹴散らしていくトレーラー。
 ハッチが全て開いたままなのが分かる。

「患者は全部、送っただとお?」
「医者が少なくてもな!やればやれるんだ!」

 スミは立ち尽くした。

「な、何が?私は夢を見てるんだそうだ違いない革命は起こるのだでは何のために!」
「スミ!診療に行かせろ!それと!」

 落ちたアンプルをかき集め、ズボンへ。

「そうはいかんお前らにはやらん!私に勝ってもないのに!」
「このやろう!」
「それではそろそろ!仕上げにかかるか!」

 パンチがいきなり何十発と飛んできた。手当たりしだい、とにかく猫パンチ応戦。何発かは当たっても、その数倍やり返してくる。いずれ胸に当たるだろう・・・

 この攻撃は・・あのトレッドミルのときの・・そうだ。田中くんが背負い投げされたときの。パンチが交わせず、スミに胸ポッケをつかまれた。

「つ!つかませるかよ!」
「やあああああああああ!」

 スミの歯を食いしばった一撃が届き、それはムンズと胸ポケットをつかんだ。もう一方が肩に。

「しまった!滑り台に投げられる!」
「そおおだ!でや!ぐ・・・?ぐおおおお!」

 スミは悶え、ポッケ掴んだ拳を反対の手で握り締めた。

 血が小さくしたたる。拳の指の間から針が見えて・・・ディバイダーが隠れてた。

 母親は逆さまに入れてたのか。

「強烈な痛みがああああ!」
「こんな軍人じゃ。日本は守れんな」
「自分の血は初めてだああ!」
「あ!」

 白目を向いたスミはのけぞり、そのまま滑り台へ逆さまに落ち込んだ。彼はそのまま逆さまのままで・・・ツルーッと台を落ちて行った。

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