□ カプセル内視鏡 

 欧米で実際に臨床応用されている、飲み込み式の内視鏡検査。通常は胃・大腸カメラで原因不明の消化管出血、またはクローン病やポリポーシスの診断などに使用される。

 具体的には検査前12時間は絶食で、腹部にレコーダー(記録装置)を装着。内視鏡カプセルを水とともに飲む。MRIを避け激しい運動しなければあとは自由。8時間後に検査終了。

 カプセルは消化管の蠕動にまかせて進み、ウンコとともに出る(小腸狭窄病変などが原因でカプセルが滞留するケースがまれにあり)が使い捨てなので別にかまわない。この間、カプセル内視鏡からはなんと55000枚もの画像が記録され、すべてデコーダーへ送信される。これはさらに<ワークステーション>という場所へ転送され、そこで動画への処理が行われる。

 画像は19万画素で小腸の絨毛もバッチリ。日本でも2004年末から臨床試験が始まっている。

□ 仮面高血圧=masked hypertension=逆白衣高血圧=白衣正常血圧 ・・ 病院での血圧は正常(140/90mmHg以下)なのに、家庭では血圧が高い。なんでもなさそうだが実は心血管病の発症の危険性が高い(持続性の高血圧に匹敵する)とされている。では家庭でどれくらい高ければそうなのか、ということについては結論が出ていない。
 原因としては外来だけでの血圧測定そのものが考えられている。たしかに日内変動、内服のタイミング、リラックス=安心面(個人差があると思うが)も考慮すると、月1・2回の同じ時間帯での血圧の評価自体に無理があるだろう。
 
  家庭血圧計で本症が疑われることになる。

※なお2002年の調査では、糖尿病2型の患者で外来血圧140mmHgと一見正常のうちの半分以上が仮面高血圧だったという結果は驚きだ。

□ 仮面様顔貌(かめんようがんぼう) ・・ 無表情。パーキンソンの症状の1つ。

□ カリウム=カリ ・・ ミネラルの1つ。果物に多い。血液中はふつう一定量だが、低すぎても高すぎても命にかかわる。尿といっしょに動くので、腎臓の機能が大きく作用する。

□ カルチコール ・・ 注射カルシウム製剤。高カリウムを最も速攻で改善させる。作用は一時的。

□ カルバペネム ・・ 抗生剤で、大方広い範囲での菌に有効。どちらかというと陰性菌寄り。グラム陽性菌も疑うならペニシリン系を、異型肺炎の疑いがあればテトラサイクリンを追加する。肝・腎障害に注意せよ。代表薬剤「チエナム」。

□ 肝炎ウイルス ・・ ABCDEの5つのウイルス。大きく2つに分けると

 ? 主に血行感染で持続感染するタイプ・・HBV,HCV,HDV 
 ? 主に経口感染で一過性に感染するタイプ・・HAV , HEV

□ 肝機能=カンキ ・・ 以下の「肝機能障害」参照。血液検査上の肝臓の機能を表す。

□ 肝機能障害 ・・ 血液検査の、大まかには?T-Bil(総ビリルビン)、?AST=GOT、?ALT=GPT、?ALP、?γ-GTPのいずれかに異常がみられる場合。これだけで実際に肝臓が「障害」されているかどうかは不明。特に多いのは脂肪肝だったりする。このためこれでひっかかった人は「腹部超音波」か「CT」を受けるのが望ましく、手っ取り早い。

□ 間欠(性)跛行(かんけつ(せい)はこう)=intermittent claudication=IC ・・ 主に大腿部・膝下の痛み・しびれにより歩行が一時不能となるが休息をとるとまた歩けるようになる症状。神経性と血管性とに区別されねばならない。
 神経性は多くは腰部脊柱管狭窄症で、血管性の多くは慢性動脈閉塞症(ASOやTAO)である。
 問診で疑いありの場合→触診(大腿動脈・膝か動脈・足背動脈・後脛骨動脈)で触れるかどうか。注意すべきは走行の違いのために正常者でも片方が触れにくい場合があるのと、深部の血管が細い場合は正常に触れてしまうこと。なお拍動が強いと感じたなら動脈瘤を疑うべきである。触診だけでなく聴診で雑音も確かめる(特に大腿動脈は分かりやすいのでやるべき)。
 実際に最もよくみられる動脈病変は浅大腿動脈閉塞である。この場合、大腿動脈と末梢側動脈の脈拍は欠如する。欠如してる割にまあまあ歩けている場合は、コラテ(側副血行路)というバイパスの存在を疑わなければならない。
 また、膝の裏にある膝か動脈の触知が良好で末梢の触れが悪い場合は、膝下の病変が示唆される。このケースは糖尿病に多い。

 間欠性跛行の患者にはABPI=上肢・下肢血圧比が行われるが、この検査は動脈硬化のスクリーニングとして実施されている。絶対的に正確な検査ではないが、異常と説明されたなら、主治医に動脈硬化病変(頭部MRI、頸動脈エコー、心臓超音波など)のルールアウトをしてもらう権利がある。なお測定する機械はあまり高くないが、記録に手間がかかるのと点数が低いことから、開業医ではあまりやっていない。

□ 肝硬変=LC=リバチロ=チローゼ ・・ いきなりなるのではなく、肝臓の炎症、つまり肝炎が進行して修復過程、これらを繰り返すうちに線維化が進んでこれに至る。原因によって、「アルコール性肝硬変」「C型肝硬変」などと呼ばれる。
 内訳ではC型肝炎65%、B型肝炎12%、アルコール性13%。血液検査での血小板数減少がきかっけで見つかることも多い。進行例では高アンモニア、肝癌、食道静脈瘤に注意。

□ 看護記録 ・・ カルテ巻末のナースによる病状記録。カルテから独立してる病院もある。通常ドクターは朝、これを読んでから各患者の回診に回る。目的とする点がなく漫然と書かれた記録は、そのナースの単細胞さを露呈さす。

□ 肝細胞癌 

 原因のほとんどがC型肝炎ウイルスの持続感染。じゃあなぜ(肝細胞のDNAに遺伝子変異を起こさないはずの)C型肝炎ウイルスをもった人に肝細胞癌が多く発生するのか?これは意外とまだ分かってない。

 しかし発生が多いのは事実。なのでHCVウイルスの定量で高めの結果が出た人は、たとえ他の検査に異常がなくても(腫瘍マーカー含めた)採血を可能なら毎月、腹部超音波検査を4ヶ月に1回は受けるべき。金や時間の問題ではない。

 それと造影CTもしくはリゾビストMRIをできれば年に1〜2回は受けるべきとされている。なお肝細胞癌でも実際はAFP 20ng/ml以下の例が37.5%、PIVKA?40mAU/ml以下の例が41.5%にみられるという。なのでマーカー診断に過剰に頼ってはいけない。特に開業医。

治療の現状は・・
・ 肝切除 ・・ 肝予備能が良好で単発が好適応。術後3年で6割が再発。
・ PEIT(エタノール注入)・PMCT(マイクロ波凝固)・RFA(ラジオ波凝固) ・・ 腫瘍径3センチ以下で3個までが好適応。
中でもラジオ波は最近の治療で評価が高い。
・ TAE ・・ カテーテル経由でスポンゼルで栄養血管を塞栓。兵糧攻めにする。

 進行癌はそのまま経過をみることもあるが、動注化学療法(動脈経由で抗癌剤を病巣へ直接投与)を試みることもある。奏功率は4-5割と良好。

 治療など最新の知見などについてはhttp://www.gakkai.net/kangan/で。

□ 間質性肺炎=肺線維症=ファイブローシス ・・ 肺の間質(肺胞以外の、血管などの埋まってる組織部分)の炎症により線維化を起こし、肺が固くなる。原因はあるのとないのがある。治療が難しい。
 活動性はLDH、BALの好中球、KL−6、ガリウムシンチなどで評価してステロイドの適応を決める。

□ 間質性膀胱炎 ・・ 膀胱の間質が慢性的に炎症を起こし、膀胱が徐々に萎縮。症状は頻尿、下腹部のだるさなど通常の細菌性膀胱炎のようだが、尿検査では感染所見がなく抗生剤も効かない。となると神経因性膀胱か過活動膀胱か・・と誤診される可能性あり。患者の約7割にアレルギー素因(喘息・アトピー・鼻炎)あり、9割の患者は女性で中高年が多いという疫学的特徴はある。治療は水圧療法(生食を膀胱内注入し内圧を上げて症状緩和)や抗うつ薬、抗不安薬などあるが満足させるものとはいえず、泌尿器科で専門的に診たほうがよさそうだ。

□ 官舎 ・・ 職員用の宿舎。家族が住む前提なので通常は広い。バブル時期にできたものが多く老朽化が目立つところが多い。病院に近いのが何よりのメリット。女を連れ込んだりとかは、近くの部屋の主婦たちにすぐバれる。

□ カンジダ ・・ 皮膚や血液中などに見つかることのある「真菌」の1つ。

□ カンジダ抗原 ・・ 肺真菌症のときなどの活動性を調べるため検査する。結果はすぐ出るが疑陽性も多い。βーDグルカンがより正確だが結果が出るのが遅い。

■ 乾性咳=dry cough(ドライコフ) ・・ 空咳。痰がない咳。これが中心の風邪症状ならマイコプラズマなどを考慮。ACEIの副作用、逆流性食道炎、後鼻漏(こうびろう)、副鼻腔炎かもしれない。心因性のもある。

※ 痰を伴う咳が「湿性咳」。

※ 2週間以上続く場合の1/4に百日咳感染が疑われることが最近明らかに。なので異型肺炎関連の抗体価だけでなく、百日咳抗体価の測定も意識したほうがよさそうだ。

□ 感染性心内膜炎=IE=Infective Endocarditis 

 弁膜症のある患者に起こりやすい。弁の付近にできた疣(いぼ)=疣贅(ゆうぜい)=vegetation(べジテーション)=ベジが心内膜・弁膜およびその周辺にできて、高度な炎症を起こす。

 高齢者での増加がみられており、特にMRSAによるものが目立つ。本によるが、半数は疣が検出されないと聞いている。

 高熱があんまり持続すると脳に塞栓することもある。

 治療は、MIC(最小発育阻止濃度)の5-10倍に匹敵する大量の抗生剤を、中心静脈経由で4-6週投与。

 気炎菌が不明だとか緊急などの事情でとりあえず抗生剤を投与したいときは、弁が自己弁の炎症(NVE)か人工弁の炎症(PVE)かによって選択する。具体的にはNVEではStreptococcus viridansをターゲット(PCGなど)、PVEではStaphylococcus aureusをターゲットにする(AMPCなど)。

 しかし抗生剤でも反応がない場合や塞栓症状繰り返し例、疣贅が1センチ以上と巨大なら外科治療の対象になる。

※ 診断基準として2000年以降、Duke基準が推奨されている。
※ http://www.fukumi.co.jp/mm/add/mp_endocarditis.htm(循環器病学会)に詳細な解説あり。

■ 感染性腸炎 ・・ ウイルスまたは細菌による腸の感染により高熱・下痢・脱水をきたす。食中毒は細菌性の1つで夏に集中。最近では小型球状ウイルス(ノロなど)によるものが増加しており冬に多い。またアメーバ性大腸炎が増加しておりここ6年で2.5倍。多そうな海外渡航は3割程度で残りは国内。同性愛者・HIVのケースに多い。

□ 「患者さんがかわいそう」 ・・ 上司がよく下の医者・ナースを説教するときによく使う言葉。手技の未熟さで患者に迷惑をかけた状況などに対して。
 
□ 感受性=センスィティビティー(sensitivity) ・・ 薬剤・物質などに対する、生体にとっての取り込まれやすさ。つまり「センスィティビティーが良好」なのはその物質・薬剤が生体に取り込まれやすい・効きやすいことをあらわす。

□ 冠注(i.c.) ・・ カテーテル検査下で、薬剤・造影剤を冠動脈内に注入すること。

□ 冠動脈=コロナリー ・・ 心臓の周囲を流れる細い動脈。狭いと心臓の動きがそれだけ悪くなる。狭いのが狭心症、詰まるのが心筋梗塞。冠動脈の入り口にカテーテルを入れて造影するのが「心臓カテーテル検査」。

□ 管理開設者 ・・ その病院の責任者。独断で振舞えるが、責任者としてのリスクも背負う、覚悟のいる立場。

□ 冠攣縮性狭心症=異型狭心症=VSA=VAP ・・ 冠動脈の痙攣によって生じる狭窄によって起こる狭心症。予防薬がカルシウム拮抗薬。

□ 関連病院=ジッツ ・・ 大学病院の先輩方が占領している植民地。だがよその大学の支配病院の中のポストのことがあり、その場合「外様」と呼ばれる。関連病院の多さを自慢する医局ほど、実はすでに飽和状態(入る余地なし)の病院だらけだったりすることもある。事前にチェックせよ!

□ 勧誘 ・・ 甘い言葉で巧みに誘う事。病院転職の勧誘は特に気をつけよう。たいていは、間で誰かが得するシステムになっている。マンションなど融資の電話もしつこくかかってくる。

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