サーガマニュアル2007秋 き-2
2007年9月17日□ 急性膵炎
血液・尿中の膵酵素が上昇する膵臓の炎症で、発熱・腹痛があれば真っ先に疑う。上腹部痛が初発症状である頻度は95%(圧痛92%)と、ほぼ必発。
画像診断は必須で、単にアミラーゼが高いだけで診断・治療してしまわないよう注意。程度は様々で、軽いのから重症まで(浮腫性と壊死性に分かれ、前者は85%で後者は15%。当然、後者は予後が悪く多臓器不全のリスクもつ)。
2大要因は長期アルコールと胆石。しかし本疾患の3割はそれら以外が原因→薬剤副作用や代謝障害、感染症なども検索を。
治療は重症度によるが、まず絶食・IVH管理を基本としてプロテアーゼインヒビター大量投与(FOY持続点滴→軽快したらフオイパン内服へ変更)、H2ブロッカー(ガスターなど)が基本で、必要に応じてインスリン、FFPなどが投与される。低血圧だからといって単純にカテコラミンの指示をするのでなく、むしろ補液量でフォローすべき。
本疾患の致死率は平均7%。高齢者ではもっと高い。
死因は?MOF(多臓器不全)、?心循環不全、?敗血症。予後的には1/3-1/2が何らかの分泌機能不全を後遺症的に残す。
※ 初期病態は種々の引き金→トリプシノーゲンの活性化から始まる。これが血中でTAP(トリプシノーゲン活性化ペプチド)として検出される例では膵臓以外にも炎症が拡がっていく段階で、中等症〜重症の膵炎をきたすことがわかっている。この変化は発症早期にみられており、いかにこの段階になる前に(具体的には48時間以内に)治療を行うかが予後への分かれ目となる。
しつこいようだがトリプシンによる膵臓の自己消化は発症48時間で起こるのだ。
※ 2002年発表の「急性膵炎の発生要因に関する症例研究」では、?アルコール過剰摂取、?栄養摂取の不足が本疾患のリスクを上昇させることを明らかにした。
※ 「H13年度研究報告書」によると、予後不良を規定する因子は・・
?2つ以上の併存疾患
?(特に膵頭部を含む領域の)膵壊死
?感染
?stage2以上
?入院後1週間での重症度スコアの増加、の5つ。
※ 2005年7月にガイドラインhttp://www.nanbyou.or.jp/pdf/048_i_guide.pdfが完成した。国内外の論文を5段階評価して、治療を推奨するものからしないものまでA-E評価したもの。これによると・・
・ 古典的な皮膚所見(Grey-Turner、Cullen、Fox)は頻度が実際は低く出現も遅く非特異的である。
・ A(推奨される)と評価されたものは、血中アミラーゼ測定、その欠点(他の疾患でも上がる。慢性膵炎増悪例では上昇しないことあり)を補うリパーゼ測定。しかもリパーゼはアミラーゼより高値が持続するので見落としも助ける。ただ注意すべきは教科書にもある通り、これら2つは重症度の評価にはならない。重症膵炎というのは、重症臓器の機能不全がみられた場合にそう呼び、重症度評価はCRPが「A」の推奨度。ただしこの上昇は病態変化に少し遅れるらしく、発症48時間以内はあまり信用できないという指摘がある。他Aとされたのは胸・腹部レントゲン(胸まで撮るのは基礎疾患、心不全・胸水有無などの評価の意味あり)、超音波(膵腫大・膵周囲の炎症性変化)。CTは「B」らしいが、他疾患の除外をするため、客観的証拠を残すためには必須だろう。壊死(これは感染につながる!)の診断のためには造影が必要となるが膵炎の悪化が懸念されるとどうしても躊躇してしまう。イギリスのガイドラインでは造影CTは入院3-10日を勧めている。これには発症早期では膵壊死がなかなか映らないという理由も含む。壊死がある場合、画像では7日目あたりで明瞭に描写されてくる。
※ 重症型における特殊治療
・ 腹膜灌流・腹腔洗浄=peritoneal lavage ・・ 主には膵壊死部分の除去術(デブリドマン)後の持続的洗浄の意味として施行。
・ 選択的消化管除菌=selective digestive decontamination=SDD ・・ norfloxacin・colistin・amphotericinの3剤を経口・軟膏・注腸。エビデンス乏しく死亡率を下げるまでには至らず。
・ 蛋白分解酵素阻害薬の大量持続点滴 ・・ gabexate mesilate=メシル酸ガベキサート=FOYは、欧米では無効とされているが日本では推奨。具体的には2400mg/day。
・ 持続動注療法(蛋白分解酵素阻害剤・抗菌剤) ・・ エビデンス少ない。発症から72時間以内を推奨。
・ 血液浄化法 ・・ 主にCHDF。メディエイター(サイトカインなど)の除去が目的で、サードスペースの水分を血管に戻すためでもある。これも早期が望ましい。
□ 急性胆嚢炎 ・・ たいてい胆石がきっかけで起こる炎症。胆石だと右上腹部の痛みだけだったりするが、高熱まであるとこれの合併を疑う。絶食・点滴による入院加療が必要。
□ 急性虫垂炎=アッペ ・・ 小腸・大腸のほぼ間にある虫垂という、しぼんだ風船のようなものの中が閉塞(若年ではリンパ組織発達、高齢では糞石あるいは悪性腫瘍によるものが多い)して細菌性の炎症が起こって発症する。痛みは通常みぞおちから始まり、徐々に右下腹部へと移動。筋性防御(指で優しく押すと板のように硬い)・ブルンベルグ(指で押してパッと離したら、離したほうが痛い)があれば腹膜刺激症状ありと判断、炎症が虫垂の周囲に波及していると考えられる。なお熱は高熱とは限らない。しかし重症ほど高熱を呈し、?38.5℃以上、?白血球15000以上、?腹膜刺激症状のいずれか1つでも陽性なら手術適応と考えられる。
□ 急変 ・・ 急に状態が悪化すること。これを予測できるかどうかもドクターの力量に関係することが多い。
□ 給与明細 ・・ 給料の振込みと同時に配られる明細。たまに間違いがあるので、自分が当直した回数、残業時間など細かく確認しておく必要がある。
まず<基本給>があって<手当て>が追加され、<控除>で引かれて残りが手取り。
<健康保険料><厚生年金保険><所得税><住民税>←これでかなりの損失を食らう。場合によってはこれに→<食事代><医局費><保育代(託児所利用の場合)><駐車場使用料>までが引かれる。
プラスになる<手当>としては<当直手当><超過勤務手当><残業手当><役職手当(医長とか医局長など)><住宅手当(医者の場合民間では半分は出すのが常識)><通勤手当(車出勤だとしても、交通の便がいいとこでは地下鉄・JR料金で計算されてしまうことが多い)>。
余談だが、<退職金>を出せるかどうかが、そこの病院の経営状態を反映する・・というのは意外と知られていない事実。病院選びのポイントの1つである(んなこと、聞けんって!)。
□ 胸腔穿刺 ・・ 胸水を取るために、針で胸の外から刺して、注射液に取る。液は検査に出す。性状をすぐさま確認(混濁がないか)、細胞数、細胞分画、比重、pH、LDH、蛋白、Cl、ADA、糖、Hb(Hct)、CEA、ヒアルロン酸、補体などのほか、培養、細胞診も提出。リバルタ反応は過去の検査。
□ 強制換気 ・・ 通常は人工呼吸器のモードの1つ。患者の呼吸と関係なく、一定間隔で強制的に呼吸器から空気を送る。患者の呼吸が鎮静剤で鎮められていないと呼吸同士がぶつかる(ファイティング)ことがある。
□ 胸部X線写真=胸写=胸部単純=胸部X-P=Chest X-P=胸部レ線=ブルスト ・・ 胸のレントゲン。正面像と側面像がある。正面像だけだと見落とすこともある。
□ 胸膜 ・・ 肺をつつむ膜。肺炎が波及したり肺癌が浸潤すると胸膜炎を起こす。前者が細菌性胸膜炎、後者が癌性胸膜炎。胸膜生検は肺結核や中皮腫等の診断のため行う。
□ 胸膜炎 ・・ 肺の外、レントゲン、CT写真では通常写らない「胸膜腔」というスキマに炎症性の胸水が貯留した状態。原因は様々で、それによって「細菌性・・」「結核性・・」などと名づけられる。
□ 胸膜中皮腫
肺を包む胸膜にできる癌(厳密には胸膜中皮由来)。
診断は胸水の分析と胸膜生検などによる。石綿曝露と関係の深い職業歴を有するものに多い(病原の8割がアスベスト)。石綿以外にも他の金属、有機物が関与することもある。
喫煙で発症のリスクが高くなる。必然的に男性に多い。
2つタイプがあり、
?限局性 ・・ 線維腫で良性
?びまん性 ・・ 悪性。
通常『中皮腫』といえば?を指す。
組織別にみると、
?上皮型、?肉腫型、?混合型の3タイプがあり、?はヒアルロン酸を産生するので胸水でこれも調べる必要あり。
血小板増加の例がしばしばあり、進行例では8割に認める。
スクリーニングのための試薬<Human N-ERC/Mesothelin Assay Kit-IBL>が発売されている。中皮腫由来の蛋白<ERC=メソテリン>を検出。全身麻酔下で生検となるので実際の実用は困難(非保険適応)。
治療は対症療法、つまり各症状に対する治療。現時点では胸膜・肺全摘術が最善の選択となるが、特に中皮腫は診断後の生存期間が平均9〜13ヶ月と進行が速く、治癒は難しい。
治療の最近のトピックスとしては、現在臨床試験中の薬剤pemetrexed disodiumがある。シスプラチンとの併用とシスプラチン単剤を比較した試験では、前者が後者より生存期間が3ヶ月長かった。副作用が強いが今後期待されている薬剤だ。
□ 胸骨 ・・ 胸の中央にある長い骨。骨髄穿刺する場所の1つ。これのうしろに胸腺がある。なお骨折はレントゲン側面像で評価。
□ 共診=共同診療 ・・ 他の科にも協力してもらい、複数の科が患者を担当すること。1つの科に戻ると『共診解除』。
□ 胸水 ・・ 肺の外に溜まった水。胸膜の炎症か、それとも単にそこへ漏れた水か鑑別する必要あり。
□ 強ミノ=強力ミノファーゲンシー ・・ 以前からよく使用される「肝庇護剤(かんひござい)」。
□ 凝固異常 ・・ 先天的な凝固傾向による血栓傾向。脳梗塞などのリスクとなる。スクリーニングとして以下の項目があげられる→プロテインC、プロテインS、アンチトロンビン?、β2-GP?依存性抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント、ヘモグロビン電気泳動、ホモシステイン、リポプロテイン、など
□ 虚血性心疾患(IHD)=急性冠症候群(ACS) ・・ 狭心症+心筋梗塞。
□ 給与明細 ・・ 給料日当日に手渡される明細。まず基本給が記載、それに超過勤務手当、当直手当、場合により通勤手当、住宅手当が足され、そこから所得税や健康保険料、厚生年金保険、住民税が引かれ、たいてい明細右下の「現金支給額」が手取りとなり振り込まれる。
□ 給料日・ボーナス日 ・・ 詰所は明るい雰囲気で包まれている。
□ キリップ分類 ・・ 急性心筋梗塞時の心不全の程度を表す分類。外来の時点で理学所見(心音・呼吸音)より判断する。それに対して入院の上スワンガンツ・カテーテルを鎖骨下あるいは頸部より挿入してその血行動態データから心不全の病態を分類して治療に生かすのがフォレスター分類。したがって区別して覚えておく必要がある。
□ 菌血症 ・・ 血液に菌が拡がった状態。臨床的には「敗血症」を起こす。
□ 禁忌 ・・ 決してしてはいけないこと。
□ 筋緊張型頭痛 ・・ 頭痛の半分を占める。頭・首周囲の筋肉の緊張から起こる痛み(頭重感)で、それには精神的な緊張が大きく関与する。痛みは慢性的にあり、特に昼から夕方までが最悪。薬があるとすれば抗うつ薬、筋弛緩薬だが、これだけではあまり効果はないと聞く。やはり日常生活でのリラックス・・フロで肩を揉んだり、パソコンを休んだり体操したり。こういった気分転換が重要のようだ。
□ 勤務表 ・・ 婦長が悪戦苦闘して毎月作り上げる、全ナースの出勤予定表。月末に出来上がる。デートの予定もこれに大きく左右される。
□ 勤務評定 ・・ 病院を回るごとに退職時に記載される、医師の通知簿(文章)。これらを参考に次の行き先が決まる。原則的に本人は見れない。
血液・尿中の膵酵素が上昇する膵臓の炎症で、発熱・腹痛があれば真っ先に疑う。上腹部痛が初発症状である頻度は95%(圧痛92%)と、ほぼ必発。
画像診断は必須で、単にアミラーゼが高いだけで診断・治療してしまわないよう注意。程度は様々で、軽いのから重症まで(浮腫性と壊死性に分かれ、前者は85%で後者は15%。当然、後者は予後が悪く多臓器不全のリスクもつ)。
2大要因は長期アルコールと胆石。しかし本疾患の3割はそれら以外が原因→薬剤副作用や代謝障害、感染症なども検索を。
治療は重症度によるが、まず絶食・IVH管理を基本としてプロテアーゼインヒビター大量投与(FOY持続点滴→軽快したらフオイパン内服へ変更)、H2ブロッカー(ガスターなど)が基本で、必要に応じてインスリン、FFPなどが投与される。低血圧だからといって単純にカテコラミンの指示をするのでなく、むしろ補液量でフォローすべき。
本疾患の致死率は平均7%。高齢者ではもっと高い。
死因は?MOF(多臓器不全)、?心循環不全、?敗血症。予後的には1/3-1/2が何らかの分泌機能不全を後遺症的に残す。
※ 初期病態は種々の引き金→トリプシノーゲンの活性化から始まる。これが血中でTAP(トリプシノーゲン活性化ペプチド)として検出される例では膵臓以外にも炎症が拡がっていく段階で、中等症〜重症の膵炎をきたすことがわかっている。この変化は発症早期にみられており、いかにこの段階になる前に(具体的には48時間以内に)治療を行うかが予後への分かれ目となる。
しつこいようだがトリプシンによる膵臓の自己消化は発症48時間で起こるのだ。
※ 2002年発表の「急性膵炎の発生要因に関する症例研究」では、?アルコール過剰摂取、?栄養摂取の不足が本疾患のリスクを上昇させることを明らかにした。
※ 「H13年度研究報告書」によると、予後不良を規定する因子は・・
?2つ以上の併存疾患
?(特に膵頭部を含む領域の)膵壊死
?感染
?stage2以上
?入院後1週間での重症度スコアの増加、の5つ。
※ 2005年7月にガイドラインhttp://www.nanbyou.or.jp/pdf/048_i_guide.pdfが完成した。国内外の論文を5段階評価して、治療を推奨するものからしないものまでA-E評価したもの。これによると・・
・ 古典的な皮膚所見(Grey-Turner、Cullen、Fox)は頻度が実際は低く出現も遅く非特異的である。
・ A(推奨される)と評価されたものは、血中アミラーゼ測定、その欠点(他の疾患でも上がる。慢性膵炎増悪例では上昇しないことあり)を補うリパーゼ測定。しかもリパーゼはアミラーゼより高値が持続するので見落としも助ける。ただ注意すべきは教科書にもある通り、これら2つは重症度の評価にはならない。重症膵炎というのは、重症臓器の機能不全がみられた場合にそう呼び、重症度評価はCRPが「A」の推奨度。ただしこの上昇は病態変化に少し遅れるらしく、発症48時間以内はあまり信用できないという指摘がある。他Aとされたのは胸・腹部レントゲン(胸まで撮るのは基礎疾患、心不全・胸水有無などの評価の意味あり)、超音波(膵腫大・膵周囲の炎症性変化)。CTは「B」らしいが、他疾患の除外をするため、客観的証拠を残すためには必須だろう。壊死(これは感染につながる!)の診断のためには造影が必要となるが膵炎の悪化が懸念されるとどうしても躊躇してしまう。イギリスのガイドラインでは造影CTは入院3-10日を勧めている。これには発症早期では膵壊死がなかなか映らないという理由も含む。壊死がある場合、画像では7日目あたりで明瞭に描写されてくる。
※ 重症型における特殊治療
・ 腹膜灌流・腹腔洗浄=peritoneal lavage ・・ 主には膵壊死部分の除去術(デブリドマン)後の持続的洗浄の意味として施行。
・ 選択的消化管除菌=selective digestive decontamination=SDD ・・ norfloxacin・colistin・amphotericinの3剤を経口・軟膏・注腸。エビデンス乏しく死亡率を下げるまでには至らず。
・ 蛋白分解酵素阻害薬の大量持続点滴 ・・ gabexate mesilate=メシル酸ガベキサート=FOYは、欧米では無効とされているが日本では推奨。具体的には2400mg/day。
・ 持続動注療法(蛋白分解酵素阻害剤・抗菌剤) ・・ エビデンス少ない。発症から72時間以内を推奨。
・ 血液浄化法 ・・ 主にCHDF。メディエイター(サイトカインなど)の除去が目的で、サードスペースの水分を血管に戻すためでもある。これも早期が望ましい。
□ 急性胆嚢炎 ・・ たいてい胆石がきっかけで起こる炎症。胆石だと右上腹部の痛みだけだったりするが、高熱まであるとこれの合併を疑う。絶食・点滴による入院加療が必要。
□ 急性虫垂炎=アッペ ・・ 小腸・大腸のほぼ間にある虫垂という、しぼんだ風船のようなものの中が閉塞(若年ではリンパ組織発達、高齢では糞石あるいは悪性腫瘍によるものが多い)して細菌性の炎症が起こって発症する。痛みは通常みぞおちから始まり、徐々に右下腹部へと移動。筋性防御(指で優しく押すと板のように硬い)・ブルンベルグ(指で押してパッと離したら、離したほうが痛い)があれば腹膜刺激症状ありと判断、炎症が虫垂の周囲に波及していると考えられる。なお熱は高熱とは限らない。しかし重症ほど高熱を呈し、?38.5℃以上、?白血球15000以上、?腹膜刺激症状のいずれか1つでも陽性なら手術適応と考えられる。
□ 急変 ・・ 急に状態が悪化すること。これを予測できるかどうかもドクターの力量に関係することが多い。
□ 給与明細 ・・ 給料の振込みと同時に配られる明細。たまに間違いがあるので、自分が当直した回数、残業時間など細かく確認しておく必要がある。
まず<基本給>があって<手当て>が追加され、<控除>で引かれて残りが手取り。
<健康保険料><厚生年金保険><所得税><住民税>←これでかなりの損失を食らう。場合によってはこれに→<食事代><医局費><保育代(託児所利用の場合)><駐車場使用料>までが引かれる。
プラスになる<手当>としては<当直手当><超過勤務手当><残業手当><役職手当(医長とか医局長など)><住宅手当(医者の場合民間では半分は出すのが常識)><通勤手当(車出勤だとしても、交通の便がいいとこでは地下鉄・JR料金で計算されてしまうことが多い)>。
余談だが、<退職金>を出せるかどうかが、そこの病院の経営状態を反映する・・というのは意外と知られていない事実。病院選びのポイントの1つである(んなこと、聞けんって!)。
□ 胸腔穿刺 ・・ 胸水を取るために、針で胸の外から刺して、注射液に取る。液は検査に出す。性状をすぐさま確認(混濁がないか)、細胞数、細胞分画、比重、pH、LDH、蛋白、Cl、ADA、糖、Hb(Hct)、CEA、ヒアルロン酸、補体などのほか、培養、細胞診も提出。リバルタ反応は過去の検査。
□ 強制換気 ・・ 通常は人工呼吸器のモードの1つ。患者の呼吸と関係なく、一定間隔で強制的に呼吸器から空気を送る。患者の呼吸が鎮静剤で鎮められていないと呼吸同士がぶつかる(ファイティング)ことがある。
□ 胸部X線写真=胸写=胸部単純=胸部X-P=Chest X-P=胸部レ線=ブルスト ・・ 胸のレントゲン。正面像と側面像がある。正面像だけだと見落とすこともある。
□ 胸膜 ・・ 肺をつつむ膜。肺炎が波及したり肺癌が浸潤すると胸膜炎を起こす。前者が細菌性胸膜炎、後者が癌性胸膜炎。胸膜生検は肺結核や中皮腫等の診断のため行う。
□ 胸膜炎 ・・ 肺の外、レントゲン、CT写真では通常写らない「胸膜腔」というスキマに炎症性の胸水が貯留した状態。原因は様々で、それによって「細菌性・・」「結核性・・」などと名づけられる。
□ 胸膜中皮腫
肺を包む胸膜にできる癌(厳密には胸膜中皮由来)。
診断は胸水の分析と胸膜生検などによる。石綿曝露と関係の深い職業歴を有するものに多い(病原の8割がアスベスト)。石綿以外にも他の金属、有機物が関与することもある。
喫煙で発症のリスクが高くなる。必然的に男性に多い。
2つタイプがあり、
?限局性 ・・ 線維腫で良性
?びまん性 ・・ 悪性。
通常『中皮腫』といえば?を指す。
組織別にみると、
?上皮型、?肉腫型、?混合型の3タイプがあり、?はヒアルロン酸を産生するので胸水でこれも調べる必要あり。
血小板増加の例がしばしばあり、進行例では8割に認める。
スクリーニングのための試薬<Human N-ERC/Mesothelin Assay Kit-IBL>が発売されている。中皮腫由来の蛋白<ERC=メソテリン>を検出。全身麻酔下で生検となるので実際の実用は困難(非保険適応)。
治療は対症療法、つまり各症状に対する治療。現時点では胸膜・肺全摘術が最善の選択となるが、特に中皮腫は診断後の生存期間が平均9〜13ヶ月と進行が速く、治癒は難しい。
治療の最近のトピックスとしては、現在臨床試験中の薬剤pemetrexed disodiumがある。シスプラチンとの併用とシスプラチン単剤を比較した試験では、前者が後者より生存期間が3ヶ月長かった。副作用が強いが今後期待されている薬剤だ。
□ 胸骨 ・・ 胸の中央にある長い骨。骨髄穿刺する場所の1つ。これのうしろに胸腺がある。なお骨折はレントゲン側面像で評価。
□ 共診=共同診療 ・・ 他の科にも協力してもらい、複数の科が患者を担当すること。1つの科に戻ると『共診解除』。
□ 胸水 ・・ 肺の外に溜まった水。胸膜の炎症か、それとも単にそこへ漏れた水か鑑別する必要あり。
□ 強ミノ=強力ミノファーゲンシー ・・ 以前からよく使用される「肝庇護剤(かんひござい)」。
□ 凝固異常 ・・ 先天的な凝固傾向による血栓傾向。脳梗塞などのリスクとなる。スクリーニングとして以下の項目があげられる→プロテインC、プロテインS、アンチトロンビン?、β2-GP?依存性抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント、ヘモグロビン電気泳動、ホモシステイン、リポプロテイン、など
□ 虚血性心疾患(IHD)=急性冠症候群(ACS) ・・ 狭心症+心筋梗塞。
□ 給与明細 ・・ 給料日当日に手渡される明細。まず基本給が記載、それに超過勤務手当、当直手当、場合により通勤手当、住宅手当が足され、そこから所得税や健康保険料、厚生年金保険、住民税が引かれ、たいてい明細右下の「現金支給額」が手取りとなり振り込まれる。
□ 給料日・ボーナス日 ・・ 詰所は明るい雰囲気で包まれている。
□ キリップ分類 ・・ 急性心筋梗塞時の心不全の程度を表す分類。外来の時点で理学所見(心音・呼吸音)より判断する。それに対して入院の上スワンガンツ・カテーテルを鎖骨下あるいは頸部より挿入してその血行動態データから心不全の病態を分類して治療に生かすのがフォレスター分類。したがって区別して覚えておく必要がある。
□ 菌血症 ・・ 血液に菌が拡がった状態。臨床的には「敗血症」を起こす。
□ 禁忌 ・・ 決してしてはいけないこと。
□ 筋緊張型頭痛 ・・ 頭痛の半分を占める。頭・首周囲の筋肉の緊張から起こる痛み(頭重感)で、それには精神的な緊張が大きく関与する。痛みは慢性的にあり、特に昼から夕方までが最悪。薬があるとすれば抗うつ薬、筋弛緩薬だが、これだけではあまり効果はないと聞く。やはり日常生活でのリラックス・・フロで肩を揉んだり、パソコンを休んだり体操したり。こういった気分転換が重要のようだ。
□ 勤務表 ・・ 婦長が悪戦苦闘して毎月作り上げる、全ナースの出勤予定表。月末に出来上がる。デートの予定もこれに大きく左右される。
□ 勤務評定 ・・ 病院を回るごとに退職時に記載される、医師の通知簿(文章)。これらを参考に次の行き先が決まる。原則的に本人は見れない。
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