□ ぎっくり腰=急性腰痛症 ・・ 突然の腰痛が生じることの総称だが、誘引(物を持ち上げたりとか)がある場合とない場合がある。原因を特定できるのはわずか2割。ほとんどが画像で追求しにくい病態(関節の微妙な偏位、椎間板の変性、筋肉内の傷害など)であることを意味する。治療は安静とNSAID内服が基本。

□ 逆リモデリング ・・ 通常、<左心室の逆リモデリング>のこと。リモデリングは心室の心筋障害による圧・容量負荷によって、異常部が薄く正常部分が代償性に肥大したりして心肥大・心拡大をもたらす変化をいうが、逆リモデリングは治療によってそれが逆の方向に改善されること。
 これをもたらす治療はβ遮断薬とCRT(心臓再同期療法)だけ。ACEIは単に<リモデリング抑制>だけで、逆にするまでの力はない。

□ 逆流性食道炎 ・・ 胃の酸が食道に逆流して炎症を起こす。このため胸焼けなど不快な症状をもたらす。職場では「逆食(ぎゃくしょく)」と略される。

□ 空洞病変(胸部画像上の) ・・ 実はこれという定義がない。見た目で診断。周囲の壁が厚い場合、こう表現される。

・壁が厚さ。厚い場合→急性肺膿瘍、肺癌(原発・転移)、Wegener肉芽腫症など。
・単発か多発性か。
 単発性→原発性肺癌、急性肺膿瘍など。
 多発性→転移性肺腫瘍、Wegener肉芽腫症など。

□ 薬の説明会 ・・ MRが弁当を持参して行われる説明会。薬の新規採用が目的。説明会のあとホントに使用されるのかどうか上層部が決める。最近は効能効果よりも仕入値段がポイント。弁当はやたら高級チックなものが選ばれるので、家族に持って帰るドクターもいる。

□ 薬のみ ・・ 外来のドクターが外来に降りて来れなかったり、また患者が診察を希望せず処方のみ欲しいときに「薬のみ」扱いになる。病院によっては診察なしでも「受診扱い」となり結局診察料も取られる。細かい人は確認しておく必要がある。

□ クモ状血管腫 ・・ 顔面、頸・胸部にみられる中央隆起の発赤+周囲のクモ手様の血管拡張。なので押すとそのときだけ消える。性ホルモンのバランスの関与と考えられ、妊娠、肝硬変
のほか甲状腺機能亢進の場合もあるらしい。

□ クラビット ・・ 抗生剤でグラム陰性菌寄り。小児への投与禁忌。4錠分2で濃度の立ち上げを図りよりよい効果。最近ゾロ品が発売され、本家の第一製薬は焦っている。

□ クリアランス ・・ 洗い出しのこと。腎臓では血液が尿になる。その変換過程のスムーズさ、というニュアンスも。

□ クラリス、クラリシッド ・・ マクロライド系抗生物質の内服。通常はマイコプラズマなどのほか、慢性気管支炎の去痰目的に使用されることが多い。そのため使用も慢性になることが多く、耐性菌の出現が心配される。なおこの薬は小児科領域でも使用が頻繁で、耐性(効きが落ちてくること)はかなり深刻だ。
                 
□ クランケ ・・ ドイツ語で、「患者」。今はほとんど言わない。笑われる。老年医師、民間ナースではまだ根強い。

クリオグロブリン血症=Cryo血症

□ クリオグロブリン血症

クリオグロブリン=Cryoglobulin=Cryo ・・ 37℃(体温)より低い温度で沈殿し、37℃に加温で再溶解する免疫グロブリン。これが生成される機序は不明。健常人でも軽微ながら検出される。

○ Cryoの分類
 ?型(5-25%) ・・ 単クローン性のIgGまたはIgM ・・ 多発性骨髄腫、悪性リンパ腫
 ?型(40-60%) ・・ 多クローン性の免疫グロブリン、リウマチ因子活性をもつ単クローン性免疫グロブリン ・・ 本態性のものと2次性(B細胞性リンパ増殖性疾患、シェーグレンなど)
 ?型(40-50%) ・・ 多クローン性で、実際はIgG、リウマチ因子活性をもつIgMなど ・・ 自己免疫疾患、感染症
※ ?・?型は多クローン性なので<混合型>とも呼ばれる。

○ Cryo血症の分類
? 本態性 ・・ 原因不明 
   ※ 最近HCV感染との関連に注目が集まっている。?型Cryo血症はHCV陽性例の60-80%に検出される。さらにその35-60%に腎炎を合併する(?型膜性増殖性腎炎が主体)。
      臨床経過としてはHCV陽性の肝炎〜肝硬変の経過中に尿所見異常、低補体血症を認めCryoを検出されることにより診断されていく。
? 二次性 ・・ 骨髄腫、リンパ腫瘍性疾患、膠原病

以下、?型本態性について。

・ 腎外症状 ・・ 下腿好発の紫斑・潰瘍・関節痛、全身性血管炎、リンパ節腫脹、肝脾腫大、多発性神経炎。
・ 検査所見 ・・ HCV陽性。CH50↓(高度〜低度)、C3↓、C4↓(C3>C4)、リウマチ因子陽性。
・ クリオグロブリン検出 → 免疫電気泳動でモノクローナルかポリクローナルかを判別。
・ 腎生検 ・・ ?型膜性増殖性腎炎(8割)、膜性腎炎(1割)
  <光学顕微鏡>ループ内腔に管腔内血栓とよばれるエオジン好性塊状沈殿物。免疫染色ではIgM主体でIgG軽度。
  <電子顕微鏡>糸球体基底膜の内皮下に特徴的な繊維構造物。

○ Cryo血症の治療

温度への関連により、まず寒冷への曝露を避ける。

? Cryoの産生抑制
 ステロイド、免疫抑制剤、HCVに関してはIFN
? Cryoの除去
 クリオインフィルトレーション ・・ 分離した血漿を冷却、Cryoを析出し除去、血漿は温めて戻す。
 血漿交換
? 脾臓摘出
? 腎症そのものへの治療
? 二次性のものは原疾患の治療も

機序がそもそも分かっていないので、根本的な治療は未開発。

□ クリティカルパス=CP=クリニカルパス=ケアマップ ・・ 医療の標準化・効率化を図るための工程管理表。横軸が入院日数で、縦軸に検査・治療計画、安静度などを一括にして見取り図にしたもの。

□ クリンダマイシン=CLDM ・・ 嫌気性菌に対して使用される。誤嚥性肺炎、膿瘍などの独特な病態での使用に限られる。

□ クレーム ・・ 苦情。多くは患者から職員への苦情を指す。

■ クローン病 ・・ 原因不明(現在最も有力なのは、遺伝素因+腸管細菌由来抗原に対する粘膜免疫反応)。腸管の全層性炎症で口〜肛門すべてに病変起こりうるが病変はとびとび(区域的分布)。

 全層性炎症は線維化・狭窄・穿孔・膿瘍・ろう孔を形成し腹痛・下痢・下血など多彩な症状を引き起こす。慢性・再発性で10-20代に多く増加傾向。30年経過患者の9割が手術経験者で、再手術率は1年で5%。なお長期ほど癌の発症頻度は高くなる。

 小腸の検査技術が発達しており、カプセル内視鏡とダブルバルーン小腸鏡がトピックス。

 治療は内科治療(成分栄養剤など)が中心。インフリキシマブは既存治療に抵抗性のクローン病に81%もの有効性を証明。また2006年にはアザチオプリン(イムラン)が保険適応に。ただそれらの互いの位置づけが曖昧で混沌とした感がある。

 内科治療に不応性、または狭窄病変の場合、手術対象となる。


□ 偶発性低体温症 

 深部体温(直腸・膀胱・食道・鼓膜など)が35℃以下になった(なっていた)病態、というのが定義。

 泥酔者、ホームレスであることが多い。そもそもアルコールは体温調節機能を障害しやすい。一般的処置のほかに、できるだけ速やかに深部体温が34℃となるまで復温をはかる。

 この復温法には2つある。

? 保温法 ・・ 毛布・暖房であくまでも本人の体温調節機能による復温をめざす。

? 能動的加温法 ・・ 温熱器具(電気毛布、赤外線ヒーターなど)を用いた体外式と、42-46℃の100%酸素吸入・42-44℃の生食点滴(中心静脈経由)による体外式がある。体外式は深部体温30℃以下の重篤な場合に行う。

□ グラム陰性桿菌 ・・ 敗血症の原因となる恐ろしい菌。緑膿菌だと最悪だ。なんかの拍子に集団でエンドトキシンという毒を発する。これによる循環不全が「エンドトキシン・ショック」あるいは「敗血症性ショック」というやつだ。「デイ・アフター・トゥモロー」http://page.freett.com/aorekare/200411.htmという映画にも出てきた。

□ グラム染色 ・・ 痰の中の菌をある程度推定するために行われる染色法。ヘタだと時間がかかり手が紫になる。肺炎球菌に関してはこれだけで診断が確定することがある。コストがかかる検査なので病院経営には目障りな検査。

□ グル音 ・・ 腹部に聴診器を当てたら聴こえる、腸の動く音。聴こえなくて腹部が膨れていれば腸閉塞や急性腸炎を疑い、腹痛とキンキンという金属音があれば機械性の腸閉塞を疑う。

□ グレリン ・・ これまでは<成長ホルモン分泌を促進する胃由来(脳からも出ますが)のペプチドホルモン>という意義しかなかったが、最近の発見により、胃から迷走神経を介して中枢(延髄→視床下部が終着駅)へ空腹情報を伝達し、摂食亢進を促がす物質であることが証明された(2002年)。これに基づきカへキシア(6ヶ月以内に7.5%以上の体重減少)治療に関する研究が行われている。このグレリンは脂肪組織から分泌されるレプチンに拮抗する形で作動している。

コメント

nophoto
沈みたくない太陽
2009年2月13日12:00

初めまして。
薬の名前を検索していてここに辿り着いた者です。
色々と大変とても興味深く読ませて頂いています。
出来ましたら返信頂けますと幸いです。お願いします。m(__)m
グラム陰性桿菌・・についてなのですが、
エンドトキシンという毒を発する・・・とありますが、
その発症してる様子をみる事は私のような素人がレントゲンや
薬の名前などを見て何か解りますでしょうか・・・?教えて下さい。m(__)mm(__)m

ゆうき
2009年2月13日23:53


 エンドトキシンは体に一斉に毒素が放出された状態なので、体はそのストレスに対抗するために大黒柱の太い血管に血液が集中、そのぶん末梢(特に手足)血管が収縮してしまい(循環不全)体中が冷たくなり悪寒を訴えるため毛布で温めることになります。画像上での経過とはまた別のもので、治療では必要により(抗生剤に加え)グロブリン製剤などが新たに投与されることもあります。うまく表現できませんが言いたいことは以上です。

nophoto
沈みたくない太陽
2009年2月14日13:12

ゆうきさん。ご返信して頂き本当にどうも有難うございます。
実は身内が白血病で治療中、病院内で急遽、違う病室から患者が入ってきて同室問題を起こりました。
その後、悪寒と手足の不自由を訴え、意識を失った後に、脳梗塞で肺炎だと医師に説明されたのですが
同時期の発生と医師の説明に疑問だったんです。何より、白血球が少ない時期でしたので
他の患者と同室にされたのが納得がいかなくて院内肺炎ではないか?と思いました。
今、担当医をぶっとばしたい気持ちです。

ゆうき
2009年2月14日14:44


白血球が少ない上に、説明がない上(こちらの同意なく)向こうの独断で感染患者を入れてたとしたら大問題です。こういったことは時間がたつほどうやむやになっていくので、詳細を聞かれるのであれば早めのほうがよろしいかと思います。自分が家族なら、感染→脱水→脳梗塞となった経緯の可能性を時系列で説明してもらいます。

nophoto
沈みたくない太陽
2009年2月14日20:46

再度ご返信頂き本当に大変感謝ですm(__)m
状況を説明しますと、白血球は350しかない状態で同室問題は起こりました。
見舞いに行ったら同室患者が運び込まれる最中で、どういう事!?という状態でした。
無菌室で治療していたわけでなく、、普通の病室に空気清浄機があるだけの部屋での治療で
白血球が少ない状態も知っていましたので当然、抗議しました。
が、医者は同室を指示して学会へ出張という言い訳をされて我慢してほしいとの事でした。
同室にされた患者の二人の患者の内、一人は亡くなりましたが、聞いた所によると、風邪が流行った病室からの転送でした。
医師は関係ないというのですが、納得がいかなくて本当の真実を知りたくてを薬の名を手がかりに探していました。
それから、担当医の説明ですが、脳梗塞は誤診だったらしく、悪い白血球が脳へ浸透したせいになり、
肺炎はまったく関係ない、TVで見かけるような無菌室治療はいまどきは意味はないそうで
他の病気の患者と同室でも問題はない、措置に不備はないと断言されています。
その後、担当医は若い医師と担当医を交代して責任逃れ?なのか逃げました・・・




nophoto
沈みたくない太陽
2009年2月15日11:38

我を失った状態でコメントしてすみません。
感染→脱水→脳梗・・・について医師に説明された事を補足させてください。
感染については、同室による院内感染ではないか?の抗議に対して、
細菌は接触感染するもので同室によるものではない、との説明で自らの起こした肺炎だと説明されました。
白血球が少なく、抵抗力がないのに同室の説明につて、白血球の無菌室治療の無意味さを
メルクマニュアルというものを出されて措置に問題はないと断言される始末です。
脳梗塞は始め、ラクナ梗塞だと説明されてたのですが、それは勘違い!?だったそうで、
治療中の白血球(芽球)が脳に浸透したせいだと説明が変わりました。
同室にされた患者の病気は何だったのか?の問いに対しては個人情報の主旨義務で説明はされません。
風邪の流行った病室から運び込まれた患者というのも、休憩室で噂話を耳にしたものです。
適切な措置をとっているので落ち度はないと言い切られて何も反論する事が出来ず非常に無念です。

ゆうき
2009年2月15日14:29


 感染というもの自体が可視的なものでなく、また病気というもの自体が抵抗力が低い(つまり常に重症化する可能性あり)ので、双方の解釈いずれもありうることになり、病態の解釈が病態の説明になるのは仕方ないかもしれません。ただ、行動が説明の前そうな点、それと<それは断固としてない>と突っぱねている態度は納得いくものではないと思います(多くの方が悩まれていることです)。自分は教訓にしたいと思います。

nophoto
沈みたくない太陽
2009年2月16日15:13

お仕事がお忙しい中、ゆうきさん、本当に返信して頂き有難うございます。
治療中の患者に対しての扱いに関しては信用できないのですが、
・・・うまくいえないのですが、医師のいう病気の説明が全部嘘だとは思ってません。
ただ、その後も、同室にされた患者は身内が発病後、元の病室に帰ったのですが、
追い討ちをかけるように、付き添いに戻ると再度、他の病気の同室者が意識を失ってる身内の横のベットにいる状態・・・
担当医師の説明は、肺炎の治療で白血球が増える注射を打って今は3000あるので普通の患者と変わらなく
前の時よりもっと問題ないみたいな説明をされて病気の説明に疑問を抱かざるをえなくなっています。
無菌室は病院に一室だけあったのですが身内とは違う性別の患者が使っていた為、身内は普通の病室での隔離な白血病治療してました。
病院側は空いているベットがおしかったのかもしれません・・・
病院の温度が高いので、普段は暑がっていた身内が倒れる前に尋常じゃない寒さを訴えてました。
若い医師の方に質問した所、肺炎の菌はグラム菌だと教えてもらいました。やはり敗血病の症状だったかもしれません。


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