□ 劇症肝炎 

 定義では「初発症状出現から8週以内にプロトロンビン時間が40%以下に低下し、昏睡?度以上の肝性脳症を生じる肝炎」。

 さらに?急性型(上記期間が10日以内)、?亜急性型(上記期間が11日以上)に分けられる。

 慢性肝炎の急性増悪との鑑別を要する。

 なお劇症肝炎でプロトロンビン時間が40%以下→昏睡に至るまでの期間は6割が4日以内なので、早期の決断(専門機関への紹介)が必要だ。
 もっと具体的にはプロトロンビン時間が60%以下に下がる以前にコンサルトすべきとされている。

 なお劇症肝炎の定義までいかない状態・・肝性昏睡?度の場合は「急性肝炎重症型」とよばれる。この場合も3割は?度の昏睡に進むので、劇症肝炎の予備軍的存在である。また、劇症肝炎の定義よりも発症が遅れたケース、特に症状出現が8-24週の場合は遅発性肝不全(LOHF ; late onset hepatic failure)と呼ばれ予後不良。

 これら予後不良である劇症肝炎、LOHFの診断がついた場合はIVH管理とし(アミノ酸は投与してはいけない)、全身管理のほかに人工肝補助療法<血漿交換+血液濾過透析(循環動態不安定なら持続的透析のCHDFで開始し、それでも不十分なら高流量で短期型ののHDFへ)>を開始し、同時に死亡が予測された場合の生体肝移植についても考慮(http://www.asahi-net.or.jp/~uz5m-ysb/geki11.htmlにガイドラインあり)すべきとされている。

□ ゲイン ・・ 超音波検査で、画面調整のうちの「明るさ」調整。上げると明るく、下げると暗くなる。調整して検査開始!

■ 外科くずれ ・・ 外科から内科に<自称>転向した医師。小さなオペができる消化器内科医のケースが多い。そのためか大阪では(他も?)消化器内科医が多い。あまりいい言葉でないため、陰で言われるか本人が自己防衛的に使う。

□ 下血 ・・ 肛門からの出血。チョコレートのような黒っぽいのはタール便で胃・十二指腸の可能性。真っ赤な出血は大腸あるいは肛門かも。

□ 下痢 ・・ 便秘の反対。単なる下痢ならロペミンなど止痢剤を処方。高熱があれば腸炎のこともある。特に細菌性腸炎が疑われる場合は止痢剤は使わない。菌を封じ込めてしまうので。

□ ゲンタシン=ゲンタ ・・ 抗生剤の塗り薬。

□ 原発性アルドステロン症 ・・ 2次性高血圧の数%を占める。現状のスクリーニングではまず 安静臥位30分後に採血(レニン=PRA・アルドステロン=PAC)、それぞれ上昇あれば(しかもPAC/PRAが20以上なら本症が疑わしい)フロセミド2時間立位負荷試験を行い、レニン低値例では入院後精密検査を行う、といったもの。

 分類では、

? 片側副腎病変

・ アルドステロン産生腺腫=aldosterone producing adenoma=APA ・・ 腫瘍のサイズとPACとの相関はない。
・ 片側過形成=unilateral adrenal hyperplasia=UAH
・ 片側副腎多発結節性
・ アルドステロン産生副腎癌=aldosterone producing carcinoma=APC

? 両側副腎病変

・ 特発性(両側副腎過形成)=idiopathic hyperaldosteronism=IHA
・ 原発性副腎過形成
・ 糖質コルチコイド奏効性・・遺伝子異常( 常染色体優性遺伝)による。

? その他
・ 家族性
・ アルドステロン産生副腎外腫瘍

これらを総合して、主なものだけ分類すると
?アルドステロン産生腫瘍(腺腫または癌腫)
?特発性アルドステロン症(片側か両側)
?糖質コルチコイド奏効性アルドステロン症
?アルドステロン産生副腎外腫瘍

・ 超音波・CTで過形成・腫瘍の鑑別を行う。副腎シンチはなるべく前投薬(デキサメタゾンによりACTH抑制)の上施行する。腫瘍・過形成の疑い濃厚で、確定までいかない場合(※)は左右の副腎静脈血中のアルドステロンを測定する(選択的副腎静脈採血法=副腎静脈サンプリング)(♯)。病側では健側の10倍以上を示し、両側過形成では双方とも高値である。
※ CTによる副腎病変検出可能な大きさは7ミリ以上。6ミリ以下は不可能。
♯ 最近ではACTH負荷前後の副腎静脈採血が最も有用だという意見もある。

・ 腺腫・癌腫と確定すれば内視鏡下で摘出。手術しないならまず抗アルドステロン剤の内服。血管障害進行例ではオペ後も高血圧は持続する。

・ 過形成例は、まず抗アルドステロン剤から降圧剤を選択・追加。

糖質コルチコイド奏効性アルドステロン症の場合はデキサメタゾンを継続投与。

※  初期にはカリウム異常がみられない場合が多いので注意。 

□ ゲフィチニブ 

 商品名<イレッサ>が有名。EGFR(上皮成長因子受容体)チロシンキナーゼ阻害剤。

 肺癌のうち非小細胞癌の一部(女性、腺癌、非喫煙者で特に)に劇的な効果。

 ところが非小細胞肺癌に無差別投与した場合、生存期間の延長が得られなかったというデータが出てしまい、一時期この薬剤の存在意義そのものに疑問が持たれた(ISEL試験)。http://www.npojip.org/sokuho/050118.htmlここまで批判している人も。

 だが学会関係者は前もっての有効性の検討を行うことで有用性を証明できる、と考えている。いわゆる「個別化医療」の実現だ。

 最近のトピックス↓

 著効例の8割に特徴的な遺伝子異常が見つかった。特定されたのはEGFRチロシンキナーゼドメインで、中でもEGFRシグナル伝達系を増強するという部位。これのあるなしで感受性の予測をする期待もあるが、この変異がない例でも薬剤の有効症例があり、絶対的なマーカーとは言い難い(なので表現上は特異的でなく、特徴的)。そこで最近では遺伝子発現解析(ゲノム上にある20000以上の遺伝子の中から!)を用いた感受性予測の試みがなされている。

※ EGFR=上皮成長因子受容体。ゲフィチニブの標的となる分子。
※ EGFRチロシンキナーゼ:EGFRシグナル伝達系(癌増殖命令の伝言ゲームのようなもの)の初回の段階に位置する。
※ EGFRシグナル伝達系:EGFがEGFRに結合するとEGFRが二量体に変化して細胞増殖へ向けた伝言ゲームが開始される。

 抗癌剤投与では初回治療(ファーストライン)と既治療(セカンドライン、サードライン・・)に分けられるが、ファーストラインで有効だったとの証拠はない。だがセカンドラインでの単独投与の有効性が証明されている。

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