□ シャーカステン ・・ レントゲンなどのフィルムを掛けるところ。

□ 主治医制 ・・ 「その患者のことは全てその主治医にコールして聞けばよい」制度。 病院によっては「当直制」。当直制だと夜間呼ばれるのは当直医だが、主治医制だと主治医が呼ばれるので大変。医療ミスの根源の1つ。大まかにいうと、大学病院では主治医制、民間病院ではオンコール制が多い。

□ シグマート ・・ 「ミリスロール」とはまた別系統の亜硝酸剤。物質名「ニコランジル」。内服・点滴あり。

□ 試験開腹 ・・ 腹痛の患者などで病名が確かでなく、診断のほか治療も兼ねる目的で行われるものをいう。もちろん家族の十分な了解が要る。

□ 指示(しじ) ・・ カルテ用紙の右側にドクターが記載する、ナース側への命令内容。点滴・内服・検査など。官公立などの病院では指示出しを早くに迫る傾向にある(昼1〜2時を要求)。民間では夕方の申し送り直前までが多い。

□ システミック ・・ systemic=系統的な。臨床では「全身の」の意味。膠原病や免疫疾患などをさしている。

□ 指標=メルクマール ・・ 病気を治療していく上での効果の判定のもととなるもの。これをフォローしながらカルテの記載がされているか、それでその医師の能力が分かる。

□ 社会的入院 ・・ リハビリなど、病気の長期療養目的で、ほぼ自立の状態で数ヶ月間(主に療養病棟)に入院すること。しかし実際は病院にとってのベッド埋めの名目のことが多く、悪しき慣習となっている。2011年の療養病棟閉鎖により、この立場の人々は行き場を失うことになる。

□ 主幹部(しゅかんぶ)=trunks(トランクス) ・・ 心臓の場合は冠動脈の、左冠動脈主幹部のことをさす。冠動脈は右1本、左2本だが、左の2本の根元数センチはは1本である。この部位をさす。したがってここが詰まると左は全滅。心臓の三分の二の動きを失う。

□ 腫瘍マーカー=マーカー ・・ 血液検査の項目で、癌を疑ったときに測定。ただし異常なくても癌を完全に否定するものではない。よく調べるのはCEA , CA19-9など。大腸癌は腫瘍マーカー・便潜血の組み合わせでも見落としが3-4割あるという。今後の課題だ。

□ 腫瘤(しゅりゅう)=tumor(トゥモール)=mass(マス) ・・ 塊。中身が何かには触れてない表現。診察・画像所見の表現法の1つ。

■ シェーグレン症候群=SS 

 慢性唾液腺炎+乾燥性角結膜炎を呈する自己免疫疾患。唾液腺・涙腺の病理組織でリンパ球浸潤。障害部位はこれに限らず全身の外分泌腺にわたる。臓器非特異的抗原としてSS-A52kD蛋白、TCR、熱ショック蛋白、唾液腺特異的抗原としてαアミラーゼ、M3R(ムスカリン作動性アセチルコリン受容体)がある。

 唾液腺障害の機序としては、細菌・ウイルス感染で一部唾液腺破壊→自己抗原流出→(抗原特異的)T細胞活性化→細胞障害性T細胞誘導→唾液腺上皮細胞アポトーシス→唾液腺炎・破壊。これらの気序のうち抗原特異的T細胞に注目した分子標的治療などが練られている。

□ シェロングテスト=Schellong試験=起立血圧試験 ・・ 自律神経機能検査の1つ。臥位から立位変換による血圧の変動をみる。十分安静臥位→血圧測定数回→5秒以内にすばやく起立→以後血圧測定。立位直後、1分、2分・・・10分後まで。血圧測定位置が心臓位置と同ラインの基本は守ろう。正常人では変動はあまりない。起立性低血圧の定義そのものが確立されてないが、一般的に30(収縮期)/15(拡張期)mmHg以上下がればそう診断する文献が多い。

□ 資金繰り(しきんぐり) ・・ 経営困難に瀕した民間病院が職員給与の調達のために、あちこち企業からお金を借り入れること。

■ 社会的入院 ・・ 生活保護下で入院管理まで要さないが、あえて入院させているケース。病院側にとって「精査・リハビリ入院」という言い分を持つ。実際検査はするが、大半は儲け目的であって、期限(報酬が下がってくる)2〜3か月が過ぎればまた他院へと送り、以下繰り返し。全国の生活保護者の入院14.5万人のうち3.4万人が社会的入院といわれている。

□ 消化管出血

・ 全体のうち、上部消化管出血が2/3以上を占める。

・ 上部消化管出血 → 吐血・タール便(黒色便) ・・ Treiz靭帯より口側の出血
・ 下部消化管出血 → 下血(比較的赤い便) ・・ Treiz靭帯より肛門側の出血

・ 緊急消化管出血のうち頻度が特に高いのは消化性潰瘍、静脈瘤である。その他の原因として上部では胃癌・マロリーワイズ、下部では大腸癌・憩室炎など。
※ 下部消化管出血では最近NSAIDによるものが増加してきている。

※ コーヒー残渣様 ・・ 出血から嘔吐までの時間が長いことをあらわす。

・ まず臥位とし、顔面横に向けて誤飲・窒息を予防しバイタルを確認。
・ 脈拍数/収縮期血圧は循環血液量の不足を反映するので出血量の推定に役立つ。
・ 乳酸・酢酸リンゲル液で開始、軽症10ml/kg/hr〜重症では40-50ml/kg/hr。中等症以上では代用血漿、アルブミン製剤、加熱ヒト血漿蛋白も使用。
・ 以上で循環動態が安定するならば輸血はすぐには不要だが、ショックが持続するなら濃厚赤血球や新鮮凍結血漿による急速輸血(400ml-1000ml)が必要。
・ バイタル安定化の目安としては収縮期血圧100mmHg以上、脈拍60-120/minを目標に。
・ 上部消化管出血の場合、内視鏡前に胃洗浄(37℃程度ぬるま湯1500-4000ml)を行っておく(ただし止血効果は期待できない)場合もあるため必須でない。
 ※ 十二指腸潰瘍、特に球後潰瘍の出血では胃洗浄で血液を認めないこともある。
・ 下部消化管出血では直腸診・直腸鏡によって肛門部病変、直腸病変の判別につとめる。その次に内視鏡へ。
・ 血管造影は上・下部内視鏡においても出血源が特定できず、かつ動脈性の出血が持続するのであれば考慮される。
・ 消化性潰瘍では露出血管の有無が重要で、再出血の確率高く内視鏡治療の絶対適応。
・ 静脈瘤では下血が先行する例もあり注意。

○ 薬物治療

・ 上部消化管出血の場合(内視鏡的止血の有無にかかわわず)、胃内pHのコントロール(6以上)が効率的な止血効果や再出血予防に重要な役割を果たす。PPI注射剤によってpHコントロールが容易となった。
・ 静脈瘤出血 ・・ 門脈圧亢進によるものなので、出血予防にはβ遮断薬、硝酸塩を投与。出血予防に関して、内視鏡下治療と薬物治療の比較が行われているが長期観察では薬物療法の安全性・効果が明らかになってきている。
・ 消化性潰瘍 ・・ PPIの静脈投与は再出血の予防に有効である。またNSAID投与中であった場合はCOX2阻害剤に変更する。ピロリは出血予防までの明確なデータはない。
・ Mallory-Weiss症候群 ・・ 止血後はH2ブロッカーなど投与。再発がほとんどないため薬物療法の意義は少ない。
・ 下部消化管出血の場合は薬物療法の効果は少なく、絶食による腸管安静が原則。

○ 食道静脈瘤出血のリスクファクター

? 臨床所見
・ 肝障害の程度(Child分類) ・・ 高度なほどリスク高い。
・ 細菌感染によるエンドトキシン血症 ・・ エンドセリン1の増加により門脈圧が亢進、またトキシンで産生のNOで血小板凝集抑制。
・ 腹水 ・・ 静脈瘤血流を増加。
・ 門脈塞栓 ・・ A-P shuntがあるとリスクはさらに増す。
・ 飲酒
・ NSAIDが誘因になることもある。

? 内視鏡所見
・ red color sign(出血率60%弱)とF2以上の青色静脈瘤(Cb)(出血率80%弱)所見。なお硬化療法後のF0症例での非定型的なRC signの出現は出血の危険性が高く、たとえF0でも硬化療法などの追加治療が必要。

? 門脈圧血行動態
・ 門脈圧12mmHg以上で静脈瘤出血がみられる。しかし静脈瘤の程度を表すのは門脈圧でなくあくまでも静脈瘤圧(内圧)のほうであり、そのほか静脈瘤径・壁厚がリスクファクターに関与する。
・ 側副血行路の有無 ・・ あったほうが門脈圧は当然低下する。中でも非再発率に関与する経路は胃ー腎シャントであると報告されている。

○ 食道静脈瘤の治療

・ S-Bチューブ・ショック治療優先。
・ 引き続き内視鏡による止血治療へ。これでも不十分な場合はIVRや外科手術が施行される。
・ 内視鏡治療は従来はEISだったがEVLが増えてきている(併用もあり)。これまでの試験などデータではEVLが静脈瘤出血のもっとも優秀な治療法である。EISに比し副作用も少ない。
・ EVLでは出血点を正面視し十分吸引して出血点の静脈瘤を結紮する。これで止血困難ならEISが有効。また出血点がEC junction直下にある場合、出血点そのものが不明瞭な場合にもEISが有効である。

○ Mallory-Weiss症候群

・ 嘔吐・咳・排便・吃逆(きつぎゃく)・くしゃみなどによる腹圧上昇、または腹部外傷、体外心マッサージ後などによる。胃カメラ時、食道エコー時にも起こりうる。
・ 粘膜損傷は食道胃接合部〜胃噴門部粘膜。
・ 上部消化管出血の5-15%で30-50歳代男性。
・ 通常は粘膜下層にとどまるが筋層に達するものもある。
・ 噴門部限局が7割。小彎側が多い。
・ 露出血管、持続出血の場合は内視鏡的に止血する。
・ 特発性食道破裂=Boerhaave症候群ではこれよりも重症度が高い・・・胸痛のほか、縦隔気腫、皮下気腫、胸水の合併多い。

○ 胃の出血性病変

・ 内視鏡的止血法 ・・ 出血・血管の状態によって以下から選択(組み合わせも)。

? 機械的止血法 ・・ クリッピングが最も確実。その他バルーン圧迫など
? 局注法 ・・ エタノールなど。広範なoozing(湧出性出血)に対しては近年APC=Argon Plasma Coagulationの有用性が指摘されている。
? 熱凝固法 ・・ 高周波、レーザーなど
? 薬剤散布法 ・・ トロンビンなど。出血点が単一でない場合などに。

・ 以上の処置でも止血が不可能な場合は、IVRか緊急外科手術を選択する。

○ Dieulafoy潰瘍 

・ 激烈な出血をきたす小潰瘍・・・という印象からつけられた病名。これという明確な定義はない。

○ 炎症性腸疾患

? 潰瘍性大腸炎

・ びまん性の粘膜炎症。出血も粘膜からのびまん性のものなので、内視鏡止血を要することは基本的にはない。
・ 大腸内視鏡検査を契機に悪化する例もあり、中でも中毒性巨大結腸症を疑う場合は禁忌である。
・ S状結腸までの挿入で重症度評価が行えることが多いので無理に奥まで入れない。
・ 大量下血の場合は出血のため観察が困難なため、血管造影を選択すべき。これにより塞栓術(壊死の合併が危険)、ステロイドの動注にもっていけることがある。

? クローン病

・ 全層性の炎症で深い潰瘍→深いため露出血管を伴うこと多い。出血はびまん性でなくピンポイントが多く、内視鏡的な局所止血が可能なことがある。
・ しかし出血部位としては小腸が多く、内視鏡での同定・処置は困難。その場合出血部位の特定には血管造影・出血シンチで検索。これにより塞栓することあり。

?・?いずれも出血が持続するなら手術による腸管切除となる。

○ 虚血性大腸炎

・ 80-85%が非壊疽性であるが15-20%が壊疽性であり、その場合病変は大腸壁全層に及ぶ。非壊疽性のほとんどは一過性・可逆性だが一部は区域的な狭窄を残す。
(以下、一般的な非壊疽性について)
・ 原因はほとんどが特発性。
・ 細動脈レベルでの虚血なので、血管造影しても異常は認めない。
・ 好発部位は左側結腸で、区域性に分布。
・ 脾彎曲部 ・・ 中結腸動脈(上腸間膜動脈由来)と左結腸動脈(下腸間膜動脈由来)の両者の血流が比較的乏しい領域。欧米では好発部位。
・ わが国では60-70%が下行結腸肛側〜S状結腸口側にかけて広範囲に認める。
・ 動脈硬化が背景に多い。男<女。大腸癌、経口避妊薬、内視鏡前処置の下剤、長距離走が原因になることも。腹部大動脈バイバス手術後の合併症としてもありうる。
・ 症状は突然腹痛→水様性下痢→鮮血便(下痢で薄められ真っ赤でないことが多い)。 ※ 鮮血便の85%は大腸・肛門からの下部消化管出血。
・ 症状・内視鏡所見では感染性腸炎、抗生物質起因性大腸炎との鑑別を要する(海外渡航・食事内容・内服)。
・ 大量下血の場合は本症と大腸憩室の場合が多い。前者では内視鏡での観察がしやすく(下痢が先行して)、後者はしにくい(いきなり血便発症なので血で見えにくい)。
・ CTで腸管の全周性肥厚を認めるが細菌性腸炎でもみられ特異的でない。
・ 内視鏡所見は通常1-2週間で消失する。
・ 全身状態不良(脱水・ショック)例ではむしろ腸間膜動脈閉塞を疑い造影CT・血管造影・MRAを施行すべき。
・ 内視鏡所見
  発症直後 ・・ 黒褐色の壊死粘膜が付着した粘膜像。
  発症6-48時間 ・・ 全周性びまん性浮腫、斑状・地図状発赤(融合しており、びらん・潰瘍が結腸紐沿いに局在、さらに白色の壊死物質付着)。正常粘膜との境界が明瞭。
・ 典型例(つまり一過性・非壊疽性)では禁食期間は1-3日で十分。

□ 消化管穿孔=パーフォレーション ・・ 潰瘍などの消化管の傷害が原因で、消化管の壁が破れたもの。自然治癒は無理なので、通常は開腹して穴を塞ぐ。時間がたつと腹膜炎に進展してしまう。

□ 抄読会(しょうどくかい) ・・ 医局員どうしで行われる読書会。当番制で、海外の論文を和訳して発表する。新しいもののほうが好かれる。

□ 小児用バファリン ・・ 別に小児限定のバファリンという意味でなく、低容量の(量が少なめの)バファリン。だが最近ではもう少し容量多目の「バイアスピリン」のほうを使用することが多い。特に脳外科領域。歯科処置・胃カメラの1週間前は中止しておく必要がある。

□ 職員食堂 ・・ 職員の昼ごはんのための食堂。コストを切り詰めた病院はマズい。逆もいえる。しかしマズいとこが大半だ。食事は早朝のうちに完成型でどっかから運ばれ、また加熱して数時間後に出すところが多いためだ。それでも安いのは魅力。

■ 食道癌 ・・ 消化器癌の中で最も予後不良(切除可能病変+広範囲リンパ節郭清でも5生率50%未満)。術前の化学療法・放射線療法の有効なエビデンスはなく、術後化学療法での予後改善データも不十分。放射線+化学療法が放射線単独に比して有意に汚改善することは示されている。

□ 所見 ・・ 患者の局所的な状態、画像検査などをドクターがフムフムと確認して、その状態を医学的な言葉・立場で記入したもの。

□ 尻拭い ・・ 主治医が転勤で、代わりの医者が重症を引き継いだときなどに、皮肉として言われる陰口。

□ シリンジポンプ ・・ 大型の注射器の中の薬剤を時間あたり数ccという微妙な量で送り込むもの。インスリン、強心剤など。同じルートから静脈注射すると一気に濃度が上がるので注意。中身が枯渇すると息継ぎのない警報音がしてうるさい。

□ 心アミロイド−シス 

 「アミロイド−シス」をまず参照。この4つのタイプいずれもが本症をきたしうる。血行動態的には拘束型心筋症と似る。

 心症状は3つに大別される。

? 心不全
? 刺激伝導障害
? 冠不全

検査所見としては・・

<心電図>半数に特徴的所見→低電位(最多)、V1-3のQS波形(心筋梗塞と誤診される可能性あり)、房室ブロック。

<心エコー>左室壁肥厚、左室横径は拡大せずむしろ正常〜縮小、拡張不全の病態に→これを受けて左心房が拡大。

<心筋生検>これにより診断が確定する。Congo red染色で陽性、さらに偏向顕微鏡で緑色の複屈折を示す。電顕ではアミロイドfibrilを認める。侵襲などの問題で心筋生検が施行できない場合は、直腸・骨髄生検、腹壁の脂肪吸引生検のほうから進めていく必要がある。

<治療>対症療法。ただしALアミロイド−シスで血液幹細胞移植するという治療が検討され、海外ではさらに心移植を組み合わせた報告がある。

<予後>組織診断1年未満の死亡が多い。
    死因は心不全>腎不全>感染。

と出てしまい要再検となる。

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