□ 心拡大 ・・ 胸部レントゲン写真で心臓の横径が比較的大きいこと。ただし深い吸気ができてなかったり、肥満のせいだったりすることもあり、これだけで心臓がどうとかの説明にはならない。

□ 心カテ=心臓カテーテル検査 ・・ カテーテルという細い管を局所麻酔で手や股から入れて、心臓の血管の入り口まで持っていって造影剤を流し、撮影する。冠動脈が細いかどうかを突き止める。細ければ治療へと延長戦となる。

□ 心基部(しんきぶ) ・・ 心臓の主要なポンプ部分である左心室をそうだな・・。風船の右端を握って。それが左心室なら、握った根元の上部分が心基部=base。握ってない丸い先っぽが心尖部(しんせんぶ=apex)といったところかな?すると残りの上縁が心室中隔で、下縁が左室後壁、ということになる。

□ 真菌 ・・ カビ。肺の場合では肺真菌症という肺炎であったり、食道にできれば「食道カンジダ」と呼ばれる。足によくできる場合は足白癬と呼ばれる。重症肺炎では真菌の合併も念頭に置く。

□ 心筋炎 ・・ 主にウイルスを原因(8割。コクサッキーBが最多)とした心筋の炎症→心不全・不整脈を呈する疾患。半数は風邪症状が前駆症状としてあり。ショック・致死的不整脈を呈するのは特別に<劇症型>といわれ、IABP、PCPSなどの体外補助循環まで要することがある(救命率50%)。通常の心筋炎に対するステロイドパルスの効果は否定的。

□ 心筋酵素=逸脱酵素=心筋逸脱酵素 ・・ 心筋梗塞・心筋炎の際に心筋が傷害されたのに伴い血液に流出する物質。

□ 心筋シンチ=心筋シンチグラム=心筋シンチグラフィー ・・ 放射性核医学検査の1つ。放射性物質(同位元素)を注射し、心筋を「プレデター」的に画像描写し血流分布を評価する。血液の量が多いか少ないか絶対量を表すのではなくでなく、あくまでも相対的な意味で使う。

□ 心筋症 ・・ 心臓の筋肉そのものの異常により心不全を起こす難治性疾患。
 ?拡張型心筋症 ・・ 筋肉が薄くてペラペラで心臓がほとんど動かない。重度では心移植を要する。
 ?肥大型心筋症 ・・ 筋肉が肥大して心臓が動きにくくなる。心臓の出口が狭いか狭くないかで
  ?)閉塞型 ?)非閉塞型 に分けられる。
 ?拘束型心筋症 ・・ あまりみかけない。拡張不全が主体。つまり心臓はふつうにしぼむが膨らみにくい。

□ 心筋生検 ・・ 心臓カテーテル検査下で通常行われる検査。心臓の壁である心筋を、心臓の中から経由で採取する。
深く取り過ぎると「タンポナーデ」をきたす。病変のありそうなところに当たらないと、正常所見と出てしまい要再検となる。

□ 心原性脳塞栓 

 NINDSの定義:?心臓内(特に左心房内)の血栓または?シャント(静脈系の血栓が左心房ー右心房間の卵円孔開存などを介して)を介した血栓により脳動脈が閉塞されて起こる脳梗塞(脳梗塞全体の2-3割)。

 通常の動脈硬化(アテローム血栓性)による場合は動脈の狭窄・血栓が徐々に進行するため、別の通り道である側副血行路が発達するものだが、本症では突発的に血管が閉塞されるためそのバイパスが発達する間もなく、結果的に脳梗塞は広範囲となる。

 このため脳塞栓の場合、梗塞巣の完成が短時間でできあがってしまい、結果的に後遺症も大いに残ることが多い。診断が遅れが予後に悪い影響を及ぼす。

 塞栓の原因で最も多い(5割以上との報告あり)のがNVAF=非弁膜症性心房細動。心房細動自体が加齢とともに増えてくるものであるから、脳梗塞予防以前にこういう病態を早期に発見することが望まれる。NVAFがあるかないかで、脳梗塞のリスクが5倍も違うのである。

 閉塞の好発部位は、?内頸動脈遠位端、?中大脳動脈主幹部遠位端、?脳底動脈遠位端が多い。梗塞巣は皮質領域を広範に侵すのが特徴で、皮質症状としての意識障害、失語、半側視空間無視、半盲などを呈する。塞栓のあと続発的に起こりやすいものとしては、?脳浮腫、?自然再開通(24時間内の場合は、うち1割が劇的症状改善みるという報告あり=apectacular shrinking deficit)、?出血性梗塞(?の際、または血栓溶解療法を行った場合に、再び血液が流れ出した脳組織の脆い血管から血液が溢れ、脳出血を合併する。発症後数日と2-4週後の二峰性)、?別領域での再発(特に発症2週間以内に注意。血栓の残存・脱水が引き金に)。

 血栓溶解療法のうちt-PAの静脈投与に関しては、超急性期(3時間以内)の使用で、CTで早期虚血所見がないか軽微、それ相応の経験ある施設などの基準がOKなら使用が許されている。なので患者側としては、脳梗塞発症時に搬送してもらう際に前もって情報があったほうがいいかもしれない。

□ 心係数=cardiac index=CI ・・ CO(心拍出量:1分あたりの左心室からの血液量)をBSA(体表面積)で割り算したものである。単位は(L/min/m2)。

□ 心室頻拍(VT) ・・ 心臓のカラ打ち状態。早急に胸部叩打・電気ショック・心臓マッサージが必要。ただし30秒以下のNSVTは積極的に治療しないという意見もある。

□ 心室リモデリング ・・ ストレスに対する心室自体の変化の過程をいい、心不全の予後を悪化させる因子として重要なもの。具体的には心筋梗塞や心筋症などにより圧・容量負荷が起こって、異常部分が薄くなったり正常部分が代償性に肥大したりする。形態的には心室全体が球状に拡大し、心肥大・心拡大となる。なおこの際、僧房弁が引っ張られておこるMRを合併しやすい。これはさらに左室容量負荷を増加させ、リモデリングが進行する。

□ 浸潤影(しんじゅんえい)= コンソリデーション=consolidation=コンソリ ・・ 胸部のレントゲンで、肺のある部分が(通常は黒く映るが)うっすら白いと、こう表現される。胸水、肺炎であることが多いが、古いものであることも。前回との比較が必要。

□ 心臓MRI 

 心筋症の心機能・壁厚評価に優れた客観的効果をもつ。

 心電図同期により心臓の動きを時相別に分割(収縮→拡張の過程を時間ごとに区切って)して見れる<シネMRI>という方法もある。

 また最近では造影剤使用により心筋のバイアビリティ(生き生き度)を評価することもできるようになった。これは<遅延造影MRI>という方法で、心筋梗塞の壊死部位を病理学的なレベルにまで掘り下げて判定できる。なので当然RIより優れる。しかもこれまで画像診断が曖昧だった心内膜下梗塞、右室梗塞を正確に描出することができるようになった。

 それと<冠動脈MRA>は3D画像による冠動脈形態把握のための検査。冠動脈奇形、川崎病での冠動脈瘤(りゅう)に威力を発揮する。もちろん冠動脈の狭窄も描出し重症病変のスクリーニングには適する。

 最近ではその撮影を簡略化させた<Whole heart coronary MRA>がトピックスで、冠動脈病変のスクリーニングのより優れた方法として期待されている(http://www.schering.co.jp/medical/woln/rsna2004/t_04/に画像あり)。

□ 浸透圧 ・・ 分かりやすくいえば、濃度。浸透圧が高ければ、濃度が高い。つまり周囲から水をひきこむ力が強い。糖尿病では高血糖のため血液の浸透圧が高くなり、腎臓から水ごと押し出される(浸透圧利尿)。で、喉が渇く。低アルブミンなどで浸透圧が低いと水が血管から皮下、胸腔、腹腔などへ逃げる。この逃げ場所が「サードスペース」。

□ 心臓神経症 ・・ 古い病名。心臓が悪いという思い込みから動悸・息切れなどの症状が出て実際は検査で異常なし、別名心臓ノイローゼ。それに対してNCA=神経循環無力症(これも古い病名)というのは期外収縮や低血圧などのちょっとした所見が認められる場合。これらは1980年代よりパニック障害とGAD=全般性不安障害という分類に大きく分けられることになった。

□ 心臓喘息 ・・ 心不全の間接的な作用で、気道の粘膜に浮腫・痙攣が起こり、あたかも喘息様の症状を起こす。心疾患がもともとないかの既往歴、心不全兆候(むくみなど)が気管支喘息との鑑別の決め手。
 
□ 心臓破裂=心破裂=ラプチャー ・・ 心筋梗塞の急性期合併症。高い血圧、薄い心筋はリスク。あっという間に起こるため、起こった瞬間に出会うのがあまりない。治療も対処のしようがない。トイレで力んだりさせない。なので下剤をあらかじめ処方することが多い。

□ 心電図=ECG(英語:イーシージー)=EKG(ドイツ語:エーカーゲー) ・・ あくまでも安静時の心臓の脈解析。ジジババ職員ほど後者で表現することが多い。

□ 心嚢穿刺 ・・ 心臓の周囲に水分が多量に貯留した「タンポナーデ」などに行われる手技。みぞおちから斜め右上に向って穿刺、カテーテルを留置して排液する。急な排液は不整脈や血圧変動を招くので注意。へパロックを忘れると詰まってしまうことあり。

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