サーガマニュアル2007秋 す
2007年9月17日□ スーパーローテ=新医師臨床研修制度 ・・ 2004年4月より実施されている、研修医のため(国のため?)の臨床研修制度。医師法によると・・診療しようとする医師は2年以上研修を受ける義務あり、研修が修了してはじめて医籍登録として証明される・・などの内容あり。2005年現在の時点では特に外科系の成長遅延が問題となっている。2ヶ月の研修で外科の基本を学び終えるなど、到底不可能との声が多い。またこの制度のせいで研修医が都会に集中、地域医療に深刻な影響をもたらすと懸念されている。現在の教育病院の劣悪な環境を考えると、導入そのものが間違いだ。だが・・・それがこの国の<しわ寄せ>というやり方なのだ。
□ スイッチ療法 ・・ 市中肺炎(中等症まで。つまり重症を除く)入院患者での抗生剤投与を、早期に注射剤→内服へ変更する方法。欧米ではガイドラインに記載あり。2006年の報告(日本)では注射で通してする場合と効果は同じと証明され、より推奨されることになった。早期退院・コスト減が期待できる。
□ 膵炎 ・・ 急性と慢性に分けられる。急性膵炎は重篤化することあり入院加療が必要。流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)・ERCPの合併症としても重要。詳しくは「急性膵炎」「慢性膵炎」を参照。2001年以降診断基準が変わったりしているので、こと膵炎に関しては古い本は参照しないほうがいい。
■ 膵臓癌=膵癌=PK=浸潤性膵管癌
早期発見が難しい癌で、発見時は進行例のことが多い。健診レベルでは腹部超音波検査によるスクリーニングにたよっており、疑い例は腫瘍マーカー測定(CEA , CA19-9 , DUPAN2 , SPAN1)に造影腹部CT、さらにはMRIであるMRCPを行い、疑い強ければERCPを行う。
超音波での早期発見目標は、あくまでも直径1センチ以下の膵臓内に限局する癌(膵管上皮にとどまる、いわゆる上皮内癌)だ。2センチだとすでに転移してる例もあるという。このような小さな段階では腫瘍マーカーが異常を呈することは少ない。つまり漫然とした腫瘍マーカーの測定は、膵癌の早期発見にはつながらないということだ。血中アミラーゼ・エラスターゼ?の膵酵素上昇は膵管の閉塞を疑うもので、むしろこちらが早期発見につながる検査項目だ。
PETは有用で特に小肝転移の検出に関しても威力を発揮するが、それで膵臓癌が疑われたとしても良性か悪性かまでは診断できない。
<外科治療>
積極的に切除される傾向にある。もちろん膵頭部癌での話だが、非切除と比べて切除したほうにのみ、長期生存例がみられる。以前は膵全摘が行われていたがその後のQOL低下が著しいため最近はほとんどしていない。代わりに幽門輪温存膵頭十二指腸切除(PPPD)を行う症例が増えてきた。なお標準切除か拡大切除とどちらが有効かは結論が出ていない。
1998年報告(欧米)で、切除可能な膵癌に拡大手術を行うことが予後を延ばすかどうか、の大規模試験が行われたが、結局標準切除と生存率は変わらなかった。その他の検討でも結果は同様だった。
※ 予後は非常に不良であり、切除例での5生率は10%、切除不能例の1生率は15%程度しかない。
※ 術後の化学療法は以前は5-FUだったが、のちにGEMが生存期間の有効性を証明した(FDAが膵癌で唯一認可した化学療法薬)。
※ 術前補助療法 ・・ 手術前に進行の度合いを軽くして手術に臨もうという(downstaging)治療法が検討中。術前に化学療法・放射線療法を行うというもの。まだエビデンスはなし。
<内科治療>
・ 局所進行病変に対する5-FUと放射線療法の併用は各々単独よりも有効。最近登場のGEMは放射線増感作用があるので併用の効果が期待されている。
・ 全身転移した進行癌への化学療法(GEM) ・・ 従来の5-FUより成績がよい。
・ ミニ移植(造血幹細胞移植の1つ) ・・ 言葉の意味は「ミニ移植」参照。
※ 超音波検査では特に健診では時間が限られていることもありポイントを絞って見る必要あり。主には低エコーの腫瘤像がないか、胆管の拡張はないか、膵管が拡張してないか(尾部まで追跡)など。ただガスが多いと膵臓の尾部は見えないことが多いのが難点。PETは有用であるが良悪性の鑑別までは秀でておらず、あくまでも超音波・CTを組み合わせて役に立つもので、PET単独での診断は無理だそうだ。
※ 症状は具体的には腹部または背部痛または腰痛。早期の小さな癌でも症状をきたすことあり、しかも一過性のこともあるという。また糖尿病発見・増悪がキッカケになるケースもまれではない。つまり主治医の頭の中にあるかないかで早期診断の確率が変わってくる。
□ 水分制限 ・・ 心不全・腎不全・肝不全患者の場合、こういう指示が出ることが多い。つまり水分過多によって病状悪化を予測される場合に、こういう指示が出る。なお脳梗塞予防を目的に多めの水分摂取を勧める医師もいるが、これは根拠もエビデンスもないいい加減なものである。夜間頻尿を増やすだけ。安易な指導は慎もう。
□ 水疱性類天疱瘡(すいほうせいるいてんぽうそう) ・・ 高齢者でよく出くわす。特に療養病棟・訪問診療で発見が遅れがち。躯幹、四肢屈側が好発部位で掻痒を伴う。特に免疫低下例。自己免疫性水疱症の1つで、表皮ー真皮間接着が障害されることにより、ヤケドの水ぶくれのような発疹ができる。表皮下水疱(多数の好酸球含む)の周囲は発赤で、痒い。1/3に口腔内びらんを認める。血液検査での好酸球増加は病勢を反映する。ステロイド内服が第一選択。軽症なら軟膏でいけるときもある。びらんが二次感染を起こすと治癒が遷延したり、びらんが広範なら創部からの電解質などの喪失により熱傷のときのような病態にまで発展(体重減少、発熱、貧血)する場合もある。悪性腫瘍を合併するという指摘が従来からあるが実際の頻度は高くない。
□ スギヒラタケ関連脳症 ・・ 2004年秋に東北・北陸で多発した脳症。原因不明であるが、スギヒラタケ摂取により血液脳関門が障害された病態と考えられている。摂食後すぐには発症せず、2日から3-4週間の無症状期があるのが通常のキノコ中毒と異なる。初発症状は振戦、構音障害、下肢脱力などで2日〜2週間続く。その後、痙攣またはせん妄〜昏睡まで呈するようになる(主症状期といって1−2ヶ月続く)。回復しても神経後遺症を残すことがある。死亡率は40%。MRIで所見がみられるのは初発症状出現から2-10日後の話である。治療は対症療法。ステロイドパルスで一部寛解の報告あり。本病態は腎不全に好発、また死亡率の高いことより、腎不全患者あるいは80歳以上はスギヒラタケを摂食しないよう呼びかけられている。
□ スケール表=スライデンィング・スケール=スライディング ・・ 糖尿病あるいは感染などで高血糖の患者の血糖を随時測定、そのときの血糖に応じてのインスリン使用量などが指示された表。ドクター指示のもと、ナースがこれに従う。
□ スタイレット ・・ 挿管チューブに入れて、チューブにしっかりとしなりをつける針金。好きな形に曲げてチューブに入れて可。気管内にチューブが入り確信がもてた時点で抜く。
□ スタチン≒HMG-CoA還元酵素阻害薬 ・・ 高コレステロールを下げるための薬。肝臓内でのアセテート→コレステロール合成に関与する酵素である<HMG-CoA還元酵素>を阻害して、コレステロールを作らせない。なお高齢者で心血管疾患の既往ありまたはハイリスク患者の場合は、コレステロールがたとえ正常でも積極的に投与しておくべきとされている(※)。副作用は横紋筋融解。特に腎機能が悪いとき。筋肉痛・CPK上昇の有無が重要。
※ PROSPER試験で証明済み。コレステロールの高低にかかわらず、心血管イベントを有意に(15%)抑制した。
追伸)2005年3月発表のTNT試験では、アトルバスタチン10mgと80mg投与群との比較が行われ、後者のほうがCHDを抑制すること、またLDL-Cの目標値を(常識的には100mg/dl)80mg/dlまでしたほうがよりCHDを予防できるという結論に達した。
□ ステイタス=地位
□ ステる ・・ 病院内の会話で使われる用語で、「亡くなる」。語源はドイツ語のsterben(ステルベン)=死亡が由来。
□ ステロイド・パルス ・・ 重症化した患者に最後の手段として行われることの多い、3日間の限定・ステロイド大量治療。炎症を強力に一気に抑えるのが目的。半量の場合は「セミパルス」などと呼ばれる。
□ ステント ・・ 冠動脈の狭窄部位に留置する金網。単に風船で膨らませるより再狭窄は少ない。2004年8月からは、これに薬剤を塗布した<薬剤溶出ステント=DES(Drug Eluting Stent)>が保険適応となり優れた成果をあげている(従来のステントに比べて再狭窄が少ない)。血管径2.5-3.5mmの病変が適応と決まっているが、実際はあまり配慮されてないという。それと予後的な検討はまだ十分されてない(ただし2003年報告のResearch登録試験では急性冠症候群での心事故発生率(300日追跡)ではDESに有利な有意差)ので、盲目的な過剰使用は避けたい。モウケに走っている病院は特にだ。
※ 従来型のステントはBMS(Bare Metal Stent)という呼び名で区別されている。
□ ストック ・・ 主に薬剤の余り分のことをさす。伝票処理したが結局使用せず残ったもの、患者が忘れて帰ったもの、中止で残ったものなど。他の患者用に緊急的に使用する場合もあるが、<ふだん使えそうな>薬、たとえば風邪薬や胃薬などは職員たち(特にナース)がこぞって持って帰っていることが多い。
□ ストラテジー ・・ 技術の手順。
□ スパズム=スパスム=spasm=攣縮 ・・ 冠動脈などの痙攣。異型狭心症によるもの、カテーテル検査自体に伴うものなど。ただし脳外科領域でも使用する用語。
□ スピロノラクトン ・・ 利尿剤の1つでカリウム保持性。それによる高カリウム血症への心配から使用はラシックスほどされてはいなかったが、1999年のRALESスタディー(追加したほうが心不全の予後がよかったという画期的な報告)以来、ラシックスを減らしてでも併用すべきといわれるようになった。なおACEIあるいはARBの併用でカリウムはますます上がるので注意。
□ スロンブス=thrombus ・・ 血栓。血の塊。代表的なものは心臓の左心房にできる「左房内血栓」。心房細動や、大きな左心房で出来やすい。なお通常の超音波では完全には否定できない。食道エコーで確認すべき。
□ スワンガンツ(Swan-Ganz)・カテーテル ・・ 心臓の中の血行動態を測定するためのバルーン付き肺動脈カテーテル。検査用のもの。ときには点滴用ルートとしても使用できて便利。循環器では「ガンツ」などと略される。
□ スイッチ療法 ・・ 市中肺炎(中等症まで。つまり重症を除く)入院患者での抗生剤投与を、早期に注射剤→内服へ変更する方法。欧米ではガイドラインに記載あり。2006年の報告(日本)では注射で通してする場合と効果は同じと証明され、より推奨されることになった。早期退院・コスト減が期待できる。
□ 膵炎 ・・ 急性と慢性に分けられる。急性膵炎は重篤化することあり入院加療が必要。流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)・ERCPの合併症としても重要。詳しくは「急性膵炎」「慢性膵炎」を参照。2001年以降診断基準が変わったりしているので、こと膵炎に関しては古い本は参照しないほうがいい。
■ 膵臓癌=膵癌=PK=浸潤性膵管癌
早期発見が難しい癌で、発見時は進行例のことが多い。健診レベルでは腹部超音波検査によるスクリーニングにたよっており、疑い例は腫瘍マーカー測定(CEA , CA19-9 , DUPAN2 , SPAN1)に造影腹部CT、さらにはMRIであるMRCPを行い、疑い強ければERCPを行う。
超音波での早期発見目標は、あくまでも直径1センチ以下の膵臓内に限局する癌(膵管上皮にとどまる、いわゆる上皮内癌)だ。2センチだとすでに転移してる例もあるという。このような小さな段階では腫瘍マーカーが異常を呈することは少ない。つまり漫然とした腫瘍マーカーの測定は、膵癌の早期発見にはつながらないということだ。血中アミラーゼ・エラスターゼ?の膵酵素上昇は膵管の閉塞を疑うもので、むしろこちらが早期発見につながる検査項目だ。
PETは有用で特に小肝転移の検出に関しても威力を発揮するが、それで膵臓癌が疑われたとしても良性か悪性かまでは診断できない。
<外科治療>
積極的に切除される傾向にある。もちろん膵頭部癌での話だが、非切除と比べて切除したほうにのみ、長期生存例がみられる。以前は膵全摘が行われていたがその後のQOL低下が著しいため最近はほとんどしていない。代わりに幽門輪温存膵頭十二指腸切除(PPPD)を行う症例が増えてきた。なお標準切除か拡大切除とどちらが有効かは結論が出ていない。
1998年報告(欧米)で、切除可能な膵癌に拡大手術を行うことが予後を延ばすかどうか、の大規模試験が行われたが、結局標準切除と生存率は変わらなかった。その他の検討でも結果は同様だった。
※ 予後は非常に不良であり、切除例での5生率は10%、切除不能例の1生率は15%程度しかない。
※ 術後の化学療法は以前は5-FUだったが、のちにGEMが生存期間の有効性を証明した(FDAが膵癌で唯一認可した化学療法薬)。
※ 術前補助療法 ・・ 手術前に進行の度合いを軽くして手術に臨もうという(downstaging)治療法が検討中。術前に化学療法・放射線療法を行うというもの。まだエビデンスはなし。
<内科治療>
・ 局所進行病変に対する5-FUと放射線療法の併用は各々単独よりも有効。最近登場のGEMは放射線増感作用があるので併用の効果が期待されている。
・ 全身転移した進行癌への化学療法(GEM) ・・ 従来の5-FUより成績がよい。
・ ミニ移植(造血幹細胞移植の1つ) ・・ 言葉の意味は「ミニ移植」参照。
※ 超音波検査では特に健診では時間が限られていることもありポイントを絞って見る必要あり。主には低エコーの腫瘤像がないか、胆管の拡張はないか、膵管が拡張してないか(尾部まで追跡)など。ただガスが多いと膵臓の尾部は見えないことが多いのが難点。PETは有用であるが良悪性の鑑別までは秀でておらず、あくまでも超音波・CTを組み合わせて役に立つもので、PET単独での診断は無理だそうだ。
※ 症状は具体的には腹部または背部痛または腰痛。早期の小さな癌でも症状をきたすことあり、しかも一過性のこともあるという。また糖尿病発見・増悪がキッカケになるケースもまれではない。つまり主治医の頭の中にあるかないかで早期診断の確率が変わってくる。
□ 水分制限 ・・ 心不全・腎不全・肝不全患者の場合、こういう指示が出ることが多い。つまり水分過多によって病状悪化を予測される場合に、こういう指示が出る。なお脳梗塞予防を目的に多めの水分摂取を勧める医師もいるが、これは根拠もエビデンスもないいい加減なものである。夜間頻尿を増やすだけ。安易な指導は慎もう。
□ 水疱性類天疱瘡(すいほうせいるいてんぽうそう) ・・ 高齢者でよく出くわす。特に療養病棟・訪問診療で発見が遅れがち。躯幹、四肢屈側が好発部位で掻痒を伴う。特に免疫低下例。自己免疫性水疱症の1つで、表皮ー真皮間接着が障害されることにより、ヤケドの水ぶくれのような発疹ができる。表皮下水疱(多数の好酸球含む)の周囲は発赤で、痒い。1/3に口腔内びらんを認める。血液検査での好酸球増加は病勢を反映する。ステロイド内服が第一選択。軽症なら軟膏でいけるときもある。びらんが二次感染を起こすと治癒が遷延したり、びらんが広範なら創部からの電解質などの喪失により熱傷のときのような病態にまで発展(体重減少、発熱、貧血)する場合もある。悪性腫瘍を合併するという指摘が従来からあるが実際の頻度は高くない。
□ スギヒラタケ関連脳症 ・・ 2004年秋に東北・北陸で多発した脳症。原因不明であるが、スギヒラタケ摂取により血液脳関門が障害された病態と考えられている。摂食後すぐには発症せず、2日から3-4週間の無症状期があるのが通常のキノコ中毒と異なる。初発症状は振戦、構音障害、下肢脱力などで2日〜2週間続く。その後、痙攣またはせん妄〜昏睡まで呈するようになる(主症状期といって1−2ヶ月続く)。回復しても神経後遺症を残すことがある。死亡率は40%。MRIで所見がみられるのは初発症状出現から2-10日後の話である。治療は対症療法。ステロイドパルスで一部寛解の報告あり。本病態は腎不全に好発、また死亡率の高いことより、腎不全患者あるいは80歳以上はスギヒラタケを摂食しないよう呼びかけられている。
□ スケール表=スライデンィング・スケール=スライディング ・・ 糖尿病あるいは感染などで高血糖の患者の血糖を随時測定、そのときの血糖に応じてのインスリン使用量などが指示された表。ドクター指示のもと、ナースがこれに従う。
□ スタイレット ・・ 挿管チューブに入れて、チューブにしっかりとしなりをつける針金。好きな形に曲げてチューブに入れて可。気管内にチューブが入り確信がもてた時点で抜く。
□ スタチン≒HMG-CoA還元酵素阻害薬 ・・ 高コレステロールを下げるための薬。肝臓内でのアセテート→コレステロール合成に関与する酵素である<HMG-CoA還元酵素>を阻害して、コレステロールを作らせない。なお高齢者で心血管疾患の既往ありまたはハイリスク患者の場合は、コレステロールがたとえ正常でも積極的に投与しておくべきとされている(※)。副作用は横紋筋融解。特に腎機能が悪いとき。筋肉痛・CPK上昇の有無が重要。
※ PROSPER試験で証明済み。コレステロールの高低にかかわらず、心血管イベントを有意に(15%)抑制した。
追伸)2005年3月発表のTNT試験では、アトルバスタチン10mgと80mg投与群との比較が行われ、後者のほうがCHDを抑制すること、またLDL-Cの目標値を(常識的には100mg/dl)80mg/dlまでしたほうがよりCHDを予防できるという結論に達した。
□ ステイタス=地位
□ ステる ・・ 病院内の会話で使われる用語で、「亡くなる」。語源はドイツ語のsterben(ステルベン)=死亡が由来。
□ ステロイド・パルス ・・ 重症化した患者に最後の手段として行われることの多い、3日間の限定・ステロイド大量治療。炎症を強力に一気に抑えるのが目的。半量の場合は「セミパルス」などと呼ばれる。
□ ステント ・・ 冠動脈の狭窄部位に留置する金網。単に風船で膨らませるより再狭窄は少ない。2004年8月からは、これに薬剤を塗布した<薬剤溶出ステント=DES(Drug Eluting Stent)>が保険適応となり優れた成果をあげている(従来のステントに比べて再狭窄が少ない)。血管径2.5-3.5mmの病変が適応と決まっているが、実際はあまり配慮されてないという。それと予後的な検討はまだ十分されてない(ただし2003年報告のResearch登録試験では急性冠症候群での心事故発生率(300日追跡)ではDESに有利な有意差)ので、盲目的な過剰使用は避けたい。モウケに走っている病院は特にだ。
※ 従来型のステントはBMS(Bare Metal Stent)という呼び名で区別されている。
□ ストック ・・ 主に薬剤の余り分のことをさす。伝票処理したが結局使用せず残ったもの、患者が忘れて帰ったもの、中止で残ったものなど。他の患者用に緊急的に使用する場合もあるが、<ふだん使えそうな>薬、たとえば風邪薬や胃薬などは職員たち(特にナース)がこぞって持って帰っていることが多い。
□ ストラテジー ・・ 技術の手順。
□ スパズム=スパスム=spasm=攣縮 ・・ 冠動脈などの痙攣。異型狭心症によるもの、カテーテル検査自体に伴うものなど。ただし脳外科領域でも使用する用語。
□ スピロノラクトン ・・ 利尿剤の1つでカリウム保持性。それによる高カリウム血症への心配から使用はラシックスほどされてはいなかったが、1999年のRALESスタディー(追加したほうが心不全の予後がよかったという画期的な報告)以来、ラシックスを減らしてでも併用すべきといわれるようになった。なおACEIあるいはARBの併用でカリウムはますます上がるので注意。
□ スロンブス=thrombus ・・ 血栓。血の塊。代表的なものは心臓の左心房にできる「左房内血栓」。心房細動や、大きな左心房で出来やすい。なお通常の超音波では完全には否定できない。食道エコーで確認すべき。
□ スワンガンツ(Swan-Ganz)・カテーテル ・・ 心臓の中の血行動態を測定するためのバルーン付き肺動脈カテーテル。検査用のもの。ときには点滴用ルートとしても使用できて便利。循環器では「ガンツ」などと略される。
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