□ 髄膜刺激症候 ・・ 項部硬直、Kernig徴候、Brudzinski徴候の総称で、陽性なら髄膜炎を疑う。しかし近年(2003)、これらの診断価値は低いものと指摘されている。髄膜炎を疑った場合の積極的な髄液検査が勧められている。

□ 頭蓋内圧=intracranial pressure=ICP ・・ 頭蓋内腔(頭蓋骨内の脳が8割、あと血管・髄液腔)の圧を、髄液によって測定(つまり腰椎穿刺によって)したもの。髄膜炎。脳腫瘍などではこれが亢進し、頭蓋内圧亢進症状としての自覚症状?頭痛(早朝起床時に多い)、?嘔吐(悪心伴わず噴出)、?視力障害がみられる。他覚的所見では?(眼底検査での)うっ血乳頭、?髄液圧亢進(側臥位で200mmH2O以上)、?外転神経麻痺、?意識障害(ヘルニアによる)、?徐脈、?血圧上昇などがある。これに対する緊急治療としては患者頭部を30-45度挙上する、挿管し過呼吸にする、グリセオールを投与する。

□ 静菌的作用 ・・ 抗生剤の作用形式の表現。菌の数を減らすことはできないが、増殖を抑えることができるという意味。これに対し増殖も菌数も減らせる場合を<殺菌的作用>という。

□ 成人市中肺炎診療ガイドライン ・・ 2005年の赤いガイドライン本が最新。2000年に出たガイドラインは問題があったらしい。特に重症度判定の分類のところで、旧の分類では予後との相関が出なかったらしい。そこで作り直した重症度分類が記載されている。画像診断に関してはノータッチで今後検討していくという。

以下が新しい基準。

● 身体所見、年齢による肺炎の重症度分類

<使用する指標>
? 男性70歳以上、女性75歳以上
? BUN 21mg/dl以上または脱水あり
? SpO2 90%以下(PaO2 60Torr以下)
? 意識障害
? 血圧(収縮期)90mmHg以下

<重症度分類>
軽症:上記5つの項目のいずれも満足しないもの
中等症:上記項目の1つまたは2つを有するもの
重症:上記項目の3つを有するもの
超重症:上記項目の4つまたは5つを有するもの
    ただしショックがあれば1項目のみでも超重症とする

<項目該当数に応じた対処>

  0項目 → 外来治療
1・2項目 → 外来または入院
  3項目 → 入院治療
4・5項目 → ICU入院

※ 呼吸数の測定は肺炎治療上、重要な意味をもつとして推奨されている。

□ 声門 ・・ 喉頭の入り口。その奥が気管→肺へとつながる。挿管チューブが入れば(カフ空気入れて)当然声は出ない。

□ 脊髄損傷

・ いったん傷害された脊髄は不可逆性な経過をたどることが多い。
・ 脊髄ショック=spinal shock ・・ 損傷部以下の感覚・運動機能や深部反射が完全に消失した状態。

・ 頸髄損傷 → 四肢麻痺
・ 胸髄、腰髄、仙髄ないし馬尾の損傷 → 対麻痺

・ 高エネルギー外傷(高所転落など) → 横断性損傷 ・・ 障害部以下に対称性の感覚脱失、運動麻痺、膀胱直腸障害。
・ 軽微な外傷(高齢者の転倒など) → 中心性脊髄損傷 ・・ 傷害部以下の温痛覚障害と上肢優位の運動麻痺。脊髄が慢性的な虚血(脊柱管狭窄症など)の状態にある頸髄に発生しやすい。血行の乏しい中心部ほど症状が出やすいため上肢優位の麻痺症状となる。

・ 肩外側 ・・ C5 ※(県外で仕事=肩外+C5)
・ 乳頭 ・・ Th4 ※(吸ってよ=乳+Th4)
・ 剣状突起 ・・ Th7 ※(7人の侍=Th7+剣)
・ 臍 ・・ Th10 ※(天才=10+臍)
・ そけい部 ・・ L1 ※(そけいはエロい=そけい+L1)
・ 横隔膜(呼吸筋) ・・ C4 ※(核爆弾=隔+C4爆弾)
・ 三角筋・上腕二頭筋(肩挙上・肘屈曲) ・・ C5
・ 橈側手根伸筋(手関節背屈) ・・ C6 ※久保田利伸(C+6+橈+手+伸)
・ 上腕三頭筋(肘伸展)・指伸筋腱 ・・ C7
・ 指屈筋腱 ・・ C8
・ 骨間筋(手指内外転) ・・ Th1 ※股間が痛い(骨間+Th1)
・ 腸腰筋(股関節屈曲) ・・ L1-3 ※超陽気なイーサン(腸腰+1-3)
・ 大腿四頭筋(膝伸展) ・・ L2-4 ※大したことニャイよ(大+四+2-4)
・ 前脛骨筋(足関節背屈) ・・ L4 ※前、蹴るよ(前+頸+L4)
・ 趾伸筋腱(足趾背屈) ・・ L5 ※ラッコ失神(L5+趾伸)
・ 腓腹筋(足関節底屈) ・・ S1 ※(「社長!一言!」「ピップ!」=S+1+腓+ふ)←分かるヒトにはわかる。

◇腱反射
・ 腕橈骨筋反射 ・・ C6 ※(ワンと鳴くシロ=腕橈+C6)

・ 上腕二頭筋反射 ・・ C5
・ 上腕三頭筋反射 ・・ C7 
    ※みんなニコニコ上機嫌(三+7+二+5+上)
・ 膝蓋腱反射 ・・ L2-4
・ アキレス腱反射 ・・ S1
    ※ブタが妊娠呆れるわ(蓋+2-4+アキレス+1)

◇表在反射
・ 球海綿体反射 ・・ S2-4 ・・ 亀頭部(陰核)を指で急につまむと肛門括約筋が収縮。脊髄ショック後にもっとも早く回復する反射。※急所封じ!(球+2-4)
・ 肛門反射 ・・ S3-4 ・・ これの消失は脊髄ショックを疑う。 ※黄門さんよ!(肛門+3-4)

◇病的反射
・ Babinski反射

以上をふまえて画像検査を行う。

□ 咳喘息=cough variant asthma ・・ 8週間以上持続する咳で喘鳴なし+気管支拡張薬が有効。つまり喘息の典型的な所見ではないが喘息の薬が効く病態。実際、本疾患は喘息の前段階(軽症型)といわれており、実際3割が気管支喘息に移行する。喘息らしき所見がないといっても呼吸機能検査では閉塞性の障害を軽度認めることはあり、喀痰中の好酸球増加も認める。実際の治療は通常の喘息に準じるが、特に吸入ステロイドの早期使用で喘息への移行を減らせるという報告がある。あと鑑別する疾患としてアトピー咳嗽(アトピー関与で気管支拡張薬無効)、それとこれ(アトピー咳嗽)に加えて軽症喘息の要素がプラスされた非喘息性好酸球性気管支炎がある。

□ 接待 ・・ MRや卸業者による、商品販売促進のための飲食・娯楽事業。相次ぐ不祥事のため最近は控えめ。官公立は全面禁止が建前。民間はまだゆるい。開業医はムテキング。昔(バブル期まで)は医者の家族旅行、野球観戦、学会宿泊のホテルなどすべてにわたってフォローがされていた。

□ セッティング ・・ お膳立て。準備。

□ セデーション ・・ 鎮静。人工呼吸器装着時、あるいは手術時に鎮静剤の持続投与で眠らせること。

□ セフェム系抗生物質 ・・ 抗生物質の中で最もポピュラーで研修医が最も使いたがる。でも万能ではなく、結核やマイコプラズマなどの異型肺炎には効かない。ペニシリンと構造が似るので、ペニシリンアレルギー患者に使用すべきではない。

□ セルベックス ・・ 胃粘膜保護剤。PPIやH2ブロッカーほどの強力な作用はない。

□ セロトニン症候群 ・・ 抗うつ剤(セロトニン作動薬)によって起こる、自律神経症状(発汗・血圧変動・頻脈)・意識障害・振戦。発熱、精神症状(不安焦燥・錯乱)、興奮、下痢の症状も伴う。

□ 潜血反応 ・・ 便潜血と尿潜血あり。便潜血陽性は大腸癌・憩室・腸炎など、尿潜血陽性は結石、膀胱癌などの除外が必要となる。したがって便潜血陽性→注腸造影(バリウム)、尿潜血陽性→尿中細胞診・腹部超音波検査となる。ただし女性の尿潜血陽性は日常茶飯事、また鉄剤内服による便潜血陽性にも注意。

□ 穿孔(せんこう)=パーフォレーション ・・ 臓器に穴が開くこと。通常は潰瘍による穿孔などの消化管穿孔の意味で使用。腹膜炎に進展するので、手術が早急に必要となる。

□ 先天性プロテインC欠乏症 ・・ プロテインCは強い抗凝固作用と線溶促進作用をもつ。先天性欠乏は常染色体優性遺伝で、20歳までは無症状なことが多く、中年過ぎても無症状のことが多い。40歳以下での静脈血栓症の6-8%が本症によるものとされる。血栓の形成は下肢深部静脈に多く75%も占める。動脈血栓としての心筋梗塞・脳梗塞も起こす。

□ 先天性プロテインS欠乏症 ・・ プロテインSは活性化プロテインCによる凝固因子(?a、?a)の失活を促進するコアファクター。先天性欠乏は常染色体優性遺伝で血栓の形成は下肢深部静脈に多い。脳梗塞の頻度はC欠乏症より多く再発が多いのも特徴。

□ 専門医 ・・ 医師が取る資格で、分野により細分化されている。資格取得には経験年数、症例レポートや学会報告の記録など用意すべきものは多い。あとはマークシートのペーパー試験。医師の性格やトラブル歴(よほどの場合は別)、臨床の場での能力・評判などは考慮されていない。これらの資格は定期的な更新があり、手数料を毎度取られる。さらに皮肉っぽく言えば、学会の資金源としても非常に重要な存在でもある。

□ ゼク=病理解剖 ・・ 患者死亡後、家族の同意をもとに行われる死体解剖。

□ 前回do(ぜんかいどぅ) ・・ 投薬などの(ドクター→ナース)指示で、以前に指示した同内容でやってくれ、つまり<以下同文>の意。

□ 全身倦怠感=倦怠感 ・・ しんどい。疲れ。やる気なし。

□ 前投薬 ・・ 検査などの前にあらかじめ投薬すること。これにより検査をスムーズに行う。例えば胃カメラ前のブスコパン
(消化管の動きを止める)など。

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