□ 挿管チューブ ・・ 人工呼吸器から肺へ確実に酸素を送り込むためのパイプ。体内の二酸化炭素はここから呼吸器へ。交通路はここのみなので、痰で狭くならないよう適宜、痰を吸引する必要がある。なおチューブの周囲には風船様の部分(カフ)があり、ここに空気を入れて気道にジャストフィットさせる。

□ 送気 ・・ 内視鏡のボタンを押して、胃などに空気を送ること。これにより中が拡がり、観察しやすくなる。しかし患者がゲップを繰り返すと逆のことになるので、胃カメラ中のゲップは極力我慢をさせる。
 
□ 早期再灌流(そうきさいかんりゅう) ・・ 冠動脈の閉塞(心筋梗塞)が血管形成術する前に解除され、流れが復活すること。この場合CPKは通常よりも早くピークに達し、かつ高値となる。

□ 早期発見(各論的に)

○ 間質性肺炎
・ KL-6 ・・ ?型肺胞上皮細胞などから分泌、血中に出る。線維化の指標。サルコイドーシス、進行性の肺結核でも上昇する。なお細菌性肺炎・健常人では上がらない。またKL-6は腫瘍マーカー的な側面もあり、肺腺癌、乳癌、膵癌での上昇が報告されている。
・ SP-D ・・ 肺胞で作られるサーファクタント蛋白由来で、?型肺胞上皮細胞・クララ細胞より分泌。KL-6と同様に線維化の指標。KL-6が上昇しない好酸球性肺炎でも上昇することあり、肺水腫・肺炎でも上昇することもありで特異性には劣る。なお高分化型腺癌で上昇の報告もあり。※ SP-Aの特異性はさらに低い。

○ 感染症

・ レジオネラ肺炎における尿中抗原検査 ・・ 菌の外膜構成成分を検出。感度90%以上、特異度100%近く(米国ではこの検査でレジオネラの7割が診断されている)。ただし、発症初期には菌量が少なく偽陰性の可能性あり。しかも検出するのはレジオネラの血清型1型のみであり、その他の血清型や亜菌種を検出できない(日本での1型の検出頻度は40%)。なのでレジオネラの臨床所見があれば検査陰性でも治療にかかる必要がある。
・ 肺炎球菌性肺炎における尿中抗原 ・・ 菌のキョウ膜多糖を検出。感度は80%、特異度97%でありレジオネラ尿中抗原と同様の検出率。小児での疑陽性が問題となっている(耳鼻科領域の肺炎球菌を検出する疑い)。

 以上の2つは感染成立から数週間陽性が持続するので、必ずしも最近の発症とは限らない。

○ 急性心筋梗塞
・ ミオグロビン ・・ 超急性期に上昇するが心筋への特異性はなく、いろんな筋疾患で上昇する。運動、筋肉注射での影響も受けて上昇する。
・ H-FABP ・・ 心筋細胞に特異的な細胞質蛋白。ミオグロビン同様に超急性期に上昇するが、骨格筋にもわずかに存在するので、これもやはり運動、筋肉注射での影響も受けて上昇することがある。なお発症2日目以降の再陽性化は再梗塞を意味する。
・ トロポニンT・トロポニンI ・・ 心筋線維の一部。なので心筋細胞に極めて特異的。臨床で測定可能なのはトロポニンTのほう。血中存在期間が長いので急性期にだけ検出されるわけではない。しかし超急性期、とりわけ発症6時間以内での感度に乏しい(このときはH-FABPのほうが好ましい)。
・BNP ・・ 心不全の予期、重症度把握のために測定。40-50pg/ml以下では心不全ではない。それ以上なら心不全の疑いと考え超音波などの検査に移る。100pg/ml以上では何らかの治療が必要な心不全の存在を示唆する。

○ 脳血管疾患
・ 頸動脈エコー ・・ 頸動脈狭窄の有無(NASCETでの測定法:狭窄度60%以上で脳血管イベントのリスク年間3.2%)、IMT肥厚の有無(1.1mm以上は異常肥厚)、プラーク(1.1mm以上のIMTのこと。プラーク厚の和と数よりプラークスコア(PS)を算出する)の程度の把握。

○ 消化管
・ 血清ペプシノゲン法 ・・ 胃粘膜の炎症・萎縮を反映。ペプシノーゲン(PG)のサブタイプ?(主に胃底腺に存在)・?(他の腺にも広範に存在)のうち?の増加は胃酸分泌の増大を示唆する。正常のPG?:?比は3:1。胃癌のスクリーニングとしてはPGI 70μg/L以下かつPGI/II比3.0以下の組み合わせだと感度64%、特異度87%と良好な成績。なので早期胃癌のスクリーニング法として行われるべき検査。
  PG ↓ : 萎縮性胃炎、胃腺腫、悪性貧血、胃癌、切除胃
  PG ↑ : 消化性潰瘍、急性胃粘膜傷害、腎不全、PPI服用
・ ピロリ抗体(これまでの記事参考)
・ 便潜血反応 ・・ 大腸癌のスクリーニング。?化学法、?免疫法(ヒトヘモ)の2つ。?は肉類摂取・薬品による疑陽性の問題があり、3日ほど食事・生活制限が必要。?の場合はそのような制限はなく感度も?より良好なので、実際は?が主流。
・ 便中遺伝子検査 ・・ 便に混じった癌細胞のDNAを抽出。様々な遺伝子が明らかにされているが全ての大腸癌に発見されるわけではなく、陽性となった遺伝子の組み合わせで経験的に診断していく。

○ 肝胆膵

・ E型肝炎に関して ・・ 原因不明の肝炎をみた場合、測定する意義がある。HEV-RNA(発症〜発症2ヶ月弱まで)の定性検査は、HEV遺伝子型の3・4型を検出できる。※4型は重症度高い。抗体ではHEV-IgM抗体(発症時にピーク、以後3-4ヶ月陽性持続)、HEV-IgG抗体(IgMより若干ピーク遅く、長期間陽性持続)がある。
・ C型肝炎に関して ・・ C型抗体陽性であればウイルス有無を知るためにHCV-RNA定量(PCR法)を行う。
・ B型肝炎に関して ・・ HBV-DNAの新たな検出法として、最近ではDIRECT法(PCRを用いて高感度、感染性のあるもののみ測定)が有用。

・ NASH(非アルコール性脂肪肝炎) ・・ 単純性脂肪肝との鑑別として、NASHのほうにより明瞭な所見としてはHOMA-IR(インスリン抵抗性指標)、フェリチン、線維化マーカー(ヒアルロン酸・?型コラーゲン)が高値を示してくる。なおNASHの場合ALT有意のトランスアミナーゼ上昇(100以下)、線維化進行例だとむしろAST有意となりALP・γGTPのほうの上昇は軽度。
・ AIH(自己免疫性肝炎) ・・ 3分の1が急性発症する。特異的な自己抗体としてANA,ASMA,抗LKM-1抗体,SLA抗体などがある。
・ PBC(原発性胆汁性肝硬変) ・・ 無症候性が7-8割にも及ぶ。AMA、AMA-M2を測定。

以上の3つは組織診断でより確実となる。

・ HCC ・・ AFPはHCCだけでなく慢性肝炎や肝硬変などの良性疾患でも上昇する。これを鑑別するために、AFPのサブタイプL3分画を測定する(通常はAFP 20ng/ml以上の場合)。L3が10%を超えればHCCが強く疑われる。一方PIVKA-IIは良性疾患ではほとんど上昇しないがビタミンK吸収障害(長期の閉塞性黄疸、クマリン内服)、抗生剤長期投与、アルコール性肝障害で疑陽性示す。なお超音波でHCCが疑われた場合、さらにダイナミックCTにて鑑別をすすめていく。

・ 胆道癌 ・・ ほとんどが進行例での発見。マーカーではCA19-9、DUPAN-2が陽性率80%。ただし閉塞性黄疸があると癌なくても高値になる。一方CEAの陽性率は50%。CA19-9とCEAを併せれば胆道癌全体で90%に上がる(しかし早期のステージ?では20-25%しか陽性にならず、早期発見には向かない)。なおSLXやNCC-ST-439は陽性率50%しかないが特異性がCA19-9より高い。早期発見にはALP・γGTPが有用。ALP上昇があれば画像・マーカー測定。エコーで胆道拡張が疑われればMRCPを確認。これで確実ならERCPへと移る。

・ 膵癌 ・・ これもほとんどが進行例での発見。CA19-9の陽性率は膵癌全体で69%だがステージ?では5%にも満たない。CEAの陽性率は全体で33%、これもステージ?では低下する。膵管狭窄を反映する膵逸脱酵素(アミラーゼ、エラスターゼI、リパーゼ、トリプシン)の上昇もみられ、特にエラスターゼIは小膵癌の62%で上昇し、早期発見に向いている。画像では超音波でまず発見されるケースが多い(4割がこれより診断)。超音波で主膵管の拡張、小のう胞が見つかった場合はダイナミックCT、EUSでさらに検索。MRCPにより膵管の途絶を確認するが分枝までは描出が難しい。PETは腫瘍径2cm以下の場合感度が低下するという弱点あり早期発見には向かない。

○ 腎・泌尿器疾患

・ 尿検査 
○ 蛋白:試験紙法では尿蛋白は30mg/dl以上で陽性。健常人では1日40-100mgは出る。蛋白がアルブミン主体→糸球体性蛋白尿であり、β2マイクログロブリン主体→尿細管性蛋白尿。
○ 血尿:結石、腫瘍など。糸球体性血尿の場合赤血球は大小不同が主体を占めるのが特徴。そうでないものは血液中と同様の均一な赤血球所見。
○ 尿沈渣:硝子円柱→ネフローゼ症候群でよくみる。赤血球円柱→血尿が糸球体性のものであることを確信。白血球円柱→ネフロンレベルの炎症(半月体形成性糸球体腎炎、尿細管間質性腎炎など)を示す。顆粒円柱もネフロンレベルの炎症。細胞性半月体・炎症細胞浸潤を示す場合は急速進行性糸球体腎炎、IgA腎症、紫斑病性腎炎などを示唆する。

※ 最近60歳以上に急速進行性糸球体腎炎が増えている。ほとんどがMPO-ANCA陽性、つまりANCA関連腎炎である。早期治療がそのまま予後に響くため、早期診断のため血清クレアチニン、尿検査のほか腎エコー所見により早期発見を図る。

○ 血液疾患

△ 白血球

・増加、特に20000以上 
   貧血・血小板減少 → 急性白血病
   血小板増加、好中球・好酸球・好塩基球増加 → CML
   成熟リンパ球著増 → CLL
   血小板・赤血球増加 → 真性多血症
   CRP陽性 → 重症感染症

・減少、特に2000以下
   他の血球も減少 → 再生不良性貧血、MDS、急性白血病、巨赤芽球性貧血など、または放射線・薬剤性
   単独の減少 → 薬剤性、重症感染

△ 赤血球

・貧血 ・・ MCV、MCH、MCHCを参考に、?大球性高〜正色素性貧血、?正球性正色素性貧血、?小球性低色素性貧血に分類。
・多血症 ・・ 真性、ストレス多血症、二次性などの鑑別のために、マルクのほかビタミンB12、B12結合能、好中球アルカリホスファターゼ、エリスロポイエチンを提出

□ 相互作用 ・・ 薬物どうしの相性による影響。組み合わせによっては思わぬ副作用がみられる。点滴では混濁に注意。FOYやハンプは単独ルートが原則。

□ 総務 ・・ 病院職員の給料・予算、病名レセプトなど金銭的管理を行う。レセプトができるかどうかで給与など待遇面も違ってくる。

□ 側副血行路=コラテラル=コラテ ・・ 閉塞・高度狭窄している血管の末梢部分に向って、他の血管からさらに伸びている血管。これにより途絶えた血流は一部補充される。

□ ソルメドロール=ソルメド ・・ ステロイド剤。気管支喘息、ステロイドパルス療法のときなどに主に使用。

□ 造影欠損 ・・ 造影をしたときに血管が染まるはずが、部分的に完全に染まらないこと。血栓の存在を示唆する。

□ 造影剤 ・・ CTなどで使用される注射での造影剤使用にあたっては、アレルギーの有無と腎機能障害の有無が重要。

□ 造影剤アレルギー ・・ 造影剤投与後にショック状態、蕁麻疹などのアレルギー症状が出ること。これを避けるため以前は造影剤テストが行われていたが、意義なしということでしなくなった。

□ 続行 ・・ その内容をさらに継続・続投すること。点滴や処方内容のことを指すことが多い。

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