□ 歩(ふ) ・・ 医局員が自分達を「駒」と表現するのにこうやって皮肉る。しかし裏返るのも寝返ることも大学医局員には不可能だ。

□ 不安定狭心症=unstable AP=アンステーブルAP=アンステーブル ・・ 冠動脈の狭窄というより閉塞に近いため、亜硝酸剤の頓服では治まらない、いわゆる前・心筋梗塞状態。そのため「切迫心筋梗塞」とも呼ばれていた。今こう呼ぶ人はジジイ。

□ ファーストシン ・・ セフェム4世代の点滴。グラム陰性菌が主なターゲットだが陽性菌にもそこそこ効く。

□ ファイティング ・・ 人工呼吸器からの一方的な強制換気に対して、患者側の自発呼吸がかみあわずお互いの呼吸が管の中でぶつかった状態。患者は息がスムーズにできないので暴れる。呼吸器と患者の経路の間に障害物(痰・水)があったり、患者への鎮静剤が不十分であったりすることが多い。

□ PL顆粒=ホグス顆粒 ・・ 用途の広い、総合感冒薬。眠気が難。前立腺肥大の有無に注意しよう。

□ フェオ=Pheo=褐色細胞腫

□ フェリチン ・・ 貯蔵鉄。体に貯めている、鉄の貯金。ストック。鉄欠乏性貧血では減少。重症感染では利用障害のため高値となってしまう。

■ 腹腔内化学療法 ・・ 癌の腹膜転移、つまり腹膜播種(本来は無治療が多い)に対する化学療法。中でもタキサン系抗癌剤は腹腔内に長期とどまるので抗腫瘍効果を期待できる(これにTS-1静脈投与も併用←これも腹腔への移行良好)。今後の比較検討試験(全身投与と腹腔内投与との比較)の結果が待たれる。

□ 副腎 ・・ 腰の両側にある腎臓の上にのっかっている小さな臓器。ホルモンを産生。副腎皮質ホルモン、アルドステロン、性ホルモンを分泌。
 ※ 「特発性アルドステロン症」では副腎が肥大し、「原発性アルドステロン症」では腺腫という小さな腫瘍が副腎にできる。いずれも高血圧の原因となる。

□ 副直 ・・ 大学病院独特の制度。当直医に付属する、お助け目的の補助当直。たいていは研修医が勤める。だが当直帯の対応など、見習えるものは多い。ふつう給料は出ない。

□ 腹部大動脈瘤=AAA=トリプルエー ・・ 腹部大動脈の局所的な拡張。サイズ大で高血圧ほど破裂のおそれ。定期的なCTでのサイズ評価が必要。

□ 腹部超音波検査=腹部エコー=腹部US=US ・・ 肝臓から膀胱まで、つまり腹部臓器を安全に見れる検査。おしっこしてしまうと膀胱・前立腺が見えにくいので注意。食後だと胆のうが収縮して見えない。

□ 腹膜炎=パンペリ ・・ 腸など腹部の臓器が周囲に波及してしまった状態。通常、外科領域の治療となる。

□ 不潔操作 ・・ 消毒などの手技の際、消毒してないところに、つい器具があたって菌が混入した可能性のある場合。すぐに器具を片付け、やり直すのが常。

□ 不明熱 ・・ 古典的な定義では「38.3℃以上が3週間以上続き、病院での1週間以上の入院精査でも診断がつかないもの」とあるが、実際は解熱剤でとりあえず熱が下げられていたりするケースも多いので、この定義は使えそうで使えない。むしろ<不明熱>という表現は、主治医の主観的な表現であることにすぎない場合が多い。つまり、<「オレ的には」不明熱>といった感じ。

 さて、不明熱に関しては2005年1月の順天堂大学の論文が新しい。これを読むと(1994-2004年間の215例の検討)・・いろいろ勉強になった。

・ 約半数が感染症で特に伝染性単核球症、感染性心内膜炎(食道エコーが活躍)、深部膿瘍(ほとんど肝膿瘍)、髄膜炎(中には髄膜刺激症状がないものも)の頻度が高かった。麻疹・風疹の成人発症が目立ったという。発症様式が小児のように典型的でないのも診断を困難にさせた。
・ 悪性腫瘍は画像診断進歩の助けもあり減少傾向。なお腫瘍熱をきたしやすいのは悪性リンパ腫と腎細胞癌とのこと。
・ 智歯周囲炎=ちししゅういえん(親知らず)が3名いたらしい。歯科への紹介も重要なのだ。抜歯後に解熱したという。
※ 20歳前後に一番奥に生えてくる第三大臼歯のことを「智歯(ちし)」といい、「親知らず」とも呼ぶ。
・ HIV関連が8名。たしかに今後はこれも考慮に入れておかないといけない。
・ 7例がなかなか診断つかず、うち2例の診断は剖検後で、2例とも悪性リンパ腫。たとえ疑いがあったとしても証拠無しで化学療法に挑むのは難しく、今後の課題。血液疾患は生検診断に頼るところが多いので、たしかにそこが難しい。
・ 多疾患にわたる知識が必要と考えられた、と締めくくってある。

 そうだな、それと・・各科専門スタッフ、検査機器の充実だな。民間病院でズルズルと引っ張らず、大学病院への紹介が重要と考えた。大学病院でも帝大系の一部みたいに、科どうしの伝統的な仲たがいのあるところはパスだな・・。

□ フラッシュ ・・ 点滴ルート内で中途半端に停滞している注射薬剤を、点滴の早送りなどで後押しすること。ただしルート内に強心剤など循環動態を左右する薬剤があるときはすべきでない。

□ フラット ・・ 心停止。モニター画面の水平線を見てそのように判断。

□ フルコース ・・ 重症患者で、あらゆる処置をすべて行うという前提。特に重度緊急的な処置、例えば心臓マッサージやボスミン投与、除細動などを指す。

□ フレッシュ ・・ 新鮮な。今起こったばかりの病変。出血でよく表現される。たまに「新人」の意味で使われる。 

□ プアー(poor) ・・ ?検査などで所見が読みづらい場合、?医者の能力を卑下する場合?治療が効きにくい場合 などにこう表現される。

□ プラーク ・・ 動脈の壁から(焼いて膨れるモチの様な形で)内腔に盛り上がる、血小板などの硬い塊。結果的に血管を狭窄、閉塞へと追い込む。

□ プライマリー ・・ 初期の、という意味。通常は<初期治療>の意味で使われる。

□ プラズマネートカッター=プラズマ=PPF ・・ アルブミンを含む高ナトリウム点滴。急性循環不全のとき、血圧上昇を目的に使用。

□ プリオン病(第5類感染症)

 ヒト・動物における神経変性疾患のこと。感染型プリオン蛋白質が主に脳に蓄積し海綿状変化を生じる、人獣共通致死性感染症の総称。
 
分類すると、

? 特発性

 ・ 孤発性Creutzfeldt-Jakob病(sCJD) ・・ 原因不明。以下の2つに分類。

 1) 古典型 ・・ 孤発性の大部分。60歳代発症。初期症状は非特異的(不安・抑うつ・倦怠感)が数ヶ月持続。MRIが早期診断に有用(特に拡散強調画像)。その後は痴呆が急にみられるようになり、錐体路、錐体外路徴候、小脳失調、不随意運動など多彩な症状を呈する。中でも特徴的なのは頻発するミオクローヌス、驚愕反応。この頃の時点で脳波所見(PSD)、髄液中14-3-3蛋白、NSE、タウ蛋白増加がみられる。さらに進行すると9割以上が無動性無言となり脳萎縮進行、脳波活動はむしろ低下(PSD消失)。

 2) 視床型 ・・ 平均52歳と比較的若い発症。自律神経症状・睡眠障害の合併が特徴。PSDはみられずMRI所見も乏しい。視床・下オリーブ核に高度変性。

? 感染性

・ Kuru ・・ 進行性の小脳失調。
・ 医原性 ・・ 乾燥硬膜移植後CJD。
・ 変異型CJD=variantJD=vCJD ・・ BSE(牛海綿状脳症)由来のもの。sCJDに比べ発症は若く29歳。精神異常(抑うつ・異常行動)で発症し痛みなどの異常感覚を2/3に認めるほか失調を呈し、後期には痴呆・ミオクローヌスを呈する。脳波のPSDは陰性。MRIの拡散強調画像で両側視床枕の高信号(左右対称)を認める。

? 遺伝性

・ 家族性
・ Gerstmann-Straussler-Scheinker症候群(GSS)
・ 致死性家族性不眠症=fatal familial insomnia=FFI

□ プリンペラン ・・ ナウゼリンと同じく、制吐剤。つまり吐き気止め。副作用の頻脈に注意。

□ プレゼン=プレゼンテーション ・・ 大勢の前で症例を提示、説明する。だが実際は最前列の教授・助教授・講師陣がターゲット。

□ プレドニン=プレドニゾロン ・・ 最もよく使用されるステロイド製剤。内服と注射あり。なお人間は1日プレドニン5mg相当を副腎で産生する。ステロイドの作用は抗炎症作用であり、膠原病や喘息、また免疫疾患などでその作用を発揮する。ただし肺炎など細菌感染は逆に増悪させるので注意。プレドニンで7.5mg/dayまでの少量なら副作用的にあまり問題ない量といわれている。

□ プローブ=プローべ=探触子 ・・ 超音波検査のとき、体に直接当てるヘビの頭のような部分。うっかり落とすと壊れることあり。数十万もする。

□ プロタノール ・・ 物質名はイソプロテレノ−ル。β刺激剤で、頻脈作用。従って脈が遅いときに使用する。使用をやめるとまた脈は遅くなる。したがってペースメーカーを入れるまでの「つなぎ」的な役目でしかない。

□ プロトロンビン時間 ・・ 血液の凝固系の程度を示す採血項目。実際は?ワーファリンの効き具合、?DICの有無判定、?肝硬変の重症度判定、として使用。

□ プロフェッサー=教授

□ ブスコパン=ブスコ ・・ 胃カメラ前の処置のときにお馴染み。胃・腸管の蠕動を低下させる。これによって検査をやりやすくさせる。治療薬としては胃・腸管の痙攣を和らげる。しかし動きを低下させるわけなので便秘を促進。イレウスは悪化させるので禁忌。胃カメラ前、緑内障・前立腺肥大がある場合は「グルカゴン」に変更される。副作用に頻脈あり。

□ 物品(ぶっぴん) ・・ 詰所や検査室にある器具などの1つ1つ。ストックが置いてある部屋が「中材(ちゅうざい)」。

□ ブラックリスト ・・ 病院の場合、マークされている患者を指す。つまりはトラブルメーカー(セクハラ、アル中、暴力的など)。受診をさせないか、受診時は慎重にするか究極の選択を取らされる。

□ ブルーイ=bruit ・・ 血管雑音。

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