サーガマニュアル2007秋 や ゆ よ ら り る
2007年9月17日□ 夜診(やしん) ・・ 夜の外来診察。16-19時と17-20時のパターンがある。関西ではけっこうされている病院が多い。
□ 「やっぱ・・人間関係かな」 ・・ 某病院の職員へのアンケート「職場で長続きするには何が一番重要?」で、これが一番多かった。
人間関係がこじれれば、職場から離れてもストレスが続くからだ。しかしこればかりは、働いてからでないと分からない。
□ 有意差 ・・ 単なる見た目の「差」ではなく、統計学上の「差」。この差が証明されると、論文上のデータとして有効、と認められる。
□ 「有意とまではいきませんが(苦笑)、若干、差がみられる傾向にある・・」 ・・ MR主催の臨床試験の結果発表で、有意差が出なくてもなんとか有効な証拠を上げようと努力するとき、こういう表現がなされる。見苦しい。
□ 優位半球 ・・ 利き手と反対側の脳。したがってたいていは左の脳をさす。脳卒中が優位半球側で起った場合、特に側頭葉で起った場合は言語障害の出現がみられる。
脳が左右対称な臓器だとしても、卒中の症状は場合によって左右で大きく異なるわけだ。右利きの人は、左の頭を大事にしよう。
□ 有機リン中毒
・ 農薬・家庭用殺虫剤に含まれる。事故・自殺での急性中毒が多い。服薬事実の確認、白濁吐物、有機溶剤臭を手がかりに。血中PchE活性(重症度と相関)を確認。50%以上の低下は本症を強く示唆する。
・ AchE阻害作用による症状を呈する。有機リンにはそれ自体AchE阻害作用をもつものと、肝臓で代謝されてAchE阻害作用をもつものがある。
・ 体内のAchを分解するのがAchEの役目だが、これが阻害されるのでAchが蓄積しそれによる症状が起こる。
・ 具体的には以下の神経を麻痺させる → 中枢神経(興奮、昏睡、痙攣)、体神経(筋攣縮、筋力低下)、交感神経(散瞳、頻脈、高血圧)、副交感神経=ムスカリン様作用(徐脈・縮瞳・気管支狭窄)。
※ 縮瞳は重症例にみられることが多いが初期は散瞳していることも多い。
・ AchEに結合した有機リンは24-48時間後には強固となりAchEの再活性化は不可能となる(aging)。治療が遅れると脂肪への取り込みが多くなり長期化を招く。また症状がぶりかえすこともある。
・ 拮抗薬のPAMを投与し、症状(徐脈・縮瞳・分泌亢進)によりアトロピン(ムスカリン作用にのみ拮抗)を投与する。ただしagingの時期になってからではPAMの効果はない。なので早期(24-36時間以内)に投与する必要がある。
・ 早期に治療が開始され低酸素がない場合は回復に10日ほどかかる。
□ 「指先に集中しなさい」 ・・ 西日本のカテの権威の言葉。感情的にならず、あくまでも冷静にせよという意味が込められている。
□ ユリノーム ・・ 尿酸を下げる薬。腎臓排泄型。劇症肝炎のニュースでときに賑わうが尿酸の薬自体にネタが少ないため、相変わらず使用を続けているのが現状。
□ 陽イオン交換樹脂 ・・ 高カリウム血症の治療の1つ。速効性には欠ける。内服と注腸(肛門経由)がある。ケイキサレート、カリメートなど。
□ 溶血 ・・ 血液のうちの赤血球が壊れること。2通りの意味があり、
・異常な抗体などで血球が破壊される病気、例えば溶血性貧血
・採血するときに吸引する圧がかかりすぎて血液が注射針内で壊されてしまう状態
をさす。実際の臨床では後者に出くわすことが多い。なお溶血してしまった検体で血液検査に回してしまうと、GOT(AST)/LDH/CPK/Kの値が異常にに上昇、ヘモグロビン(Hb)、血小板
が異常に減少してしまう。
□ 腰部脊柱管狭窄症
その中を脊髄が縦に走る、脊柱管http://www.tahara-seikei.com/764b.jpg内に変形が生じて周囲の神経障害をきたす。
きっかけは椎間板への負荷、あるいは年齢による椎間板そのものの変性で、周囲に変性が波及していく。神経障害により足のしびれや痛みを呈する。間欠性跛行もありASOと症状が似るが、下肢の動脈触知によって鑑別する。
3-4割は保存療法で改善するものの、10-15%が3-4年で悪化してしまう。治療の主体は薬物療法で、痛みにはNSAIDと中枢性筋弛緩剤、しびれにはPGE1製剤(物質名リマプロスト、商品名プロレナールは保険適応)を。必要によりブロックも追加する。保存療法を4-6週続けても症状が軽快しないとき、あるいは高度・進行性の麻痺、膀胱直腸障害(失禁や頻尿)は手術の適応となる。
※ 変性=機能しなくなる、というニュアンス。
□ 予後 ・・ その後の寿命。薬剤の比較試験などの統計でよく使用される用語。あくまでも病状に関するもので、経済的背景・患者の満足度などは考慮されていない。
□ 翼状針 ・・ 操作が手軽で短い針。短時間の点滴に最適で固定しやすく患者も楽。しかし高価なため、経営者によっては病院に置かないところもある。
□ 抑制 ・・ (不穏などで)暴れた患者を、抑制帯というベルトを使ってベッドにくくりつけること。といえば非情な言い方だが、治療の妨げにならぬよう仕方なく行う行為だ。特に夜間はスタッフが少なく家族もなしではやむを得ない。抑制帯で縛るのにはかなりのパワーが必要だ。『エイリアン』中盤の食事のシーンくらい力が要る。
□ 夜はまだこれから ・・ 居残りせざるを得なくなったレジデントが、ナース達より掛けられる言葉。準夜のナースが深夜への申し送りまでなんとかレジデントを引っ張ろうとする意図。
□ ?型コラーゲン ・・ 「ヒアルロン酸」とともに、肝臓の線維化の進行度を示唆する血液検査項目。慢性肝炎→肝硬変への推移を反映する。ただし肺線維症でも上昇する。
□ 楽勝 ・・ 医療の現場でもついつい使われる表現。いつもより手技がスムーズに進んだりした場合などに。
□ ラクナ梗塞 ・・ 『ラクナ』はラテン語で<小さい空洞>。脳梗塞の1/3を占める。通常、大脳の深層である大脳基底核・脳幹に数ミリ(定義では径15mm以下)の大きさで見つかる小さな脳梗塞。1/3は被殻にできる。深層なので血管(穿通枝動脈という)も細く、梗塞も小さい。高血圧・加齢のほかメタボリックシンドロームなどが背景にあることが多く、無症状が多い。
□ ラミブジン ・・ 2000年に承認された、抗ウイルス化学療法薬。B型肝炎ウイルスの増殖を抑制(長期投与ほどe抗原を陰性化)する。長期投与による変異ウイルスの出現(YMDD変異株)が問題となり臨床家を消極的にさせていたが(5年で6割が耐性化)、2004年12月発売のアデフォビル(商品名はヘプセラ錠)・・変異株に有効・・の登場によりその問題は解決の方向に向かっている(2005年10月の時点でも良好)。腎障害に注意。なおラミブジンはどれくらいの期間投与を続けるかが議論されている。理想的には短期間でHBe抗原を陰性化させて、HBV-DNAを2.6log copies/ml以下にすることだが、実際は長期投与にならざるをえないようだ。
□ ランセット ・・ 循環・呼吸器関係の海外雑誌。レベルとしては分かりやすいスタンダード版、といったところ。
□ リース ・・ 借り物。たとえばある業者から1台呼吸器を買って、ついでに1台レンタルさせてもらう。取引先であることをいいことに、購入はしないがレンタルして実質的に病院のものになる物品。どこの病院でもやってる。
□ リエゾン診療 ・・ 複数の科の医師たちが集まって1人の患者について定期的に話し合うこと。リエゾン(フランス語)=連携。
□ リカレンス(reccurence)=再発
□ リザーバーマスク=リザーバマスク=高濃度酸素マスク ・・ 鼻・口にまたがってつける普通のマスクのほかに、空気をためる袋がひっついた大きなマスク。より濃縮された酸素を送ることができる。これでも間に合わなければ人工呼吸器の準備となる。
□ リスモダン ・・ 抗不整脈薬で内服と注射あり。Ia独特の副作用の、口渇はよくみかける。
□ 利尿剤 ・・ おしっこを増やす薬。目的は高血圧の治療、心不全の治療が中心。内服はふつう日中に飲む。減量目的で使用する人も。
□ リバウンド ・・ 薬剤をいきなり中止したことで起きる、思わぬ副作用。避けるためには少しずつ減らす。特にステロイド、βブロッカーにはそれが重要。
□ リバビリン=Rib ・・ C型慢性肝炎治療薬の1つ。インターフェロンとの併用でウイルス陰性化率を向上させる。日本の難治例の報告では48週の併用でウイルス排除率は50%弱と、優秀な成績。最近では遺伝子組み換え型インターフェロン=cIFNとの併用でのよりよい効果が報告されている。副作用では?催奇形性、?溶血性貧血があり、?による治療中断が高齢者に目立つ。
□ リピーター医師 ・・ 医療ミスを繰り返す医師。手技・診断能力が未熟だとしても<それに気づいてない>パターンが陥りやすい。また技術があれこれできていても、困難に陥ったときのフォローができてない、また患者とのインフォームドコンセントが日頃から成り立っていない、また自信過剰な医者に多い傾向がある。
□ 流動食 ・・ 液体の食事。カロリーはたいてい1ccにつき1-2kcal。おおよそ900〜1200ccを朝・昼・晩に分けてチューブを通して胃に入れる。鼻からチューブを通す「経鼻栄養」と、みぞおちの穴(手術して造る)を通す「胃ろう」の方法がある。つまり既に消化した栄養分を流すわけ。通常は白湯(さゆ)で薄めるが、濃い状態だと下痢を引き起こす。
□ 療養型病棟=療養型病床群=介護型病棟 ・・ 急性期的な治療を要しない、しかし何らかの後遺症でリハビリ・管理が必要な、リハビリ主目的の病棟。
□ 履歴書 ・・ 医療従事者の場合、左半分の記入で可。右半分の余計な書き込みは、不要な情報を与えるだけ。もちろん取得資格は書くべき。
□ 臨機応変 ・・ 医局内の仕事などで、どう考えても片付かない内容に関して上層部が使う言葉。
□ 臨床 ・・ 病棟患者を見るふつうの医者の仕事。それに対して実験・論文の仕事を「基礎」と呼ぶ。
□ リンデロン ・・ 強力なステロイド剤で、塗り薬と注射がある。塗る範囲が広汎だと副作用の配慮も必要。
□ 緑膿菌=Pseudomonas aeruginosa=(あるいは単に)シュードモナス=シュード
好気性ブトウ糖非発酵グラム陰性桿菌。浸潤した場所に発生しやすく健康人には無害だが抵抗力落ちた人には宿敵となる。しかも多剤耐性緑膿菌という、抗生剤の効きにくいタイプまで現れた。
菌の表面の線毛により気道の上皮細胞に付着し菌が増殖、集落=コロニーを形成する。これにフィブリン・血清成分などが蓄積してシールド様の構造となって、マクロファージ・好中球、抗生剤からの攻撃から身を守る。これを「バイオフィルムの形成」という。
この「バイオフィルム」が出来ると気道の線毛の運動が邪魔されて痰が出にくくなる。また驚くべきことに菌どうしに情報伝達のしくみ(菌の密度を感知して、それが高くなるとホモセリンラクトンという物質により遺伝子情報を発現→毒素放出)があり、これを「クラオムセンシング機構」という。
□ ルールアウト=除外。『r/o』と略されることも。
□ 「やっぱ・・人間関係かな」 ・・ 某病院の職員へのアンケート「職場で長続きするには何が一番重要?」で、これが一番多かった。
人間関係がこじれれば、職場から離れてもストレスが続くからだ。しかしこればかりは、働いてからでないと分からない。
□ 有意差 ・・ 単なる見た目の「差」ではなく、統計学上の「差」。この差が証明されると、論文上のデータとして有効、と認められる。
□ 「有意とまではいきませんが(苦笑)、若干、差がみられる傾向にある・・」 ・・ MR主催の臨床試験の結果発表で、有意差が出なくてもなんとか有効な証拠を上げようと努力するとき、こういう表現がなされる。見苦しい。
□ 優位半球 ・・ 利き手と反対側の脳。したがってたいていは左の脳をさす。脳卒中が優位半球側で起った場合、特に側頭葉で起った場合は言語障害の出現がみられる。
脳が左右対称な臓器だとしても、卒中の症状は場合によって左右で大きく異なるわけだ。右利きの人は、左の頭を大事にしよう。
□ 有機リン中毒
・ 農薬・家庭用殺虫剤に含まれる。事故・自殺での急性中毒が多い。服薬事実の確認、白濁吐物、有機溶剤臭を手がかりに。血中PchE活性(重症度と相関)を確認。50%以上の低下は本症を強く示唆する。
・ AchE阻害作用による症状を呈する。有機リンにはそれ自体AchE阻害作用をもつものと、肝臓で代謝されてAchE阻害作用をもつものがある。
・ 体内のAchを分解するのがAchEの役目だが、これが阻害されるのでAchが蓄積しそれによる症状が起こる。
・ 具体的には以下の神経を麻痺させる → 中枢神経(興奮、昏睡、痙攣)、体神経(筋攣縮、筋力低下)、交感神経(散瞳、頻脈、高血圧)、副交感神経=ムスカリン様作用(徐脈・縮瞳・気管支狭窄)。
※ 縮瞳は重症例にみられることが多いが初期は散瞳していることも多い。
・ AchEに結合した有機リンは24-48時間後には強固となりAchEの再活性化は不可能となる(aging)。治療が遅れると脂肪への取り込みが多くなり長期化を招く。また症状がぶりかえすこともある。
・ 拮抗薬のPAMを投与し、症状(徐脈・縮瞳・分泌亢進)によりアトロピン(ムスカリン作用にのみ拮抗)を投与する。ただしagingの時期になってからではPAMの効果はない。なので早期(24-36時間以内)に投与する必要がある。
・ 早期に治療が開始され低酸素がない場合は回復に10日ほどかかる。
□ 「指先に集中しなさい」 ・・ 西日本のカテの権威の言葉。感情的にならず、あくまでも冷静にせよという意味が込められている。
□ ユリノーム ・・ 尿酸を下げる薬。腎臓排泄型。劇症肝炎のニュースでときに賑わうが尿酸の薬自体にネタが少ないため、相変わらず使用を続けているのが現状。
□ 陽イオン交換樹脂 ・・ 高カリウム血症の治療の1つ。速効性には欠ける。内服と注腸(肛門経由)がある。ケイキサレート、カリメートなど。
□ 溶血 ・・ 血液のうちの赤血球が壊れること。2通りの意味があり、
・異常な抗体などで血球が破壊される病気、例えば溶血性貧血
・採血するときに吸引する圧がかかりすぎて血液が注射針内で壊されてしまう状態
をさす。実際の臨床では後者に出くわすことが多い。なお溶血してしまった検体で血液検査に回してしまうと、GOT(AST)/LDH/CPK/Kの値が異常にに上昇、ヘモグロビン(Hb)、血小板
が異常に減少してしまう。
□ 腰部脊柱管狭窄症
その中を脊髄が縦に走る、脊柱管http://www.tahara-seikei.com/764b.jpg内に変形が生じて周囲の神経障害をきたす。
きっかけは椎間板への負荷、あるいは年齢による椎間板そのものの変性で、周囲に変性が波及していく。神経障害により足のしびれや痛みを呈する。間欠性跛行もありASOと症状が似るが、下肢の動脈触知によって鑑別する。
3-4割は保存療法で改善するものの、10-15%が3-4年で悪化してしまう。治療の主体は薬物療法で、痛みにはNSAIDと中枢性筋弛緩剤、しびれにはPGE1製剤(物質名リマプロスト、商品名プロレナールは保険適応)を。必要によりブロックも追加する。保存療法を4-6週続けても症状が軽快しないとき、あるいは高度・進行性の麻痺、膀胱直腸障害(失禁や頻尿)は手術の適応となる。
※ 変性=機能しなくなる、というニュアンス。
□ 予後 ・・ その後の寿命。薬剤の比較試験などの統計でよく使用される用語。あくまでも病状に関するもので、経済的背景・患者の満足度などは考慮されていない。
□ 翼状針 ・・ 操作が手軽で短い針。短時間の点滴に最適で固定しやすく患者も楽。しかし高価なため、経営者によっては病院に置かないところもある。
□ 抑制 ・・ (不穏などで)暴れた患者を、抑制帯というベルトを使ってベッドにくくりつけること。といえば非情な言い方だが、治療の妨げにならぬよう仕方なく行う行為だ。特に夜間はスタッフが少なく家族もなしではやむを得ない。抑制帯で縛るのにはかなりのパワーが必要だ。『エイリアン』中盤の食事のシーンくらい力が要る。
□ 夜はまだこれから ・・ 居残りせざるを得なくなったレジデントが、ナース達より掛けられる言葉。準夜のナースが深夜への申し送りまでなんとかレジデントを引っ張ろうとする意図。
□ ?型コラーゲン ・・ 「ヒアルロン酸」とともに、肝臓の線維化の進行度を示唆する血液検査項目。慢性肝炎→肝硬変への推移を反映する。ただし肺線維症でも上昇する。
□ 楽勝 ・・ 医療の現場でもついつい使われる表現。いつもより手技がスムーズに進んだりした場合などに。
□ ラクナ梗塞 ・・ 『ラクナ』はラテン語で<小さい空洞>。脳梗塞の1/3を占める。通常、大脳の深層である大脳基底核・脳幹に数ミリ(定義では径15mm以下)の大きさで見つかる小さな脳梗塞。1/3は被殻にできる。深層なので血管(穿通枝動脈という)も細く、梗塞も小さい。高血圧・加齢のほかメタボリックシンドロームなどが背景にあることが多く、無症状が多い。
□ ラミブジン ・・ 2000年に承認された、抗ウイルス化学療法薬。B型肝炎ウイルスの増殖を抑制(長期投与ほどe抗原を陰性化)する。長期投与による変異ウイルスの出現(YMDD変異株)が問題となり臨床家を消極的にさせていたが(5年で6割が耐性化)、2004年12月発売のアデフォビル(商品名はヘプセラ錠)・・変異株に有効・・の登場によりその問題は解決の方向に向かっている(2005年10月の時点でも良好)。腎障害に注意。なおラミブジンはどれくらいの期間投与を続けるかが議論されている。理想的には短期間でHBe抗原を陰性化させて、HBV-DNAを2.6log copies/ml以下にすることだが、実際は長期投与にならざるをえないようだ。
□ ランセット ・・ 循環・呼吸器関係の海外雑誌。レベルとしては分かりやすいスタンダード版、といったところ。
□ リース ・・ 借り物。たとえばある業者から1台呼吸器を買って、ついでに1台レンタルさせてもらう。取引先であることをいいことに、購入はしないがレンタルして実質的に病院のものになる物品。どこの病院でもやってる。
□ リエゾン診療 ・・ 複数の科の医師たちが集まって1人の患者について定期的に話し合うこと。リエゾン(フランス語)=連携。
□ リカレンス(reccurence)=再発
□ リザーバーマスク=リザーバマスク=高濃度酸素マスク ・・ 鼻・口にまたがってつける普通のマスクのほかに、空気をためる袋がひっついた大きなマスク。より濃縮された酸素を送ることができる。これでも間に合わなければ人工呼吸器の準備となる。
□ リスモダン ・・ 抗不整脈薬で内服と注射あり。Ia独特の副作用の、口渇はよくみかける。
□ 利尿剤 ・・ おしっこを増やす薬。目的は高血圧の治療、心不全の治療が中心。内服はふつう日中に飲む。減量目的で使用する人も。
□ リバウンド ・・ 薬剤をいきなり中止したことで起きる、思わぬ副作用。避けるためには少しずつ減らす。特にステロイド、βブロッカーにはそれが重要。
□ リバビリン=Rib ・・ C型慢性肝炎治療薬の1つ。インターフェロンとの併用でウイルス陰性化率を向上させる。日本の難治例の報告では48週の併用でウイルス排除率は50%弱と、優秀な成績。最近では遺伝子組み換え型インターフェロン=cIFNとの併用でのよりよい効果が報告されている。副作用では?催奇形性、?溶血性貧血があり、?による治療中断が高齢者に目立つ。
□ リピーター医師 ・・ 医療ミスを繰り返す医師。手技・診断能力が未熟だとしても<それに気づいてない>パターンが陥りやすい。また技術があれこれできていても、困難に陥ったときのフォローができてない、また患者とのインフォームドコンセントが日頃から成り立っていない、また自信過剰な医者に多い傾向がある。
□ 流動食 ・・ 液体の食事。カロリーはたいてい1ccにつき1-2kcal。おおよそ900〜1200ccを朝・昼・晩に分けてチューブを通して胃に入れる。鼻からチューブを通す「経鼻栄養」と、みぞおちの穴(手術して造る)を通す「胃ろう」の方法がある。つまり既に消化した栄養分を流すわけ。通常は白湯(さゆ)で薄めるが、濃い状態だと下痢を引き起こす。
□ 療養型病棟=療養型病床群=介護型病棟 ・・ 急性期的な治療を要しない、しかし何らかの後遺症でリハビリ・管理が必要な、リハビリ主目的の病棟。
□ 履歴書 ・・ 医療従事者の場合、左半分の記入で可。右半分の余計な書き込みは、不要な情報を与えるだけ。もちろん取得資格は書くべき。
□ 臨機応変 ・・ 医局内の仕事などで、どう考えても片付かない内容に関して上層部が使う言葉。
□ 臨床 ・・ 病棟患者を見るふつうの医者の仕事。それに対して実験・論文の仕事を「基礎」と呼ぶ。
□ リンデロン ・・ 強力なステロイド剤で、塗り薬と注射がある。塗る範囲が広汎だと副作用の配慮も必要。
□ 緑膿菌=Pseudomonas aeruginosa=(あるいは単に)シュードモナス=シュード
好気性ブトウ糖非発酵グラム陰性桿菌。浸潤した場所に発生しやすく健康人には無害だが抵抗力落ちた人には宿敵となる。しかも多剤耐性緑膿菌という、抗生剤の効きにくいタイプまで現れた。
菌の表面の線毛により気道の上皮細胞に付着し菌が増殖、集落=コロニーを形成する。これにフィブリン・血清成分などが蓄積してシールド様の構造となって、マクロファージ・好中球、抗生剤からの攻撃から身を守る。これを「バイオフィルムの形成」という。
この「バイオフィルム」が出来ると気道の線毛の運動が邪魔されて痰が出にくくなる。また驚くべきことに菌どうしに情報伝達のしくみ(菌の密度を感知して、それが高くなるとホモセリンラクトンという物質により遺伝子情報を発現→毒素放出)があり、これを「クラオムセンシング機構」という。
□ ルールアウト=除外。『r/o』と略されることも。
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