サーガマニュアル2007秋 C
2007年9月17日□ C型慢性肝炎 =C肝=シーカン
C型肝炎ウイルスが1989年発見と最近。戦後の輸血・医療行為が原因といわれており、そのため60歳代に多い。患者・医師に恐れられる理由は、将来おとなしく肝硬変・肝癌に進む可能性があるからだ。
特にALT(GPT)が高い場合は早期の治療を検討する必要がある。
治療に関してはインターフェロン治療が1992年に開始。3割が治癒できた。そのうちサブタイプ分類され、1(日本ではこれが7割も占める!)でウイルス量が100Kcopies/ml以上(日本ではグループ1の半数も!)の場合に限り難治性と考えられた。
そこでやっとというか2001年にはリバビリン+インターフェロン治療が認められ盛んに治療が行われたが、満足いくものではなかった。またインターフェロンの治療期間が24週(週3回)だったのに対し、2003年に週1回だけでいいタイプが登場した。ペグインターフェロンα-2aだ。リバビリンとの併用が認められたのはまだ2004年の話で、適応も<グループ1でウイルス量が100Kcopies/ml以上>と制限されている。治療効果は50%近くもある。しかし対象に60歳代が多いこともあり、治療の中断率は低くない。
※ 治療の目標はウイルス陰性化はもちろん、ALTの持続低値に集約される。
インターフェロンの副作用:うつ症状、脱毛も。発熱(必発)・関節痛はむしろ開始時のみ。
リバビリンの副作用:消化器症状(下痢など)、貧血。脳出血の指摘が以前あったが、これを発症した人は背景に高血圧・糖尿病があったという。なのでこの2つをもつ人は慎重に使用すべき。
□ Cペプチド ・・ インスリンの末端ペプチドで、これの量の大小がそのままインスリンの分泌の量をあらわす(インスリン分泌能の指標)。主に空腹時血中Cペプチド、24時間尿中Cペプチドとして測定され、前者が0.5ng/ml以下、後者が20μg/day以下であればインスリン依存状態と考えられる。
□ CA15-3 ・・ 乳癌の腫瘍マーカー。スクリーニング的に、CEAとセットで測定される。
□ CagA蛋白 ・・ ヘリコバクター・ピロリを構成する主要蛋白。これが胃の上皮細胞に入ると結果的に細胞の異常増殖、細胞運動性の亢進を引き起こし、胃癌の発生へとつながるとされ注目されている。
□ CBC ・・ 末梢血。白血球・赤血球・血小板を調べたもの。計測に血液が2cc必要。
□ Ca-antagonist(カルシウムアンタゴニスト)=カルシウム拮抗薬 ・・ 降圧剤で長い伝統をもつもの。中では「ジヒドロピリジン系」のノルバスクなどが1日1回型でよく売れている。アダラートLもまだ根強い。二バジ−ルは脳循環改善の作用が取り消されたがまだ根強い。
□ CEA ・・ 2つあるので注意。全く違う。
? 腺癌の腫瘍マーカー。喫煙で少し上昇することあり。測定を3ヶ月1回にとどめないと保険で切られる恐れあり。
? 頸部頸動脈内膜剥離術。頸動脈の内側にできた血栓は脳にとぶ危険がある。これを防ぐため全身麻酔下で外科的に切除する。最近は頸動脈ステント留置術=CASもあり、これの有効性は大規模試験中。
CEAのガイドラインは欧米のもので、日本独自の研究が進められている。
CEA術後には急激に大量の血行回復がみられるために、術後3-8日間はhyperperfusion syndromeが問題となる。最も多い症状は頭痛。脳内出血をきたす頻度は1%前後ではあるが、致死率が高いので血圧管理には十分配慮する。
□ CF ・・ 2つあるので注意。全く違う。
? 大腸内視鏡=コロンファイバー
? のう胞性線維症=cystic fibrosis ・・ 肺、膵臓、消化管など全身の外分泌臓器にみられうる疾患。欧米白人種に多く東洋人はまれ。常染色体劣性遺伝。臨床的にみられるのは、
・ 呼吸器病変の場合(ほぼ全例に認め、死因の95%) ・・ 難治性の下気道感染症、肺性心を伴う末期の呼吸不全。末梢の気道分泌液貯留から2次的に感染を起こす。ほぼ全例に副鼻腔炎を合併。
・ 膵臓病変の場合 ・・ 膵外分泌機能不全。膵酵素が欠損するので脂肪・蛋白の消化不良が生じて腹満・脂肪便をきたす。
・ 消化器病変の場合 ・・ 胎便イレウス。CF新生児の5-15%に生じる。回腸末端に好発。部分閉塞、完全閉塞もあり。
汗腺・気道の上皮細胞におけるCl-イオンの細胞外への透過性障害によるものと考えられている。もっと具体的にはCl-イオンチャネルCFTR(CF transmembrane conductance regulator)の機能障害に起因する。さらにこのCFTR遺伝子変異が注目されている。臨床所見よりCFが疑われた場合は汗中のCl-濃度測定を行うとともに、CFTR遺伝子変異の検索を行う。最近、マクロライド薬の有効性が世界で注目されている。
□ CD20抗体療法 ・・ B細胞の表面に特異的に発現するCD20陽性抗原に対する、抗体による治療。H15年9月よりCD20陽性リンパ腫に適応となる(物質名リツキシマブ。商品名リツキサン)。臓器病変合併のSLEへの応用(5例での検討)でも優秀な成績(いずれも数ヶ月で活動性をゼロまでもっていった)をあげており(2005年)、今後臨床試験が予定されている。
□ CHD ・・ 冠動脈疾患。
□ Circulation ・・ 日本語での直訳は「循環」。ここでは循環器の海外雑誌を指す。世界でトップレベルの論文がこれに毎月掲載される。院生の論文がいきなり載ることも珍しくない。
■ CKD=chronic kidney disease=慢性腎臓病
診断基準
? 「尿蛋白」や「腎臓の形態的変化」など腎臓に病気が存在する所見がある。または
? 糸球体濾過量(GFR)が60ml/min/1.73m2以下
※ このGFRはMDRDの簡易式(性・年齢・血清Cr値より)から求められる(日本独自の式ではない)。
が3か月以上続く病態
という、大ざっぱで無理のない基準となっている。大病院では受診が3か月毎が多いことを考えると実用的といえる。慢性透析患者は25万人おり、いっこうに増加に歯止めがかかってない。予後の悪い腎不全そのものを減らすためだけでなく、心血管系合併症(CVD)の予防も目的にある。
※ CVD=cardiovascular disease:腎機能低下するほど増加し、尿蛋白自体がCVDの予後因子とさえ言われている。
<病期分類>
ステージ1:腎機能は正常だが尿・病理・画像で異常所見がある。
ステージ2:軽度の腎機能低下(GFR 60-89)。この時点ですでに進行が予測されるので予防措置が必要。
ステージ3:中等度の腎機能低下(GFR 30-59)。合併症が顕在化してくる時期。それを意識した踏み込んだ検査が必要になる。
(以下は専門医紹介が望ましいとされている)
ステージ4:高度の腎機能低下(GFR 15-29)。透析・移植の準備段階。
ステージ5:腎不全期(GFR < 15)。透析・移植のタイミング待ち。
ただしここでいうGFRの測定をするためには2時間点滴の間に飲水・採血・採尿を30分おきにする必要があり、結局この分類は今のところ実用的でない。ただ評価・治療の位置づけとしては有用。
○ ESRD=end-stage renal disease(透析導入)へのリスク
・ 尿蛋白の陽性程度が高いほど導入の時期は当然早い。なお蛋白尿1+以上かつ尿潜血陽性の場合、10年間で約3%が透析導入されている事実がある(潜血も大事)。
・ 血圧が高いほど導入率は高くなる。
・ 加齢による腎機能低下のみでは(つまり年齢での補正を行ったGFR計算が正常なら)ESRDに至る例少ない。
・ 肥満(BMI)は特に男性で影響大。
○ CKD-MBD ・・ CKDによる骨ミネラル代謝異常。
□ CL=コンタクトレンズ
□ CO中毒
・ 火災事故、炭・練炭の不完全燃焼、排気ガスなど。年間2000名前後が死亡しておりほとんどが火災。
・ COは酸素の200倍以上の親和性で血中Hbと結合しCO-Hbを形成され、酸素運搬能が障害され、組織の低酸素化を招く。
・ CO-Hb濃度(COオキシメトリーで測定。10%以上で確定診断)が10%を超えると中枢神経症状などの症状が出現してくる。10-20%では頭痛程度だが40%を超えると錯乱、重度の運動失調、呼吸促拍、50%超えると意識障害・チアノーゼ、60%で昏睡、70%で心肺停止。※ 喫煙者ではCO-Hbは10%程度を示す。
・ 間欠型CO中毒:急性期の意識障害からいったん回復して数日〜一ヶ月(5週間まではみておく必要あり)してから多彩な神経症状(失見当識、健忘、記憶障害、性格変化、尿失禁、錐体外路症状など)出現。全CO中毒の1割にみられる。
・ 動脈血で代謝性アシドーシスを呈し、特にBEは中毒の重症度を反映する。
・ 静脈血でヘマトクリット上昇、各種臓器障害所見。
・ 心電図では虚血の有無を確認。
・ CT/MRIにおける淡蒼球の低吸収域は初期にみられる所見として有名。
・ 意識清明では純酸素マスク吸入。意識障害では純酸素での人工呼吸管理。酸素投与はCO-Hb濃度が10%以下で症状消失まで行う。
□ COPD=慢性閉塞性肺疾患
2000年の調査では、わが国では700万人を越え、今や死亡原因の第10位で増加傾向。疫学診断(NICEスタディ)ではなんと95%以上が未診断・誤診されているという。
2004年の最新ガイドラインでは、『有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限』と定義されている。喫煙は発症リスクの80-90%を占める。
それまではCOPD=肺気腫+慢性気管支炎とされていたが、新しい定義では慢性気管支炎の名前がなくなっている。だがあくまでも定義の問題であって、慢性気管支炎(咳・痰が6ヶ月以上)という病態が肺気腫へとつながる病態であることに変わりはない。
肺気腫→肺をハチの巣に例えると、部屋の壁がボコボコに破壊されて部屋が融合しているような状態。部屋から外へ出る通路(気管支)も破壊され、外へ出にくい。なので痰がたまり、通路の傷の刺激で咳も頻回。何よりも息苦しい。
健診でこれを早期にとらえるためには胸部レントゲン・・では早期発見はまず無理。呼吸機能検査でスクリーニングして胸部CT(しかもHRCT)、という流れにしない限り難しいだろう。癌ではなくて喫煙・外因的な原因が多いため、早期発見しなければという危機感がドクター間には浸透していない。なのでせめて慢性喫煙患者は検査目的ででも、受診して受けるべき。
話が飛んだが、この病態は
? 気道の狭小化 ← 炎症細胞浸潤と、それによる分泌物貯留による。
? 肺の破壊性病変 ← 肺胞や気道壁を破壊することにより気流の移動が制限される(肺にとどまって出にくい)=気流制限。つまり気腫化の状態。
早期の変化として肺内での好中球活性化が注目されている。喫煙者は非喫煙者に比べて、好中球を活性化させるIL-8の増加、好中球から出る好中球エラスターゼの増加を認めることがそれを示唆している。また肺組織への障害の原因物質として二トロチロシンが挙げられている。これはNOの過剰産生によるものに由来し、さらにそれはi-NOS(誘導型NOS ※NOS=NO合成酵素 )の過剰発現によるとされる。このi-NOSの発現は1秒率に反比例する。つまりi-NOSが多いほど病態が進んでおり、これを利用した治療法が研究中。また気道抵抗を測定するIOS(impulse oscillation)という測定機器による治療効果判定が試みられている。CTではLAA%=low attenuation area=低吸収領域の肺野全体に対する面積比・・によって肺気腫の進行度を評価する試み(早期診断も研究中)もある。
治療以前の常識的課題としては、禁煙しないと話にならない、という点と効率的な呼吸リハビリにより肺の力をかなりまかなえるという点だ。
治療薬について。まず?〜?は気管支拡張による。
? 抗コリン薬 : 最近発売されたスピリーバは1日1回使用で24時間効果が続き、使いやすい。従来のは1日3回だった。常用量なら副作用はほとんどない。
? β2刺激薬 : 短時間型のメプチンエアーは効果自体は?に劣るが即効性では勝る。長時間型のサルメテロール(セレベント)は1回吸入で12時間効果が持続。
? メチルキサンチン : とくに末梢気道の拡張作用に優れ、肺の過膨脹を減少させ労作時息切れを改善。
?・?は吸入で、常用量なら副作用はほぼない。ただβ2刺激剤による動悸の副作用はときどき耳にする。?は高齢者では不整脈の副作用の心配があり、できれば控えたい。
? 吸入グルココルチコイド : 長期連用することで病勢を遅らせるような長期的効果はない。むしろ長期使用でステロイドミオパチー(蛋白異化、カリウム低下による筋力低下)による呼吸筋の筋力低下が心配だ。このように否定的な見解が多いが、2000年の報告では吸入ステロイドが増悪の機会を減らしたという、いい報告も認めた。なお欧米ではβ2と吸入ステロイドの合剤が使用され始めた。日本では数年後待たなければならない。
? 喀痰調整薬 : この薬に関しては大規模な臨床試験などなく、症状緩和のために処方される。ただし2001年の小さな検討では投与したほうが増悪の回数と罹病期間が少なかったと報告された。
? マクロライド系長期投与 : 実際の現場でけっこう処方される。もちろん緑膿菌に対しての意味合いが強いが、統計的にこの薬剤がCOPDそのものに長期的に有効とまでは証明されてはいない。
タバコが最大の原因だが、それ以外にも加齢、気道過敏性(喘息)も関与する。さらに注目されている原因の1つが<アデノウイルス潜在感染仮説>というものだ。これは。小児期にアデノウイルスの初期遺伝子(E1A遺伝子)が潜在的に取り込まれ、喫煙にさらされることで肺の気腫化が進むというもの。
□ CO2ナルコーシス ・・ 肺気腫に多いが、血液中の二酸化炭素が過剰に増えた状態。これにより自ら呼吸そのものに抑制がかかり、ひどいと呼吸が停止する。酸素を大量に吸わせると余計悪くなる。
□ compromised host(コンプロマイズド・ホスト)=易感染者、つまり高齢者や何らかの持病を持っていて免疫能が低下している患者。
□ COX-2阻害剤 ・・ 細胞のCOX-1、COX-2のうち炎症部位に発現するCOX-2のほうを抑制することで副作用(胃腸障害)の軽減を目的とした抗炎症剤。痛み止めを主目的に使用され、ハイペン、モービックが処方されている。大腸ポリープの癌化抑制効果も売り物であったが、欧米の<ロフェコキシブ>で心筋梗塞や脳梗塞をかえって増加させるという報告が相次いであり、そのあとの検討でもネガティブな報告が山積み。日本でのニュースは一時的で危機感が少ない。欧米ではこれを受けてロフェコキシブが市場から撤退した。
□ CPK ・・ 筋肉由来の酵素。骨格筋・心筋など。心臓マッサージ後、運動後も上昇するので注意。例文)「メバロチン内服して筋肉痛があったら・・CPKを確認だ!」
□ CPK-MB ・・ 心臓の心筋に特異的な物質。血液検査の1項目。緊急で計れる病院とそうでない病院があるので要注意。心筋梗塞や心筋炎で上昇する。
□ CRP ・・ 炎症反応。通常は陰性。肺炎・肝炎などのほか悪性腫瘍など、炎症を起こす病気全てで上昇する。病気の進行度・治療の効果判定などに使用される。発熱があってもなぜかCRPが上がらない、というのはSLEを疑う根拠に(赤沈は促進)。
□ CRT=cardiac resynchronization therapy=心臓再動期療法 ・・ ?心臓の両心室を同時にペーシング(両心室ペースメーカー)+?至適AV間隔の設定、によって、収縮の同期性を高める。重症心不全の治療の選択肢の1つで、2003年5月より薬事承認。ガイドライン適応は、NYHA ?/?度、QRS幅>130ms、左室駆出率35%以下の重症心不全となっているが、心室のdys-synchrony(右心室と左心室の動きのズレ)の程度を評価して適応を決めようという試みがされている。刺激の出るリードは当然2本必要で、1本は右心室心尖部でもう1本は冠状静脈洞に留置(冠静脈穿孔が0.5-数%)。これにより中隔側と左室自由壁から左心室を挟み込む形で、同時にペーシングを行う。血行動態が安定化し、なかでも血圧の上昇が顕著だという。エビデンス的には、「6ヵ月後の死亡・入院リスクが40%減少した」という北米の二重盲検<MIRACLE試験>が有名。
ただし心室細動・心室頻拍など致死的不整脈を予防するほどの効果があるわけではなく、これに対して除細動機を付加したものをCRT-Dが最近承認された。欧米では既に良好な成績が報告されている(日本ではH18.7月に承認されたばかり)。
□ CT ・・ トンネルを自動でくぐるだけで取れる輪切り写真。悪性腫瘍診断には造影でのCTが欠かせない。造影は腎機能障害、造影剤アレルギーの有無に要注意。
□ CTD-PH=膠原病合併肺高血圧 ・・ なかでもMCTDへの合併が最多(7%に肺高血圧が合併)。膠原病全体的に、中でも20-30代女性に特に多い。突然死・心不全がみられることがあり、これは肺血管抵抗の急激な上昇による。※PHのところも参照を。
□ CTO ・・ 冠動脈の完全閉塞。「Total occlusion(トータル・オクルージョン)」とも表現される。
C型肝炎ウイルスが1989年発見と最近。戦後の輸血・医療行為が原因といわれており、そのため60歳代に多い。患者・医師に恐れられる理由は、将来おとなしく肝硬変・肝癌に進む可能性があるからだ。
特にALT(GPT)が高い場合は早期の治療を検討する必要がある。
治療に関してはインターフェロン治療が1992年に開始。3割が治癒できた。そのうちサブタイプ分類され、1(日本ではこれが7割も占める!)でウイルス量が100Kcopies/ml以上(日本ではグループ1の半数も!)の場合に限り難治性と考えられた。
そこでやっとというか2001年にはリバビリン+インターフェロン治療が認められ盛んに治療が行われたが、満足いくものではなかった。またインターフェロンの治療期間が24週(週3回)だったのに対し、2003年に週1回だけでいいタイプが登場した。ペグインターフェロンα-2aだ。リバビリンとの併用が認められたのはまだ2004年の話で、適応も<グループ1でウイルス量が100Kcopies/ml以上>と制限されている。治療効果は50%近くもある。しかし対象に60歳代が多いこともあり、治療の中断率は低くない。
※ 治療の目標はウイルス陰性化はもちろん、ALTの持続低値に集約される。
インターフェロンの副作用:うつ症状、脱毛も。発熱(必発)・関節痛はむしろ開始時のみ。
リバビリンの副作用:消化器症状(下痢など)、貧血。脳出血の指摘が以前あったが、これを発症した人は背景に高血圧・糖尿病があったという。なのでこの2つをもつ人は慎重に使用すべき。
□ Cペプチド ・・ インスリンの末端ペプチドで、これの量の大小がそのままインスリンの分泌の量をあらわす(インスリン分泌能の指標)。主に空腹時血中Cペプチド、24時間尿中Cペプチドとして測定され、前者が0.5ng/ml以下、後者が20μg/day以下であればインスリン依存状態と考えられる。
□ CA15-3 ・・ 乳癌の腫瘍マーカー。スクリーニング的に、CEAとセットで測定される。
□ CagA蛋白 ・・ ヘリコバクター・ピロリを構成する主要蛋白。これが胃の上皮細胞に入ると結果的に細胞の異常増殖、細胞運動性の亢進を引き起こし、胃癌の発生へとつながるとされ注目されている。
□ CBC ・・ 末梢血。白血球・赤血球・血小板を調べたもの。計測に血液が2cc必要。
□ Ca-antagonist(カルシウムアンタゴニスト)=カルシウム拮抗薬 ・・ 降圧剤で長い伝統をもつもの。中では「ジヒドロピリジン系」のノルバスクなどが1日1回型でよく売れている。アダラートLもまだ根強い。二バジ−ルは脳循環改善の作用が取り消されたがまだ根強い。
□ CEA ・・ 2つあるので注意。全く違う。
? 腺癌の腫瘍マーカー。喫煙で少し上昇することあり。測定を3ヶ月1回にとどめないと保険で切られる恐れあり。
? 頸部頸動脈内膜剥離術。頸動脈の内側にできた血栓は脳にとぶ危険がある。これを防ぐため全身麻酔下で外科的に切除する。最近は頸動脈ステント留置術=CASもあり、これの有効性は大規模試験中。
CEAのガイドラインは欧米のもので、日本独自の研究が進められている。
CEA術後には急激に大量の血行回復がみられるために、術後3-8日間はhyperperfusion syndromeが問題となる。最も多い症状は頭痛。脳内出血をきたす頻度は1%前後ではあるが、致死率が高いので血圧管理には十分配慮する。
□ CF ・・ 2つあるので注意。全く違う。
? 大腸内視鏡=コロンファイバー
? のう胞性線維症=cystic fibrosis ・・ 肺、膵臓、消化管など全身の外分泌臓器にみられうる疾患。欧米白人種に多く東洋人はまれ。常染色体劣性遺伝。臨床的にみられるのは、
・ 呼吸器病変の場合(ほぼ全例に認め、死因の95%) ・・ 難治性の下気道感染症、肺性心を伴う末期の呼吸不全。末梢の気道分泌液貯留から2次的に感染を起こす。ほぼ全例に副鼻腔炎を合併。
・ 膵臓病変の場合 ・・ 膵外分泌機能不全。膵酵素が欠損するので脂肪・蛋白の消化不良が生じて腹満・脂肪便をきたす。
・ 消化器病変の場合 ・・ 胎便イレウス。CF新生児の5-15%に生じる。回腸末端に好発。部分閉塞、完全閉塞もあり。
汗腺・気道の上皮細胞におけるCl-イオンの細胞外への透過性障害によるものと考えられている。もっと具体的にはCl-イオンチャネルCFTR(CF transmembrane conductance regulator)の機能障害に起因する。さらにこのCFTR遺伝子変異が注目されている。臨床所見よりCFが疑われた場合は汗中のCl-濃度測定を行うとともに、CFTR遺伝子変異の検索を行う。最近、マクロライド薬の有効性が世界で注目されている。
□ CD20抗体療法 ・・ B細胞の表面に特異的に発現するCD20陽性抗原に対する、抗体による治療。H15年9月よりCD20陽性リンパ腫に適応となる(物質名リツキシマブ。商品名リツキサン)。臓器病変合併のSLEへの応用(5例での検討)でも優秀な成績(いずれも数ヶ月で活動性をゼロまでもっていった)をあげており(2005年)、今後臨床試験が予定されている。
□ CHD ・・ 冠動脈疾患。
□ Circulation ・・ 日本語での直訳は「循環」。ここでは循環器の海外雑誌を指す。世界でトップレベルの論文がこれに毎月掲載される。院生の論文がいきなり載ることも珍しくない。
■ CKD=chronic kidney disease=慢性腎臓病
診断基準
? 「尿蛋白」や「腎臓の形態的変化」など腎臓に病気が存在する所見がある。または
? 糸球体濾過量(GFR)が60ml/min/1.73m2以下
※ このGFRはMDRDの簡易式(性・年齢・血清Cr値より)から求められる(日本独自の式ではない)。
が3か月以上続く病態
という、大ざっぱで無理のない基準となっている。大病院では受診が3か月毎が多いことを考えると実用的といえる。慢性透析患者は25万人おり、いっこうに増加に歯止めがかかってない。予後の悪い腎不全そのものを減らすためだけでなく、心血管系合併症(CVD)の予防も目的にある。
※ CVD=cardiovascular disease:腎機能低下するほど増加し、尿蛋白自体がCVDの予後因子とさえ言われている。
<病期分類>
ステージ1:腎機能は正常だが尿・病理・画像で異常所見がある。
ステージ2:軽度の腎機能低下(GFR 60-89)。この時点ですでに進行が予測されるので予防措置が必要。
ステージ3:中等度の腎機能低下(GFR 30-59)。合併症が顕在化してくる時期。それを意識した踏み込んだ検査が必要になる。
(以下は専門医紹介が望ましいとされている)
ステージ4:高度の腎機能低下(GFR 15-29)。透析・移植の準備段階。
ステージ5:腎不全期(GFR < 15)。透析・移植のタイミング待ち。
ただしここでいうGFRの測定をするためには2時間点滴の間に飲水・採血・採尿を30分おきにする必要があり、結局この分類は今のところ実用的でない。ただ評価・治療の位置づけとしては有用。
○ ESRD=end-stage renal disease(透析導入)へのリスク
・ 尿蛋白の陽性程度が高いほど導入の時期は当然早い。なお蛋白尿1+以上かつ尿潜血陽性の場合、10年間で約3%が透析導入されている事実がある(潜血も大事)。
・ 血圧が高いほど導入率は高くなる。
・ 加齢による腎機能低下のみでは(つまり年齢での補正を行ったGFR計算が正常なら)ESRDに至る例少ない。
・ 肥満(BMI)は特に男性で影響大。
○ CKD-MBD ・・ CKDによる骨ミネラル代謝異常。
□ CL=コンタクトレンズ
□ CO中毒
・ 火災事故、炭・練炭の不完全燃焼、排気ガスなど。年間2000名前後が死亡しておりほとんどが火災。
・ COは酸素の200倍以上の親和性で血中Hbと結合しCO-Hbを形成され、酸素運搬能が障害され、組織の低酸素化を招く。
・ CO-Hb濃度(COオキシメトリーで測定。10%以上で確定診断)が10%を超えると中枢神経症状などの症状が出現してくる。10-20%では頭痛程度だが40%を超えると錯乱、重度の運動失調、呼吸促拍、50%超えると意識障害・チアノーゼ、60%で昏睡、70%で心肺停止。※ 喫煙者ではCO-Hbは10%程度を示す。
・ 間欠型CO中毒:急性期の意識障害からいったん回復して数日〜一ヶ月(5週間まではみておく必要あり)してから多彩な神経症状(失見当識、健忘、記憶障害、性格変化、尿失禁、錐体外路症状など)出現。全CO中毒の1割にみられる。
・ 動脈血で代謝性アシドーシスを呈し、特にBEは中毒の重症度を反映する。
・ 静脈血でヘマトクリット上昇、各種臓器障害所見。
・ 心電図では虚血の有無を確認。
・ CT/MRIにおける淡蒼球の低吸収域は初期にみられる所見として有名。
・ 意識清明では純酸素マスク吸入。意識障害では純酸素での人工呼吸管理。酸素投与はCO-Hb濃度が10%以下で症状消失まで行う。
□ COPD=慢性閉塞性肺疾患
2000年の調査では、わが国では700万人を越え、今や死亡原因の第10位で増加傾向。疫学診断(NICEスタディ)ではなんと95%以上が未診断・誤診されているという。
2004年の最新ガイドラインでは、『有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限』と定義されている。喫煙は発症リスクの80-90%を占める。
それまではCOPD=肺気腫+慢性気管支炎とされていたが、新しい定義では慢性気管支炎の名前がなくなっている。だがあくまでも定義の問題であって、慢性気管支炎(咳・痰が6ヶ月以上)という病態が肺気腫へとつながる病態であることに変わりはない。
肺気腫→肺をハチの巣に例えると、部屋の壁がボコボコに破壊されて部屋が融合しているような状態。部屋から外へ出る通路(気管支)も破壊され、外へ出にくい。なので痰がたまり、通路の傷の刺激で咳も頻回。何よりも息苦しい。
健診でこれを早期にとらえるためには胸部レントゲン・・では早期発見はまず無理。呼吸機能検査でスクリーニングして胸部CT(しかもHRCT)、という流れにしない限り難しいだろう。癌ではなくて喫煙・外因的な原因が多いため、早期発見しなければという危機感がドクター間には浸透していない。なのでせめて慢性喫煙患者は検査目的ででも、受診して受けるべき。
話が飛んだが、この病態は
? 気道の狭小化 ← 炎症細胞浸潤と、それによる分泌物貯留による。
? 肺の破壊性病変 ← 肺胞や気道壁を破壊することにより気流の移動が制限される(肺にとどまって出にくい)=気流制限。つまり気腫化の状態。
早期の変化として肺内での好中球活性化が注目されている。喫煙者は非喫煙者に比べて、好中球を活性化させるIL-8の増加、好中球から出る好中球エラスターゼの増加を認めることがそれを示唆している。また肺組織への障害の原因物質として二トロチロシンが挙げられている。これはNOの過剰産生によるものに由来し、さらにそれはi-NOS(誘導型NOS ※NOS=NO合成酵素 )の過剰発現によるとされる。このi-NOSの発現は1秒率に反比例する。つまりi-NOSが多いほど病態が進んでおり、これを利用した治療法が研究中。また気道抵抗を測定するIOS(impulse oscillation)という測定機器による治療効果判定が試みられている。CTではLAA%=low attenuation area=低吸収領域の肺野全体に対する面積比・・によって肺気腫の進行度を評価する試み(早期診断も研究中)もある。
治療以前の常識的課題としては、禁煙しないと話にならない、という点と効率的な呼吸リハビリにより肺の力をかなりまかなえるという点だ。
治療薬について。まず?〜?は気管支拡張による。
? 抗コリン薬 : 最近発売されたスピリーバは1日1回使用で24時間効果が続き、使いやすい。従来のは1日3回だった。常用量なら副作用はほとんどない。
? β2刺激薬 : 短時間型のメプチンエアーは効果自体は?に劣るが即効性では勝る。長時間型のサルメテロール(セレベント)は1回吸入で12時間効果が持続。
? メチルキサンチン : とくに末梢気道の拡張作用に優れ、肺の過膨脹を減少させ労作時息切れを改善。
?・?は吸入で、常用量なら副作用はほぼない。ただβ2刺激剤による動悸の副作用はときどき耳にする。?は高齢者では不整脈の副作用の心配があり、できれば控えたい。
? 吸入グルココルチコイド : 長期連用することで病勢を遅らせるような長期的効果はない。むしろ長期使用でステロイドミオパチー(蛋白異化、カリウム低下による筋力低下)による呼吸筋の筋力低下が心配だ。このように否定的な見解が多いが、2000年の報告では吸入ステロイドが増悪の機会を減らしたという、いい報告も認めた。なお欧米ではβ2と吸入ステロイドの合剤が使用され始めた。日本では数年後待たなければならない。
? 喀痰調整薬 : この薬に関しては大規模な臨床試験などなく、症状緩和のために処方される。ただし2001年の小さな検討では投与したほうが増悪の回数と罹病期間が少なかったと報告された。
? マクロライド系長期投与 : 実際の現場でけっこう処方される。もちろん緑膿菌に対しての意味合いが強いが、統計的にこの薬剤がCOPDそのものに長期的に有効とまでは証明されてはいない。
タバコが最大の原因だが、それ以外にも加齢、気道過敏性(喘息)も関与する。さらに注目されている原因の1つが<アデノウイルス潜在感染仮説>というものだ。これは。小児期にアデノウイルスの初期遺伝子(E1A遺伝子)が潜在的に取り込まれ、喫煙にさらされることで肺の気腫化が進むというもの。
□ CO2ナルコーシス ・・ 肺気腫に多いが、血液中の二酸化炭素が過剰に増えた状態。これにより自ら呼吸そのものに抑制がかかり、ひどいと呼吸が停止する。酸素を大量に吸わせると余計悪くなる。
□ compromised host(コンプロマイズド・ホスト)=易感染者、つまり高齢者や何らかの持病を持っていて免疫能が低下している患者。
□ COX-2阻害剤 ・・ 細胞のCOX-1、COX-2のうち炎症部位に発現するCOX-2のほうを抑制することで副作用(胃腸障害)の軽減を目的とした抗炎症剤。痛み止めを主目的に使用され、ハイペン、モービックが処方されている。大腸ポリープの癌化抑制効果も売り物であったが、欧米の<ロフェコキシブ>で心筋梗塞や脳梗塞をかえって増加させるという報告が相次いであり、そのあとの検討でもネガティブな報告が山積み。日本でのニュースは一時的で危機感が少ない。欧米ではこれを受けてロフェコキシブが市場から撤退した。
□ CPK ・・ 筋肉由来の酵素。骨格筋・心筋など。心臓マッサージ後、運動後も上昇するので注意。例文)「メバロチン内服して筋肉痛があったら・・CPKを確認だ!」
□ CPK-MB ・・ 心臓の心筋に特異的な物質。血液検査の1項目。緊急で計れる病院とそうでない病院があるので要注意。心筋梗塞や心筋炎で上昇する。
□ CRP ・・ 炎症反応。通常は陰性。肺炎・肝炎などのほか悪性腫瘍など、炎症を起こす病気全てで上昇する。病気の進行度・治療の効果判定などに使用される。発熱があってもなぜかCRPが上がらない、というのはSLEを疑う根拠に(赤沈は促進)。
□ CRT=cardiac resynchronization therapy=心臓再動期療法 ・・ ?心臓の両心室を同時にペーシング(両心室ペースメーカー)+?至適AV間隔の設定、によって、収縮の同期性を高める。重症心不全の治療の選択肢の1つで、2003年5月より薬事承認。ガイドライン適応は、NYHA ?/?度、QRS幅>130ms、左室駆出率35%以下の重症心不全となっているが、心室のdys-synchrony(右心室と左心室の動きのズレ)の程度を評価して適応を決めようという試みがされている。刺激の出るリードは当然2本必要で、1本は右心室心尖部でもう1本は冠状静脈洞に留置(冠静脈穿孔が0.5-数%)。これにより中隔側と左室自由壁から左心室を挟み込む形で、同時にペーシングを行う。血行動態が安定化し、なかでも血圧の上昇が顕著だという。エビデンス的には、「6ヵ月後の死亡・入院リスクが40%減少した」という北米の二重盲検<MIRACLE試験>が有名。
ただし心室細動・心室頻拍など致死的不整脈を予防するほどの効果があるわけではなく、これに対して除細動機を付加したものをCRT-Dが最近承認された。欧米では既に良好な成績が報告されている(日本ではH18.7月に承認されたばかり)。
□ CT ・・ トンネルを自動でくぐるだけで取れる輪切り写真。悪性腫瘍診断には造影でのCTが欠かせない。造影は腎機能障害、造影剤アレルギーの有無に要注意。
□ CTD-PH=膠原病合併肺高血圧 ・・ なかでもMCTDへの合併が最多(7%に肺高血圧が合併)。膠原病全体的に、中でも20-30代女性に特に多い。突然死・心不全がみられることがあり、これは肺血管抵抗の急激な上昇による。※PHのところも参照を。
□ CTO ・・ 冠動脈の完全閉塞。「Total occlusion(トータル・オクルージョン)」とも表現される。
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