サーガマニュアル2007秋 G H I
2007年9月17日□ G-CSF製剤 ・・ 白血球のうち特に好中球を増加させるための注射。白血病や抗癌剤の投与後によく用いられる。
□ G-I=G-I療法=グルコース・インスリン療法 ・・ インスリンによるグルコース(糖)の取り込みがカリウムの取り込みも兼ねることを利用して、高カリウム血症の治療の1つとして行われる。具体的には10%TZ 500mlに対してレギュラーインスリン(速効性。名称に「R」がついてるもの、たとえばノボリンRやヒューマリンRなど)10単位を混注して2-3時間投与。
□ GERD=胃食道逆流症 ・・ 胃→食道への逆流により食道の粘膜が傷害され、?胸焼けや呑酸などの症状(日本の定義では週に2回以上の胸やけ症状)、?下部食道粘膜の傷害所見(びらん・潰瘍)のうちの1つまたは2つがあれば上記と診断。なので内視鏡が正常でも症状だけ陽性のものもあり、この場合を内視鏡陰性逆流症または非びらん性逆流症といい、食道粘膜の知覚過敏が原因と考えられている。食道下部の筋肉である下部食道括約筋の逆流防止機構が一過性(高脂肪食、大量摂取)、または慢性的(高齢者に多い裂孔ヘルニア)に破綻するのが主な原因。合併症は出血、瘢痕狭窄、食道円柱上皮化生(もともとの扁平上皮が円柱上皮に置き換わる)。この食道円柱上皮化生に特殊腸上皮化生が起こったのがバレット食道(癌化あり)である。なお食道外症状としては?呼吸器症状・・咳・喘息・反復気道感染、?耳鼻科的症状・・咽頭・喉頭違和感、耳痛、?非心臓性胸痛(一見狭心症だが検査は正常)。
治療
? GER(食道内逆流)の抑制・・・腹腔鏡による噴門形成術、薬剤によるLES圧弛緩抑制
? 酸の抑制 ・・ PPI>H2受容体拮抗薬。いずれも中断で再発。
■ GIST=Gastrointestinal stromal tumor=消化管間質腫瘍 ・・ 間質は粘膜の下。そこで発生する腫瘍で健診(胃)での無症状発見が多く、ほっとくと悪性化の可能性あり。
どの消化管でもみられ、胃が50-60%と最多で次いで小腸(20-30%)。治療は外科切除。
以前はサイズで切除の基準を考慮していたが小さくても転移ありうる。小サイズは内視鏡での生検は困難だがEUS-FNAB(超音波内視鏡下穿刺吸引生検)により可能になった。だが2センチ以下だとこれでも難しいが悪性リスク小さいため経過観察となる。
なお転移・播種がある場合は分子標的薬の経口投与が行われる。
□ Gitelman症候群 ・・ 遺伝性の尿細管疾患、の1つ。接合部尿細管の機能障害による。思春期以降に発症し、軽度脱水、低マグネシウムによるテタニー頻回が特徴的。Bartter症候群との決定的違いは、尿中カルシウムの排泄減少である。遺伝子解析中。
□ GLP-1=glucagon-like peptide-1 ・・ 消化管粘膜のL細胞で産生・分泌され、膵臓β細胞からのインスリン分泌を増強。この増強力はグルコース依存性、つまり血糖の各値に応じた量が分泌されるので、低血糖を来たしにくい。それだけでなくβ細胞の増殖・分化促進、アポトーシス制御などおいしい作用もある。このほかグルカゴン分泌抑制作用もあり(これもグルコース依存性)血糖上昇を抑えてくれる。SU剤もβ細胞からのインスリン分泌を増加させるが体重増加が問題。GLP-1のほうは食欲・摂取抑制作用もあってそれを来たさない。臨床への応用はまだ。
□ GK治療=ガンマナイフ治療 ・・ ガンマ線ビームを目標の限局した領域(焦点部)に、集中的に当てる。焦点部から外れると線量が急速に減弱するので正常組織への被曝が少なく、病巣のみ高い線量を当てれる。よって侵襲性が少なく全身状態が比較的悪い人でも可能だ。適応の実際は転移性の脳腫瘍が多く(3-6割で増加傾向。腫瘍境界が明瞭で好適応)脳動静脈奇形や良性腫瘍など。なお病巣の最大長径は3センチ以下が望ましい。正常脳への影響を考えるなら(病巣が多くても)全脳照射でなくGK治療をすすめる考え方もある。
■ GOARN=global outbreak alert and response network=感染症危機対応グローバルネットワーク ・・ 2000年発足の感染症技術機関の集大成。感染症流行の際、ここを通じて専門家が派遣されるシステム。国際会議を定期的に行う。
今年の会合は・・もう終わった。http://www.med.tohoku.ac.jp/jimu/new/WHO.html
□ GOLD=Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease ・・ COPDの研究で活躍している世界的組織(2002年発足)。年に1回<COPDデー>なるものを設け、啓発のため各種イベント(街頭で呼吸機能検査の体験イベントなど)も行う。
□ Gyne(ギネ) ・・ 産婦人科
■ H5N1インフルエンザウイルス
A型インフルエンザウイルスの亜型で、東南アジアで流行が確認された鳥型インフルエンザの原因ウイルス。ヒトへの感染性獲得は20-40年周期で起こっていて(致死率60%:ARDSの病態)、今まさしく流行が予測される時期にある。
もしこれが流行すれば4人に1人が感染するものとして計算されている。
実際のヒトへの感染は、ほとんどが家禽類(ニワトリやアヒル)への直接接触によると考えられている。ヒトからヒトへの感染はよほど濃厚な接触がない限り起こり得ないとされている。ただヒト自体の感染が持続すれば、そのリスクはある。そうなると<世界規模の流行=パンデミック>となってもおかしくない。
厚生省は2006年6月にガイドラインhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/08.htmlを発表した。確定診断は咽頭からウイルスそのもの、またはPCRを検出すること。しかしこれでは時間がかかりすぎ実践的とはいえず(キット未発売)、早期の発見・治療は個々の医師がいかに早く発見できるかにある。
※ ウイルスは呼吸器系だけでなく、血中・便中からも検出されるのが特徴。
権威の意見によると、?呼吸器症状・発熱があって、?7日間さかのぼって流行地域に出かけたことがある、?そこで鳥に接触したことがある、の全てを満たす場合に疑いをもつべきとされる。
また、症状の悪化(風邪症状→呼吸困難かつレントゲンで全体的に間質性肺炎のような影が出現)が急速であることも参考にする。
あと、下痢が多くみられるのもH5N1の特徴である。
パンデミック対策としてはワクチン・抗ウイルス薬ということになるが、H5N1には少なくとも4つの異なる抗原タイプがあり、どれが今後流行するか予測できないため準備のしようがない。流行が始まって開発となると半年〜1年も準備にかかるのも問題。抗ウイルス薬(タミフル・リレンザ)も、投与の基準が曖昧であるし有効性自体が実は分かってない。
□ H-FABP=心臓型脂肪酸結合蛋白 ・・ 急性心筋梗塞の急性期かどうかを診断するための血液検査の1つ。数ある項目の中でも発症すぐの段階で検出。感度については発症0-2時間の段階でも85%と優れている(それに対しトロポニンTは15%)。ただし特異度はトロポニンTの半分なので過度の信用は注意。
□ HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)=グリコヘモグロビン ・・ 糖尿病における血糖コントロールの指標の1つ。ここ1・2ヶ月の血糖の成績をまとめた「通信簿」。正常値は4.3-5.8%。6.5%以上あれば言い訳しても(異常ヘモグロビンなど特殊な疾患がある場合は別)糖尿病。血糖を低めに出すために、前日絶食したり薬を上乗せする患者がいるが、それで血糖をごまかせても、これはごまかせない。治療が結果に反映されるのがのんびり1ヶ月といわれているので、治療の反映をもっと早期に知りたいなら(急な代謝状況変化をみたいとき)HbA1cでなくて<1,5AG>や<グリコアルブミン>を測定すべき。
・ 5.8%未満 ・・ 「優」
・ 5.8-6.5%未満 ・・ 「良」
・ 6.5-7.0%未満 ・・ 「可(不十分)」
・ 7.0-8.0%未満 ・・ 「可(不良)」
・ 8.0%以上 ・・ 「不可」
□ HDA ・・ 高吸収域。CT写真で白く見えるところ。出血としてみられる。
□ HELLP症候群 ・・ hemolysis(溶血)+elevated liver enzymes(肝酵素上昇)+low platelets count(血小板低下)の頭文字の総称から名づけられた症候群。多くは妊娠中毒症に併発しDICを合併して予後不良となり母体死亡や児の周産期死亡を引き起こすこともある。突然の心か部(みぞおち)痛、嘔気・嘔吐、倦怠感を初発に発症。発症時の妊娠週数は28-40週と様々。
□ H2ブロッカー ・・ 代表例が「ガスター」。胃酸の分泌を抑制する。胃潰瘍などに投与。内服・注射あり。まれに白血球減少。
□ hyperdynamic (state) ・・ 心臓の過大な動き。貧血や甲状腺機能亢進症などでみられる。
□ hypertrophy(ハイパートロフィー) ・・ 肥大。心臓肥大のときなどの表現で使用される。
□ HAM=HTLV-?associated myelopathy
HTLV-?(ヒトT細胞白血病ウイルス)感染者の一部(5%)が発症する脊髄疾患で、1986年に発見。
慢性進行性。感染経路は輸血、母子感染、性交渉。輸血歴のある者が比較的多かったため1986年より対策がなされ、以後は輸血による感染は激減した。
症状では神経系の症状のほかに8割がTリンパ性肺胞炎を認め、ほかにシェーグレン症候群、関節症、皮膚紅斑、多発性筋炎、偽性副甲状腺機能低下、ベーチェット病などが合併症としてありうる。
治療はステロイド内服、インターフェロンαともに有効性はみられているが根治までは至らない。根治的にはウイルス量の減少が必須と考えられ、HTLV-?に特異的なプロテアーゼ阻害薬の開発が急がれている。なおHIVへのプロテアーゼ薬に関してはHTLV-?には効果が弱い。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~osame/kouenn-koukaikouza/ham-kouenn/12-new-approach/001.html←最近の取り組み
□ HTL=Hot tub lung ・・ 欧米で報告が相次いでいる、24時間循環型浴槽の使用者に発症するびまん性肺疾患。浴槽内に増殖したMAC(非定型抗酸菌の1つ)が、大気中で粒子化=エアロゾル化し、それが浴槽に入った人間に<吸入>され発症する。機序的には感染説<過敏性肺炎説が有力。
□ IABP=大動脈内バルーンパンピング ・・ 心臓の出口の大動脈に長細いバルーン=風船を入れ、心臓の動きにあわせて伸び縮みさせる。心臓が血液を出すときに膨張させ、心臓と大動脈の間にある冠動脈への血流を増やす。冠動脈の狭窄・閉塞が高度で血圧が低い場合などに適応となる。
□ iatrogenic(イアトロジェニック)=医原性 ・・ 医療スタッフのせいで引き起こされた状態。故意のものでなく、副作用的な意。
□ IC ・・2つある。
? インフォームド・コンセント
? 虚血性大腸炎
□ ICM=虚血性心筋症 ・・ 冠動脈疾患による慢性心不全。つまり冠動脈のあちこちの狭窄で心臓の機能が低下した状態。そのため心臓超音波所見はDCMに似る。
例文)「ICMかDCMかは、正直カテしないと分からんよ」
□ ICU症候群 ・・ ICU入院患者で、心理的な要因(環境・性格)で生じた不安、抑うつ、幻覚妄想などの精神症状。
□ IgA腎症 ・・ 慢性腎炎の大半を占め、わが国では頻度が高い。20-30歳代で発症して無症状で経過するものの、20年後にはなんと3割が透析管理になるという(10-20%が10-20年後に腎死に至る)。症状出現時ではすでに進行しているケースが多い。日常の健診での尿検査は重要さを思い知らされる。また、以下の計算式で簡易的にGFRを推定するのが現実的である。
【 Cockcroft-Gaultの式 】
Ccr(クレアチニンクリアランス)=
<(140ー年齢)X 体重 > ÷ < 72 X 血清クレアチニン値 >
※ 女性の場合はさらに X 0.85
これが60mi/min以下の場合は慢性腎臓病として腎生検などの精査、専門への紹介を考慮する。
確定診断は腎生検による組織所見で行う。血圧、血清クレアチニン値、クレアチニンクリアランス、1日尿蛋白量がその後の予後に影響する。治療は生活指導、食事指導と薬物療法が基本。薬物ではARBまたはACEIまたはそれら併用(←相乗効果)よる降圧・腎保護作用が期待されている。ステロイドの使用はCcr 70ml/min以上、蛋白尿0.5g/day以上かつ腎組織で活動性ありの場合。
□ I I =Insulinogenic Index=インスリン分泌指数 ・・ 75gOGTT負荷において、負荷後30分の血中インスリン増加量を血漿血糖値増加量で割り算したもの。インスリン追加分泌のうち初期分泌能の指標。糖尿病では0.4未満となり、境界型でも0.4未満なら糖尿病への以降率が高い。
□ IL-6 ・・ 炎症性サイトカインの1つで、血中濃度はCRPと相関する。肝臓で合成。測定は保険適応未。
□ im(アイエム) ・・ 筋肉注射=筋注。『ロッキー4』の中盤試合前のトレーニング風景で、ドラゴが無表情に筋注されている場面あり。
□ IMT ・・ 頸動脈エコーで測定される、頸動脈の内・中膜複合壁厚。早期動脈硬化診断のため測定。
□ infection(インフェクション)=感染
□ ip(アイ・ピー) ・・ 腹腔内注射。人でなく、マウスの実験などでよく使用。
□ iv(アイブイ) ・・ 静脈注射=静注
□ iNPH=idiopathic normal pressure hydrocephalus=特発性正常圧水頭症
特発性、つまり原因がなく脳室拡大(脳の中にある髄液の流れる通路が拡大する)が進行し、周囲の圧迫された脳は影響を受ける。
症状(3主徴)は
?痴呆=認知障害(前頭葉の障害が目立つ)
?歩行障害(ほぼ全例にあり。歩幅が狭く歩行が遅いとこがパーキンソンと類似するが、歩行の形態が開脚で、しかも左右のバランスが崩れているところが異なる)
?排尿障害あるいは尿失禁(尿意切迫、切迫性尿失禁)が出現し、ゆっくり進行する。
通常、高齢者にみられる。原因があるもの、例えば髄膜炎、くも膜下出血に引き続き起こるものは2次性として区別する。
髄液シャント術(通路から脳の外へカテーテルを這わせ、髄液を逃がすことで脳室内の圧迫を避ける)により治療が可能で、<治療可能な痴呆>として積極的に治療されてきた。
しかしそれをいいことに、これと診断したら患者の一般状態なども省みずにする例が増え、それとともに合併症(過剰な髄液排出による慢性硬膜下血腫・水腫)の増加も目立ち、また実際の診断自体に疑問をもたれるケースも増えてきた。
そこで2003年にガイドラインが制定された。
http://www.inph.jp/doctor/doctor_index.asp
□ G-I=G-I療法=グルコース・インスリン療法 ・・ インスリンによるグルコース(糖)の取り込みがカリウムの取り込みも兼ねることを利用して、高カリウム血症の治療の1つとして行われる。具体的には10%TZ 500mlに対してレギュラーインスリン(速効性。名称に「R」がついてるもの、たとえばノボリンRやヒューマリンRなど)10単位を混注して2-3時間投与。
□ GERD=胃食道逆流症 ・・ 胃→食道への逆流により食道の粘膜が傷害され、?胸焼けや呑酸などの症状(日本の定義では週に2回以上の胸やけ症状)、?下部食道粘膜の傷害所見(びらん・潰瘍)のうちの1つまたは2つがあれば上記と診断。なので内視鏡が正常でも症状だけ陽性のものもあり、この場合を内視鏡陰性逆流症または非びらん性逆流症といい、食道粘膜の知覚過敏が原因と考えられている。食道下部の筋肉である下部食道括約筋の逆流防止機構が一過性(高脂肪食、大量摂取)、または慢性的(高齢者に多い裂孔ヘルニア)に破綻するのが主な原因。合併症は出血、瘢痕狭窄、食道円柱上皮化生(もともとの扁平上皮が円柱上皮に置き換わる)。この食道円柱上皮化生に特殊腸上皮化生が起こったのがバレット食道(癌化あり)である。なお食道外症状としては?呼吸器症状・・咳・喘息・反復気道感染、?耳鼻科的症状・・咽頭・喉頭違和感、耳痛、?非心臓性胸痛(一見狭心症だが検査は正常)。
治療
? GER(食道内逆流)の抑制・・・腹腔鏡による噴門形成術、薬剤によるLES圧弛緩抑制
? 酸の抑制 ・・ PPI>H2受容体拮抗薬。いずれも中断で再発。
■ GIST=Gastrointestinal stromal tumor=消化管間質腫瘍 ・・ 間質は粘膜の下。そこで発生する腫瘍で健診(胃)での無症状発見が多く、ほっとくと悪性化の可能性あり。
どの消化管でもみられ、胃が50-60%と最多で次いで小腸(20-30%)。治療は外科切除。
以前はサイズで切除の基準を考慮していたが小さくても転移ありうる。小サイズは内視鏡での生検は困難だがEUS-FNAB(超音波内視鏡下穿刺吸引生検)により可能になった。だが2センチ以下だとこれでも難しいが悪性リスク小さいため経過観察となる。
なお転移・播種がある場合は分子標的薬の経口投与が行われる。
□ Gitelman症候群 ・・ 遺伝性の尿細管疾患、の1つ。接合部尿細管の機能障害による。思春期以降に発症し、軽度脱水、低マグネシウムによるテタニー頻回が特徴的。Bartter症候群との決定的違いは、尿中カルシウムの排泄減少である。遺伝子解析中。
□ GLP-1=glucagon-like peptide-1 ・・ 消化管粘膜のL細胞で産生・分泌され、膵臓β細胞からのインスリン分泌を増強。この増強力はグルコース依存性、つまり血糖の各値に応じた量が分泌されるので、低血糖を来たしにくい。それだけでなくβ細胞の増殖・分化促進、アポトーシス制御などおいしい作用もある。このほかグルカゴン分泌抑制作用もあり(これもグルコース依存性)血糖上昇を抑えてくれる。SU剤もβ細胞からのインスリン分泌を増加させるが体重増加が問題。GLP-1のほうは食欲・摂取抑制作用もあってそれを来たさない。臨床への応用はまだ。
□ GK治療=ガンマナイフ治療 ・・ ガンマ線ビームを目標の限局した領域(焦点部)に、集中的に当てる。焦点部から外れると線量が急速に減弱するので正常組織への被曝が少なく、病巣のみ高い線量を当てれる。よって侵襲性が少なく全身状態が比較的悪い人でも可能だ。適応の実際は転移性の脳腫瘍が多く(3-6割で増加傾向。腫瘍境界が明瞭で好適応)脳動静脈奇形や良性腫瘍など。なお病巣の最大長径は3センチ以下が望ましい。正常脳への影響を考えるなら(病巣が多くても)全脳照射でなくGK治療をすすめる考え方もある。
■ GOARN=global outbreak alert and response network=感染症危機対応グローバルネットワーク ・・ 2000年発足の感染症技術機関の集大成。感染症流行の際、ここを通じて専門家が派遣されるシステム。国際会議を定期的に行う。
今年の会合は・・もう終わった。http://www.med.tohoku.ac.jp/jimu/new/WHO.html
□ GOLD=Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease ・・ COPDの研究で活躍している世界的組織(2002年発足)。年に1回<COPDデー>なるものを設け、啓発のため各種イベント(街頭で呼吸機能検査の体験イベントなど)も行う。
□ Gyne(ギネ) ・・ 産婦人科
■ H5N1インフルエンザウイルス
A型インフルエンザウイルスの亜型で、東南アジアで流行が確認された鳥型インフルエンザの原因ウイルス。ヒトへの感染性獲得は20-40年周期で起こっていて(致死率60%:ARDSの病態)、今まさしく流行が予測される時期にある。
もしこれが流行すれば4人に1人が感染するものとして計算されている。
実際のヒトへの感染は、ほとんどが家禽類(ニワトリやアヒル)への直接接触によると考えられている。ヒトからヒトへの感染はよほど濃厚な接触がない限り起こり得ないとされている。ただヒト自体の感染が持続すれば、そのリスクはある。そうなると<世界規模の流行=パンデミック>となってもおかしくない。
厚生省は2006年6月にガイドラインhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/08.htmlを発表した。確定診断は咽頭からウイルスそのもの、またはPCRを検出すること。しかしこれでは時間がかかりすぎ実践的とはいえず(キット未発売)、早期の発見・治療は個々の医師がいかに早く発見できるかにある。
※ ウイルスは呼吸器系だけでなく、血中・便中からも検出されるのが特徴。
権威の意見によると、?呼吸器症状・発熱があって、?7日間さかのぼって流行地域に出かけたことがある、?そこで鳥に接触したことがある、の全てを満たす場合に疑いをもつべきとされる。
また、症状の悪化(風邪症状→呼吸困難かつレントゲンで全体的に間質性肺炎のような影が出現)が急速であることも参考にする。
あと、下痢が多くみられるのもH5N1の特徴である。
パンデミック対策としてはワクチン・抗ウイルス薬ということになるが、H5N1には少なくとも4つの異なる抗原タイプがあり、どれが今後流行するか予測できないため準備のしようがない。流行が始まって開発となると半年〜1年も準備にかかるのも問題。抗ウイルス薬(タミフル・リレンザ)も、投与の基準が曖昧であるし有効性自体が実は分かってない。
□ H-FABP=心臓型脂肪酸結合蛋白 ・・ 急性心筋梗塞の急性期かどうかを診断するための血液検査の1つ。数ある項目の中でも発症すぐの段階で検出。感度については発症0-2時間の段階でも85%と優れている(それに対しトロポニンTは15%)。ただし特異度はトロポニンTの半分なので過度の信用は注意。
□ HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)=グリコヘモグロビン ・・ 糖尿病における血糖コントロールの指標の1つ。ここ1・2ヶ月の血糖の成績をまとめた「通信簿」。正常値は4.3-5.8%。6.5%以上あれば言い訳しても(異常ヘモグロビンなど特殊な疾患がある場合は別)糖尿病。血糖を低めに出すために、前日絶食したり薬を上乗せする患者がいるが、それで血糖をごまかせても、これはごまかせない。治療が結果に反映されるのがのんびり1ヶ月といわれているので、治療の反映をもっと早期に知りたいなら(急な代謝状況変化をみたいとき)HbA1cでなくて<1,5AG>や<グリコアルブミン>を測定すべき。
・ 5.8%未満 ・・ 「優」
・ 5.8-6.5%未満 ・・ 「良」
・ 6.5-7.0%未満 ・・ 「可(不十分)」
・ 7.0-8.0%未満 ・・ 「可(不良)」
・ 8.0%以上 ・・ 「不可」
□ HDA ・・ 高吸収域。CT写真で白く見えるところ。出血としてみられる。
□ HELLP症候群 ・・ hemolysis(溶血)+elevated liver enzymes(肝酵素上昇)+low platelets count(血小板低下)の頭文字の総称から名づけられた症候群。多くは妊娠中毒症に併発しDICを合併して予後不良となり母体死亡や児の周産期死亡を引き起こすこともある。突然の心か部(みぞおち)痛、嘔気・嘔吐、倦怠感を初発に発症。発症時の妊娠週数は28-40週と様々。
□ H2ブロッカー ・・ 代表例が「ガスター」。胃酸の分泌を抑制する。胃潰瘍などに投与。内服・注射あり。まれに白血球減少。
□ hyperdynamic (state) ・・ 心臓の過大な動き。貧血や甲状腺機能亢進症などでみられる。
□ hypertrophy(ハイパートロフィー) ・・ 肥大。心臓肥大のときなどの表現で使用される。
□ HAM=HTLV-?associated myelopathy
HTLV-?(ヒトT細胞白血病ウイルス)感染者の一部(5%)が発症する脊髄疾患で、1986年に発見。
慢性進行性。感染経路は輸血、母子感染、性交渉。輸血歴のある者が比較的多かったため1986年より対策がなされ、以後は輸血による感染は激減した。
症状では神経系の症状のほかに8割がTリンパ性肺胞炎を認め、ほかにシェーグレン症候群、関節症、皮膚紅斑、多発性筋炎、偽性副甲状腺機能低下、ベーチェット病などが合併症としてありうる。
治療はステロイド内服、インターフェロンαともに有効性はみられているが根治までは至らない。根治的にはウイルス量の減少が必須と考えられ、HTLV-?に特異的なプロテアーゼ阻害薬の開発が急がれている。なおHIVへのプロテアーゼ薬に関してはHTLV-?には効果が弱い。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~osame/kouenn-koukaikouza/ham-kouenn/12-new-approach/001.html←最近の取り組み
□ HTL=Hot tub lung ・・ 欧米で報告が相次いでいる、24時間循環型浴槽の使用者に発症するびまん性肺疾患。浴槽内に増殖したMAC(非定型抗酸菌の1つ)が、大気中で粒子化=エアロゾル化し、それが浴槽に入った人間に<吸入>され発症する。機序的には感染説<過敏性肺炎説が有力。
□ IABP=大動脈内バルーンパンピング ・・ 心臓の出口の大動脈に長細いバルーン=風船を入れ、心臓の動きにあわせて伸び縮みさせる。心臓が血液を出すときに膨張させ、心臓と大動脈の間にある冠動脈への血流を増やす。冠動脈の狭窄・閉塞が高度で血圧が低い場合などに適応となる。
□ iatrogenic(イアトロジェニック)=医原性 ・・ 医療スタッフのせいで引き起こされた状態。故意のものでなく、副作用的な意。
□ IC ・・2つある。
? インフォームド・コンセント
? 虚血性大腸炎
□ ICM=虚血性心筋症 ・・ 冠動脈疾患による慢性心不全。つまり冠動脈のあちこちの狭窄で心臓の機能が低下した状態。そのため心臓超音波所見はDCMに似る。
例文)「ICMかDCMかは、正直カテしないと分からんよ」
□ ICU症候群 ・・ ICU入院患者で、心理的な要因(環境・性格)で生じた不安、抑うつ、幻覚妄想などの精神症状。
□ IgA腎症 ・・ 慢性腎炎の大半を占め、わが国では頻度が高い。20-30歳代で発症して無症状で経過するものの、20年後にはなんと3割が透析管理になるという(10-20%が10-20年後に腎死に至る)。症状出現時ではすでに進行しているケースが多い。日常の健診での尿検査は重要さを思い知らされる。また、以下の計算式で簡易的にGFRを推定するのが現実的である。
【 Cockcroft-Gaultの式 】
Ccr(クレアチニンクリアランス)=
<(140ー年齢)X 体重 > ÷ < 72 X 血清クレアチニン値 >
※ 女性の場合はさらに X 0.85
これが60mi/min以下の場合は慢性腎臓病として腎生検などの精査、専門への紹介を考慮する。
確定診断は腎生検による組織所見で行う。血圧、血清クレアチニン値、クレアチニンクリアランス、1日尿蛋白量がその後の予後に影響する。治療は生活指導、食事指導と薬物療法が基本。薬物ではARBまたはACEIまたはそれら併用(←相乗効果)よる降圧・腎保護作用が期待されている。ステロイドの使用はCcr 70ml/min以上、蛋白尿0.5g/day以上かつ腎組織で活動性ありの場合。
□ I I =Insulinogenic Index=インスリン分泌指数 ・・ 75gOGTT負荷において、負荷後30分の血中インスリン増加量を血漿血糖値増加量で割り算したもの。インスリン追加分泌のうち初期分泌能の指標。糖尿病では0.4未満となり、境界型でも0.4未満なら糖尿病への以降率が高い。
□ IL-6 ・・ 炎症性サイトカインの1つで、血中濃度はCRPと相関する。肝臓で合成。測定は保険適応未。
□ im(アイエム) ・・ 筋肉注射=筋注。『ロッキー4』の中盤試合前のトレーニング風景で、ドラゴが無表情に筋注されている場面あり。
□ IMT ・・ 頸動脈エコーで測定される、頸動脈の内・中膜複合壁厚。早期動脈硬化診断のため測定。
□ infection(インフェクション)=感染
□ ip(アイ・ピー) ・・ 腹腔内注射。人でなく、マウスの実験などでよく使用。
□ iv(アイブイ) ・・ 静脈注射=静注
□ iNPH=idiopathic normal pressure hydrocephalus=特発性正常圧水頭症
特発性、つまり原因がなく脳室拡大(脳の中にある髄液の流れる通路が拡大する)が進行し、周囲の圧迫された脳は影響を受ける。
症状(3主徴)は
?痴呆=認知障害(前頭葉の障害が目立つ)
?歩行障害(ほぼ全例にあり。歩幅が狭く歩行が遅いとこがパーキンソンと類似するが、歩行の形態が開脚で、しかも左右のバランスが崩れているところが異なる)
?排尿障害あるいは尿失禁(尿意切迫、切迫性尿失禁)が出現し、ゆっくり進行する。
通常、高齢者にみられる。原因があるもの、例えば髄膜炎、くも膜下出血に引き続き起こるものは2次性として区別する。
髄液シャント術(通路から脳の外へカテーテルを這わせ、髄液を逃がすことで脳室内の圧迫を避ける)により治療が可能で、<治療可能な痴呆>として積極的に治療されてきた。
しかしそれをいいことに、これと診断したら患者の一般状態なども省みずにする例が増え、それとともに合併症(過剰な髄液排出による慢性硬膜下血腫・水腫)の増加も目立ち、また実際の診断自体に疑問をもたれるケースも増えてきた。
そこで2003年にガイドラインが制定された。
http://www.inph.jp/doctor/doctor_index.asp
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