□ Kernig(ケルニッヒ)徴候 ・・ 髄膜刺激徴候の診察法の1つ。患者に横になってもらい、片方の足をL字に曲げさせてもらう。脚をまっすぐ伸ばしてもらうとき、痛みで真っ直ぐに伸ばせなければ陽性、髄膜炎・クモ膜下出血の疑いとなる。

□ KL-6 ・・ 血液検査で間質性肺炎の活動性の指標の1つ。DPBでも上昇する。このほかにSP-D、SP-Aもあるが保険上1つしか通らない。ホントは3つとも測定したほうがいいという報告が多い。IPFでは3000以上は予後が悪く(3年以内死亡多い)、1000以下はかなりいいとのこと。

□ KOT(ドイツ語)=コート ・・ 排便。看護記録で今でも使用されることがある表現。

□ LABA ・・ 長時間作用型β2刺激剤の略で、具体的な商品名では<セレベント>がそう。1日2回吸入。効果は最近発売の<スピリーバ>には劣る。慢性治療での効果減弱が指摘され問題となっている。
※ これに対し短時間型のメプチンエアーなどは<SABA>と区別されている。

□ LAD ・・ 左冠動脈の前下行枝

□ LC=肝硬変。「リバチロ」「チローゼ」とも呼ばれる。

□ LCX=CX ・・ 左冠動脈の回旋枝。

□ LDA ・・ 低吸収域。CT写真で黒く見えるところ。脳の場合は脳梗塞巣としてみられる。

□ LDLコレステロール = LDL-C ・・ コレステロールを血中で移動させる、いわゆる<船>である、リポ蛋白の1つ。体中へコレステロールを運ぶ。なので悪玉。高脂血症の中で、今では一番の指標となっている検査項目。通常の検査に組み込む必要がある。140以上は治療の対象だ。リスクを多く抱えている場合(心疾患+他の冠リスク病変)は70以下にまで下げるよう提唱されている。しかし具体的治療基準の概念まではハッキリ定められてはいない。なお最近の報告(順天堂大)では、PCI後の急性冠症候群に積極的LDL-C低下療法を行ったところ、69mg/dl以下の群ではプラークが退縮傾向になったことが報告されている。なおLDLコレステロールの酸化が動脈硬化を促進することが分かっており、抗酸化作用をもつものがビタミンE(商品名ユベラ)、フルバスタチン(商品名ローコール)。

□ Liddle症候群 ・・ 遺伝性の尿細管疾患、の1つで、常染色体優性遺伝。腎皮質集合尿細管にある、ENaC(上皮型ナトリウムチャネル)の遺伝子変異によるチャネル分子の異常が原因。ENaCの活性化によりナトリウムの再吸収が過剰に促進されて高血圧、カリウム排泄が促進される。若年(10代)発症が通常で、低カリウム、低レニン、低アルドステロン、代謝性アルカローシスを呈する。抗アルドステロン薬は効かない。治療は塩分制限に加えて、ENaC阻害作用のあるトリアムテレン、アミロライド(本邦未発売)を内服。

■ LOH症候群=加齢男性性腺機能低下症候群

 更年期、熟年期、老年期にかけて起こったアンドロゲン低下により発症する性腺機能低下症。 

 欧州泌尿器学会の定義では・・加齢に伴う臨床的、生化学的症候群で典型的な症状と血清テストステロンの低下を特徴としており、結果としてQOL低下と多臓器機能障害をもたらす。

 このうち<典型的な症状>というのは・・

1.性欲および勃起の質の低下、特に夜間勃起現象の低下
2.疲労感、抑うつ、短気など気分の変化と、それに伴う知的活動の低下
3.筋肉量および筋力の低下を伴った除脂肪体重の減少
4.体毛の変化
5.皮膚の強度と外観の変化
6.骨密度の減少
7.内臓脂肪の増加

 LOH症候群に特有の所見があるわけではない。実際はこれらを参考にした上で血中フリーテストステロンを測定し、かなり低値の場合にART(アンドロゲン補充療法)を行う。

 これらをアンドロゲン補充により治療・予防する。

※ これに対して男性更年期障害は主に更年期に発症する身体・精神症状で、アンドロゲン低下を伴う病態も存在し様々な因子が関与する。

□ lone af (ローン エーエフ)・・ 孤立性af。原因のない心房細動。

□ LTRA=ロイコトリエン受容体拮抗薬 ・・ 抗喘息薬の1つ。気管支拡張作用と抗炎症作用をもつ。さらに鼻炎にも有効。副作用少ない。業者は「単剤でも効果あり」とよく宣伝するが、正直効いてるか効いてないか分からないけどとりあえず付属的(脇役的に)に処方してる、というケースが多い。

□ LVEF=EF=左室駆出率。単位は%。心臓の収縮能を表す。これに拡張能を足したのが心機能。外科にとってオペに耐えられる心臓かどうか、これで大まかに判断する。

□ LVRS=肺容量減量手術 ・・ 肺気腫に対して勧められることがある手術(適応はガイドライン、施設により慎重に決められる)。侵襲性の少ない胸腔鏡下法は高齢・るいそう患者に行われ、胸膜癒着が明らかな例や若年者では開胸手術が奨められている。手術後には症状の改善、呼吸機能の改善、QOLの改善がみられるが、長期の追跡調査はまだされておらず不明である。

□ M-tube=経鼻チューブ=胃管=マーゲンチューブ ・・ 鼻から胃まで入れて、流動食・薬を入れたり、はたまた薬物中毒で
胃の内容を吸引するときなど使用用途は多彩。通常はナースが入れるが研修医のいるとこは、たいていさせられる。

□ MALT(モルト)リンパ腫 ・・ ピロリ除菌でこれが治った、という1993年の大ニュース以後注目されている。内視鏡では広範囲のびらん、浅い潰瘍という形でみられ、胃粘膜の病理生検およびその際の表面マーカーより診断されていく。この腫瘍の8-9割はピロリ陽性で、そのうち8割でピロリ除菌が奏効する。ただしピロリ類似菌による感染のケースがあるから、ピロリ陰性でも除菌は行うべきとされている。除菌が効かない場合は化学・放射線療法、手術療法のどれかの選択へとうつる。
※ 粘膜下浸潤の場合(超音波内視鏡で検索)、除菌は効きにくい。

□ massive(マッシブ) ・・ 胸水・腹水・心嚢液がかなり大量に貯留している、その程度を表す。
           
□ MCTD=混合性結合識病 ・・ 膠原病の1つ。肺高血圧の有無が予後を左右する。

□ MCV ・・ 赤血球1つ1つの容積。数値化される。貧血の場合、このMCV大きいと「大球性」、小さいと「小球性」、
中間だと「正球性」と表現。「小球性」は鉄欠乏性貧血、「正球性」は腎性貧血・リウマチの存在に注意。

□ MELT JAPAN ・・ 多施設による共同研究により日本独自のエビデンスを打ち出そう、という壮大なテーマをもった研究。具体的には<発症6時間以内の中大脳動脈閉塞-脳塞栓症>に対する局所線溶療法の効果を多施設共同無作為比較試験で検討する臨床試験。MELTは、Middle Cerebral Artery Embolism Local Fibrinolytic Intervention Trial(中大脳動脈閉塞-脳塞栓症に対する局所線溶療法)の略。http://melt.umin.ac.jp/outline.htmに詳細あり。

□ MIC=最小発育阻止濃度 ・・ 菌の発育を抑えるのに最低限必要な抗生剤の濃度。低いほうが抗生剤の効きがよく、したがって感受性良好、ということになる。高いほど効きにくく、耐性菌に近くなる。

■ MMP-3(マトリックスメタロプロテイナーゼ-3) 

 関節リウマチの活動性の新しい指標で、滑膜由来であり軟骨破壊→関節内炎症をみる蛋白分解酵素。よって高値の場合は進行性の増殖性滑膜炎を起こしていることを意味(増殖滑膜の量を反映)し、実際高値例ほど関節破壊の進行が早い。

 このMMP-3は滑膜表層細胞で産生される酵素で、軟骨のプロテオグリカンを分解する。よって<関節局所の病変>を反映し、全身ひっくるめて評価するCRPやIL-6とは対照的だ。

 関節リウマチの患者の9割は発症2年後にレントゲンで関節破壊を認めるので、初期治療のタイミングをはかる為にもMMP-3は重要な指標だ(早期段階で高値なほど関節破壊進行が速い。つまり予後予測因子)。

 治療効果の判定でも、単にCRPだけで評価せずMMP-3も確認する必要がある(CRPと必ずしも相関しないから)。なおMMP-3は各種膠原病、腎疾患、リウマチ性多発筋痛症のほかステロイド投与でも上昇を認める(つまりRAに特異的な検査ではない)ので注意を。なので診断的指標でなく、あくまでもいったん診断がついてからの予後予測因子として利用するのが適切。

□ MOF=多臓器不全 ・・ 病気の悪化の終末像。

□ MONA療法 ・・ 急性心筋梗塞の診断時にまず投与が推奨されるもの。M(モルヒネ:痛み軽減)+O(酸素:心筋への供給)+N(硝酸薬:冠動脈拡張)+A(アスピリン:血栓抑制)の総称。

□ MR=僧房弁閉鎖不全 ・・ 僧房弁(左心房と左心室の間の弁)が完全に閉じない状態。リウマチ性(石灰化して固い弁)、あるいは逸脱によるものなど原因はいろいろ。左心房のサイズがその程度を物語る。

□ MR ・・ プロパー。薬売り。上司から無理難題のノルマを与えられ奔走。売り上げによりボーナスが決まる会社も多い。
持ってくる資料は自社に有利なものだけ選んでくるので、そこが要注意。

□ MRA ・・ MRIが臓器の写真なら、これは血管の写真。通常は脳血管の写真を指す。造影剤などの点滴なしに、横になるだけで血管が映せるのが魅力。動脈瘤・血管閉塞・狭窄などを指摘、血管造影にもっていく。

□ MRCP ・・ 主には膵臓癌を発見するためのMRI検査。膵臓を写すのではなく、中を通る膵管(ここから膵癌ができるから)とそれに連続する胆道系を描出する。点滴もいらず寝てるだけでできる。この検査で疑いがあればERCPという内視鏡検査に移るのが常だ。

□ MRI ・・ 閉所恐怖症や体内金属あり以外の人なら受けれる検査。CTよりも正確・緻密。

□ murmur(マーマー) ・・ 心雑音。

□ MSW=医療ソーシャルワーカー ・・ 老人ホームや他病院⇔病院との連携を担う。患者の転院・入院などを割り振り。家族との相談にも乗る。

□ MRSA=メチシリン耐性ブドウ球菌=マーサ=M(エム) ・・ 表皮などに存在するブドウ球菌の、いわゆる耐性菌。てごわい菌だが、健康人には害はなく、免疫能の低下した人には命にかかわる大敵。肺炎になると重篤。特に老人や、何らかの深刻な持病(糖尿病など)をもっている人。ただし痰にそれが出ているからといって、それがそのまま治療適応とは限らない。なお2003年の世界的に有名な感染症雑誌「Infection Control and Hospital Epidemiology」の論評に『MRSA院内感染を30年以上も放置している国はおおよそ日本だけ』と記述されている。なお抗MRSA薬には?ハベカシン(グラム陰性桿菌にも有効)、?バンコマイシン、?タゴシッドがあり、さらに現在VREの治療薬としての適応を持つ?ザイボックスがMRSA適応申請中で、組織移行性は最も優秀。?・?は細胞壁合成阻害作用で時間依存性、?・?は蛋白合成阻害作用で、さらに?は濃度依存的殺菌作用、?は静菌的作用。

□ MRSA腸炎 ・・ 下痢があって便培養からMRSAが出るとこう診断されがちだが、必ずしも原因とは限らない。まずMRSAらしい病態(頻回で大量の水様便)と背景(免疫抑制状態)であるかどうかを考慮することで診断していく。手術の後に発症する場合は術後2-5日目に多い。抗菌療法は成人の場合バンコマイシン内服を125-500mgを1日4回で7-10日間。

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