□ PAD=Peripheral Arterial Disease。欧米での用語で、直訳では「末梢の動脈病変」。日本ではASOとバージャー病がこれにあたるが後者はまれで、日本でPADという場合はASOを指している。

□ PAE = Post-Antibiotic Effect ・・ 血中あるいは組織中から抗菌剤が消失してからも病原菌の増殖がある期間抑制されること。つまり菌と接触する濃度が高いほどいい→1回の投与量が多いほどいい。PAEをもつ薬剤の代表は、ニューキノロン系とアミノグリコシド。つまり『濃度依存性』とも表現される。これに対して『時間依存性』なのがβラクタム、マクロライド系だが、この中で濃度依存性でもあるのがアジスロマイシン(ジスロマック)、テトラサイクリン、バンコマイシン。

□ paf(パフ) ・・ 発作性心房細動。ふだん正常の洞調律であったのが、突然頻脈性の心房細動になること。睡眠不足などが引き金になるケースもある。以前は薬物投与にて予防を行うことが多かったが現在はカテーテル・アブレーションによる根治治療が推奨される。この背景には、薬物療法によっても年間5.5%が慢性化(14年で77%が慢性化)してしまう現実がある。

□ Patient=患者 ・・ 「ペイシャント」と呼ぶ。略して「Pt」と記載することも。

□ PAP=異型肺炎

□ PBC-AIHオーバーラップ症候群 ・・ 所見はその名前の通りで、PBC(原発性胆汁性肝硬変)とAIH(自己免疫性肝炎)のどちらの要素ももつ、その境界型。あくまでも臨床経過による総合的な診断名で、診断基準も存在せず、特異的なマーカーもない。実際は双方の診断基準にそれぞれ当てはまるかどうかでなされる。臨床経過によりPBCが優勢であったりAIHが優勢であったりする。治療はまずPBCの薬であるUDCAを基本とし、肝炎の要素が強ければステロイドをそのつど投与という形になる。

□ PCPS ・・ 体外循環。人工心肺。心臓の前後に管を入れることで、心臓・肺を通さずに、きれいで圧の十分な血液を循環させる。オペのときによく使用される。長期の使用は心臓・回路内の凝固を招くのですべきでない。

□ PE=pericardial effusion ・・ 心嚢液(しんのうえき)。心臓を包む嚢に入った液。通常は少量あって、嚢(ふくろ)と中の心臓の潤滑液的な役割がある。増えすぎると「タンポナーデ」。炎症を起こして少量増えるのが「心膜炎」

□ PEEP(ピープ)=持続的陽圧呼吸 ・・ 人工呼吸器の設定の1つで、肺をより広げて酸素をいきわたらせる。ただしそれによる血圧低下、気道内圧上昇などの副作用に注意。

□ PEF=ピークフロー=最大呼気流量 ・・ ピークフローメーターで、一気に吹き出した呼気(努力性呼気)の流量を測定。喘息日誌に記録し、外来での喘息治療の指標とする。ただ調子悪いときの測定だと発作が誘発されることがある。自覚症状からそれが予想されるなら測定は休むべき。

■ ペグ=PEG=percutaneous endoscopic gastrostomy=内視鏡的胃瘻増設術 

 内視鏡下にてチューブを腹壁→腹膜を貫通させ胃内に留置、流動食や薬剤を注入する手技。穿刺部位は、内視鏡で胃内部から腹壁を見上げ、腹壁上から指で目安(場所と穿刺角度)をつける。念のため腹部レントゲンでガスの位置などを把握しておく場合もある(大腸への誤穿刺を回避)。腹膜を貫くので、創部感染だけでなく腹膜炎への波及もありうる。

<Pull法>
 内視鏡で胃内部から腹壁を見上げる→腹壁を穿刺し胃内部へワイヤーを通す→内視鏡を引っ張り、内視鏡ごと口腔外へと持っていく→出たワイヤーの先とカテーテルを接続→今度は逆に引っ張りカテーテルを腹壁経由で抜き出しストップ→固定→内視鏡をもう1回入れて確認。

<Direct法>
 内視鏡で胃内部から腹壁を見上げる→腹壁を穿刺し胃内部へワイヤーを通す→瘻孔拡張後に「イディアルボタン」という広径の(詰まりにくい利点)バンパー型カテーテルを挿入、留置。

□ PEG-IFN=ペグインターフェロン ・・ C型慢性肝炎に使用。インターフェロン分子にポリエチレングリコール(PEG)を加えたもののため、こう呼ばれる。これにより持続的な体内動態が得られるようになり、従来のインターフェロンと違って週1回の投与でOK。利便性に優れる。

□ pericarditis(ペリカルダイティス)=心膜炎 ・・ 何らかの原因で心臓の周囲に炎症性の液がたまった状態。悪性腫瘍の除外が必須。多いのは肺癌・乳癌。

□ PH=肺高血圧 

 肺動脈の圧が亢進した状態。安静臥位での平均肺動脈圧が右心カテーテル検査で25mmHgを越える場合。なおこのとき肺動脈楔入圧は正常である(純粋な右心負荷)。
 症状(呼吸困難ん・動悸など)出現時はすでに進行していることが多いので心エコーによるスクリーニングが推奨されている。なお慢性肺血栓塞栓性肺高血圧を除外する
 必要があり、そのためには肺血流シンチが不可欠である。

 たいていは肺疾患、それも慢性呼吸不全に起因するものが多い。先天性心疾患、弁膜症、膠原病でもみられる。心臓超音波検査、あるいはカテーテル検査で診断する。
 膠原病での合併率(この場合CTD-PHという)はMCTDで最多(7%)、SSc(5%)、SLE(2%)、PM/DM(0.5%)とつづく。

 2004年の新分類では肺動脈そのものに起因するもの、つまり?特発性と?家族性をそれぞれ

?IPAH=idiopathic PAH=特発性肺動脈性肺高血圧症

?FPAH=Familial PAH=家族性肺動脈性肺高血圧
               BMP受容体(BMPR-II)遺伝子が責任遺伝子であると同定された。
              ※ BMP経路:血管を構成する内皮細胞・平滑筋細胞増殖を抑制するシステム。ここの障害で異常増殖が起こり微小血管の内腔閉塞が起こる
                わけである。

という。これらとあと2次性のもの、ということになる。

治療は2次性のものに関しては当然、原疾患の治療ということになる。

ではIPAHとFPAHの治療について。

基本は下の●。

● 酸素投与 ・・低酸素は肺血管収縮を起こす事実がある。SpO2は90%以上に保持する。
● 右心不全の治療(特にNYHA?・?で)
● 抗凝固療法 ・・ 病態に微小血栓の存在が考えられるためで、効果あるのも証明済み。具体的にはワーファリンでPT-INRを1.5-2.5に調節する。

● 血管拡張療法 (特にNYHA?・?では<急性肺動脈拡張試験>を行い、ガイドライン治療の適応であることを確認してから)

 ?カルシウム拮抗剤大量投与で予後改善 → 効果ありは25%程度、血圧低下もあり日本ではあまり使用せず。

 ?プロスタサイクリン(PGI2)持続静注療法 → 有効であり予後を改善するという事実は以前から知られ、2004年6月に保険適応となった。NYHA ?・?度に適応とされるが?の段階では予後改善効果が乏しい。右心不全急性増悪には禁忌。持続静注射であること・高コストといった管理の点が問題。カテ感染、甲状腺機能亢進に注意。

 ?プロスタサイクリン・アナログ → ?と異なり静脈投与以外でも(経口剤)使用可能。IPAH , FPAHの症状、運動耐容能の改善効果あり。
 
 ?エンドセリン受容体拮抗薬 → 肺高血圧で増加するエンドセリン-1は血管収縮作用をもつ。これの結合するレセプターを阻害する。2005年6月に認可。
    
 ?PDE阻害薬 → 肺血管だけに作用し全体の血圧に影響があまりなく、副作用少なく経口が可能、と良い面が多いが、肝心の保険適応が取れてない。

・ ステロイド ・・ 肺血管炎などの炎症病態に対して。自覚症状が出現するような例では(PHがすでに出来上がっていると考えられるため)無効が多い。

・ 肺移植 ・・ 部分移植ならば成功例が報告有。

・ 心房中隔裂開術 ・・ 右心房と左心房との間の壁に穴を作り、肺動脈行きの血液を逃がす。しかし肺への血流・酸素は減る。移植までの橋渡し的な方法。

□ PIH=pregnancy induced hypertension=妊娠高血圧症候群 ・・ 従来『妊娠中毒症:高血圧、尿蛋白、浮腫を3主徴とする』と呼ばれていたものの、新しい名称。2005年4月に日本産婦人科学会が発表した。さて新しい定義とは『妊娠20週以降、分娩12週までに高血圧がみられる場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれか』で、それまで妊娠中毒症に必須であった『浮腫』が除外された。つまり高血圧に重きを置くようになっている。

□ pin point pupils ・・ 両側の縮瞳。?脳幹部(橋)の出血、?有機リン中毒、?麻薬中毒。胃洗浄で白濁してるか確認して?を鑑別する必要あり。

□ piping(パイピング) ・・ 呼吸音で、笛のような音。水や痰がたまっていることを示唆する。

□ PL顆粒=ホグス顆粒 ・・ 用途の広い、総合感冒薬。眠気が難。前立腺肥大の有無に注意しよう。

□ PMDD=月経前不快気分障害 ・・ セロトニン(セロトニン:いらいら、怒りっぽい、うつ、食べすぎ、寝すぎなどを抑制してくれている)作動性神経系の異常が原因と考えられている。治療は?向精神薬で具体的にはSSRI、clomipramine、?排卵抑制剤。

□ point out = 指摘。『p/o』と略されることも。

□ poor study ・・ 通常は超音波検査で「視界不良でよく見えない」というときに使う表現。「poor echo」ともいう。

□ PPI=ピーピーアイ=プロトンポンプ阻害剤 

 胃・十二指腸潰瘍の薬で一番強いもの。なら最初からそれを出せという声もあるが、通常は胃カメラできちんと確定診断がついてから投与するものだ(誰にでも処方すると機関に目をつけられる)。

 ガスター10が薬局で発売されているが、胃の調子が悪くてこれが効かなければPPIが必要になるだろう。となると受診しないといけない(もしくは知り合いの病院スタッフ)。

 ガスターなどのH2受容体拮抗薬は日中の酸分泌が弱いのが弱点(その代わり夜間に効果著明)。PPIは24時間効果が持続する。またPPIそのものにピロリ菌の除菌作用がある。

 なので除菌治療後の判定の前にはPPIを中止してから(一ヶ月間以上)臨むことになっている。またPPIとH2受容体拮抗薬の併用が相乗効果をもつことも言われてはいるが、保険適応上無理がある。

 保険上の投与期間は胃潰瘍で8週間、十二指腸潰瘍で6週間(ジイは出ろ!=G8、D6 ※G・Dはそれぞれ胃・十二指腸の頭文字)。

※05/07/27 医薬品等安全性情報215/厚労省医薬食品局

【1】重要な副作用等に関する情報。
◆オメプラゾール(オメプラール錠、オメプラゾン錠、オメプラール注用)..重大な副作用:血小板減少、急性腎不全。
医薬品安全性情報http://www.jah.ne.jp/~kako/cgi-bin/topics_disp.cgi/~kako/topics/log.txt?topics_kubun&;;;;;;iy&1は常に確認する必要がある(そのまま情報として鵜呑みにするのはどうかとは思うが)。

□ PROactive(プロアクティブ) ・・ 2型糖尿病に合併する大血管障害をピオグリタゾン(アクトス)によって初めて抑制した、という試験(二重盲検)。最近(2006年9月)ではさらに2型糖尿病の脳卒中再発を半減させるという好成績が追加された。

□ prognosis(プログノーシス)=予後。今後予測される寿命の長さ。

□ prolapse(プロラプス) ・・ 「逸脱」のこと。通常は「僧房弁逸脱」のことを指す。動きに協調性がないことを指す。
 例文)「軽度のプロラプスだったら、若年でもけっこう認める」

□ prolong ・・ 延長

□ PSA=前立腺特異抗原 ・・ 前立腺癌の早期診断・経過観察のための腫瘍マーカー。上昇につれ精度が高い。4.1-10ng/ml(グレーゾーンという)で20-30%、10ng/ml以上では30-50%に前立腺癌が検出。PSA上昇と直腸診、経直腸エコーにより生検をするかどうか決める。ただし前立腺肥大、前立腺炎でもPSAが上昇することあり。なおPSAの値が2.1-4.0ng/mlでは1年ごと、2.0ng/ml以下では2年ごとの測定が推奨されている。

□ Psy(プシ)科 ・・ 精神科

□ PSVT=発作性上室性頻拍 ・・ 「P」は「paroxysmal=パロキシマル(と読む)=発作性」の略。心房の過剰興奮が原因となって頻脈が続き、動悸・脱力感をもたらす。自然軽快も多いが、長時間なら迷走神経反射(?瞼を押さえる、?右の頚動脈を押す、?息こらえする)するか、病院で注射する。通常、命にはかかわらない。

□ PT ・・ 2つある。
? プロトロンビン時間
? 理学療法士(リハビリ)。リハビリできる病院でも、PTがいなくてナースがやってる場合がある。

□ PTCA=経皮的冠動脈形成術 ・・ バルーンによる冠動脈拡張。しかし1990年後半からステントが登場して、バルーンによる拡張術は名前を改め<POBA(ポバ)>と呼ばれるようになった。

□ PTSD=post traumatic stress disorder=心的外傷後ストレス障害 ・・ 心的な外傷体験を経験したときのストレスを処理できず、反応が遷延し社会生活に支障を来たした状態。阪神大震災で増加。映画では『エイリアン2』冒頭でのリプリー。『ジョーズ2』『ヒッチャー2』でも同様。最近では伸介の暴行事件。治療・ケアの基本は、トラウマによって打ち砕かれた安全感をまず立て直し、無力感から自己のコントロール感を取り戻し、トラウマによって断片化された記憶を統合することにあるという。なのでトラウマを根掘り葉掘り聞き出すのは言語道断。患者側の会話のペースを重視し、聞き手に回って「話せる範囲でいいんですよ」など相手のコントロール感に常に配慮する。無神経に言葉の選び方を間違うと(「嘆いてもしょうがないから頑張りましょう」「元気そうですね」など)、かえって二次的トラウマを与えかねない。

□ pulse decifit(パルス・デシフィット) ・・ 脈拍欠損。頻脈性の心房細動ではカラ打ちが生じ、実際に心臓が(例えば)5回動いたとしても実際に全身に送られるのは3回だったりする。つまり心音は5回聞こえてても手首の脈は3回しか触れない
ことになる。この2回の欠損をいう。

□ PTE ・・ ?肺血栓塞栓症、または?下腿浮腫、の略。

□ pulse ・・ 脈。ナースは「プルス」と呼んでいることが多い。

□ QOL ・・ 生活の質。快適さを意味する。

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