サーガマニュアル2007秋 R S-1
2007年9月17日□ RA=慢性関節リウマチ=関節リウマチ ・・ 膠原病の1つ。関節が変形する前に食い止めるのが内科の使命。したがって早期リウマチの段階での診断が重要。
□ RCA=右冠動脈
□ reciprocal change(レシプロカル・チェンジ)=対側性変化 ・・ 心電図用語。四肢誘導でのST上昇にともない、それの裏側的変化として胸部誘導に現れるST低下。
□ RFA=経皮的ラジオ波焼灼(しょうしゃく)術 ・・ 比較的早期の限局した肝癌に対する、局所的治療で最近(2000年〜)さかんに行われている。現時点では外科手術を超える予後成績は出てはいないが、何しろ最近の治療法なので今後のデータを待とう。
□ Rituximab ・・ キメラ型抗CD20抗体。CD20抗原は正常B細胞と大半のBリンパ腫(←悪性リンパ腫の1つ)細胞に発現している、特異性の高い抗原。これのみターゲットにするので骨髄毒性が少ない。RituximabはヒトBリンパ腫細胞にアポトーシスを誘導し、抗癌剤感受性も増強する。毒性が少ないから化学療法の併用も期待されている。
※ キメラ抗体に関してはhttp://www.biowonderland.com/BioWorld/KotaiMono/20041201.htmlを。
□ RNP抗体 ・・ MCTDの診断に必須の検査項目。
□ RPLS=Reversible posterior leukoencephalopaty syndrome ・・ 特徴的な症状(痙攣・意識障害・視覚異常・高血圧)・画像所見(後部白質中心の脳浮腫)・経過(治療により可逆性)を呈する神経疾患の1群。要因は多彩で、高血圧、子癇、薬剤など。視覚異常(半盲や複視など)は画像での後頭葉の所見を反映。治療は?二カルジピンなどでゆっくり降圧、?血管内皮細胞傷害の可能性あり薬剤中止、?痙攣対策(子癇は硫酸マグネシウム、その他はジアゼパム静注)の3本柱。
□ RVS=Real-time Virtual Sonography ・・ 腹部超音波検査での各画面に合わせ、あらかじめ取り込んだCT画像を同時に表示させる検査。肝癌に対して行われるラジオ波治療の際に有用と期待されている。2004年1月発売。
□ SARS=severe acute respiratory syndrome=重症急性呼吸器症候群
2003年に世界を震撼させた(医師が中国広東省で感染→香港で10人に伝染→飛行機経由で全世界に撒き散らし)、SARSコロナウイルス=SARS-CoVによる全身性の感染症。
流行がみられたのは中国本土、香港、台湾(この3つで9割!)、シンガポール、カナダ。総計して感染者は8098人、死者774人。感染者に日本人は、いませんでした〜いませんでした〜と、呑気に言ってはいられない。
宿主としてはハクビシンやタヌキなどと言われているが実は分かっていない。SARSで最も被害の大きいのは肺で、ARDSの病態を呈する。
潜伏期は2-10日、初発症状は高熱、悪寒、筋肉痛、頭痛、倦怠感などのインフルエンザ様症状。発症3〜7日ともなると下気道症状(乾性咳、呼吸困難)。この時点ではレントゲン写真で浸潤影を認める。血液では白血球中のリンパ球減少(98%で1000/μl以下との報告あり)が発症2週目に最低ピーク。
病期は3つに分かれ、
?一週目でインフルエンザ症状
?二週目で抗体(発病10日以上たつとやっと検出なので早期診断には使えない)が陽性、下痢やレントゲン陰影などの激しい症状・所見がみられる。なおこの時期特に発病10日目にはウイルス量が最大となるので感染力がピーク、つまり院内での感染力が最も強い時期。
?3週目以降で、8割が回復し2割が悪化→ARDS化するという決着の時期となる。
なおトータルとしてのSARSの死亡率は10%。高齢ほど予後が悪い。
治療としては病像そのものが異型肺炎に類似するので、まずはこれに使用する抗生剤を使用することになる。抗ウイルス薬はまだエビデンス不足。
※ 2003年の流行後の追跡調査で、生存者の3分の1に呼吸機能(1秒量や肺拡散能)の低下がみられたことが報告された(シンガポールの感染者94人が対象で呼吸器疾患既往はわずか9%)。つまり後遺症を残したということだ。
□ SAH(ザー) ・・ クモ膜下出血。外傷性と動脈瘤破裂によるものがある。起こしたにもかかわらず意識清明なケースもあり、その場合に見過ごされると数時間〜数日後に再出血して重篤化することあるのだから、要注意だ。頭痛の特徴としては?バットできなり殴られたような、?生まれて初めてぐらい強い頭痛、など。
□ SAS=サス=睡眠時無呼吸症候群 ・・ 無呼吸ー低呼吸指数(AHI)が5/h以上の睡眠呼吸障害を呈し、日中の眠気などの自覚症状がある場合。
※ 無呼吸ー低呼吸指数 ・・ 睡眠中1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数。
※ 無呼吸 ・・ 10秒以上の気流停止
・ 有病率は30歳以上男性で4%、女性の2%。
・ 放置すると高血圧の原因となり、冠動脈疾患、脳血管障害の発症にも関与する。
・ SAS(サス)のほとんどは舌や咽頭軟部組織、顎顔面形態などの異常に基づいて発症する。
・ 6-7割に肥満あり。ただし診断に肥満は必須ではない。
・ 95%以上はOSAS(閉塞性)・・咽頭の狭小化によって物理的に発症する・・・である。睡眠により咽頭の筋肉の緊張が低下し、気道はさらに狭小化→上気道抵抗↑→吸気時の陰圧によりますます咽頭が閉塞。これにより無呼吸〜低呼吸を繰り返す。これにより?呼吸障害 ・・ 低酸素、高炭酸ガス、呼吸性アシドーシス、?睡眠障害 ・・ 昼間の眠気、倦怠感、集中力低下をきたす。
○ SDB=sleep disordered breathing ・・ 自覚症状あるなしにかかわらず、AHIが5-10/h以上の病態。これに症状(日中傾眠、中途覚醒、倦怠感など)を伴う場合にSASと呼ばれる。SDB自体もSASと同様に高血圧の原因となりうるもので、冠動脈疾患、脳血管障害の発症にも関与する。
○ 睡眠時呼吸障害の分類
? 閉塞性睡眠時無呼吸ー低呼吸症候群(OSAHS)
? 中枢性睡眠時無呼吸ー低呼吸症候群(CSAHS)
? チェーン・ストークス呼吸症候群(CSBS) ・・ 重症心不全に伴うこと多い。特に LVEF 40%未満の30-50%にみられる。
? 睡眠時低換気症候群(SHVS) ・・ 呼吸補助筋・横隔膜の活動低下による。
※ 酸素飽和度低下の程度に関しては、?〜?は数十秒単位、?は数分〜十数分単位にまでなる。
PSG(ポリソムノグラフィー)での評価 ・・ PSGで測定するのは脳波、眼球運動、頤(おとがい)筋電図、心電図、下肢筋電図、気流(鼻内圧・サーミスター)、呼吸運動(胸部・腹部)、いびき音、SpO2。これらよりAHI、睡眠ステージ、中途覚醒の有無<awaking(30秒間で15秒以上の覚醒)、arousal(3秒以上の覚醒)>が判定される。AHI>5/h、awaking+arousal 20/h以上が異常所見となる。
? → 鼻・口の気流は停止するが呼吸運動は継続。
? → 鼻・口の気流は停止し呼吸運動も停止。
? → 次第に呼吸が大きくなりまた次第に低下、ついには中枢型無呼吸となる。
? → 低換気は特にREM睡眠時に悪化し、無呼吸は少なくとも数分以上。
※ PSGは大掛かりで人手も要するため、脳波などを省いて簡略化したのが<簡易測定>。これなら在宅でもできる。測定項目は心拍数、鼻の内圧変化、胸部呼吸運動、SpO2、イビキ音、姿勢。簡易測定では中等症〜重症のOSAHSの診断が可能であるので、この検査で異常がなくとも症状が明らかならPSGを受ける必要がある。
● 治療
○ nCPAP=nasal continuous positive airway pressure=経鼻的持続気道陽圧療法=ネーザルシ−パップ=シ−パップ
鼻マスクを装着して気道に圧を加える。閉塞型の睡眠時無呼吸症候群に対する治療法の1つ(他には口腔内装具、耳鼻科での手術)。1998年より保険適応で、一定の基準をクリアする必要がある。目安はAHI=無呼吸低呼吸指数(1時間あたりの10秒以上無呼吸+安静覚醒時の50%以下の低換気)が20以上、脳波上で睡眠障害あり、症状(昼間の眠気)あり、が主なもの。流れとしては、入院→ポリソムノグラフィーで適応決定→nCPAP施行し設定を決定→退院、となることが多い。nCPAPによって症状の改善、合併症の減少などいい報告は多いのだが、実際のコンプライアンス(いわば継続率みたいなもの)は50-80%と、脱落例が多いのが主治医を悩ませる。機械の扱いに患者がついていけてない、または治療そのものによる不快感・違和感という理由が大半。
・ 種類
? 固定圧型 ・・ 患者側に関係なく一定の圧がかかるので、閉塞を解除する適切な圧を決定する必要がある。
? 自動圧調節型 ・・ 無呼吸・気流制限をそのつど判断して臨機応変に送気圧を変化させる。しかし患者によっては圧の変化により覚醒を促してしまうことがある。
?と?の適応基準、有用性などの比較は十分なされていない。
○ 口腔装置=Oral appliance=ORAP ・・ 上気道を拡大する目的(主にいびき症の治療)で口腔内に装着する器具。適応はAHI<20またはnCPAP処方圧<7-8cmH2Oの症例。
○ 耳鼻科的手術
・ 鼻腔形成術 ・・ 鼻中隔矯正術、鼻甲介整形術・レーザー、鼻茸切除術、鼻内副鼻腔手術
・ 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(OSASに最も一般的) ・・ 中咽頭腔を物理的に拡大し、狭窄を改善
・ アデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術
・ レーザー下口蓋垂軟口蓋形成術
など。
□ SAT=subacute thrombosis=亜急性血栓閉塞 ・・ 冠動脈拡張術、とくにステント挿入後、しばらくしてできてしまうことがある血栓による閉塞。当然、再び拡張の必要に迫られる。予防のためチクロピジンの内服を行う。副作用出るならシロスタゾールへ変更。
□ sc(エスシー) ・・ 皮下注射=皮下注
□ SE=side effect=副作用
□ sepsis(ゼプシス) ・・ 感染症が増悪してSIRSの状態(免疫応答が起こりまくっている)。以下欧米のガイドライン(2004)から→重症化すると死亡率は40-80%。感染症の原因菌では以前はグラム陽性菌・陰性菌が同程度だったが最近は陽性菌が増えている。また真菌の合併も多く、その場合中でもカンジダによるものが最多。感染初期は広域スペクトルの抗菌薬から開始し、培養結果が戻ったらその結果に基づいて抗菌薬を再検討する。βラクタムは抗菌域の広いもの(3・4世代、カルバペネム)が出ているので、あえてアミノグリコシド併用をすることでのメリットはあまりない。また抗グラム陽性菌薬の使用はルーチンではないが、あえて使うならグリコペプチド系、オキサゾリジノン系(リゾネリド)、ストレプトグラミン系を。
□ RCA=右冠動脈
□ reciprocal change(レシプロカル・チェンジ)=対側性変化 ・・ 心電図用語。四肢誘導でのST上昇にともない、それの裏側的変化として胸部誘導に現れるST低下。
□ RFA=経皮的ラジオ波焼灼(しょうしゃく)術 ・・ 比較的早期の限局した肝癌に対する、局所的治療で最近(2000年〜)さかんに行われている。現時点では外科手術を超える予後成績は出てはいないが、何しろ最近の治療法なので今後のデータを待とう。
□ Rituximab ・・ キメラ型抗CD20抗体。CD20抗原は正常B細胞と大半のBリンパ腫(←悪性リンパ腫の1つ)細胞に発現している、特異性の高い抗原。これのみターゲットにするので骨髄毒性が少ない。RituximabはヒトBリンパ腫細胞にアポトーシスを誘導し、抗癌剤感受性も増強する。毒性が少ないから化学療法の併用も期待されている。
※ キメラ抗体に関してはhttp://www.biowonderland.com/BioWorld/KotaiMono/20041201.htmlを。
□ RNP抗体 ・・ MCTDの診断に必須の検査項目。
□ RPLS=Reversible posterior leukoencephalopaty syndrome ・・ 特徴的な症状(痙攣・意識障害・視覚異常・高血圧)・画像所見(後部白質中心の脳浮腫)・経過(治療により可逆性)を呈する神経疾患の1群。要因は多彩で、高血圧、子癇、薬剤など。視覚異常(半盲や複視など)は画像での後頭葉の所見を反映。治療は?二カルジピンなどでゆっくり降圧、?血管内皮細胞傷害の可能性あり薬剤中止、?痙攣対策(子癇は硫酸マグネシウム、その他はジアゼパム静注)の3本柱。
□ RVS=Real-time Virtual Sonography ・・ 腹部超音波検査での各画面に合わせ、あらかじめ取り込んだCT画像を同時に表示させる検査。肝癌に対して行われるラジオ波治療の際に有用と期待されている。2004年1月発売。
□ SARS=severe acute respiratory syndrome=重症急性呼吸器症候群
2003年に世界を震撼させた(医師が中国広東省で感染→香港で10人に伝染→飛行機経由で全世界に撒き散らし)、SARSコロナウイルス=SARS-CoVによる全身性の感染症。
流行がみられたのは中国本土、香港、台湾(この3つで9割!)、シンガポール、カナダ。総計して感染者は8098人、死者774人。感染者に日本人は、いませんでした〜いませんでした〜と、呑気に言ってはいられない。
宿主としてはハクビシンやタヌキなどと言われているが実は分かっていない。SARSで最も被害の大きいのは肺で、ARDSの病態を呈する。
潜伏期は2-10日、初発症状は高熱、悪寒、筋肉痛、頭痛、倦怠感などのインフルエンザ様症状。発症3〜7日ともなると下気道症状(乾性咳、呼吸困難)。この時点ではレントゲン写真で浸潤影を認める。血液では白血球中のリンパ球減少(98%で1000/μl以下との報告あり)が発症2週目に最低ピーク。
病期は3つに分かれ、
?一週目でインフルエンザ症状
?二週目で抗体(発病10日以上たつとやっと検出なので早期診断には使えない)が陽性、下痢やレントゲン陰影などの激しい症状・所見がみられる。なおこの時期特に発病10日目にはウイルス量が最大となるので感染力がピーク、つまり院内での感染力が最も強い時期。
?3週目以降で、8割が回復し2割が悪化→ARDS化するという決着の時期となる。
なおトータルとしてのSARSの死亡率は10%。高齢ほど予後が悪い。
治療としては病像そのものが異型肺炎に類似するので、まずはこれに使用する抗生剤を使用することになる。抗ウイルス薬はまだエビデンス不足。
※ 2003年の流行後の追跡調査で、生存者の3分の1に呼吸機能(1秒量や肺拡散能)の低下がみられたことが報告された(シンガポールの感染者94人が対象で呼吸器疾患既往はわずか9%)。つまり後遺症を残したということだ。
□ SAH(ザー) ・・ クモ膜下出血。外傷性と動脈瘤破裂によるものがある。起こしたにもかかわらず意識清明なケースもあり、その場合に見過ごされると数時間〜数日後に再出血して重篤化することあるのだから、要注意だ。頭痛の特徴としては?バットできなり殴られたような、?生まれて初めてぐらい強い頭痛、など。
□ SAS=サス=睡眠時無呼吸症候群 ・・ 無呼吸ー低呼吸指数(AHI)が5/h以上の睡眠呼吸障害を呈し、日中の眠気などの自覚症状がある場合。
※ 無呼吸ー低呼吸指数 ・・ 睡眠中1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数。
※ 無呼吸 ・・ 10秒以上の気流停止
・ 有病率は30歳以上男性で4%、女性の2%。
・ 放置すると高血圧の原因となり、冠動脈疾患、脳血管障害の発症にも関与する。
・ SAS(サス)のほとんどは舌や咽頭軟部組織、顎顔面形態などの異常に基づいて発症する。
・ 6-7割に肥満あり。ただし診断に肥満は必須ではない。
・ 95%以上はOSAS(閉塞性)・・咽頭の狭小化によって物理的に発症する・・・である。睡眠により咽頭の筋肉の緊張が低下し、気道はさらに狭小化→上気道抵抗↑→吸気時の陰圧によりますます咽頭が閉塞。これにより無呼吸〜低呼吸を繰り返す。これにより?呼吸障害 ・・ 低酸素、高炭酸ガス、呼吸性アシドーシス、?睡眠障害 ・・ 昼間の眠気、倦怠感、集中力低下をきたす。
○ SDB=sleep disordered breathing ・・ 自覚症状あるなしにかかわらず、AHIが5-10/h以上の病態。これに症状(日中傾眠、中途覚醒、倦怠感など)を伴う場合にSASと呼ばれる。SDB自体もSASと同様に高血圧の原因となりうるもので、冠動脈疾患、脳血管障害の発症にも関与する。
○ 睡眠時呼吸障害の分類
? 閉塞性睡眠時無呼吸ー低呼吸症候群(OSAHS)
? 中枢性睡眠時無呼吸ー低呼吸症候群(CSAHS)
? チェーン・ストークス呼吸症候群(CSBS) ・・ 重症心不全に伴うこと多い。特に LVEF 40%未満の30-50%にみられる。
? 睡眠時低換気症候群(SHVS) ・・ 呼吸補助筋・横隔膜の活動低下による。
※ 酸素飽和度低下の程度に関しては、?〜?は数十秒単位、?は数分〜十数分単位にまでなる。
PSG(ポリソムノグラフィー)での評価 ・・ PSGで測定するのは脳波、眼球運動、頤(おとがい)筋電図、心電図、下肢筋電図、気流(鼻内圧・サーミスター)、呼吸運動(胸部・腹部)、いびき音、SpO2。これらよりAHI、睡眠ステージ、中途覚醒の有無<awaking(30秒間で15秒以上の覚醒)、arousal(3秒以上の覚醒)>が判定される。AHI>5/h、awaking+arousal 20/h以上が異常所見となる。
? → 鼻・口の気流は停止するが呼吸運動は継続。
? → 鼻・口の気流は停止し呼吸運動も停止。
? → 次第に呼吸が大きくなりまた次第に低下、ついには中枢型無呼吸となる。
? → 低換気は特にREM睡眠時に悪化し、無呼吸は少なくとも数分以上。
※ PSGは大掛かりで人手も要するため、脳波などを省いて簡略化したのが<簡易測定>。これなら在宅でもできる。測定項目は心拍数、鼻の内圧変化、胸部呼吸運動、SpO2、イビキ音、姿勢。簡易測定では中等症〜重症のOSAHSの診断が可能であるので、この検査で異常がなくとも症状が明らかならPSGを受ける必要がある。
● 治療
○ nCPAP=nasal continuous positive airway pressure=経鼻的持続気道陽圧療法=ネーザルシ−パップ=シ−パップ
鼻マスクを装着して気道に圧を加える。閉塞型の睡眠時無呼吸症候群に対する治療法の1つ(他には口腔内装具、耳鼻科での手術)。1998年より保険適応で、一定の基準をクリアする必要がある。目安はAHI=無呼吸低呼吸指数(1時間あたりの10秒以上無呼吸+安静覚醒時の50%以下の低換気)が20以上、脳波上で睡眠障害あり、症状(昼間の眠気)あり、が主なもの。流れとしては、入院→ポリソムノグラフィーで適応決定→nCPAP施行し設定を決定→退院、となることが多い。nCPAPによって症状の改善、合併症の減少などいい報告は多いのだが、実際のコンプライアンス(いわば継続率みたいなもの)は50-80%と、脱落例が多いのが主治医を悩ませる。機械の扱いに患者がついていけてない、または治療そのものによる不快感・違和感という理由が大半。
・ 種類
? 固定圧型 ・・ 患者側に関係なく一定の圧がかかるので、閉塞を解除する適切な圧を決定する必要がある。
? 自動圧調節型 ・・ 無呼吸・気流制限をそのつど判断して臨機応変に送気圧を変化させる。しかし患者によっては圧の変化により覚醒を促してしまうことがある。
?と?の適応基準、有用性などの比較は十分なされていない。
○ 口腔装置=Oral appliance=ORAP ・・ 上気道を拡大する目的(主にいびき症の治療)で口腔内に装着する器具。適応はAHI<20またはnCPAP処方圧<7-8cmH2Oの症例。
○ 耳鼻科的手術
・ 鼻腔形成術 ・・ 鼻中隔矯正術、鼻甲介整形術・レーザー、鼻茸切除術、鼻内副鼻腔手術
・ 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(OSASに最も一般的) ・・ 中咽頭腔を物理的に拡大し、狭窄を改善
・ アデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術
・ レーザー下口蓋垂軟口蓋形成術
など。
□ SAT=subacute thrombosis=亜急性血栓閉塞 ・・ 冠動脈拡張術、とくにステント挿入後、しばらくしてできてしまうことがある血栓による閉塞。当然、再び拡張の必要に迫られる。予防のためチクロピジンの内服を行う。副作用出るならシロスタゾールへ変更。
□ sc(エスシー) ・・ 皮下注射=皮下注
□ SE=side effect=副作用
□ sepsis(ゼプシス) ・・ 感染症が増悪してSIRSの状態(免疫応答が起こりまくっている)。以下欧米のガイドライン(2004)から→重症化すると死亡率は40-80%。感染症の原因菌では以前はグラム陽性菌・陰性菌が同程度だったが最近は陽性菌が増えている。また真菌の合併も多く、その場合中でもカンジダによるものが最多。感染初期は広域スペクトルの抗菌薬から開始し、培養結果が戻ったらその結果に基づいて抗菌薬を再検討する。βラクタムは抗菌域の広いもの(3・4世代、カルバペネム)が出ているので、あえてアミノグリコシド併用をすることでのメリットはあまりない。また抗グラム陽性菌薬の使用はルーチンではないが、あえて使うならグリコペプチド系、オキサゾリジノン系(リゾネリド)、ストレプトグラミン系を。
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