サンダル先生R 月曜日 ? ヒヤリの瞬間
2007年12月10日 救急室では、麻酔科医のピート医師が頭のCTを天にかざしている。
「・・・よう!もと医長!」
「どある・・意識障害?」
「じゃない。軽い頭痛と目まい」
「来て、けっこう経つんだな」1時間。採血や心電図が終わってる。
「頭部のCTも異常ないとなると・・・」
「救急車で来たくらいだから、症状はけっこうひどかったんじゃ?」
「常連のお客さんだよ」
僕は近寄ると、顔で分かった。
「ああ!こりゃどうも!」
「おうおう!主治医の!」
「いつも朝一番に来てる・・・食べてくるから毎回採血できてなかった・・よね?」
「血はな、もうとられた!」
モニターを見ると血圧180/110mmHgとものすごく高い。降圧剤のペルジピン持続注射がもう始まってる。頭のCT確認する前にとは・・・けしからん。
「ピート。さっきの写真、くれ」神経学的所見は明らかなものなし。
採血データを手放し、CTフィルムをシャーカステンへ。
「ユウキよ。それはさっき見ただろ?」
「うーん・・・でもな。疑うんだよな・・・」
・・・・・・出血の所見は少なくともないか・・・・・
「おい・・・これは?」小脳を半分に区切るような小さな白い点。
「あ?」
「延髄の上部、ポンス(橋)から小脳に垂れ流しているような白いうっすらと・・」
「日本語で言ってくれ日本語で!」
「日系人なら分かれよ!」
「出血が?そうか?」
「ピート。この写真を撮ったのは・・・何。30分前?」フィルムで分かる。
「ああ」
「もう一回、撮ろう」
「無駄な被曝にならないか?」
足元のボタンを踏みつけ、ウイーンとゆっくり底円が回転。
「じゃ、頼む」ピートに任せ、背後の中年ナースに振り向いた。
「おこんばんは先生」
「何だ?どうせいい知らせじゃあ・・」
「ピンポーン!集金でーす!」
「なんの・・・?」
「近々、寿退職される若手ナースのお祝いでーす!」
「4月に入ってもう?」
「おめでたでーす!」
「どある・・・計画立てろよ」
財布を取り出す。
「で?いくら?」
「コメディカルは2000円。ドクターは5千円です!ちなみに医長は1万くれました!」
「もったいな。でもしゃあないか」1万円取り出す。「おつり、くれ」
「ええっ?おつり、ないんですけどー」
「じゃあアカン!うっ?」
<検査中>ランプが切れ、さきほどのCTが終了した。
フィルムが比較される。僕は指さした。
「やはりだ。これは出血だ」
「ザー(SAHクモ膜下出血)か・・・」
「オペだ。脳外科のある病院へ・・・」
家族・本人に経過を説明、大学病院への搬送となった。
ピートはペルジピンを早送り。
「(すまんユーキ。うかつだったよ・・・!)」
「ピート。大学までこの人送るか?」
「外来主治医はユーだろ?」
「そうだが・・・」
診断の遅れの責任を取らせたかったが・・・。
家族に囲まれた。長兄が何度も頭を下げる。
「うちの妹、寝言で先生の名前呼ぶくらいで」
「え、ええ。ではその僕が」
「トシキ、トシキって」とたん、長兄は別の家族にどつかれた。
ドクターカーが横付けされ、大都会のようにランプがきらめいた。
運転手は事務の田中くん。
僕、家族も乗った。
「田中くん。じゃ、行こうか」
点滴を押さえ、モニターを凝視。車が段差を越えたのが分かる。
小さな窓の向こう、見送るナース。彼女が振っているのは・・
「(万札、振るんじゃねえ・・・!)」
それにしても。久しぶりの、大学だ・・・!
「・・・よう!もと医長!」
「どある・・意識障害?」
「じゃない。軽い頭痛と目まい」
「来て、けっこう経つんだな」1時間。採血や心電図が終わってる。
「頭部のCTも異常ないとなると・・・」
「救急車で来たくらいだから、症状はけっこうひどかったんじゃ?」
「常連のお客さんだよ」
僕は近寄ると、顔で分かった。
「ああ!こりゃどうも!」
「おうおう!主治医の!」
「いつも朝一番に来てる・・・食べてくるから毎回採血できてなかった・・よね?」
「血はな、もうとられた!」
モニターを見ると血圧180/110mmHgとものすごく高い。降圧剤のペルジピン持続注射がもう始まってる。頭のCT確認する前にとは・・・けしからん。
「ピート。さっきの写真、くれ」神経学的所見は明らかなものなし。
採血データを手放し、CTフィルムをシャーカステンへ。
「ユウキよ。それはさっき見ただろ?」
「うーん・・・でもな。疑うんだよな・・・」
・・・・・・出血の所見は少なくともないか・・・・・
「おい・・・これは?」小脳を半分に区切るような小さな白い点。
「あ?」
「延髄の上部、ポンス(橋)から小脳に垂れ流しているような白いうっすらと・・」
「日本語で言ってくれ日本語で!」
「日系人なら分かれよ!」
「出血が?そうか?」
「ピート。この写真を撮ったのは・・・何。30分前?」フィルムで分かる。
「ああ」
「もう一回、撮ろう」
「無駄な被曝にならないか?」
足元のボタンを踏みつけ、ウイーンとゆっくり底円が回転。
「じゃ、頼む」ピートに任せ、背後の中年ナースに振り向いた。
「おこんばんは先生」
「何だ?どうせいい知らせじゃあ・・」
「ピンポーン!集金でーす!」
「なんの・・・?」
「近々、寿退職される若手ナースのお祝いでーす!」
「4月に入ってもう?」
「おめでたでーす!」
「どある・・・計画立てろよ」
財布を取り出す。
「で?いくら?」
「コメディカルは2000円。ドクターは5千円です!ちなみに医長は1万くれました!」
「もったいな。でもしゃあないか」1万円取り出す。「おつり、くれ」
「ええっ?おつり、ないんですけどー」
「じゃあアカン!うっ?」
<検査中>ランプが切れ、さきほどのCTが終了した。
フィルムが比較される。僕は指さした。
「やはりだ。これは出血だ」
「ザー(SAHクモ膜下出血)か・・・」
「オペだ。脳外科のある病院へ・・・」
家族・本人に経過を説明、大学病院への搬送となった。
ピートはペルジピンを早送り。
「(すまんユーキ。うかつだったよ・・・!)」
「ピート。大学までこの人送るか?」
「外来主治医はユーだろ?」
「そうだが・・・」
診断の遅れの責任を取らせたかったが・・・。
家族に囲まれた。長兄が何度も頭を下げる。
「うちの妹、寝言で先生の名前呼ぶくらいで」
「え、ええ。ではその僕が」
「トシキ、トシキって」とたん、長兄は別の家族にどつかれた。
ドクターカーが横付けされ、大都会のようにランプがきらめいた。
運転手は事務の田中くん。
僕、家族も乗った。
「田中くん。じゃ、行こうか」
点滴を押さえ、モニターを凝視。車が段差を越えたのが分かる。
小さな窓の向こう、見送るナース。彼女が振っているのは・・
「(万札、振るんじゃねえ・・・!)」
それにしても。久しぶりの、大学だ・・・!
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