昨日入院した23歳男性(以下、早坂)が超音波へ。僕は胃カメラ中。

「先生。俺、さっきからずっと外で待ってたんっすよ?」
「もうちょっと待って!」観察中。
「もう!腹へって死にそうっすよ?」
「東郷、お前・・やっててくれ!」

 東郷は・・・ぎこちない手つきで超音波を操作。
「えっと・・・これか?これかな?ユウキ?」
「えっ?おい・・・」

早坂は起き上った。

「ちょっと待ってくれよ!俺は主治医にしてほしいんだ!」
「見えない見えない!」東郷が慌てた。
「知ってるよ。放射線科の先生だろ?修行の身なんだろ?」
「な、なんでそれを・・」
「そうじのおばさんが!全部喋るねん!」
「ちょっと!寝てもらわんと検査にならんで!」
「俺は!練習台か!」

 僕は検査を終わり、そちらへ向かった。

「じゃ!しようか!」
「先生!俺は練習台なんすか?」
「そんなわけないよ」
「いやや!もう検査は受けへん!バカにされた!」

 スタッ、と彼は飛び降りた。
「今まで、あちこちで検査漬けにされてん!それより早く治してや!」
「そのためには・・・」
「だから!検査は異常なかったって!真珠会でもそう説明受けた!」
「でもペースメーカーが入ってるよな」
「さあ。それは担当だった先生が入れるっていうから」

ちょっとためらいが見られた。

「じゃ、俺の思ってるこというよ。病気がないならないで、主治医の僕が1つずつ確認したいんだよ」
「治せよ!なあ先生治せ!」
「落ち着いてくれよ!」

「しんどいんだよ!このダルさが治るまで、俺はこの病院を出ないからな!」

彼はピヨーン、と廊下へと跳躍し、振り返った。
「とにかく受けた検査は、もう受けへん!」
そのまま去った。

 内視鏡室に、ただただ・・・シューシュー・・・という音だけが響く。

 俺だって、ダルいことはあるんだよ。それなりに・・・。

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