サンダル先生R 火曜日 ? 鬼師長
2007年12月24日 詰所にはドクターは不在だった。夕方とあって、ナースらは看護記録をまとめにかかっている。
重症部屋では、1人の中年ナースがヒーヒー回っている。というか処置に追われている。かなり太っており動く自体がお荷物っぽい。
「ヒーヒー」
「高熱が突然?いや、冷たいな・・毛布毛布!」
「先生、取ってきて・・フーフー」
詰所へ戻り、奥から取ってくる毛布。
「手伝えよ。自分のことばっかせずに・・・!」
オークナースらは気持ち、頭で見上げていた。
患者の手足が冷たい。尿量も少なくなってるような。
「血圧は測定しにくいが、低いのは確かだな・・・しかしこうも冷たいと」
抗生剤を変更指示。
確かに内科医のやることは、派手さはなく臆病的にも見える。しかしそのセンス習慣は、何物にも代えがたい(苦労した経験でしか身に付かない)。
「痛いとこない・・?」
「ええです。ええです」
この人、こんな状態でも気を遣って・・・。
僕は詰所を出て、手短な注意をした。
「さっきも俺、言ったがな。みんな、誰かが苦労してたらその、ふつう手伝わんか?」
職場の雰囲気が変わっただけでなく、こういった説教の受け取り具合まで変わっている。その空気で分かる。モラルの低下、とでも言おうか。
「いいときは、そりゃ誰でもいいさ。俺が言いたいのは!」
「先生!この子らは決して手抜きなんかしてません!」
師長が肩で風を切ってやってきた。
「ミチ・・・師長」
「人手が減って大変やのに、一方的に怒鳴らないで!」
「でも俺は・・」
「俺は俺は、って!自分のことばっかり!」
個人的な気持からも、押されぎみになった。
「そうだけど、」
「そうだけど何!」ツノが1本、生えてきたようだ。
「見て見ぬふりみたいに見えたんだよ。俺には・・・」
「そうなの?違うでしょ?」
ミチルは周囲を見回した。
実は知ってたんだが・・その重症部屋を担当していた中年ナースはどことなくイジメ対象になってるらしく(きっかけはよく休暇を取ることらしい)、孤立して奮闘させられてる姿を何度も見た。
病院っていうのは・・・特に民間・個人では平気でこういう日常がある。それは変えられないし、誰かにとっては避けられない。正義ではないがしかし悪ともならない。
たいてい、デキる(仕事が速い)多人数→デキない(遅い)少数人または1個人へと、矛先が向けられるようになっている。
ところでそうこうするうち、ミチルはすでに鬼に変わっていた。こうなると、もう手がつけられない。あと数日は地獄が続くと相場が決まっている。
今回そのパンドラの箱を開けたのは僕だった。
「先生様。そんなに文句があるならな、アンタが全部やったらええやろ!」
「なぬ・・」
「手伝いいや!はよ重症部屋行って手伝いいや!」
「くっ・・」
「記録も書きいや!申し送りもしいや!」
みな、うつむいている。
こういう状況では、僕らドクターは心に決めていた。穏便に。
「ちょっと俺も、言い過ぎたかな・・何かよう分からんが」
再び、重症部屋へ入ろうとしたが。
ガシッ!と腕をつかまれた。
「いてえよ!」
「いつものように、そうはいかへんで!」
やはりこの女には、深入りしたくない・・・。
重症部屋では、1人の中年ナースがヒーヒー回っている。というか処置に追われている。かなり太っており動く自体がお荷物っぽい。
「ヒーヒー」
「高熱が突然?いや、冷たいな・・毛布毛布!」
「先生、取ってきて・・フーフー」
詰所へ戻り、奥から取ってくる毛布。
「手伝えよ。自分のことばっかせずに・・・!」
オークナースらは気持ち、頭で見上げていた。
患者の手足が冷たい。尿量も少なくなってるような。
「血圧は測定しにくいが、低いのは確かだな・・・しかしこうも冷たいと」
抗生剤を変更指示。
確かに内科医のやることは、派手さはなく臆病的にも見える。しかしそのセンス習慣は、何物にも代えがたい(苦労した経験でしか身に付かない)。
「痛いとこない・・?」
「ええです。ええです」
この人、こんな状態でも気を遣って・・・。
僕は詰所を出て、手短な注意をした。
「さっきも俺、言ったがな。みんな、誰かが苦労してたらその、ふつう手伝わんか?」
職場の雰囲気が変わっただけでなく、こういった説教の受け取り具合まで変わっている。その空気で分かる。モラルの低下、とでも言おうか。
「いいときは、そりゃ誰でもいいさ。俺が言いたいのは!」
「先生!この子らは決して手抜きなんかしてません!」
師長が肩で風を切ってやってきた。
「ミチ・・・師長」
「人手が減って大変やのに、一方的に怒鳴らないで!」
「でも俺は・・」
「俺は俺は、って!自分のことばっかり!」
個人的な気持からも、押されぎみになった。
「そうだけど、」
「そうだけど何!」ツノが1本、生えてきたようだ。
「見て見ぬふりみたいに見えたんだよ。俺には・・・」
「そうなの?違うでしょ?」
ミチルは周囲を見回した。
実は知ってたんだが・・その重症部屋を担当していた中年ナースはどことなくイジメ対象になってるらしく(きっかけはよく休暇を取ることらしい)、孤立して奮闘させられてる姿を何度も見た。
病院っていうのは・・・特に民間・個人では平気でこういう日常がある。それは変えられないし、誰かにとっては避けられない。正義ではないがしかし悪ともならない。
たいてい、デキる(仕事が速い)多人数→デキない(遅い)少数人または1個人へと、矛先が向けられるようになっている。
ところでそうこうするうち、ミチルはすでに鬼に変わっていた。こうなると、もう手がつけられない。あと数日は地獄が続くと相場が決まっている。
今回そのパンドラの箱を開けたのは僕だった。
「先生様。そんなに文句があるならな、アンタが全部やったらええやろ!」
「なぬ・・」
「手伝いいや!はよ重症部屋行って手伝いいや!」
「くっ・・」
「記録も書きいや!申し送りもしいや!」
みな、うつむいている。
こういう状況では、僕らドクターは心に決めていた。穏便に。
「ちょっと俺も、言い過ぎたかな・・何かよう分からんが」
再び、重症部屋へ入ろうとしたが。
ガシッ!と腕をつかまれた。
「いてえよ!」
「いつものように、そうはいかへんで!」
やはりこの女には、深入りしたくない・・・。
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