敗血症の状態と思われた肺線維症の方は・・・グロブリン製剤、抗生剤変更ののち、夜のステロイド2日目を待つ段階だった。高熱は出ないままだ。

 医局へ戻ると、整形のじじい医者がふんぞりかえっていた。

「おい!おまえ!」
「へっ?」
「詰所で怒鳴られとったな!」
「あ?俺?そうですけど?で?」
「ぬっ・・・」

 僕は、このジジイに反抗的だった。少しずつだが。

「シローくんがさっき、これはカテイテルが要るって言ってたが」
「カテーテル検査が必要?オペは明日ですよね」
「ああ」
「延期は可能で?」
「いやアカン。何が何でも明日や」

 僕はジジイの手元の資料に目を通した。

「左心房が大きい・・・高度のMS(僧帽弁狭窄症)ですよ?」
「弁膜症やのにカテイテル検査なんか?」
「これは・・超音波の評価だけじゃ問題ですよ。カテーテル検査下で、血行動態の評価と・・」
「あ〜あ〜、またワケの分らんことを言うてる」

 じじいは、会話を放棄した。

「血栓の確認だってしといたほうがいい」とダメ押し。
「どうやって確認すんねや?」
「食道エコーだよ!あ、すんません」
「やっぱ、分らん」

 じじいはまた放棄しそうになったが・・・。再び口を開けた。

「じゃ、今からそれできるか?」
「4時か・・・その患者さん、食事は?」
「全部食べた!」
「食わしたのかよ・・・」

 横に、オペの番人(麻酔科医)がいる。

「ピート。こういう直前の相談はもうやめろ」
「オペは明日の昼1時ジャスト」
「無理だ。明日検査するにしても、俺らはバラバラで持ち場がある」

「ジムチョーからの許可は取ったぜ」
「なにっ・・・」

「いくらでも、お使いくださいってよ!アッハハハ!」
「あいつ・・・だが予定は無理だからな!オペ、延期しろ!」
「そうは問屋が卸さない!」

内科医は、こういった術前検査などに大いに関わる。待てない手術、日が強引に決められた手術ではこちらの都合は関係ない。分ってる。それは分かってるんだが。

 ナースらだけでなく、僕らもまたマンパワー問題で悩まされていた。

 それにしてもこの彼らのハイな口ぶり・・・明らかに術後の充足感からだ。

 僕らも、そんなときあるから分かる。

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