2歳の男の子。一見喘鳴のようだが、痰が出し切れてない。

「レントゲンでははっきりせんが・・・RSウイルスの細気管支炎っぽいな。吸入してもらって・・・アレ出そう。アレ!オノン!ドライシロップ!」
「点滴を!」疲れ切った母親。

「水分は飲めてるんですよね」
「でも点滴を!こんなにグッタリしてんのに!治療らしい治療してよ!」

子供はベッドでのたうちまわっている。
「いややぜったいいややいやや〜!」

 おそろしく元気だな・・・。

「いややいやや〜う!」
「う!」こっちも止まった。

 すると、ズビビビビ〜!という音とともに、オムツ横からウンコが飛び出した。オークナースがとっさに手でおさえる。

「うぎゃあ!ついた!」ナースは思わずか僕の白衣で拭いた。
「うわっ!この・・!」
「すんまブヒ!」

 あとで注意することに。

 白衣を脱いで、退出。他のスタッフに任せる。

「ふ〜。田中君!別の白衣!」
「医局にありませんか?」
「時間かかんだよ。誰か持ってきてくれ!」

「こっちもレセで忙しいんです!」事務室から顔だけ出す。
「おいおい。ホンマかよ・・」ズンズン、と歩み寄る。
「あ、今だめ!だめ!」
「オラオラオラオラオラ!」

 僕はT-REXのように、事務のドアをドカンと破るように突入した。

「えっ・・・?」

 事務員総勢6名が、みなタコ焼を食べている・・・それだけではない。ピザL焼きが4枚。ペプシ大ボトル4本。お誕生?ケーキ大。空のどんぶり6つ。寿司のオケ大1つ。

「なんだよこれ・・・誰かの送別会?」
「いま、5分だけの休憩で。その」女事務員。

「ほお。そのドンブリに寿司オケ。果たして5分で済ますかな?」
「うっ・・・」彼女はすすり泣きし始めた。

「えっ?なんで・・・」
「うっうっうっ」
「いやいや。俺そこまで」

 机の上の書類。よく考えたら、僕も最近病名つけてなかった。彼らがかなり悪戦苦闘してる様子が分かる。

事務のもう1つの裏口より、威勢のいい声。

「ほっかほっか亭でーす!のりデラックス弁当と、からあげデラックス!焼そば弁当にすき焼き弁当うどん入り!2つずつ!」

 僕は、事務員らの間をぬうように歩いた。出前兄さんは白衣でない僕を凝視した。

「あ。お兄さんが払ってくれんの?じゃ、4千と・・」
「はい」札を渡す。

そのまま振り返り、もとの出口へ。

田中君が走ってきた。
「先生。あの。これオツリ」
「・・・・みんな。頑張ってくれ。釣りはとっとけ。徹夜だろ。明日の朝マック代にでも」

さっそうと去ろうとしたが・・

「先生!」田中君が顔出し。
「は?」
「オツリはその・・・たったの134円です。朝マックは無理ですかね・・へへへ」
「どあるう!てめえらのサイフで!ハラキリしろ!」

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