午後、内視鏡室で胃カメラの検査。B先生が、A先生のために用意した症例です。協力していただいた患者さまに感謝です。

 B先生、腕組みしています。
「ここに来る前、何例ほど?」
「シュウニ、5レイホド・・・」
「けっこう、やってたんだね」

 B先生、何気にプレッシャーかけています。焦るなA先生。困るのは、患者さんです。

「チンセイザイヲ、チュウシャ・・・」
「あ、この人は高齢だから」
「エッ?」
「呼吸抑制したくないんだ。なるべく」
「マエニ、イタトコデハ・・」

「なんやて?」
「イイエ・・・」

 内視鏡を入れた途端、患者さんの手が思わずつかみそうに。

「ア、アブナイ!」
「説明してやらんか!説明して!」
「ハイ・・」
「誰だって、驚くでしょう?いきなり・・・」
「ハイ。イイデショウカ・・・」
「僕に言ってどうすんねん」

 A先生。ちょっと動揺ぎみ。前の病院の評価からB先生が見込んでの、トライアル。

「コレ、コノカメラ・・・」
「なんや?」
「フルイデスネ・・」
「それでも、十分できるでしょ?」
「フィルムヲ、トルノハ・・・」
「手元やない。足や足」

 B先生、A先生の足の上を踏みます。カシーン、カシーンと撮れていくフィルム。

「・・・・・」見かねるB先生。
「ンー・・」
「かわろ」
「ハイ」

 溜息をつき、内視鏡を構えるB先生。A先生、そのままカーテンの外に引っ張られます。何やら・・様子が変です。

 中堅医師がお呼びのよう。

「あのね。新任の先生だよね」
「エエ」
「これから救急が来るんだけど。手伝って」
「シカシ、ジブンハ・・」
「ついてきて!」
「・・・・」

 迷う隙などありません。A先生、ためらいつつ廊下へと走ります。

 中堅医師インタビュー(背後に救急車)

「新人に求めるもの・・っすか?技能ねぇ・・技能。そりゃ、あったほうがいいでしょうね。なくても?いいっしょ。僕らが教えますから。とことん・・(カット)技能は、納得いくまで教えれるっしょ。どこがおかしいからとか、理詰めで。そう。理詰め。でも、何か最近指導してて・・・」
「足りないものが、ある?」
「あっりっまっすね〜。ありますあります。忍耐力かな。体力とかじゃなくて。患者そのものに張り付く体力っていうか。ま、そのまま横にいるだけじゃダメっすけど。でも、得られるものあるんですよ。データとか論文とか睨めっこするよりもね。(カット)時間の無駄とかはないわけですよ。経験ってのは・・その。なにかな。連続した時間のもとで培われるのであって。今のローテーションでは学ばないでしょ。そんなの。時間割の多い授業みたいなもんっしょ?」

 

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