A先生と中堅医師、救急室で他の医師の申し送りを聞いています。高齢男性は酸素吸入中。畑仕事中に、転倒。しかし単なる事故ではないとのこと。

「・・・これがそのデータ。生化学はもうすぐ。レントゲンは骨折ないけどうーん。背景に疾患ありそうだねえ」

 家族が袋から取り出す薬。バラバラで何か分かりません。ふだんは開業医を利用しているようです。

「ハイエン、オコシテマスネ・・・」

 検査データ、中堅医師が確認。一瞥で判断、次なる指示が出ています。とにかく1つ1つの動作に無駄がない。ちょっとそこのA先生。邪魔です。

「トウニョウビョウ、コウケツアツ・・・イロンナクスリ、ノンデマスネ」

 患者さんは酸素吸入中。ふだんは薬を取りに行くだけで、検査はほとんどしていなかったようです。畑作業で忙しいのが理由とのこと。

 中堅医師その場を離れます。病棟の患者さんが急変。A先生、とりあえず落ち着いた患者さんの診察。廊下からあふれた家族がやってきました。

「ア、アノ。トニカク、イマハハイラナイデ、クダサイ」
「なんでですか?」娘さんとおぼしき中年女性がつっかかります。
「ショチ、シテルンデ」
「処置?何の処置してるんですか?してないじゃないですか」
「・・・・・イマ、オワッタトコデ」
「どうなんですか?」

 容赦なく聞いてくる家族。心配なのは無理もありません。

「ハイエンヲ、オコシテテ・・・」
「いつ、治るんですか?」
「ソレハ・・・ワカリマセン」
「じゃあ、これは治るんですか?」
「ソレモ・・・」
「何日かかるんですか?」

 攻撃的な質問に、A先生タジタジです。

「セッキョクテキニ、チリョウシテ、イキマスノデ」

 何か思い出したように、A先生。家族へ問いかけます。
「ドウキョデ・・?」
「はい」
「クスリノ、カンリハ?」
「本人が自分で。あたしらも仕事があるんで」
「フクロノ、クスリノカズガ、マチマチデ・・・」

 開業医の薬はバラバラで、中には全く飲んでないものも。

「ケツアツナドガ、ジュウブン、カンリデキテナカッタ、カノウセイモ」
「あたしらが悪いって言うんですか?ええっ?そう言うんか?」
「イエ、ソノ・・・サイキンハ、ドンナカンジデ」

 家族、少し息を乱します。

「最近は、あまり様子は分からへんで」
「エッ?デモ、ドウキョッテ・・・」

 詳細によると、同居といっても<離れ>棟での生活。実質的には1人暮らし。その会話に、田舎の複雑な実情が垣間見えた一瞬でした。

 A先生、インタビュー(背後に、仏像)。

「チイキニ、ツクス・・・センパイガタモ、ソウヤッテチイキニ、コウケンシヨウトスルンデスガ・・・カエッテキタラ。ナニカ、ヌケガラミタイデ。ベトナムヘイ、ミタイナ・・・カエヨウト、シタンデスネ。カレラハ。デモ、ビョウインノ人員トカ、ソウイウイゼンニ・・・ハカリシレナイ地域ノカワラナイ空気ガ、アルッテイウカ。イゼン、キュウタイセイッテイウカ。ゼツエンタイニ、フレタヨウナ。オオキナカベヲ、カンジルンデスヨネ」

 A先生。番組のコンセプトまで変えてしまいそうな、意味深発言です。

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