医局で行われる医局会。5名ほどの医師が、中央の部長を取り囲む形で椅子に深く、腰掛けています。重い口を開く、部長先生。

「あー、そろそろ学会論文の提出期限が迫ってますので。えー、皆さん日頃の勤務が大変なのは十分承知の上なのですけれども、おー、今後より一層の努力をばをお願いしましてね、えー・・・」

 冷静に見つめる、中堅医師。物静かな彼が、呟くように話しかけます。

「当直の件・・」
「はい?」
「当直の件ですが。あれ・・どうなりましたっけ?へへっ」

 無邪気な笑顔の中堅医師。時に翳りを見せるその表情。

「あー、当直の件・・」
「今週も週に3回っす。自分」
「大学にー、非常勤ドクターの派遣をばー、頼んでますけどもー」
「それ、前にも聞きましたけど」
「はっ?」

 ものものしい雰囲気が支配します。不安にかられるA先生。

「(カメラに向かい)ボクハ、トウチョク、イマノトコハ・・」

 カレンダーをめくるB先生。A先生の担当は週1回のはずですが・・・

「アレ?フエテル。キイテマセンケド」

 よく見ると、来月から週2、3回が当たり前・・・

「キイテマセンネ、ヤハリ・・・」

 しかしA先生。この雰囲気で訴える勇気はありません。

(医局、暗闇)

●役所「おう、ごくろうさん」
○役所「部長先生。自分は当直が月に今月も8回。体がもちません」
●役所「ん?おかしいな。大学には派遣をお願いしたいんだが」
○役所「当直の明けも、そのまま夕方まで診療です。今日はその明けなのですが」
●役所「ああそうそう。今日、大学教授からの紹介で新患が転院してくるんだ。君の専門分野の疾患だから。担当は君しかいない」
○役所「いつです?一応、待ちますが」
●役所「夕方だ。一通りの検査を頼む」
○役所「部長。できれば明日に」
●役所「文句があるなら、教授に直接伝えたらどうだい?」
○役所「・・・・・」
●役所「気を落とさずに。まだまだ若いんだから。勢いで乗り越えよう!」肩もみ。

 ポツンとスポットライトの○役所。

○役所「やれやれ。上の人間には逆らえないよ・・・このように、病院の各医局では数少ない人員が、気の遠くなる仕事量をこなしています。当直は輪番制。スタッフの数が少ないと、当然各人の負担も重い。大学も人手不足で、融通もままなりません。このままでは地域医療は悲鳴を上げ、日本の医療全体が崩壊の危機にさらされかねない。容赦ない現実が、日本の医療を蝕んでいます」

 医局会、このあと信じられない事態が彼らを襲います・・・!

(CM)

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