サンダル先生R 水曜日 ? 強制連行
2008年7月13日詰所に入ったとたん、一斉に睨まれた。のはよくあること。
「ふ〜!医長は?トシ坊医長は?」
「・・・・」師長は無言で重症部屋を指差した。
「あそっか。入院が入ったもんな」
気を取り直したかのように、夜勤ナースが読み上げる。
「えー今そこに主治医が来ましたので、あとでご報告をお願いします」
「あのな。パルス療法の人。採血は結局」
「・・・・・」
中年ナースは固まった。
「カルテ見ても、そういう指示は出してない。当直医の指示だったのか?」
「はあ・・・まあ」
師長の細いが遮った。
「アンタが突っ込んだら面倒くさくなるから」
「い?」
「あとはあたしが聞いとく」
「はあ・・・まあ」
申し送りが終了。みな散らばった。そういや他の医者が来てないな・・・。
「師長。他の医者は?シローもサボリくん(ザッキー)も来ていない」
「シロー先生は連絡なし。サボリくんは事務員とイチャイチャしてるみたいやで」
「なんでそんなことまで?」
廊下を向くと、そうじのオバサンがピースしている。
「情報屋が・・・シローが休み?」
「そうなんですよぉ〜」事務長が後ろにいた。
「その弱気な態度は。俺にこれから無理をお願いするつもりだろ?」
「おお!よくご存じで!」
「病院の事務長ってそんなもんだろ」
「いえいえ。先生は貴重な」
「商品だろ?」
「とんでもない!」
「将棋の<歩>だから。どうせ」
「いやいや」
「寝返ったりしてな!」
「やめてくださいよ〜!」
「で!はよ言え!要件を!」
「ははっ。シロー先生に連絡がつきませんで・・・このままですと外来診療が」
「俺は各種検査の担当だ。外来診療するヒマなんかないんだよ」
「ではどのように?」
「事務長だろ!しっかりしろ!」
僕は廊下へ出ようとしたが、モップで遮られた。
「ぺぺっ!きたね!何すんだ!いじわるバ・・・」
「あっ!今<いじわるババア>と言いかけた!」ばあさんはブンブン振り回した。
「どいてくれ!」
しかし事務長が背中から呟いた。
「外来はもう患者さんが溢れています・・・」
「俺の頭にも、怒りが溢れてる」
「ではどのように?」
「サボリくんに頼めよ。おいそれに医長は?」
「医長はこれですから・・・」
事務長は前にならえの仕草。視野が狭い、という意味で。
「トシ坊は一度集中したら、何も見えなくなるからな」
「サボリ先生は健診出張でして」
「医師会の?」
「医師会とのつきあい上、それはどうしても」
「医師会なんてな。付き合ってどんなメリットがあるんだ?わからん。ん?」
思わず、事務長の腕をとった。
「(一同)うわ!キモ!」
「おい事務長、手に血が・・・」
「はっ?」
事務長の右手は頑なに握りしめられていた。
「なんかはみ出してるぞ・・・?わかった!」
「やめてくださいよぉ!」
事務長の腕は反対にねじられ、反射的に手が開いた。
ポトン、と落ちたのは採血スピッツのゴム巻きだった。
「はれまあ?」
僕はサッと拾い上げた。
「・・・・・大学病院あて?って書いてるが?」
「・・・・・」事務長はたじろいだ。
「何やってんのお前?」
「な、何って。息・・・」
「ユーサノバ!正直に答えんか!さもないとアンモナイト!」
「これにはいろいろ事情が」
「とりあえず事務室へ行こう。事情聴取だ。仕事はそれからだ」
僕は事務長を犯人のように引っ張り、ゾロゾロ騒がしい外来待合を横切った。
みなの不機嫌な目が矢のように降り注ぐ。
「どうも最近、腑に落ちないことが続いてたんだ」
「先生。患者さんたちが」
「だから。はよ吐け。ただしカツドンは出んからな!」
バタン!と事務の奥部屋が閉められた。
思えばこれが、その後の自分の運命を変えたキッカケかもしれん・・・。
「ふ〜!医長は?トシ坊医長は?」
「・・・・」師長は無言で重症部屋を指差した。
「あそっか。入院が入ったもんな」
気を取り直したかのように、夜勤ナースが読み上げる。
「えー今そこに主治医が来ましたので、あとでご報告をお願いします」
「あのな。パルス療法の人。採血は結局」
「・・・・・」
中年ナースは固まった。
「カルテ見ても、そういう指示は出してない。当直医の指示だったのか?」
「はあ・・・まあ」
師長の細いが遮った。
「アンタが突っ込んだら面倒くさくなるから」
「い?」
「あとはあたしが聞いとく」
「はあ・・・まあ」
申し送りが終了。みな散らばった。そういや他の医者が来てないな・・・。
「師長。他の医者は?シローもサボリくん(ザッキー)も来ていない」
「シロー先生は連絡なし。サボリくんは事務員とイチャイチャしてるみたいやで」
「なんでそんなことまで?」
廊下を向くと、そうじのオバサンがピースしている。
「情報屋が・・・シローが休み?」
「そうなんですよぉ〜」事務長が後ろにいた。
「その弱気な態度は。俺にこれから無理をお願いするつもりだろ?」
「おお!よくご存じで!」
「病院の事務長ってそんなもんだろ」
「いえいえ。先生は貴重な」
「商品だろ?」
「とんでもない!」
「将棋の<歩>だから。どうせ」
「いやいや」
「寝返ったりしてな!」
「やめてくださいよ〜!」
「で!はよ言え!要件を!」
「ははっ。シロー先生に連絡がつきませんで・・・このままですと外来診療が」
「俺は各種検査の担当だ。外来診療するヒマなんかないんだよ」
「ではどのように?」
「事務長だろ!しっかりしろ!」
僕は廊下へ出ようとしたが、モップで遮られた。
「ぺぺっ!きたね!何すんだ!いじわるバ・・・」
「あっ!今<いじわるババア>と言いかけた!」ばあさんはブンブン振り回した。
「どいてくれ!」
しかし事務長が背中から呟いた。
「外来はもう患者さんが溢れています・・・」
「俺の頭にも、怒りが溢れてる」
「ではどのように?」
「サボリくんに頼めよ。おいそれに医長は?」
「医長はこれですから・・・」
事務長は前にならえの仕草。視野が狭い、という意味で。
「トシ坊は一度集中したら、何も見えなくなるからな」
「サボリ先生は健診出張でして」
「医師会の?」
「医師会とのつきあい上、それはどうしても」
「医師会なんてな。付き合ってどんなメリットがあるんだ?わからん。ん?」
思わず、事務長の腕をとった。
「(一同)うわ!キモ!」
「おい事務長、手に血が・・・」
「はっ?」
事務長の右手は頑なに握りしめられていた。
「なんかはみ出してるぞ・・・?わかった!」
「やめてくださいよぉ!」
事務長の腕は反対にねじられ、反射的に手が開いた。
ポトン、と落ちたのは採血スピッツのゴム巻きだった。
「はれまあ?」
僕はサッと拾い上げた。
「・・・・・大学病院あて?って書いてるが?」
「・・・・・」事務長はたじろいだ。
「何やってんのお前?」
「な、何って。息・・・」
「ユーサノバ!正直に答えんか!さもないとアンモナイト!」
「これにはいろいろ事情が」
「とりあえず事務室へ行こう。事情聴取だ。仕事はそれからだ」
僕は事務長を犯人のように引っ張り、ゾロゾロ騒がしい外来待合を横切った。
みなの不機嫌な目が矢のように降り注ぐ。
「どうも最近、腑に落ちないことが続いてたんだ」
「先生。患者さんたちが」
「だから。はよ吐け。ただしカツドンは出んからな!」
バタン!と事務の奥部屋が閉められた。
思えばこれが、その後の自分の運命を変えたキッカケかもしれん・・・。
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