年に1回は、見落としのケースを耳にする。

・ 大動脈は脊髄に沿って上下に伸びる大黒柱だが、この中でも腹部のものが多い。ふだんの検診では調べることがない盲点疾患の1つ。60-70歳に多いというが、50歳台でも珍しくない。メタボ体型の男性に多い。意地悪な言い方をすれば、健診で「異常なし」と記載あってもこれを否定したわけではない。腹部触診した医者も正直そこまで分からない。なお、腹部超音波検査では十分見たことにはならない。

・ 腹痛は胸痛に通じる(紛らわしいものがある)ので、心電図など心疾患の検索も結局必要になる。つまり腹痛はなんだかんだいいつつ、検査コストがどうとかカッコつけずに胸~腹部を一貫して調べたほうがいい。

・ 腹痛で来院し超音波・CT(胸部~腹部)で分かればそのまま診断となるが、背部痛あるいは無症状に近いのもある。さらに冷や汗かくようなしんどい訴えがあれば破裂(ゆっくりしたのもある)による貧血・前ショック状態を考慮する。

・ 腹部超音波ができない(まだ未熟な)医師もいるので、その場合はCTに頼ることになる。腹部のCTは<上腹部>と<骨盤部>に分けられるが、何も考えてないと<上腹部>つまり肝臓・膵臓・腎臓主体となってしまい、肝心の(大動脈瘤の)好発部位を見逃す。妙なプライドは捨てて、技師やドクターと2重の所見を読む(←重要!)。解離を見落とさないためにも。

・ (血管)外科への紹介となるので、径の測定、長さ、解離の有無などを報告し本当に手術適応かどうか対話⇒降圧剤の点滴しながら、搬送には必ずついていく。

・ 何よりも、ふだんから情報を一手に集めておく(一部の施設を除くと、ふだん目にする疾患でないため詳細を忘れやすい)。

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