「えっ?今・・・」
真吾は一瞬射した赤い光に、素早く気づいた。
ナースらは平然と、真吾の肩を両側からどついた。
「はーやーく!」
真吾は、フ・・・とまた口をすぼめたが。
「いや。やっぱり・・・!」
彼はさっきのナースが眺めた窓を開け、身を乗り出した。
見下ろしたそこには・・・
「あれは・・・あれはなんだ?」
黒い救急車が1台。あとは黒い外車3台。
「さっきの赤い照明は、あの救急車のだったのか・・・!」
確か、黒い救急車は・・・そうだ。<真珠会グループ>の病院の所有する・・・!でもしばらくあそことは何もなかった。今は円満だと噂されてた。仮に攻撃があるなら、大阪の真田病院のはずだ。もしかしてあそこも・・・。
いや、あそこはうちとはもう・・・。
真吾は無我夢中になり、階段を駆け降りた。さっきのヘルパー2人が立ち話しているが。
「院長!それから!」
「ちょっとどいて!」
階段を一気に駆け下り。事務らは、うらめしそうに振り返る。みな、怖がって正面玄関からは出られない様子。まるで虐待された子供たちのようだ。
大人の世界・・これが今を象徴する、大人の世界の雰囲気か。
ビニールシートを大量に敷いてある滑り台の前で、彼は何かを感じた。
「とうとう。この日がきたか・・・!」
動転しっぱなしでは今後が持たない。彼は毅然とした態度で自分を操縦することにした。ユウの言葉をまた思い出す。
≪パニックになったら、お前という体を動かす操縦桿になれ!≫
やっとの思いで、正面玄関を出た。かつての友の名言で落ち着けた。
≪人類にとっては小さな一歩でもそれがどうした。俺には大きな一歩なんだ!≫
そう思うと、また楽になった。
そこには・・・賞状のような紙を丸めて持っている、ゴリラのような白衣医師が立っている。
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