周囲が慌ただしいのをよそに、女は両手を拡げ深呼吸した。
「おいおい!早速手を出すなと言ったろうが!」藤堂のおやじが後ろに。
「オヤジ・・・・・私はここに何泊?」
「そっ、それは・・・足津さんがいいというまでだ!」
「・・・・・」
不服そうに、彼女は煙草に火をつけた。献血のポスターの花形スターのほっぺに、ジリジリと押しつける。
「あー。戦いてー・・・強い奴いねーかなー・・・強い奴」
廊下では、ベッドが運ばれている。
「それ重症?ならこっち!はいはい!」
マーブルが、ベッドを搬出する指示。こちらも手慣れている。
「接続を離すな!せつぞくを!」
また別の声。
「重症からだよ!重症から!呼吸器、それいけるかー!」
外には、呼びだした新規の救急車が揃ってきた。もちろんここの地元とその周辺から呼び出されたものだ。各、救急車は詳しい事情は知らない。彼らは・・<転院>という名目で呼ばれた。ある意味、それは間違ってはいなかった。
職員らは1人ずつ、統制のない状態でバラバラに去っていく。みな持ち物があるのか、患者への憐れみか・・・何度も何度も振り返る。
外車はゆっくりと走り始めた。何かに引火したボンベが爆発、病院横の小屋がズドーン!と数メートル原形のまま持ち上がった。
僻地の病院が、わずか1日で崩壊した瞬間だった。
足津は指示を出す。
「藤堂隊長」
<はい!>
「娘さんを残し、あなたの決めた標的に向かってください」
<はっ!>
藤堂隊長は電話を切った。
「では、わしは行くからな!」
「オヤジ。あたしも!」
「お前はここを死守しろ!誰が戻ってくるか分からん!」
「しかし!」
親父は彼女の短い髪を引っ張り、威厳を見せた。
「私情を挟むなというのが、あの方のポリシーだ!」
「くぅ・・・」
真吾は爆風に髪を焼きつけながらも、ずっとずっと床に額を押し付けていた。
「すみません、すみません。だから・・・」
もう、彼をかまうものは誰もいない。
真田病院は、まだこの事実を知らなかった・・・・。
「おいおい!早速手を出すなと言ったろうが!」藤堂のおやじが後ろに。
「オヤジ・・・・・私はここに何泊?」
「そっ、それは・・・足津さんがいいというまでだ!」
「・・・・・」
不服そうに、彼女は煙草に火をつけた。献血のポスターの花形スターのほっぺに、ジリジリと押しつける。
「あー。戦いてー・・・強い奴いねーかなー・・・強い奴」
廊下では、ベッドが運ばれている。
「それ重症?ならこっち!はいはい!」
マーブルが、ベッドを搬出する指示。こちらも手慣れている。
「接続を離すな!せつぞくを!」
また別の声。
「重症からだよ!重症から!呼吸器、それいけるかー!」
外には、呼びだした新規の救急車が揃ってきた。もちろんここの地元とその周辺から呼び出されたものだ。各、救急車は詳しい事情は知らない。彼らは・・<転院>という名目で呼ばれた。ある意味、それは間違ってはいなかった。
職員らは1人ずつ、統制のない状態でバラバラに去っていく。みな持ち物があるのか、患者への憐れみか・・・何度も何度も振り返る。
外車はゆっくりと走り始めた。何かに引火したボンベが爆発、病院横の小屋がズドーン!と数メートル原形のまま持ち上がった。
僻地の病院が、わずか1日で崩壊した瞬間だった。
足津は指示を出す。
「藤堂隊長」
<はい!>
「娘さんを残し、あなたの決めた標的に向かってください」
<はっ!>
藤堂隊長は電話を切った。
「では、わしは行くからな!」
「オヤジ。あたしも!」
「お前はここを死守しろ!誰が戻ってくるか分からん!」
「しかし!」
親父は彼女の短い髪を引っ張り、威厳を見せた。
「私情を挟むなというのが、あの方のポリシーだ!」
「くぅ・・・」
真吾は爆風に髪を焼きつけながらも、ずっとずっと床に額を押し付けていた。
「すみません、すみません。だから・・・」
もう、彼をかまうものは誰もいない。
真田病院は、まだこの事実を知らなかった・・・・。
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