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2009年6月10日 連載

御手洗は、マッサージの手を思わず止めた。
「フーっ!フーっ!」
暑さで参りそうだ。

再開。振り向き、また再開。心肺停止が同時に2名。呼吸器にはかろうじて接続できた。
「くそ!でも手ごたえがないっ!」

大汗がドッ、と背中に流れた。蒸しブロ状態が続いている。体の血管がすべて詰まりそうだ。

「だだ・・・だれか・・・」そう思うとまた汗が全身に吹きまくった。

近くのテレビのバラエティでは、ニュース速報が。

「大阪の国道で玉突き事故。重症者多数。うち1名は民間病院医師。渋滞が数キロ」

ミタライは驚いたように急にのけぞり、そのまま床へと倒れた。
「ヒー!ヒー!あれヒー!ここのヒー!常勤のヒー!先生じゃヒー!」

 息苦しさが、真に迫ってくる。水の中じゃないのに、そのまま溺れている自分が分かる。傍観しているはずの自分が、もう状況すら分からなくなってきている。

「ハフッ・・・ハフッ」

 援軍が到着したとき、彼女は朦朧状態だった。周囲の動きがスローで、とぎれとぎれの場面。耳には幕が張ったようで正確に聞き取れず、首を思いっきり伸ばしての呼吸。いやそれでも足りない。
 
 やがて、体温はどんどん上昇していき・・・。

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