トシ坊は、近くのホーキをつかんだ。と思ったら、それを太い腕が握った。
「ふうん!俺は長期(ちょうき)!」猛者のようなたくましい腕が宙を振るった。
「があぁ!」トシ坊は、5メートルほど飛ばされた。
お祭りの格好をした大男<長期>は、シローの背中も・・・いや、飛ばさず軽く押した。
「さ!シロー先生!来られないのでお待ちしておりました!オープンの秒読みです!急いで!」
ホーキはトシ坊の背中にグリグリと押しこまれた。
「たいたいたい!いたいっ!」
「お前がトシキか~!ふえええい!俺の名を言ってみろ!」
シローはためらいつつ、廊下を走った。しかし、それはだんだん自信をつけてきた。
「みんな。すみません・・・・!だがどうしても!どうしても!」
トシ坊はベランダで、携帯で話していた。
「じじ!事務員!誰でもいいから!シローを!つかまえ!いたた!この裏切り者!」
背中をまたグリグリ回された。これでは振り向けない。
「動くんじゃねえ!童貞が!」雇われ傭兵の自称<武将>、長期は巨体の体重をかけた。
「うわあああああ!」
今度は、ホーキを尻に突っ込む。
「俺が最初の男になってやる!がはははは!」
「いたぁああ!」
トシ坊が首を上げ、スーパーを見ていると、その2階部・・・モデルルームらしき垂れ幕が、ゆっくり下へと落ちていく。その周囲の布も。壁も。1つずつはがれていく。
「あ・・・・あ・・・・あれは!」
だんだん、鮮やかな色になる。
それとは逆に、意識がどんどん薄れていった。
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